志望理由書にAIは使っていい?バレるか・大学23校の決まり・添削の使い方【2027年度】

志望理由書にAIは使っていい?バレるか・大学23校の決まり・添削の使い方 受験の知識

志望理由書の下書きに、ChatGPTなどの生成AIを使ってよいかは、大学ごとに要項で決まっています。使用を認めない大学、使った箇所を示せば認める大学、何も書いていない大学があります。2027年度入試(2027年4月入学)の要項に生成AIの扱いを書いている23校を、要項の言葉のまま下の表に並べました。後半では、書類の中身が面接で問われる理由、使ってよい範囲、指示文の例、AI添削の限界、自分の言葉で書き上げる手順を順に見ていきます。

志望理由書に生成AIを使ってよいか:大学の要項の決まり(23校の表)

この節の答え生成AIの扱いは大学・方式ごとの要項で決まり、この記事で集めた23校のうち10校は、使用を認めないか本人の作成と認めません。

志望理由書と生成AI この記事の要点
要項に記載がある大学
23校
2027年度入試の要項に生成AIの扱いの記載がある
使用を認めない・本人作成と認めない
10校
愛知淑徳・京都・上智・慶應など
使用を認める(条件つきを含む)
5校
うち3校は使い方の明記・下線・出典の明記を求める
面接での評価
総合型選抜の原則
実施要項の第3の1(2)。本人が書く資料と面接で評価する
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と、各大学の2027年度入試の要項による(下の表に出典)

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の本文には、生成AIについての定めはありません。そのかわり、記入事項や提出書類の真正性の確保について1、募集要項などで受験生に知らせるよう大学に求めています(第13の6(1)①)。

