理工学部・工学部・理学部・情報系の学部を総合型選抜や学校推薦型選抜で受けるなら、まず知っておきたいのは、文系の学部とは選考の形がかなり違うことです。共通テストや大学独自の筆記試験、数学・理科の口頭試問が課される方式があり、評定や履修科目の条件も数学・理科が中心です。この記事では、各大学の2027年度入試の要項に基づいて、主な大学の方式、出願要件、選考内容、女子枠、日程を整理し、準備の進め方を東京修学館の家近亮子学長の監修で解説します。
理工系の総合型選抜・学校推薦型選抜とは
この節の答え理工系は大学ごとに独自の名前の入試が多く、同じ京都大学の特色入試でも理学部は総合型選抜、工学部は学校推薦型選抜です。
文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜は、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせて、能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価する入試とされています。学校推薦型選抜は、出身高校の校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として評価する入試です。
どちらも書類だけでなく、知識・技能や思考力・判断力・表現力を評価する方法を少なくとも一つ使うことが求められています2。
| 区分 | 出願の仕方 | 時期(文部科学省のルール) |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 自分の意志で出願できる(公募制) | 出願の受付は2026年9月1日以降、合否の発表は11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 高校の校長の推薦が必要 | 出願の受付は2026年11月1日以降、合否の発表は12月1日以降 |
理工系では、京都大学の「特色入試」、北海道大学の「フロンティア入試」、慶應義塾大学の「分野志向型入試」のように、大学ごとに独自の名前の入試が行われています。名前だけでは区分が分からないこともあり、京都大学の特色入試は理学部が総合型選抜1、工学部が学校推薦型選抜です。
東京大学は学校推薦型選抜だけ、上智大学理工学部は公募制の推薦入学試験(学校推薦型選抜)です。実施要項は、入学者の多様性を確保する工夫の例として「理工系分野における女子等」も挙げています2。
二つの入試の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違い、制度の全体像は総合型選抜とはで説明しています。
出典
各大学の2027年度入試の要項(大学ごとの出典は各大学の記事に記載)と、文部科学省「大学入学者選抜実施要項」(令和9年度、2026年5月27日付け通知)。出願要件や選考方法は学科ごとに細かく違います。出願前に必ず大学別の記事と各大学の最新の要項を確認してください。
主な大学の理工系の入試(2027年度入試・一覧表)
この節の答え国公立8校と私立7校の理工系の主な方式について、共通テストの要否と主な選考内容を一覧にしています。
理工系の学部・学科で総合型選抜・学校推薦型選抜を実施している主な大学です。募集人員や学科ごとの条件は、大学名のリンク先の記事で確認できます。
国公立大学
| 大学 | 理工系の主な方式 | 共通テスト | 主な選考内容 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 学校推薦型選抜(工学部30人程度、理学部10人程度) | 必要(概ね8割以上が目安) | 書類、面接等。工学部・理学部は学校長以外の推薦書が1〜2通必須 |
| 東京科学大学 | 理工学系6学院の総合型選抜(一般枠86人・女子枠139人)。生命理工学院は学校推薦型選抜も | 必要 | 第1段階選抜(共通テスト、学院により書類)の後、面接・筆記・造形課題などの総合問題 |
| 京都大学 | 特色入試。理学部は総合型選抜、工学部は学校推薦型選抜 | 必要(理学部は概ね70%以上、工学部は概ね80%以上) | 理学部は能力測定考査・口頭試問など。工学部は情報学科を除く5学科の一般枠が書類と共通テストのみ |
| 大阪大学 | 理学部は総合型選抜(研究奨励型・挑戦型)、工学部・基礎工学部は学校推薦型選抜 | 必要 | 理学部は口頭試問(研究奨励型は研究成果のプレゼンテーションを含み、挑戦型は小論文も)、工学部は面接、基礎工学部は口頭試問 |