生成AIの扱いは、大学・学部・方式ごとの要項に書かれています。

下の表は、このサイトで扱っている大学の2027年度入試の要項から、生成AIの扱いを書いた23校を集めたものです。扱いの言葉で5つに分けました。

同じ大学でも学部や方式で決まりが違うことがあるので、表の「大学・方式」の欄まで見てください。

扱い大学・方式要項の書き方(抜粋)出典
使用を認めない愛知淑徳大学 総合型選抜(志望理由書・課題レポート・自己アピール書など)「生成AIによって作成されたものを受験者独自の成果物とはみなしません。よって、生成AIに関する指示がない限り、入学者選抜において受験者が生成AIを使用することは認めません」要項
使用を認めない青山学院大学 自己推薦(文学部英米文学科など)「出願者自身で考えた文章で提出してください。人工知能等での自動生成や他者による作成を禁じます」要項
使用を認めない京都大学 特色入試(学びの報告書・学びの設計書など)「志願者以外の者(生成AIツールを含む)により作成された文章等を利用することは認めません」要項
使用を認めない立命館大学 AO選抜入学試験「作成にあたって、生成AI等を用いることは認めません。生成AIを用いて作成した内容を本人が作成したものとして提出した場合、不正行為とみなすことがあります」要項
使用を認めない横浜国立大学 教育学部 総合型選抜(自己推薦書)「指導者及び生成AI等が作成した文章の一部又は全部を使用することを禁じます」要項
使用を認めない日本女子大学 総合型選抜(文学部日本文学科の研究計画書)「文章の作成に生成AIを使用することは禁止します」。それ以外の目的で使う場合は、生成AIの名称・使用の目的・使用箇所を明記する要項
本人の作成と認めない慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 AO入試補助的ツールとして使うことはかまわないが、志望理由・入学後の学習計画・自己アピール・任意提出資料は「生成AIによって生成されたものを受験生独自の成果物とはみなしません」要項
本人の作成と認めない上智大学 推薦入学試験(公募制・学校推薦型選抜)「出願書類の作成において生成AIが出力した文章は、志願者本人が作成したものとしては認められません」要項
本人の作成と認めない明治学院大学 自己推薦AO入学試験「生成AIによって生成されたものをそのまま使用することは、受験生独自の成果物とはみなしません」要項
本人の作成と認めない学習院大学 国際社会科学部 AO(志望理由書・大学4年間の計画表)「生成AIによって生成されたものを受験生独自の成果物とは一切みなしません。生成AIを使用して作成したものであることが判明した場合は、不正行為とみなして受験は認めません」要項
不正行為になりうる九州大学 総合型選抜Ⅰ(志望理由書など)「志願者以外の者(生成系AIツールを含む)により作成したことが認められる場合や剽窃等があった場合は,不正行為とみなし,入学試験の結果を取り消すことがあります」要項
不正行為になりうる早稲田大学 社会科学部 全国自己推薦入学試験「生成AIを使用してこれらの書類を作成し、自分で書いたものとして提出した場合、不正行為とみなされる可能性や、選考上の評価に影響を及ぼす可能性があります」要項
不正行為になりうる東京農業大学 総合型選抜(全学部)「原則生成AIにより生成された文章等をそのまま使用することは認めておりません。内容によっては不正行為にあたる場合があります」要項
自分で考えて作る麗澤大学 総合型選抜アドミッション・ポリシーを読み「自らの言葉で十分に考えた上で作成し、提出してください。生成AI等により作成された文章等をそのまま転記することは認めません」要項
自分で考えて作る東北大学 AO入試Ⅱ期「出願書類は,入学者選抜方針(アドミッション・ポリシー)を参照し,自身で考えて作成してください」。評価では生成AIの利用の有無が評価結果に影響を与えないようにする要項
自分で考えて作る千葉大学 医学部 学校推薦型選抜(千葉県地域枠)生成AIの利用に関する留意事項として「出願書類は、入学者受入れの方針等を参照し、自身で考えて作成してください」要項の一覧
自分で考えて作る神奈川工科大学 総合型選抜・学校推薦型選抜志望理由書は「自らの責任において十分に考えたものを提出してください。自分の考えをもって、自分の意見を言えることを面接で確認します」要項
自分で考えて作る帝京平成大学(学部の入学者選抜)「生成AIの利用については提出書類の内容に関する責任は志願者本人にあります」要項
認める(条件つきを含む)筑波大学 アドミッションセンター入試(自己推薦書)生成AIを用いて作成した文書には、下線を引いてその箇所を示すよう求めている要項
認める(条件つきを含む)武蔵大学 社会学部 総合型選抜(ゼミ力重視方式・メディア・クリエーション方式)使用可。ゼミ力重視方式は「将来計画書の全文を生成AIの出力のみで作成することは認められません」。どちらの方式も、使った場合は使い方を明記し、使ったこと自体での加点・減点はしない要項
認める(条件つきを含む)産業能率大学(2027年度入学者選抜の自己記述書・レポートなど)「生成AIによって生成された情報の出典を明記することなく用いることは認めません」要項
認める(条件つきを含む)近畿大学 情報学部 総合型選抜「各出願書類作成における一連の過程で、生成AIの活用を認めます」要項
認める(条件つきを含む)専修大学 ネットワーク情報学部 総合型選抜「生成AIの利用や他者の助言を受けることは禁止しませんが、受験者本人が主体的に作成するようにしてください。面接で確認することがあります」要項

表の23校を扱いで数えると、使用を認めない大学が6校、生成AIの文章を本人の作成と認めない大学が4校です。不正行為になりうると書く大学が3校、自分で考えて作るよう求める大学が5校、使用を認める大学(条件つきを含む)が5校でした。

使用を認めない6校のうち、作成への使用そのものを認めないと書くのは愛知淑徳大学と立命館大学です。青山学院・京都・横浜国立・日本女子の4校は、生成AIなどが作った文章を使うことを禁じる書き方です。

志望理由書など出願書類の生成AIの扱い(要項に記載がある23校の内訳)
使用を認めない・本人の作成と認めない10校
不正行為になりうると明記3校
自分で考えて作る・そのまま使わない5校
使用を認める(条件つきを含む)5校
1校を1つの区分に入れた。学習院大学と立命館大学は、不正行為の扱いも要項に書いている。帝京平成大学は、生成AIを使った場合の内容の責任を本人に置く書き方。このサイトで扱う大学の要項から集めたもので、全国の大学の割合ではない

この内訳は、全国の大学の割合を示すものではありません。このサイトが要項を読んでいる大学のうち、生成AIの記載を見つけた大学を並べたもので、ほかの大学や方式に記載がないという意味でもありません。

同じ大学でも、書類や方式で決まりが変わる

日本女子大学の文学部日本文学科は、研究計画書の文章を生成AIで作ることを禁じています。一方で、それ以外の目的で使う場合は、参考文献のあとに生成AIの名称・使用の目的・使用箇所を書くよう求めています。