| 東北大学 | AO入試II期・III期(理学部・工学部) | II期は課さない、III期は課す | II期は筆記試験と面接、III期は共通テスト・書類・面接(工学部は筆記も) |
| 名古屋大学 | 理学部は総合型選抜(5学科25人)と学校推薦型選抜、工学部・情報学部は学校推薦型選抜 | 理学部化学科・生命理学科の総合型選抜は課さない。ほかは課す | 工学部は口頭試問による面接、理学部の学校推薦型選抜は書類と共通テスト |
| 北海道大学 | フロンティア入試(総合型選抜)TypeⅠ・TypeⅡ | TypeⅠは使う、TypeⅡは選考に使わない | TypeⅠは書類・面接・課題論文など、TypeⅡは数学・理科の適性試験と面接 |
| 九州大学 | 総合型選抜Ⅱ(理学部・工学部)、次世代研究者発掘入試(工学部)、学校推薦型選抜(工学部の一部) | 総合型選抜Ⅱ・学校推薦型選抜は課す。次世代研究者発掘入試Ⅰは課さない | 理学部は物理学科が課題探求試験と面接、地球惑星科学科が小論文と面接、化学科・生物学科が面接、工学部は試問を含む面接や実技、次世代研究者発掘入試は研究実績にもとづく発表と口頭試問 |
私立大学
| 大学 | 理工系の主な方式 | 共通テスト | 主な選考内容 |
|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 | 理工学部 分野志向型入試(電気情報工学科・数理科学科・化学科) | 選考に使わない | 書類、数学・物理などの筆記・記述の総合審査(化学科は実施しない)、面接 |
| 早稲田大学 | 先進理工学部 特別選抜入試(応用化学科・生命医科学科)、創造理工学部 早稲田建築AO入試(創成入試) | 選考に使わない | 特別選抜はコンテストの成績で出願し、書類と学科別の面接。創成入試はドローイングと文章の筆記試験と面接 |
| 明治大学 | 理工学部 自己推薦特別入学試験 | 不要 | 学科ごとに口頭試問、実験レポートのプレゼンテーション、造形による試験など |
| 中央大学 | 基幹理工学部・社会理工学部・先進理工学部 高大接続型自己推薦入学試験 | 不要 | 書類の後、学科ごとに筆記試験・面接・プレゼンテーションなど |
| 青山学院大学 | 理工学部 理工系女子特別(4学科 各5名) | 不要 | 書類の後、数学・理科の基礎学力調査と、学力に関する試問を含む面接 |
| 上智大学 | 理工学部 推薦入学試験(公募制)。学校推薦型選抜 | 使わない | 書類(レポート等特定課題を含む)、学科試問、面接 |
| 立命館大学 | 理工学部 理工セミナー方式(AO選抜入学試験) | 選考方法に含まれない | 数学と物理のセミナー(各60分)と理解度を問う筆記試験(各60分)、書類(数理科学科・物理科学科は数学のセミナーだけで、面接(口頭試問)もある) |
このほか、関西大学、近畿大学、法政大学、学習院大学、立教大学、成蹊大学、南山大学、お茶の水女子大学などにも理工系の方式があります。筑波大学は理工学群の各学類にAC入試がなく、推薦入試か一般選抜になります。
出願要件の傾向(評定・履修科目・英語資格)
この節の答え私立は数学・理科の科目別の評定基準が多く、数学Ⅲ・数学Cや物理・化学の履修を求める方式もあります。
評定:私立は数学・理科の科目別の基準を置く方式がある
国公立大学では、京都大学の理学部・工学部、九州大学の総合型選抜、北海道大学のフロンティア入試のように、要項に評定の基準の記載がない方式が目立ちます。ただし東北大学のAO入試II期は全学部で学習成績概評がA段階であることが要件で、大阪大学工学部は推薦要件の選択肢の1つとして数学と理科の評定平均値4.3以上を挙げています1。
私立大学は、下の表の6校のように、数学・理科の評定に基準や目安を置く方式があります。
| 大学・方式 | 評定の基準(要項の記載) |
|---|---|
| 慶應義塾大学 理工学部 | 4.1以上と、指定の数学・理科の評定がそれぞれ4以上が「望ましい」 |
| 上智大学 理工学部 | 全体4.0以上、または全体3.8以上かつ数学・理科それぞれ4.5以上(情報理工学科などは情報も)。あわせて英検2級以上など外国語検定試験の基準(デジタルグリーンテクノロジー学科は英検準1級以上など)も必要 |