立命館大学も、AO選抜入学試験は作成への使用を認めていません。一方、UNITE Program対象の方式は、自分一人で書くよう求めています。

そのうえで、生成AIを使った場合は使い方を出願システムに入力するよう定めています。

書類ではなく試験当日の課題で、使用を認める例もあります。関西大学の総合情報学部(情報リテラシー評価型)は、当日の発表用資料の作成に、WEBアプリや生成AIを使ってもよいとしています。志望理由書の決まりとは別に読みます。

総合型選抜と学校推薦型選抜で決まりは違うか

表には、上智大学の公募制推薦や千葉大学医学部の地域枠のように、学校推薦型選抜の例も入れています。九州大学は、学校推薦型選抜の要項にも同じ趣旨の定めを置いています。

志願者以外の者(生成系AIツールを含む)が作った書類を、不正行為とする定めです。入試区分の名前より、その方式の要項の「出願書類」の注意書きを読むのが近道です。

要項に生成AIの記載が見当たらない大学もあります。書いていないことは、使ってよいという意味とは限りません。

記載がある大学でも、東北大学は利用の有無で評価を変えないとしつつ、出願書類は自身で考えて作成するよう求めています。判断がつかない時は、大学の入試の窓口に問い合わせます。

AIで書いた志望理由書はバレるのか(面接・口頭試問で中身を問われる)

この節の答え判定の道具の精度は断定できませんが、総合型選抜は書類と面接を組み合わせる入試で、提出書類の内容を面接で問う大学があります。

AIが書いた文章かどうかを判定する道具の精度は、この記事では確かめていません。この記事で読んだ23校の生成AIの記載にも、判定の道具を使うという言葉はありませんでした。

武蔵大学社会学部の注意書きは、出願書類の作成に生成AIが使われたか否かについて書いています。確実に判別する手段はないとし24、受験生の誠実さを信頼すると述べています。

それでも、AIに書かせた志望理由書には弱点があります。判定の道具ではなく、総合型選抜という入試の仕組みそのものに理由があります。

総合型選抜について、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は定義を置いています。詳細な書類審査と、時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる入試と定めています1(第3の1(2))。

志願者本人が記載する資料を評価に使い、面接(ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含む)による評価を行うとしています。学校推薦型選抜にも面接による評価の定めがあります(第3の1(3))。

ただし、非公募型で合格したら入学することを確約して受ける方式1は、大学の実情に応じて面接の要否を判断できます。

下の表は、実施要項の定めと、提出書類の内容を面接で問うと要項に書く大学の例です。

資料・大学面接と提出書類の関係(要項の書き方)出典
文部科学省 令和9年度大学入学者選抜実施要項(第3の1(2))総合型選抜は、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる入試。志願者本人が記載する資料を評価に使い、面接(口頭試問等を含む)による評価を行う実施要項
北海道大学 フロンティア入試(総合型選抜)面接は「出願書類を参考として、意欲、目的意識、実行力、適性等を問う」要項
筑波大学 アドミッションセンター入試面接・口述試験は、主に出願時に提出された自己推薦書等の内容と、学群・学類に必要な学習適応性について個別に30分程度要項
横浜国立大学 教育学部 総合型選抜第2次選抜で「提出書類の内容を基に、複数の面接員による個人面接を行います」要項
成城大学 総合型選抜個別面接(20分程度)は、小論文の内容説明と「提出書類の内容に関する質疑応答」要項
神奈川工科大学 総合型選抜・学校推薦型選抜志望理由書について「自分の考えをもって、自分の意見を言えることを面接で確認します」要項

面接では、志望理由書に書いた一文について、なぜそう考えたのか、いつ何をしたのかを聞かれることがあります。自分で考えていない文は、答えの根拠を自分の経験から出せません。

書類と本人の話のずれは、面接で表に出やすくなります。これは道具の判定ではなく、書類と面接を組み合わせる選抜の仕組みによるものです。

要項に書かれた、生成AIの文章が判明した時の扱い

判明した時の扱いを要項に書く大学もあります。学習院大学の国際社会科学部は、生成AIで作成したと判明した場合は不正行為とみなして受験を認めないとしています12。

九州大学の総合型選抜Ⅰは、志願者以外の者が作成したと認められた場合について書いています。その場合は不正行為とみなし、入学試験の結果を取り消すことがあるとしています13。

早稲田大学の社会科学部は、不正行為とみなされる可能性に加えて、選考上の評価に影響を及ぼす可能性も挙げています。不正行為とは別に、選考上の評価への影響にも触れた書き方です。

決まりを知ったうえで、自分の言葉で書くことがいちばんの備えになります。

先輩の志望理由書のコピペや、経験を盛る・嘘を書くこと

この節の答え先輩の書類を写すことは他者の作成や剽窃に、経験を偽ることは虚偽の記載にあたりうると要項にあり、書類の中身は面接で問われます。

先輩の志望理由書を写すことや、経験を盛る・嘘を書くことも、生成AIと同じく、要項の決まりと面接の仕組みから考えます。

先輩や知人の志望理由書の文を写して出すことは、要項の言葉では「他者による作成」や「剽窃」にあたりえます。青山学院大学の自己推薦の要項は、人工知能等での自動生成と並べて、他者による作成を禁じています。

九州大学の総合型選抜Ⅰは、志願者以外の者が作成したものや、剽窃等を行ったものを提出することを、不正行為の一つに挙げています。合格した人の書類は、構成の参考に読むことはあっても、文や段落を自分の書類に使うものではありません。

書いた中身が事実かどうかにも決まりがあります。文部科学省の実施要項は、受験者による不正行為の防止として、記入事項や提出書類等の真正性の確保を募集要項等で知らせるよう大学に求めています(第13の6(1)①)。

北海道大学のフロンティア入試の要項は、出願書類等に虚偽の記載が発見された場合は、入学許可を取り消すことがあるとしています。愛知淑徳大学は、出願書類への故意の虚偽の記入を不正行為に挙げています。

前の節のとおり、提出書類の内容をもとに面接を行うと要項に書く大学があります。「いつ」「誰と」「その時どう考えたか」を聞かれた時、実際より大きく書いた所や、していない経験には、答えの材料がありません。

どこまでが書き方の工夫で、どこからが事実を変えることかを、この記事の目安として表にしました。

書き方例(創作)この記事の目安
書く経験を選び、順番を決める三つの活動のうち、志望学部につながる一つを詳しく書く書き方の工夫
実際にしたことを、具体的な言葉にする「がんばった」を「練習の記録を毎回取り、次の練習で直した」と書く(したことに限る)書き方の工夫
役職・成績・回数を変える副部長を部長と書く。校内の発表を県の大会と書く事実を変える。要項の「虚偽の記載」にあたりうる
していない経験や、他の人の経験を書く参加していない活動を、自分の経験として書く事実を変える
他の人の文を写す先輩の志望理由書の段落を使う他者の作成や剽窃にあたりうる

経験が小さいと感じる時は、大きく見せるより、そこで何を考え、どう動いたかを詳しく書く方が、面接で説明できる書類になります。材料の見つけ方は志望理由書で夢がない・きっかけがない時の書き方と活動報告書に書くことがない時の対処法で説明しています。

使ってよい範囲と使ってはいけない範囲の線引き

この節の答えまず要項の決まりに従い、使用を認める大学でも、提出書類にAIの言葉が残る使い方はしないのがこの記事の目安です。

線を引く順番は2段です。1段目は、志望校の要項の決まりです。2段目は、要項が使用を認めている場合でも、提出する文章を自分の言葉で書くことです。2段目はこの記事の目安で、理由は後で説明します。

要項の書き方は大学によって幅があります。愛知淑徳大学や立命館大学のように、書類の作成に生成AIを用いること自体を認めない書き方では、構成の相談や誤字の指摘に使うことも控えます。