| 青山学院大学 理工系女子特別 | 数学・理科の評定平均値がそれぞれ3.8以上 |
| 明治大学 理工学部 | 機械情報工学科・建築学科は数学・理科・英語3.8以上、応用化学科は4.0以上、電気電子生命学科は条件なし |
| 中央大学 理工系3学部 | 数学科は「数学」4.8以上(数学オリンピック予選などの要件でも可)、物理学科は英語・数学・物理がそれぞれ4.0以上など |
| 立命館大学 理工セミナー方式 | 全体と、数学・理科・英語それぞれが3.0以上 |
南山大学の理工学部は評定を出願基準にしていませんが、特に数学の成績を評価・重視するとしています。評定の考え方は評定平均の解説で説明しています。
履修科目:数学Ⅲ・数学Cと物理・化学
- 北海道大学 TypeⅡ:数学科は数学Ⅲ、物理学科は数学Ⅲと物理、化学科は数学Ⅲ・物理・化学(数学科・物理学科は、履修していなくても同等の学力があると高校が認めれば出願できる)
- 慶應義塾大学 理工学部:数学Ⅰ〜Ⅲ・A〜Cの合計15単位以上、物理基礎・物理・化学基礎・化学の合計12単位以上、英語の合計14単位以上
- 法政大学 情報科学部:数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cをすべて履修していること(ディジタルメディア学科を第一希望とする場合は物理基礎・物理も)
- 東京科学大学 生命理工学院(学校推薦型選抜):数学Ⅲ・数学Cまでと、生物・物理・化学のうち2科目以上
履修する科目は高校1・2年生の科目選択で決まります。志望学科の条件は、科目選択の前に確かめておきます。
英語資格
- 青山学院大学 理工系女子特別:英検CSEスコア1980点以上などのいずれかが出願資格で、スコアは合否判定にも使う
- 明治大学 理工学部電気電子生命学科:英語4技能資格・検定試験の成績が必須(出願締切日から遡って2年以内に受験した1つに限り、締切までに証明書類が無いと0点)
- 北海道大学 理学部地球惑星科学科:実用英語技能検定2級以上、またはTOEIC L&R 600点以上(TOEIC L&Rは2024年10月1日以降に受験したスコアに限る)。TypeⅡの物理学科も、実用英語技能検定・GTEC・IELTS・TOEFL iBTなどでCEFR B1レベル以上が要件
専願か、併願できるか
国公立大学は、この記事の一覧表の8校とも、合格したら必ず入学すること(九州大学は第1志望とすることなど)を出願の前提にしています。私立大学は方式で違い、慶應義塾大学理工学部は第一志望が条件、明治大学理工学部は他大学との併願が可能、法政大学は理工学部が専願で情報科学部は専願ではありません。
選考で課されるもの(大学の実例)
この節の答え大学独自の筆記試験や適性試験、数学・理科の口頭試問、実験やプログラミングの課題、研究実績を要件にする方式があります。
大学独自の筆記試験・適性試験
- 北海道大学 TypeⅡ:前半60分が計算を主とする数学の基本問題、後半120分が数学・理科の論述問題で450点。第1次選考の配点は合計100点なので、適性試験の出来が合否を大きく左右する
- 東北大学 AO入試II期:第1次選考が筆記試験。工学部は数理的思考力、自然科学分野の基礎的理解度、英文読解力や作文能力を問う
- 学習院大学 理学部(学校推薦型選抜(公募制)):物理学科は物理・数学(30分程度)、化学科は化学(60分)、数学科は数学(90分)、生命科学科は生物(60分)
- 成蹊大学 理工学部:数学的思考力を問う思考力審査(90分)と、口頭試問の面接
口頭試問を含む面接
- 東京科学大学:工学院は物理や数学(数学Ⅲを含む)のテーマの説明、物質理工学院は科学的な知識と考え方を試問する面接
- お茶の水女子大学:情報科学科は数学の課題を黒板で説明する面接、化学科は実験に基づく課題と口述試験
- 同志社大学 理工学部の推薦選抜(工業高等学校等):工業・情報に関する学科や総合学科、工業高校の卒業見込み者と高専3年次の修了見込み者が対象の学校推薦型選抜で、数学、理科(物理または化学または生物)、英語について試問
実験・プログラミング・造形などの課題
- 明治大学 理工学部:機械情報工学科は指定された実験を事前に行い、レポートにまとめてプレゼンテーションと口頭試問。建築学科は造形による試験
- 九州大学 工学部電気情報工学科:面接と、プログラミングかエレクトロニクスの実技(30分程度)