上智大学や慶應義塾大学のように、生成AIの文章を本人の作成と認めない書き方では、AIの文章が書類に残るかどうかが分かれ目になります。

志望理由書での生成AIの使い方と、提出書類にAIの言葉が残るか(この記事の目安)
使い方提出書類にAIの言葉が残るか使用を認めない・本人作成と認めない大学使用を認める大学(条件つきを含む)この記事の目安
本文の全部をAIに書かせる残る使えない武蔵大学社会学部のゼミ力重視方式は、将来計画書の全文を出力だけで作ることを認めない使わない
書き出しや締めの一文など、本文の一部を書かせる残る使えない。横浜国立大学教育学部は一部の使用も禁じる使った箇所の下線(筑波大学)や使い方の明記(武蔵大学)が要る使わない
AIが出した言い換えの文を取り入れる残るAIの文章の一部にあたるおそれがある明記の対象になりうる取り入れない。言い換えが必要な理由だけ受け取る
段落の順番や構成の案を相談する残らない(並べ方の案だけ)作成への使用自体を認めない大学(愛知淑徳大学・立命館大学)では控える使い方の明記を求める大学がある案は参考にとどめ、順番は自分で決める
誤字・表記の指摘を受ける残らない(直す言葉を自分で選べば)作成への使用自体を認めない大学(愛知淑徳大学・立命館大学)では控える使い方の明記を求める大学がある指摘の場所だけ聞き、直す言葉は自分で選ぶ
面接で聞かれそうな質問を挙げさせる残らない書類の作成そのものではない。対象になるかは大学による書類の作成そのものではない答えは自分で考え、声に出して練習する
大学の扱いは、上の表の各大学の2027年度入試の要項による。「この記事の目安」は東京修学館の考え方で、大学の決まりではない

要項が認めていても、本文の生成をすすめない理由

要項が使用を認める大学でも、本文をAIに書かせることは、この記事の目安では有利になりません。理由は3つあります。

1つ目は、AIがあなたの経験を知らないことです。志望理由書で読まれるのは、ほかの人には書けない経験と考えのつながりです。AIが書く文章は、入力した情報の範囲を超えられません。

2つ目は、面接で一文ずつ理由を問われることがあることです。前の節のとおり、提出書類の内容をもとに面接を行うと要項に書く大学があります。自分で選んでいない言葉は、聞かれた時に説明しにくくなります。

3つ目は、使ったこと自体が評価を上げるわけではないことです。武蔵大学社会学部は、使用したこと自体による加点・減点は行わないとしています。

東北大学も、利用の有無が評価結果に影響を与えないようにすると書いています。評価されるのは、書かれた中身と、それを説明する本人の力です。

使った時は、何に使ったかを記録しておく

使用を認める5校のうち、武蔵大学は使い方の明記、筑波大学は使った箇所への下線、産業能率大学は出典の明記を求めています。日本女子大学も、文章の作成以外に使う場合は名称・目的・使用箇所の明記を求めています。

使うなら、日付・使った道具・入力した内容・出力を手元に残しておくと、明記を求められた時に困りません。

学校向けの資料にも、同じ考え方があります。文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」は、学校の課題の工夫の例を挙げています(p.20)。

生成AIツールの名称、入力したプロンプトや出力、日付などを明記させる方法です。これは教職員向けに学校現場での使い方をまとめた資料で、大学入試の決まりではありません。

同じ資料は、レポートや小論文などに生成物をほぼそのまま自分の成果物として出すことを、不適切と考えられる例に挙げています(p.18)。

害の少ない使い方と指示文の例(構成の相談・誤字の確認・反論の想定)

この節の答えAIには文章を書かせず、構成の相談、誤字の場所の指摘、面接の質問の想定、考えを引き出す質問役に使います。

ここからは、要項が使用を認めている大学か、生成AIの記載がなく大学に問い合わせて扱いが分かった場合の使い方です。愛知淑徳大学や立命館大学のように、作成への使用自体を認めない大学では、ここの使い方も控えます。

どの使い方も、AIに文章を書かせないことを共通の決まりにしています。

下の指示文は、使い方を示すための例として作ったものです。題材は、地元の干潟で見た生き物の減少から環境系の学科を考える高校生を想定しています。

構成の相談:文章は書かせず、並べ方の理由だけ聞く

指示文の例(構成の相談)

(例)次のメモは、私が志望理由書のために集めた材料です。文章は書かないでください。読み手に伝わりやすい段落の順番を2案だけ、理由と一緒に挙げてください。メモ:干潟で3年間観察した貝の種類が減った/学校の探究で水質を測った/大学で沿岸の生態系の保全を学びたい

出てきた案のどちらを選ぶか、または自分で別の順番にするかは自分で決めます。順番の理由を自分の言葉で説明できるかが、面接の準備にもなります。

誤字・表記の確認:場所だけ聞き、直す言葉は自分で選ぶ

指示文の例(誤字・表記の確認)

(例)次の文章の誤字・脱字と、です・ます調とだ・である調が混ざっている所を、段落と文の番号で指摘してください。直した文は出さないでください。

直した文を出させないのは、AIの言い回しが書類に入るのを防ぐためです。誤字や表記の決まりそのものは志望理由書のルールにまとめています。

反論と質問の想定:面接の準備に使う

指示文の例(反論と質問の想定)

(例)次の志望理由書を読んだ大学の教員が、面接で聞きそうな質問を8つ挙げてください。そのうち2つは、私の考えへの反論になる質問にしてください。答えは書かないでください。

質問に対する答えは自分で考え、声に出して話してみます。答えに詰まった所は、書類の中身が自分の中で固まっていない所です。面接の質問の型は大学入試の面接でよく聞かれる質問、口頭試問は口頭試問とはの記事にまとめています。

考えを引き出す質問役:答えるのは自分

指示文の例(質問役)

(例)私が環境系の学科を志望する理由を深めたいです。私に質問を1つずつしてください。私が答えたら、その答えを掘り下げる次の質問をしてください。あなたの意見や文章の案は出さないでください。

答えを書き留めたメモは、自分の言葉の材料になります。志望のきっかけが思いつかない時の考え方は、志望理由書で夢がない・きっかけがない時の書き方の記事も参考になります。

入力しない方がよい情報

横浜国立大学の入学者選抜要項には、生成AIの利用についての注意があります。入力した情報は、AIの学習に利用されたり、意図せず漏洩したりする恐れがある30という内容です。

下書きを入力する前に、そのサービスが入力をどう扱うかの説明を読みます。氏名・住所・高校名など、個人が分かる情報は入れずに使います。

AI添削の限界(大学の情報とアドミッション・ポリシーとの照合は自分で)

この節の答えAIの出力には誤りが混ざることがあり、授業名や受入れの方針、自分の経験の事実は公式の資料と自分で照らし合わせます。

生成AIの出力には、誤りが混ざることがあります。上で挙げた文部科学省のガイドライン(学校向け)は、誤った出力(ハルシネーション)を防ぎきるのは極めて難しい2としています(p.5)。

横浜国立大学の注意事項も、出力には出典が明らかでない情報や、虚構、偏った主張が含まれる危険性があるとしています。

産業能率大学は、生成AIの情報を参照する場合は、自らの責任において真偽や出典を確かめるよう求めています。AIの添削で文章が読みやすくなっても、中身が正しいかは別の問題です。

志望理由書の中身ごとに、照らし合わせる公式の資料を決めておきます。

志望理由書に書く内容と、照らし合わせる公式の資料
志望理由書に書く内容AIの添削で起きうること照らし合わせる資料
志望校の授業・ゼミ・カリキュラム実在しない授業名や、前の年度の情報が混ざる大学の公式サイトとシラバス
学部・学科が求める学生像大学全体の方針と、学科の方針が混ざる志望する学科のアドミッション・ポリシー
字数・様式・設問指定と違う字数や構成をすすめる出願する年度の募集要項
自分の経験(時期・役割・結果)言い換えの途中で、事実と違う表現になる調査書・活動報告書・自分の記録
生成AIの扱い一般論で使ってよいと答える志望校の要項の出願書類の注意書き
この記事の整理。AIの添削で起きうることは例で、いつも起きるという意味ではない

なかでも、アドミッション・ポリシーとの照合は自分で行う作業です。受入れの方針は学部・学科ごとに書かれていて、大学全体の方針とは言葉が違うことがあります。

方針の読み方と志望理由書への生かし方はアドミッション・ポリシーとはの記事にまとめています。

AIは、あなたがその学科を選んだ理由が本当かどうかを判断できません。人に読んでもらうと、書いた経験が調査書の記載と合っているかも見てもらえます。

頼む相手や頼み方は志望理由書の添削を先生に頼む方法の記事を参考にしてください。

自分の言葉で志望理由書を書き上げる手順

この節の答え要項を読む、材料を集める、方針と照らす、自分で下書きする、添削を受ける、声に出して説明するの6つの手順で仕上げます。

AIに頼らずに書き上げる流れを、6つの手順にまとめました。構成や字数配分のくわしい説明は志望理由書の書き方の記事にあります。

自分の言葉で志望理由書を書き上げる6つの手順
1
要項を読む
設問・字数・様式と、生成AIの扱いの注意書きを書き出す
2
材料を集める
きっかけ・高校での経験・大学で学びたいことを、短いメモで書き出す
3
方針と照らす
志望学科のアドミッション・ポリシーの言葉と、自分の材料をつなぐ
4
自分で下書きする
段落の順番を決め、自分の言葉で最後まで書く
5
読み直しと添削
人に読んでもらい、指摘の理由を聞いて自分で書き直す
6
声に出して説明する
一文ごとに、なぜそう書いたかを口で言えるか見直す
この記事の目安