- 関西大学 システム理工学部のAO入試データサイエンス型(電気電子情報工学科のみ):課題レポート(1,200字程度)と自作ソフトウェアのソースコード(300行以上)を提出し、プレゼンテーションと面接
研究実績・コンテストの成績を出願要件にする方式
| 大学・方式 | 求められる実績(要項の例) |
|---|---|
| 大阪大学 理学部 研究奨励型 | SSH生徒研究発表会への出場、日本学生科学賞やJSECの最終審査会進出、学会発表(化学科は日本化学会での発表に限る)、大阪大学SEEDSプログラム実感コースの修了など |
| 早稲田大学 先進理工学部 特別選抜入試 | 日本数学オリンピックの予選合格(Aランク)、全国高校化学グランプリ一次選考の上位10%以内など、7つのコンテストの成績(数学オリンピックは2021年以降、化学グランプリは2020年以降にオンライン試験で行われた予選・一次選考の結果は使えず、その回は本選・二次選考での入賞が要件) |
| 中央大学 精密機械工学科 | 科学賞、ものづくり・ロボットコンテスト、技能五輪のいずれかの実績 |
| 名古屋大学 理学部 生命理学科(総合型選抜) | 指定の研究プログラムやコンテスト等(日本学生科学賞の中央最終審査進出、SSH生徒研究発表会の代表校選出・ポスター発表賞など)の入賞者か、同等の活動実績(研究報告書も提出) |
| 九州大学 次世代研究者発掘入試(工学部) | Ⅰは、SSH生徒研究発表会の出場、日本学生科学賞の中央最終審査進出、JSEC最終審査進出、国際科学オリンピックの日本代表など。選考は研究実績にもとづくプレゼンテーション(10分程度)と口頭試問(20分程度) |
要件ではなく、評価の材料として実績を見る方式もあります。東京大学の理学部は研究活動や科学オリンピックなどの実績を証明する資料を求め、東京科学大学の理学院の一般枠は、活動実績報告書の例として、課題研究で主導的な役割を果たして成果を発表したことや、国際科学オリンピックまたはその国内予選相当の大会で優秀な成績をおさめたことを挙げています。
女子枠・女子対象の方式がある大学
この節の答え東京科学大学の総合型選抜の女子枠139人のほか、京都大学・名古屋大学・九州大学・青山学院大学などに女子枠があります。
| 大学 | 女子枠・女子対象の方式 | 募集人員(2027年度入試) |
|---|---|---|
| 東京科学大学 | 理工学系の総合型選抜 女子枠、生命理工学院の学校推薦型選抜 女子枠 | 総合型選抜139人(工学院70人など)、生命理工学院15人 |
| 京都大学 | 特色入試 女性募集枠(理学部の2入試、工学部5学科) | 理学部10人・5人、工学部は電気電子工学科7人など |
| 名古屋大学 | 工学部 学校推薦型選抜の女子枠(6学科) | 化学生命工学科7人、電気電子情報工学科6人など |
| 大阪大学 | 基礎工学部 学校推薦型選抜の女性枠 | システム科学科8人、ほかの3学科は各4人 |
| 九州大学 | 工学部 総合型選抜Ⅱ・学校推薦型選抜の女子枠 | 機械工学科7人、材料工学科5人など |
| 青山学院大学 | 理工系女子特別(総合型選抜) | 4学科 各5名 |
| 関西大学 | 女子特別入試(総合型選抜) | システム理工学部11人、エネルギー環境・化学工学科5人 |
| 近畿大学 | 理工学部 総合型選抜(女子選抜方式。理学科物理学コース、機械工学科、電気電子通信工学科、社会環境工学科、エネルギー物質学科) | 全学科で15名程度 |
一般枠との併願のルールは大学や学科で違います。京都大学工学部は地球工学科・物理工学科・情報学科・理工化学科で一般枠と女性募集枠を併願できますが、電気電子工学科と理学部ではできません。
名古屋大学工学部は「一般枠」「一般枠と女子枠の併願」「女子枠単願」から選べます。東京科学大学の総合型選抜で一般枠と女子枠を併願できるのは環境・社会理工学院だけです。
女子枠でも、選考は学力を問うものが中心です。青山学院大学は数学・理科の基礎学力調査、関西大学の女子特別入試は筆記試験(90分)と面接1、東京科学大学理学院の女子枠は「数学Ⅲ」中心の筆記試験を課します。
共通テストが要る大学・要らない大学
この節の答え国公立大学の多くは共通テストが必要で合格発表は2月、東北大学II期や北海道大学TypeⅡなどは共通テストを課しません。
| 区分 | 大学・方式 |
|---|---|
| 共通テストが必要 | 東京大学、東京科学大学(理工学系)、京都大学、大阪大学、東北大学AO入試III期、名古屋大学(理学部化学科・生命理学科の総合型選抜を除く)、北海道大学TypeⅠ、九州大学(総合型選抜Ⅱ・次世代研究者発掘入試Ⅱ・学校推薦型選抜) |