例文を読む場合も、AIの出力と同じく、文をそのまま使わないことが前提です。例文の使い方は志望理由書の例文の記事にあります。

志望理由書を出願までに仕上げる時期の目安
出願の3か月前
要項を読み、生成AIの扱いと設問を書き出す
記載がなければ、この時期に大学の入試の窓口に問い合わせる
出願の2か月前
材料のメモと、自分で書いた下書きの1稿目
AIを使う場合は、要項の範囲で質問役や構成の相談にとどめる
出願の1か月半前
人の添削と書き直し
直す言葉は自分で選び、直す前の稿も残す
出願の1か月前
清書と、様式・字数の最終確認
使い方の明記や下線を求める大学では、その書き方も合わせる
出願の後
面接の準備
書いた内容を自分の言葉で説明する練習をする
この記事の目安。出願期間は大学・方式で違うので、志望校の要項の日付から逆算する

書式の決まり(です・ます調、改行、修正の仕方)は志望理由書のルール、指定校推薦の校内選考と出願の流れは指定校推薦とはの記事で説明しています。

生成AIと志望理由書 提出前の確認
志望校の要項で、出願書類の生成AIの扱いの注意書きを読んだ
要項に記載がない場合は、大学の入試の窓口に扱いを問い合わせた
生成AIが出力した文を、一文も書類に写していない
使った場合は、要項が求める明記・下線・出典をそろえた
書いた授業名・制度・学びの内容を、大学の公式の資料と照らし合わせた
志望学科のアドミッション・ポリシーの言葉と、自分の経験がつながっている
調査書や活動報告書と、時期・役割・結果が食い違っていない
一文ごとに、なぜそう書いたかを声に出して説明できる

よくある質問

Q. AIで書いた志望理由書は、大学にバレますか?
A. 判定の道具の精度は、この記事では確かめていないので断定しません。武蔵大学社会学部は、生成AIが使われたかを確実に判別する手段はないと書いています。ただ、総合型選抜は書類審査と面接を組み合わせる入試で、提出書類の内容をもとに面接を行うと要項に書く大学があります。自分で考えていない文は、面接で理由を聞かれた時に説明しにくく、書類と本人の話のずれが表に出やすくなります。
Q. 志望理由書がAIチェッカーで判定されることはありますか?
A. 大学が判定の道具を使っているかは、この記事で読んだ要項の生成AIの記載には書かれていませんでした。判定されるかどうかに関係なく、生成AIの文章を本人の作成と認めない大学や、判明した場合に不正行為とする大学があります。決まりは要項に書かれているので、道具の判定より先に要項を読みます。
Q. 要項に生成AIのことが書いていない大学なら、使ってもいいですか?
A. 書いていないことは、使ってよいという意味とは限りません。実施要項は、提出書類の真正性の確保を募集要項などで周知するよう大学に求めています。扱いが分からない時は大学の入試の窓口に問い合わせ、使うとしても本文は自分の言葉で書くのがこの記事の目安です。
Q. 総合型選抜と指定校推薦で、生成AIの決まりは違いますか?
A. 決まりは入試区分ではなく、大学・方式ごとの要項で決まります。上智大学の公募制推薦や九州大学の学校推薦型選抜のように、学校推薦型選抜の要項にも定めがある例があります。指定校推薦の志望理由書も出願書類の一つなので、その方式の要項や、高校から渡される案内の注意書きを読みます。
Q. AIに添削してもらい、直した文を使ってもいいですか?
A. AIが出した文を取り入れると、生成AIの文章の一部にあたるおそれがあります。横浜国立大学の教育学部は、指導者や生成AI等が作成した文章の一部の使用も禁じています。AIに聞くなら、誤字の場所や分かりにくい所の指摘だけにして、直す言葉は自分で選びます。
Q. 生成AIを使ったことは、書類に書く必要がありますか?
A. 使用を認める5校のうち、武蔵大学社会学部は使い方の明記、筑波大学のアドミッションセンター入試は使った箇所への下線、産業能率大学は出典の明記を求めています。日本女子大学の文学部日本文学科も、文章の作成以外に使う場合は名称・目的・使用箇所の明記を求めています。求められた形で書けるように、使った日付・道具・入力・出力を記録しておきます。