| 共通テストを課さない・選考に使わない | 東北大学AO入試II期、北海道大学TypeⅡ、名古屋大学理学部化学科・生命理学科の総合型選抜、九州大学次世代研究者発掘入試Ⅰ、上の一覧表の私立大学の方式 |
東京大学(概ね8割以上が目安)のように、共通テストの得点に目安や基準を設ける方式があります。京都大学工学部は1000点満点中概ね80%以上1(建築学科は数学2科目がそれぞれ概ね90%以上、地球工学科は数学2科目と選択した理科2科目の計4科目のうち少なくとも1科目が概ね90%以上も。
理工化学科は概ね80%に達しない科目があると不合格にすることがある)、東京科学大学の情報理工学院は概ね780点以上かどうかを基準にしています1。東京科学大学は第1段階選抜で共通テストを使うため、得点が足りなければ書類が良くても総合問題に進めません。
名古屋大学の要項には得点の基準がありませんが、令和8年度の合格者の共通テスト平均得点率は学部・学科によって70%台から80%台でした。
科目の指定にも注意します。東北大学工学部と名古屋大学工学部は理科の物理と化学を指定し、東京科学大学工学院の一般枠は物理を必ず含めます。共通テストを使う方式は合格発表が2月なので、一般選抜の準備を止めずに並行して進めます。
| 大学・方式 | 共通テスト | 主な選考内容 | 出願 | 合格発表 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道大学 フロンティア入試 TypeⅠ | 使う | 書類・面接・課題論文など | 2026年9月9日〜9月15日(書類の郵送) 終了 | 2027年2月9日 |
| 北海道大学 フロンティア入試 TypeⅡ | 選考に使わない | 数学・理科の適性試験と面接 | 2026年9月9日〜9月15日(書類の郵送) 終了 | 2026年12月8日 |
| 東北大学 AO入試II期 | 課さない | 筆記試験と面接 | 2026年10月13日〜10月16日 終了 | 2026年12月4日 |
| 東北大学 AO入試III期 | 課す | 共通テスト・書類・面接(工学部は筆記も) | 2027年1月19日〜1月22日 | 2027年2月10日 |
「終了」の印が付いた日程は、この年度の受付がすでに終わっています。次の年度の日程は、大学の公式サイトの入試情報で確認してください。
志望理由書の書き方(理工系の場合)
この節の答え関心のきっかけ、高校で取り組んだこと、学科で学びたいこと、卒業後の目標を書き、字数は500字程度から2,000字までと幅があります。
理工系の志望理由書は、学科の学問分野に関心を持った理由と、入学後に学びたいことを、高校での学びや活動とつなげて書くのが基本です。分量は大学によって大きく違います。
| 大学・方式 | 本人が書く書類と分量 |
|---|---|
| 東京科学大学(総合型選抜) | 志望理由書 800字以内。理学院の一般枠などは活動実績報告書も |
| 慶應義塾大学 理工学部 | 志望理由書 2000字以内・自筆 |
| 大阪大学 工学部/理学部 | 志望理由書 1,600字程度/500字程度 |
| 法政大学 情報科学部 | 志望理由書 1000~1200字。関連書籍を1冊以上読み、引用して書く |
- 関心のきっかけ:授業、実験、課題研究、本など、具体的な出来事から書く
- 高校で取り組んだこと:何を調べ、どう考え、何が分かり、何が分からないまま残ったか
- その学科で学びたいこと:慶應義塾大学は、学科の分野に深い興味を持った理由や入学後に実現したいことを具体的に書くよう求めている
- 卒業後に目指すこと:研究や技術開発など、学びの先にある目標
生成AIの利用について
京都大学の要項は、本人が作成する書類について「志願者以外の者(生成AIツールを含む)により作成された文章等を利用することは認めません」と明記しています。立命館大学も、出願書類の作成に「生成AI等を用いることは認めません」としています。
詳しくは志望理由書の書き方と活動報告書の書き方で説明しています。
筆記試験・面接・口頭試問の準備
この節の答え公式がなぜ成り立つかを説明できるようにし、過去問題で水準を確かめ、書類の内容と発表を深く聞かれる前提で練習します。
- 教科の基礎を説明できるようにする:関西大学の公募制推薦入試には教科書レベルの口頭試問があり、成蹊大学の面接でも数学・理科の理解度が問われることがある。公式を覚えるだけでなく、なぜ成り立つかを話せるようにする
- 過去問題で水準を確かめる:関西大学の公募制推薦入試・女子特別入試のように過去問題を公開している方式では、時間を計って解いてみる
- 書類の内容を深く聞かれる前提で準備する:東京科学大学の理学院・情報理工学院は活動実績報告書について、明治大学理工学部は提出書類や作品の内容について質問する
- 発表の練習をする:大阪大学理学部研究奨励型のポスター発表、明治大学の実験レポートのプレゼンテーションなど、人前で説明する場面がある
練習に使えるテーマの例
実際の出題ではなく、口頭試問や面接の練習に使えるテーマの例です。
- 高校で学んだ定理や公式を一つ選び、なぜ成り立つかを書きながら説明する
- 身の回りの現象を一つ選び、物理や化学の法則で説明する
- 自分の課題研究の目的・方法・結果・残った課題を、専門外の人にも分かるように話す
- 志望学科の研究室の研究テーマを一つ調べ、自分の関心とのつながりを話す
日程(出願と合格発表)
この節の答え私立大学は9月から出願が始まって年内に発表され、共通テストを使う国公立の方式は合格発表が2027年2月です。
| 大学・方式 | 出願 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 明治大学 理工学部 | 2026年9月3日〜9月7日 終了 | 2026年11月17日 |
| 北海道大学 | 2026年9月9日〜9月15日(書類の郵送) 終了 | TypeⅡは2026年12月8日、TypeⅠは2027年2月9日 |
| 中央大学 理工系3学部 | 2026年9月9日〜9月16日 終了 | 2026年11月20日 |
| 京都大学 理学部 | 2026年10月1日〜10月7日 終了 | 2027年2月10日 |
| 青山学院大学 理工系女子特別 | 2026年10月1日〜10月5日 終了 | 2026年11月16日 |
| 慶應義塾大学 理工学部 | 2026年10月1日〜10月6日 終了 | 2026年12月11日 |
| 東北大学 AO入試II期 | 2026年10月13日〜10月16日 終了 | 2026年12月4日 |
| 立命館大学 理工セミナー方式 | 2026年10月16日〜10月23日 終了 | 2026年12月10日 |
| 東京大学 | 2026年11月1日〜11月6日 | 2027年2月10日 |
| 大阪大学 | 2026年11月2日〜11月7日 | 2027年2月9日 |
| 京都大学 工学部 | 2026年11月5日〜11月11日 | 2027年2月10日 |
| 東京科学大学 理工学系 | 2026年12月14日〜12月16日 | 2027年2月9日 |
| 東北大学 AO入試III期 | 2027年1月19日〜1月22日 | 2027年2月10日 |
大学入学共通テストは2027年1月16日・17日です。ほかの大学・方式の日程と、時刻や書類の送り方などの細かい条件は、大学別の記事と要項で確認してください。
学年別の準備の進め方
この節の答え高1・2年は数学Ⅲ・数学Cや物理・化学を履修できる科目を選んで課題研究を記録し、高3は要項で条件と出願時期を確かめます。
高校1・2年生
- 数学Ⅲ・数学Cや物理・化学など、志望学科の履修要件を満たせる科目選択をする
- 全体の評定だけでなく、数学・理科の科目別の評定を保つ
- 課題研究や探究活動に取り組み、テーマ・方法・結果を記録しておく。科学オリンピックやコンテストの成績は、方式によって出願要件や評価の材料になる
- 英語資格が必要な方式を考えている場合は、早めにスコアをそろえる
高校3年生
- 志望校の要項で、方式の区分、共通テストの要否、評定と履修の条件、出願時期を確認する。私立大学は9月から出願が始まる
- 学校推薦型選抜を考えている場合は、校内で推薦を受けられるかを早めに先生に相談する。京都大学工学部や名古屋大学工学部は、1校から推薦できる人数が学科ごとに決まっている
- 志望理由書や活動実績報告書の下書きは、出願期間(上の日程の表の方式では2026年9月3日〜2027年1月22日の間で大学・方式ごとに違う)に間に合うように作る
- 共通テストを使う方式を受ける場合は、一般選抜と同じ水準で共通テストの学習を続ける
よくある質問
- Q. 理工学部に総合型選抜はありますか?
- A. あります。国公立では東京科学大学、京都大学(理学部)、大阪大学(理学部)、東北大学、名古屋大学(理学部)、北海道大学、九州大学など、私立では慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、中央大学、青山学院大学、立命館大学などが理工系の総合型選抜を実施しています。東京大学は学校推薦型選抜だけで、京都大学工学部や大阪大学工学部も学校推薦型選抜です。
- Q. 理工系の総合型選抜に共通テストは必要ですか?
- A. 大学と方式によります。東京大学、東京科学大学、京都大学、大阪大学、東北大学AO入試III期、北海道大学TypeⅠなどでは必要で、この記事の一覧表の国公立8校はいずれも共通テストを課す方式を実施しています。東北大学AO入試II期、北海道大学TypeⅡ、名古屋大学理学部化学科・生命理学科の総合型選抜、九州大学次世代研究者発掘入試Ⅰと、一覧表の私立大学7校の方式は共通テストを選考に使いません。
- Q. 理工系の総合型選抜に評定平均の基準はありますか?
- A. 方式によります。国公立大学は京都大学の理学部・工学部や北海道大学のように基準の記載がない方式がある一方、私立大学は数学・理科の科目別の基準を置く方式があります。たとえば上智大学理工学部は全体4.0以上、または全体3.8以上かつ数学・理科それぞれ4.5以上、青山学院大学の理工系女子特別は数学と理科の評定平均値がそれぞれ3.8以上です。
- Q. 理工系の女子枠とは何ですか?
- A. 女子だけが出願できる募集枠や方式です。東京科学大学の総合型選抜の女子枠(139人)、京都大学の特色入試の女性募集枠、名古屋大学工学部や九州大学工学部の女子枠、青山学院大学の理工系女子特別、関西大学の女子特別入試、近畿大学理工学部の女子選抜方式などがあります。一般枠との併願ができるかどうかは大学・学科で違います。
- Q. 研究実績や科学オリンピックの成績がないと出願できませんか?
- A. 方式によります。実績を出願要件にしているのは一部の方式で、たとえば大阪大学理学部の研究奨励型はSSH生徒研究発表会への出場や学会発表など、早稲田大学先進理工学部の特別選抜入試は数学オリンピックなど7つのコンテストの成績、中央大学精密機械工学科は科学賞やロボットコンテストなどの実績が要件です。要件にしていない方式でも、東京科学大学理学院の一般枠のように活動実績報告書の内容を重視する方式があります。
- Q. 理工系の総合型選抜の日程は?
- A. 大学によって大きく違います。2027年度入試の出願期間は、明治大学理工学部が2026年9月3日〜9月7日、北海道大学が9月9日〜9月15日(書類の郵送)、慶應義塾大学理工学部が10月1日〜10月6日です。国公立大学で共通テストを使う方式は、東京科学大学の出願が12月14日から16日、合格発表が2027年2月9日のように、合格発表が2月になります。
まとめ
理工系の総合型選抜・学校推薦型選抜は、一覧表の国公立8校はいずれも共通テストを課す方式を実施し、その合格発表は2月です。共通テストを課さない方式でも、北海道大学TypeⅡや東北大学AO入試II期のように大学独自の筆記試験があり、一覧表の私立大学7校の方式も、書類だけでなく、筆記試験、試問を含む面接、プレゼンテーションなどを課します。
出願要件には数学・理科の評定や数学Ⅲ・物理などの履修が入り、女子枠や、研究実績を要件にする方式もあります。
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