まとめ

志望理由書に生成AIを使ってよいかは、大学・方式ごとの要項で決まります。この記事で集めた23校のうち10校は、使用を認めないか、生成AIの文章を本人の作成と認めません。

使用を認める大学でも、使い方の明記や下線などを求める例があります。総合型選抜は書類と面接を組み合わせる入試なので、自分の言葉で書いて説明できることが土台になります。

東京修学館では、家近亮子学長が、志望校の要項の読み方と、自分の経験から志望理由を組み立てる準備を無料相談(60分)でお手伝いしています。

学長に無料で相談する

この記事で分からなかったところを、家近亮子学長があなたの志望校と今の状況に当てはめて整理します。60分・初回無料、入塾は任意です。

関連記事

参考資料

この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。

  1. 令和9年度大学入学者選抜実施要項文部科学省・2026-05-27・PDF
  2. 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)文部科学省 初等中等教育局・2024-12-26・PDF
  3. 2027年度 入学試験要項(大学理念・違いを共に生きる入試、活動実績入試、学科・専攻適性入試)愛知淑徳大学・PDF
  4. 2027年度 自己推薦入学者選抜要項(文学部英米文学科)青山学院大学・PDF
  5. 令和9年度京都大学特色入試学生募集要項京都大学・PDF
  6. 2027年度(総合型選抜)AO選抜入学試験 入学試験要項立命館大学・PDF
  7. 2027年度 総合型選抜 学生募集要項(教育学部)横浜国立大学・PDF
  8. 2027年度 総合型選抜 募集要項日本女子大学・PDF
  9. 総合政策学部・環境情報学部 2026夏秋AO入試 募集要項慶應義塾大学・PDF
  10. 2027年度 入学試験要項 推薦入学試験(公募制)上智大学・PDF
  11. 2027年度【総合型選抜】自己推薦AO入学試験要項明治学院大学・PDF
  12. 令和9(2027)年度 総合型選抜(AO)募集要項(国際社会科学部)学習院大学・PDF
  13. 令和9(2027)年度 九州大学 総合型選抜Ⅰ 学生募集要項九州大学・PDF
  14. 令和9(2027)年度 九州大学 学校推薦型選抜 学生募集要項九州大学・PDF
  15. 社会科学部 2027年度 全国自己推薦入学試験 入学試験要項早稲田大学・PDF
  16. 2027年度 総合型選抜 全学部 募集要項東京農業大学・PDF
  17. 2027年度 総合型選抜要項(全学部共通型・学部特色型・課外活動型)麗澤大学・PDF
  18. 令和9年度(2027年度) AO入試(総合型選抜)II期 学生募集要項及び出願書類東北大学・PDF
  19. 学生募集要項(特別選抜)令和9年度 総合型選抜・学校推薦型選抜 学生募集要項の一覧千葉大学
  20. 2027年度 募集要項(総合型選抜・学校推薦型選抜)神奈川工科大学
  21. 2027年度 入学者選抜要項(学部)帝京平成大学・PDF
  22. 令和9年度 アドミッションセンター入試 自己推薦書(自己推薦書の提出について)筑波大学・PDF
  23. 令和9年度 アドミッションセンター入試 学生募集要項筑波大学・PDF
  24. 総合型選抜入学試験 生成AIの使用に関する注意(社会学部)武蔵大学・PDF
  25. 2027年度入学者選抜における生成AIの取扱いについて産業能率大学
  26. 令和9年度(2027年度)総合型選抜入学試験要項近畿大学・PDF
  27. 2027(令和9)年度 総合型選抜入学試験要項(ネットワーク情報学部)専修大学・PDF
  28. 2027年度 アドミッション・オフィス入学試験(AO入試)入学試験要項関西大学
  29. 令和9(2027)年度 学生募集要項 フロンティア入試(総合型選抜)北海道大学・PDF
  30. 令和9年度(2027年度)入学者選抜要項横浜国立大学・PDF
  31. 2027年度 総合型選抜学生募集要項成城大学・PDF
  32. 2027年度(総合型選抜)AO選抜入学試験(UNITE Program®対象)入学試験要項立命館大学・PDF
この記事の更新履歴
  • 公開
  • 公開
  • 本文を書き直し
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました