口頭試問とは|大学入試で聞かれること・わからない時の答え方・面接との違い・質問例18問【学長監修】

大学入試の口頭試問とは 受験の知識

口頭試問は、総合型選抜や学校推薦型選抜で、試験官の質問にその場で口頭で答える試験です。この記事では、面接や小論文との違い、主な型、当日の流れ、分野別の質問例と答え方を整理します。あわせて、練習の方法、答えられない時の対応、口頭試問がある大学・方式の例、持ち物と服装、よくある失敗も取り上げます。大学・方式の内容は各大学の2027年度入試の要項に基づき、東京修学館の家近亮子学長の監修でまとめました。

口頭試問とは(大学入試での意味)

この節の答え口頭試問は試験官の質問にその場で口頭で答える試験で、文部科学省の実施要項では面接の一つの形に位置づけられています。

口頭試問は、試験官の質問に、受験生がその場で口頭で答える試験です。大学入試では、主に総合型選抜と学校推薦型選抜の中で行われます。

筆記試験が紙に書いた答えを見るのに対して、口頭試問は答えに至る考え方を対話で確かめます。「口述試験」と呼ぶ大学もあります。

口頭試問 ひと目で分かる要点
制度上の位置づけ
面接の一つの形
文部科学省の実施要項
主な型
5つ
教科の基礎・課題・書類・発表・外国語
答え方の型
結論→理由→具体例
最初の一文で答える
調べる場所
募集要項
「選抜方法」「選考方法」の欄

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、総合型選抜と学校推薦型選抜で、面接による評価を行うよう求めています。ただし、指定校推薦など、入学を確約して受験する非公募型は、大学が面接の要否を判断できます。

面接で評価するのは、志望する学問分野への意欲や適性です1。その面接の例として、ディベート、集団討論、プレゼンテーションと並んで口頭試問が挙げられています。

口頭試問は、制度の上では面接の一つの形です1。

実施するかどうかと内容は、大学・学部・方式によって違います。大学院入試や卒業論文の審査、小学校受験でも「口頭試問」という言葉が使われますが、この記事で扱うのは大学入試の口頭試問です。

総合型選抜の全体像は総合型選抜とはで説明しています。

出典

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)の「第3 入試方法」の1(2)②・(3)①(面接による評価)と、「第13 その他注意事項」の3(1)(口頭試問の内容の公表)。文部科学省「入学者選抜実施要項」で公開されています。

口頭試問の読み方と、似た言葉との違い

口頭試問は「こうとうしもん」と読みます。「口頭」は口で述べること、「試問」は問いを出して力を試すことで、合わせて「口で答える形の試験」という意味になります。似た言葉や、書き間違えやすい言葉を整理しておきます。

言葉読み意味・入試での使われ方
口頭試問こうとうしもん試験官の質問に、その場で口頭で答える試験。大学入試の要項で使われる名前
口述試験こうじゅつしけん口頭試問とほぼ同じ意味。筑波大学のAC入試や大正大学の要項に、この名前がある
口頭試験こうとうしけん口で答える試験を広く指す言い方。意味は口頭試問とほぼ同じ
口頭質問こうとうしつもん試験の名前ではなく、口で質問するという一般の言い方
口頭審問・口頭尋問こうとうしんもん・こうとうじんもん「審問」「尋問」は裁判などの手続きで使われる言葉で、入試の口頭試問とは別のもの
口答試問・口頭試門・口頭指紋(書き間違い)書き間違いや変換の誤りで出やすい表記。試験の名前は「口頭試問」

大学によっては、要項に「口頭試問」と単独で書かず、「面接(口頭試問を含む)」「口頭試問による面接」のように、面接の一部として示すこともあります。書かれ方の違いは、次の節で整理します。

口頭試問と面接の違い

この節の答え一般的な面接は志望動機や人物を見て、口頭試問は基礎学力と筋道を立てて考える力を見ますが、実際の入試では両者が混ざることもあります。

一般的な面接は、志望動機や高校での活動を通して、人物と意欲を見る場です。口頭試問は、学力と考える力を問う場です。

項目口頭試問一般的な面接
主に見られること基礎学力、志望分野の理解、筋道を立てて考える力志望動機、人物、意欲、大学との相性
質問の中心教科や専門分野の内容、課題や資料への考え、書類に書いた内容の根拠志望理由、高校での活動、入学後の計画、将来像
答えの性質正解や妥当な範囲がある質問が含まれる人によって答えが違う
重視されること答えに至る過程と、説明の筋道内容の一貫性と、自分の言葉で話すこと
準備の中心教科の基礎と志望分野の学習、声に出して説明する練習自己分析、志望理由の整理、模擬面接

ただし、実際の入試では二つがはっきり分かれていないこともあります。募集要項での書かれ方には、次のような幅があります。

要項での書かれ方どんな試験か(目安)例
口頭試問単独の試験として行う京都大学 特色入試(農学部食品生物科学科など)、大阪大学 基礎工学部
面接(口頭試問を含む)面接の中で、学問的な質問も行う一橋大学 学校推薦型選抜、関西大学 AO入試 法学部
口頭試問による面接面接の時間を使って口頭試問を行う名古屋大学 工学部・医学部保健学科
プレゼンテーションと口頭試問発表のあとに、質疑の形で行う九州大学 次世代研究者発掘入試Ⅰ、南山大学 総合政策学科

要項に「面接」とだけ書かれている場合でも、志望分野についての質問が出ることを想定しておくと安心です。人物や志望動機を中心に聞かれる面接の準備は、総合型選抜の面接対策で説明しています。

同じ質問でも、面接と口頭試問では掘り下げ方が違う

面接と口頭試問の違いは、質問の中身だけでなく、答えたあとの掘り下げ方にも表れます。次の表は、志望理由を聞かれたあとのやり取りを、一般的な面接と口頭試問で比べたものです。

質問と答えは説明のために作った例で、特定の大学で出題されたものではありません。

やり取り一般的な面接での続き口頭試問での続き
最初の質問「経済学部を志望した理由を教えてください」「経済学部を志望した理由を教えてください」
受験生の答え「地元の商店街で空き店舗が増えた理由を学びたいからです」(同じ答え)
次の質問「そう考えたきっかけは何ですか」「空き店舗が増える理由を、原因を二つに分けて説明してください」
さらに次の質問「入学後は、どんなことに取り組みたいですか」「家賃を下げれば店は戻りますか。戻らないとしたら、何が足りないと考えますか」
見られていること経験と志望理由がつながっているか、入学後の計画があるか学びたいことを、学問の知識と筋道を立てた言葉で説明できるか

面接では、答えの中身が自分の経験や考えとつながっているかが問われます。口頭試問では、同じ答えを入り口にして、知識や考えの筋道を確かめる質問が重ねられます。

志望理由を話す時に使った言葉は、口頭試問ではそのまま次の質問の題材になると考えて準備しておきます。

人物や意欲を見る面接の受け答えと、入室から退室までの作法は、総合型選抜の面接対策にまとめています。この記事では、学力と考える筋道を問われる場面に絞って説明します。

口頭試問と小論文・プレゼンテーション・集団討論の違い

この節の答え口頭試問は質問をその場で知って口頭で答える試験で、考えの筋道、基礎の理解、追加の質問への応じ方が見られます。

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、考える力と、考えたことを表現する力を多角的に評価するよう求めています。そのために、小論文、面接、口頭試問、ディベート、集団討論、プレゼンテーションなどを活用することが望ましいとしています。

同じ箇所では、これらの試験が教科・科目の知識を問うだけのものにならないよう1求めています。

口頭試問が教科の内容を扱う場合でも、見られるのは知識の量より、考えの筋道だと言えます。総合型選抜で使われるほかの試験と比べると、違いは次のとおりです。

口頭試問とほかの試験の違い
試験答える形事前に準備できる範囲主に見られる力
口頭試問試験官の質問に、その場で口頭で答える範囲は分かっても、質問はその場で知る考えの筋道、基礎の理解、追加の質問への応じ方
一般的な面接志望理由や活動について口頭で答える聞かれることの多くは予想できる人物、意欲、書類との一貫性
小論文時間内に文章で答えるテーマは当日に知る。書き直しができる論理の組み立て、文章で表す力
プレゼンテーション準備した内容を発表する発表の中身は事前に用意できる構成する力、伝える力
集団討論複数の受験生で議論するテーマは当日に知る他人の意見を受けて考える力、議論を進める力
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第6の3(小論文・面接・実技検査等の活用)をもとに、各試験の一般的な特徴を整理。中身は大学・方式によって違う

実際の入試では、これらが組み合わされることが多くあります。小論文のあとにその内容を問う方式、発表のあとに質疑を行う方式、集団討論と口頭試問を両方課す方式などです。

プレゼンテーションのあとの質疑は、口頭試問とほぼ同じ準備で対応できます。小論文の準備は小論文の書き方で説明しています。

口頭試問で見られていること

この節の答え基礎学力、志望分野への関心、筋道を立てて考える力、対話する力、書類との一貫性という観点で見られます。

口頭試問で見られるのは、知識の量だけではありません。大阪大学の要項は、何よりも重視したいのは「自分の頭で考える習慣」を持っているかどうかだと述べています。

成蹊大学の理工学部の要項は、面接は「減点法ではありません」としています。

観点見られる内容準備で意識すること
基礎学力高校で学んだ内容を理解しているか用語や公式を、理由と一緒に説明できるようにする
志望分野への関心学びたい分野について、自分で調べて考えているか入門書や大学の公開情報を読み、疑問を言葉にする
筋道を立てて考える力結論と理由がつながっているか結論→理由→具体例の順で話す
対話する力質問の意図をくみ取り、追加の質問に応じられるか質問役を立てた練習を重ねる
書類との一貫性提出した書類の内容を、自分の言葉で説明できるか書類を読み返し、「なぜ」への答えを用意する

口頭試問の主な形式(5つの型)

この節の答え教科の基礎、課題・小論文、提出書類、発表のあとの質疑、外国語の5つの型があり、どれに近いかで準備の重点が決まります。

口頭試問の中身は、大学・学部によって大きく違います。各大学の要項の書き方をもとに整理すると、次の5つの型に分けられます。一つの試験に複数の型が混ざることもあります。

型内容要項に書かれている例
教科の基礎を問う型数学、理科、英語など、高校で学ぶ教科の理解を口頭で問う筑波大学の推薦入試(情報科学類・情報メディア創成学類)は、個別面接に数学の口頭試問を含む。同志社大学の推薦選抜入学試験(理工学部)は、数学、理科、英語について試問する
課題・小論文をもとに問う型当日書いた小論文や、与えられた課題の内容について質問する筑波大学の推薦入試(社会学類)は、個別面接に小論文の内容に関する設問や口頭試問を含む
提出書類を掘り下げる型志望理由書や活動報告書に書いた内容の根拠や背景を質問する関西大学のAO入試(社会学部)は、提出書類についての口頭試問
発表のあとに問う型研究や活動の発表を行い、その内容について質問を受ける大阪大学の理学部(研究奨励型)は、ポスターを使って10分間発表した後に質疑応答がある
外国語を使う型日本語に加えて、英語などで質問と応答を行う学習院大学の国際社会科学部は、英語と日本語で口頭試問を行う

1人ずつ行う方式のほかに、南山大学の講義体験型(日本文化学科)のように、グループで行う口頭試問もあります。近畿大学の情報学部は、プレゼンテーションと口頭試問をオンラインで行います。

どの型に近いかが分かれば、準備の重点が決まります。教科の基礎を問う型なら教科の復習、書類を掘り下げる型なら書類の読み返しが中心です。学部の系統ごとの傾向は、次の記事で整理しています。

口頭試問当日の流れ(入室から退室まで)

この節の答え控室で待ち、入室・着席、最初のやり取り、試問、退室の順に進み、個別に15分から30分程度で行う方式が目立ちます。

進め方は大学ごとに違いますが、個別に行う口頭試問は、おおよそ次の順に進みます。下の図は一般的な流れで、特定の大学の手順ではありません。

個別の口頭試問の一般的な流れ
1
控室で待つ
呼ばれるまで静かに待つ。提出した書類や、直前の試験の答案の要点を思い出しておく
2
入室・着席
ノックして入室し、試験官の指示を受けてから座る
3
最初のやり取り
受験番号や名前の確認、志望理由などの短い質問から始まることがある
4
試問
教科・課題・書類などについて答える。答えにはさらに質問が重ねられることがある
5
退室
お礼を述べて退室する。終わった試験のことは引きずらず、次の試験に切り替える

時間と人数の例

時間や人数が要項などに書かれている例を挙げます。個別に15分から30分程度で行う方式が目立ちますが、グループで行う方式やオンラインの方式もあります。

大学・方式時間・人数・形
東京農業大学 総合型選抜 全学部口頭試問(面接)は個別方式で15分程度。大学の入試Q&Aによると、試験官2〜3名と受験生1名で行う
武蔵野大学 総合型選抜Ⅰ期(面接型)面接・口頭試問は20分程度で、原則として個人面接
筑波大学 AC入試第2次選考の面接・口述試験は、個別に30分程度
國學院大學 公募制自己推薦(AO型)子ども支援学科面接試験および口頭試問で約20分
南山大学 総合型入試(講義体験型)日本文化学科はグループで30分、理工学部の2学科は個人で15分
近畿大学 総合型選抜(情報学部)、武蔵野大学 総合型選抜Ⅲ期(通信教育部 データサイエンス学科)オンラインで行う

試験官の人数は、要項に書かれていないこともあります。複数の試験官から順に質問される場面を想定して練習しておくと、当日に慌てずに済みます。

当日に文章や資料を渡される形

当日に文章や資料を渡され、読んでから質問に答える形もあります。武蔵野大学の総合型選抜Ⅰ期は、学科ごとに口頭試問の内容を公表しています。

日本文学文化学科は現代文か古文を音読して質問に答え、法律学科は英語の文章を音読して和訳します。ウェルビーイング学科は、図表などの資料の内容について質問されます。

國學院大學の子ども支援学科は、大学が用意した絵本3冊から1冊を選んで2黙読し、その絵本について質問を受けます。こうした形では、初めて読む文章の要点を短い時間でつかむ力も試されます。

読んだ文章の要点を一文で言う練習をしておくと役立ちます。

口頭試問の進み方と質問の例

この節の答え質問を最後まで聞いて結論から答え、「なぜそう考えますか」などと重ねられる追加の質問に一段深く答えます。

形式は大学ごとに違いますが、一つの質問をめぐるやり取りは、おおよそ次のように進みます。

口頭試問の進み方(一つの質問をめぐるやり取り)
1
質問を受ける
最後まで聞く。意味が取れない時は聞き返す
2
考えをまとめる
すぐに答えが出ない時は、考える時間をもらう
3
結論から答える
最初の一文で答えを言い、理由と具体例を続ける
4
追加の質問に答える
理由、具体例、反対の立場、条件を変えた場合などを聞かれる
5
補足や訂正をする
誤りに気づいたら、その場で訂正する

最初の答えに対して、「なぜそう考えますか」「逆の意見の人にはどう説明しますか」と質問が重ねられることがあります。答えを一段深く用意しておくと、落ち着いて対応できます。

質問の例

次の表は、練習に使える一般的な質問の例です。特定の大学で出題されたものではありません。

問われる内容質問の例答える時の要点
教科の基礎「三平方の定理が成り立つ理由を説明してください」「酸と塩基の違いを、例を挙げて説明してください」定義、理由、具体例の順に話す
志望分野の知識「関心のある社会の問題を一つ挙げ、原因を説明してください」知っている事実と、自分の考えを分けて話す
課題・小論文「先ほどの小論文の主張に、反対の立場からはどんな批判が考えられますか」自分の主張を言い直し、反論を認めたうえで答える
提出書類「志望理由書に書いたこの言葉を、どういう意味で使いましたか」書類の内容と矛盾しないように、根拠になった経験や資料を示す
発表のあと「この結果から、ほかにどんな説明が考えられますか」目的、方法、結果、残った課題に分けて答える
外国語「志望理由を英語で説明してください」短い文で区切って話す

分野別の質問例(練習用18問)

この節の答え文学・語学から農・生命・環境まで、分野ごとに練習用の質問と答える時の手がかりを一覧にしています。

次の表は、学部の分野ごとに、練習に使える質問の例をまとめたものです。どれも東京修学館が練習用に作った例で、特定の大学で出題されたものではありません。志望分野の例から順に、声に出して答えてみてください。

分野質問の例(練習用)答える時の手がかり
文学・語学「最近読んだ本で、考えが変わった一冊を挙げ、何が変わったかを説明してください」本の要点と、自分の考えの変化を分けて話す
文学・語学「この短い文章を音読し、筆者が一番伝えたいことを一文で言ってください」結論を一文で言い、根拠になる箇所を示す
文学・語学「翻訳では伝わりにくい言葉の例を一つ挙げてください」具体的な語を挙げ、伝わりにくい理由を説明する
法・政治「ルールを守ることと、自由に行動することは、どう両立できますか」両方の価値を認め、線を引く基準を示す
法・政治「18歳で選挙権を持つことの意味を、あなたの考えで説明してください」制度の事実と自分の意見を分ける
経済・経営「物の値段が上がる理由を、需要と供給の言葉を使って説明してください」用語の意味を先に言い、身近な例で示す
経済・経営「地元の商店街に人を呼び戻すには、何から始めますか」現状、原因、打ち手の順に話す
社会・国際「SNSが人々の意見の分かれ方に与える影響を説明してください」良い面と悪い面の両方に触れる
社会・国際「外国から来た人が暮らしやすい町にするには、何が必要ですか」誰の、どんな困りごとかを具体的にする
教育・心理「子どもが自分から学ぶようになるには、大人はどう関わればよいですか」自分の経験と、本などで知った考えを分けて話す
教育・心理「覚えたことを忘れにくくする勉強の仕方を、理由と一緒に説明してください」方法だけでなく、効く理由を添える
理学・数学「2次関数のグラフの頂点の求め方を、式を書きながら説明してください」手順に加えて、なぜそうなるかを話す
理学・数学「物体を真上に投げ上げた時、最高点での速さと加速度はどうなりますか」速さと加速度の定義に戻って考える
工学・情報「身の回りの製品を一つ選び、改善したい点と方法を説明してください」誰にとって何が困るかから始める
工学・情報「同じ処理を何度も行うプログラムは、どう書きますか。理由も説明してください」書き方と、その書き方を選ぶ理由を分ける
医療・看護・薬「医療で患者の意思を尊重するとは、どういうことだと考えますか」患者、家族、医療者の見方の違いに触れる
医療・看護・薬「DNAの情報からたんぱく質ができるまでの流れを説明してください」段階ごとに区切って話す
農・生命・環境「食べ物の無駄を減らすには、生産から消費までのどこで何ができますか」段階を分け、その中の一つを深める

数学や理科の質問では、紙やホワイトボードに式や図を書きながら説明する場面も考えられます。書きながら話す練習と、何も書かずに言葉だけで説明する練習の両方をしておくと、どちらの形にも対応できます。

自分の志望分野の質問を作る時は、志望理由書に書いた言葉を一つ選びます。その言葉について「それは何か」「なぜそうなるのか」「ほかの場合はどうか」の三つの問いを立てると、口頭試問に近い質問ができます。

書類の書き方は志望理由書の書き方で説明しています。

答え方の型(結論→理由→具体例)

この節の答え最初の一文で結論を言い、理由を一つか二つに絞り、具体例で支え、必要なら当てはまらない場合を一言添えます。

口頭試問の答えは、結論、理由、具体例の順で組み立てると伝わりやすくなります。前置きから話し始めると、答えが何なのかが相手に伝わりません。

口頭試問の答え方の型(結論→理由→具体例)
1
結論
質問への答えを、最初の一文で言う
2
理由
そう考える根拠を、一つか二つに絞って述べる
3
具体例
教科書の内容、資料の数字、自分の経験などで支える
4
補足
条件や例外、確かでない点があれば、最後に添える

回答の例(練習用の質問)

質問:円安が進むと、輸出をする企業にはどのような影響がありますか。

結論:輸出をする企業には、売上の面で有利に働くと考えます。
理由:外国の通貨で受け取った代金を円に換える時に、受け取る円の額が増えるからです。
具体例:1ドルの商品を売った場合、1ドル100円なら100円ですが、1ドル150円なら150円を受け取れます。
補足:ただし、原材料を輸入している企業は費用も増えます。影響は企業によって違うと考えます。

書類を掘り下げる質問への答え方

提出書類についての質問では、書類の言葉を繰り返すだけでは答えになりません。その言葉で自分が何を指しているのかを、具体的に示します。

伝わりにくい答えの例

質問:志望理由書に「地域の課題を解決したい」とあります。具体的にはどんな課題ですか。

答え:地域にはさまざまな課題があると思います。少子高齢化や過疎化など多くの問題があり、どれも大切だと感じています。

伝わる答えの例

答え:私が指しているのは、路線バスの減便で、高校生の通学手段が限られていることです。私の町でも朝の便が減り、部活動を続けられなくなった友人がいました。この経験から、地域の交通を支える仕組みを学びたいと考えました。

  • 知っている事実と、自分の推測を分けて話す。「ここからは私の考えです」と区別する
  • 暗記した文章を読み上げない。質問の言葉を受けて、自分の言葉で答える

答えに「限界」を一言添える

結論、理由、具体例の三つに慣れたら、四つ目に「限界」を添えると、答えに厚みが出ます。限界とは、自分の考えが当てはまらない場合や、まだ確かでない点のことです。上の回答の例の「補足」が、これに当たります。

要素役割言い方の例
結論問いへの答えを先に示す「〇〇だと考えます」
理由(根拠)そう考えるわけを示す「理由は〇〇だからです」
具体例理由を事実や経験で支える「たとえば〇〇の場合です」
限界当てはまらない場合や、確かでない点を認める「ただし、〇〇の場合は違う可能性があります」

限界を自分から言っておくと、試験官からの反論を先に受け止められます。ただし、限界ばかり話すと結論がぼやけます。添えるのは一言で十分です。

答えに「限界」を一言添える

結論、理由、具体例の三つに慣れたら、四つ目に「限界」を添えると、答えに厚みが出ます。限界とは、自分の考えが当てはまらない場合や、まだ確かめていない点のことです。上の回答の例の「補足」が、これに当たります。

要素役割言い方の例
結論問いへの答えを先に示す「〇〇だと考えます」
理由(根拠)そう考えるわけを示す「理由は〇〇だからです」
具体例理由を事実や経験で支える「たとえば〇〇の場合です」
限界当てはまらない場合や、確かめていない点を認める「ただし、〇〇の場合は違う可能性があります」

限界を自分から言っておくと、試験官からの反論を先に受け止められます。ただし、限界ばかり話すと結論がぼやけます。添えるのは一言で十分です。

口頭試問の準備の進め方

この節の答え形式の確認、知識の整理、声に出す練習の三つを、高3の春から夏に要項で型を調べるところから進めます。

準備は、形式の確認、知識の整理、声に出す練習の三つです。大阪大学のように、第1次選考の発表から第2次選考までの期間が短い大学もあります。出願前から始めておくと余裕が持てます。

口頭試問の準備の進め方(時期ごと)
高校2年生まで
授業の内容を理由まで理解する
定義や公式を、なぜそうなるかまで説明できるようにする。志望分野の入門書を読み始める
高校3年生の春から夏
形式を調べ、説明の練習を始める
募集要項で口頭試問の有無と型を読み取る。大学が公表している過去の問題や出題の意図を調べる
出願書類を書く時期
説明できることだけを書く
書類に使う言葉の意味と、主張の根拠を整理しておく
出願のあと
想定質問で練習する
結論→理由→具体例で答える。先生などに質問役を頼み、追加の質問を重ねてもらう
試験の直前
書類の写しを読み返す
録音や録画で、話し方と答えの長さを見直す

文部科学省の実施要項は、小論文のテーマや口頭試問の内容についても、大学が積極的に公表することが望ましい1としています。志望大学のサイトに過去の問題や出題の意図が載っていないか、早めに調べてください。

型ごとの準備

型準備の中心
教科の基礎を問う型教科書の定義、公式、定理を、何も見ずに説明する。白紙に図や式を書きながら話す
課題・小論文をもとに問う型小論文を書いたら、自分の主張への反論と、それに対する答えを考える
提出書類を掘り下げる型書類の一文ごとに「なぜ」「たとえば」と自分に問い、答えをメモにする
発表のあとに問う型発表を時間内に収める。目的、方法、結果、残った課題を説明できるようにする
外国語を使う型志望理由と関心のあるテーマを、短い文で外国語でも話せるようにする

書類の内容が口頭試問の土台になります。書き方は志望理由書の書き方、小論文をもとに質問される方式の準備は小論文の書き方が参考になります。

口頭試問の練習方法(一人で・人と・録音で)

この節の答え白紙説明や問いカードを一人で行い、家族や先生に追加の質問を重ねてもらい、録音で結論の位置と長さを見直します。

口頭試問の力は、頭の中で考えるだけでは伸びにくく、声に出した回数で身につきます。練習は、一人でできるもの、人に頼むもの、記録して見直すものを組み合わせます。次の表は一般的な練習の方法です。

練習やり方ねらい
一人で:白紙説明用語や公式を一つ選び、何も見ずに白紙に書きながら説明する理解があいまいな所が分かる
一人で:音読と要約新聞の社説や教科書の一節を音読し、要点を一文で言う当日に文章を渡される形に備える
一人で:問いカード志望理由書の一文ごとに「なぜ」「たとえば」の問いをカードに書き、引いて答える予想していない質問に慣れる
家族・友人と質問役を頼み、答えのあとに「どうして」と重ねて聞いてもらう追加の質問への応じ方を練習する
学校の先生と志望分野に近い教科の先生に、教科の基礎について質問してもらう内容の誤りを直してもらえる
本番の形で入室から退室まで、時間を計って通しで行う時間の感覚と、緊張した時の話し方をつかむ

録音・録画で見直す

練習は、スマートフォンで録音か録画をしておくと、あとから見直せます。聞き返す時は、次の点を確認します。

録音を聞き返す時の確認リスト
最初の一文で結論を言えている
「えーと」などのつなぎの言葉が続いていない
一つの答えが、自分で決めた時間に収まっている
知っている事実と自分の意見を分けて話している
質問の言葉を受けて答え始めている
語尾まではっきり聞き取れる

練習を重ねると、同じ質問に同じ言葉で答えるようになりがちです。暗記した文章を読み上げる話し方にならないよう、言い方を毎回少し変えてみてください。人物や志望動機を聞かれる面接の練習は総合型選抜の面接対策で説明しています。

答えられない時の対応

この節の答え聞き返す、考える時間をもらう、分かる範囲と分からない範囲を分ける、誤りはその場で訂正するなどで対応します。

口頭試問では、すぐに答えられない質問が出ることがあります。分からない時の受け答えは、考える姿勢を伝える機会にもなります。

状況対応言い方の例
質問の意味が分からない聞き返す「〇〇という意味でしょうか」
考える時間がほしい時間をもらう「少し考える時間をいただけますか」
一部だけ分かる分かる範囲と分からない範囲を分けて答える「〇〇までは説明できます。その先は確かではありませんが、△△だと考えます」
まったく分からない分からないと認め、考える手がかりを話す「正確には分かりません。関連する〇〇から考えると、△△ではないかと思います」
答えたあとで誤りに気づいたその場で訂正する「先ほどの答えを訂正させてください」

避けたいのは、黙り込むこと、知っているふりをすること、質問と関係のない話で時間を埋めることです。試験官からヒントが示された時は、それを手がかりに考え直します。

わからない時の答え方の例

上の表の言い方を、実際のやり取りに当てはめた例です。質問と答えは練習用に作った例で、特定の大学で出題されたものではありません。

場面質問の例答え方の例
言葉の意味を知らない「限界費用という言葉を説明してください」「正確な定義は覚えていません。言葉から考えると、生産の量を一つ増やした時に増える費用のことではないかと思います」
途中までしか分からない「空が青く見えるのはなぜですか」「太陽の光が空気の分子に当たって散らばり、青い光のほうが散らばりやすいためだと習いました。なぜ青い光のほうが散らばりやすいのかまでは、まだ説明できません」
考えがまとまらない「AIが広がると、人に残る仕事は何だと考えますか」「少し考える時間をいただけますか。(考えたあとで)まとまり切ってはいませんが、相手の気持ちをくみ取って判断する仕事は残ると考えます。同じ言葉でも、相手によって受け取り方が違うからです」
誤りを指摘された「その計算だと、単位が合っていませんね」「ご指摘ありがとうございます。速さに時間をかけたので、答えの単位は距離になるはずでした。答えを訂正させてください」

どの例も、分からない部分を隠さず、分かる部分から筋道を話しています。考える時間をもらったあとは、答えが全部まとまるのを待たずに、まとまった所から話し始めます。

黙っている時間が長いと、何を考えているのかが試験官に伝わりません。

分からない質問は、準備の中で減らすこともできます。練習で詰まった質問を書き留め、教科書や資料で調べ直してから、もう一度声に出して答えておくと、本番で似た質問が出た時に落ち着いて向き合えます。

口頭試問がある大学・方式の例(2027年度入試)

この節の答え国公立・私立で口頭試問を含む方式を一覧にしており、時間が書かれている方式の多くは10分から30分です。

東京修学館のサイトで大学別に整理している記事から、口頭試問が選考に含まれる方式を抜き出しました。出典は、各大学の2027年度(令和9年度)入試の募集要項・入学試験要項です。

大学名を押すと、要項の名前と選考の全体を載せた記事が開きます。

国公立大学

大学方式口頭試問に関する内容
東京大学学校推薦型選抜第1次選考の合格者に、学部ごとに面接、口頭試問、小論文、プレゼンテーションなどを行う
京都大学特色入試教育学部は課題(小論文)と口頭試問。理学部の数理科学入試は数学の能力測定考査と口頭試問。医学部医学科は口頭試問と面接。工学部情報学科、農学部食品生物科学科は口頭試問
一橋大学学校推薦型選抜第2次試験は小論文と個別面接(口頭試問を含む)
東北大学AO入試II期・III期(理学部)II期の面接は、数学系・物理系・化学系・地球科学系で口頭試問を含む。III期の面接は、化学系・地球科学系で口頭試問を含む
筑波大学推薦入試社会学類は、個別面接に小論文の内容に関する設問や口頭試問を含む。情報科学類・情報メディア創成学類は、個別面接に数学の口頭試問を含む
北海道大学フロンティア入試 TypeⅠ面接で、口頭試問などによる基礎学力の判定も行う
名古屋大学学校推薦型選抜、総合型選抜(理学部)法学部は口頭試問を含む面接。医学部保健学科と工学部は口頭試問による面接。理学部化学科は口頭試問を含む個人面接
大阪大学総合型選抜、学校推薦型選抜外国語学部は小論文(120分)と口頭試問。理学部(研究奨励型)は口頭試問(研究成果のプレゼンテーションを含む。1人30分〜1時間程度)。理学部(挑戦型)は小論文と口頭試問。基礎工学部と医学部保健学科の看護学専攻は口頭試問
九州大学次世代研究者発掘入試Ⅰ(工学部・農学部)研究実績にもとづくプレゼンテーション(10分程度)と口頭試問(20分程度)

私立大学

大学方式口頭試問に関する内容
慶應義塾大学法学部 FIT入試 A方式教員の模擬講義(50分)のあとの論述試験(45分)と、口頭試問(約15分)
明治大学自己推薦特別入学試験、グローバル型特別入学試験文学部は小論文と口頭試問。国際日本学部は小論文(60分)と口頭試問(20分)。総合数理学部の現象数理統計学科は数学の学力考査(90分)と口頭試問(20分)。政治経済学部は総合問題と口頭試問
学習院大学総合型選抜(AO)、学校推薦型選抜(公募制)国際社会科学部は筆記試験(英語90分)と口頭試問(英語と日本語、1人10分〜15分)。国際文化交流学部は小論文と口頭試問
成蹊大学総合型選抜(自己推薦型)理工学部面接審査は一人30分程度の口頭試問。高校で学んだ数学・理科の理解度が問われることもある
同志社大学自己推薦入学試験、推薦選抜入学試験自己推薦は神学部、心理学部、社会学部教育文化学科などで口頭試問。推薦選抜は文学部英文学科・美学芸術学科、文化情報学部、理工学部などで口頭試問
関西大学AO入試、公募制推薦入試AO入試の法学部は面接(口頭試問を含む)。社会学部は提出書類についての口頭試問。社会安全学部はプレゼンテーション(5分以内)と口頭試問(10分)。理工系3学部の公募制推薦入試は、面接で教科書レベルの口頭試問
近畿大学総合型選抜法学部(A・B)はグループディスカッションと口頭試問。経済学部(A・B)は小論文(60分)と口頭試問。国際学部は日本語および英語による口頭試問(約15分)。工学部は数学の筆記試験と口頭試問
龍谷大学総合型選抜入試(学部独自方式)心理学部は、エントリーシートと課題論文に基づく個人面接(口頭試問)。社会学部は、エントリーシートを参考にした個人面接(口頭試問)。理工学部はプレゼンテーションと、口頭試問を含む個人面接
南山大学総合型入試総合政策学科はプレゼンテーション(10分)と口頭試問(20分)。講義体験型の口頭試問は、日本文化学科がグループで30分、理工学部の2学科が個人で15分
関西学院大学総合型選抜(探究評価型など)第二次審査は面接・口頭試問、プレゼンテーション、学部により小論文
立命館大学AO選抜入学試験(理工セミナー方式)数理科学科と物理科学科は、数学のセミナーに加えて面接(口頭試問)がある

この表は例で、口頭試問を行う大学・学部はほかにもあります。同じ大学でも、学部や方式によって実施の有無と内容が違います。

慶應義塾大学の法学部は、2028年度入試からA方式とB方式を統合する予定2を公表しています。出願する年度の要項で、選考方法を確かめてください。

口頭試問の時間

上の表で時間が書かれている方式を比べると、多くは10分から30分です。大阪大学の理学部(研究奨励型)は、10分間の発表を含めて1人30分〜1時間程度と長めです2。

発表や筆記試験と組み合わせる方式では、試験全体の時間はこれより長くなります。

口頭試問の時間の例(要項に時間が書かれている方式)
関西大学 社会安全学部(AO入試)
10分
慶應義塾大学 法学部 FIT入試 A方式
15分
近畿大学 国際学部
15分
南山大学 理工学部(講義体験型・個人)
15分
明治大学 国際日本学部
20分
九州大学 次世代研究者発掘入試Ⅰ
20分
南山大学 総合政策学科
20分
成蹊大学 理工学部
30分
南山大学 日本文化学科(グループ)
30分
慶應義塾大学と近畿大学は「約」、九州大学と成蹊大学は「程度」が付く。学習院大学の国際社会科学部は1人10分〜15分、大阪大学の理学部(研究奨励型)は1人30分〜1時間程度で、幅があるためグラフには入れていない。出典:各大学の2027年度入試の要項

学部系統別に見る口頭試問の実例

この節の答え文学・語学系は文章や本を読んで話す形、理工・情報系は数学・理科の基礎を問う形が目立ちます。

上の表に挙げた方式のほかにも、口頭試問を行う大学・方式はあります。東京修学館の大学別の記事から、口頭試問の中身が要項で具体的に書かれている例を、学部の系統ごとに抜き出しました。

出典は各大学の2027年度入試の募集要項・入学試験要項です。

系統大学・方式口頭試問の中身
文学・語学千葉大学 学校推薦型選抜(文学部)国際言語文化学コースの面接は、英語による口頭試問を含む
文学・語学日本大学 総合型選抜(文理学部)英文学科は英語のエッセイと口頭試問
文学・語学大正大学 総合型選抜Ⅰ期 専願(メディア表現学科)ワークショップとして、筆記試験と口述試験をあわせて120分
文学・語学上智大学 公募制推薦(フランス語学科)課題図書について、面接で3分以内の口頭発表を行う。名前は口頭試問ではないが、読んだ内容を口で説明する点は近い
教育・子ども國學院大學 公募制自己推薦(AO型)子ども支援学科面接試験および口頭試問(約20分)。絵本3冊から1冊を選んで黙読し、その絵本について質問を受ける
教育・子ども武蔵野大学 総合型選抜Ⅰ期(教育学科)国語科、数学科、地理歴史科、理科、英語科の教科の基礎的な質問に答える
経済・社会東洋大学 自己推薦入試(経済学科)面接の中で、英語・数学に関する口頭試問を行う
経済・社会日本大学 総合型選抜(経済学部 探究学習評価型)書類の審査のあと口頭試問。探究活動のプロセスや論理的な思考力を口頭試問で評価する
経済・社会横浜国立大学 総合型選抜(都市社会共生学科)自己推薦書と課題作文に基づく面接試験(口頭試問)
理工・情報筑波大学 AC入試面接・口述試験。自己推薦書などの内容と、志願する学群・学類に必要な学習適応性(学習能力、知識、意欲など)について個別に30分程度
理工・情報横浜国立大学 総合型選抜(理工学部の2つのEP)個人面接(口頭試問)。数学、理科などを活用した理工学的な考え方を評価する
理工・情報千葉大学 総合型選抜(理学部 物理学科)書類で第1次選抜を行い、そのあと口頭試問。共通テストは課さない
理工・情報武蔵野大学 総合型選抜Ⅰ期(データサイエンス学科・数理工学科)データサイエンス学科は「情報Ⅰ」または「情報Ⅱ」、数理工学科は数学について基礎的な質問に答える
医療・薬名古屋大学 学校推薦型選抜(医学部医学科)第1次選考で約20人。第2次選考は、和文と英文の課題によるプレゼンテーションと、口頭試問による面接
医療・薬日本大学 総合型選抜(薬学部)書類選考、小論文、口頭試問および面接
農・生命・環境東京農業大学 総合型選抜 全学部書類審査と口頭試問(面接)。事前課題がある入試では、事前課題の内容も含めて質問される
農・生命・環境東洋大学(理系の学科)生命科学科と生物資源学科は化学・生物、生体医工学科は理科、環境イノベーション学科は環境に関する基礎知識と、口頭試問の範囲が書かれている

表に挙げた例を系統ごとに見ると、文学・語学系は文章や本を読んで話す形、理工・情報系は数学・理科などの基礎を問う形が目立ちます。経済・社会系では、探究活動や提出書類の中身を掘り下げる形が見られます。

ただし、これは表の例から見える傾向で、同じ系統でも大学・学科によって違います。

学部ごとの選考の全体は、文学部、教育学部、経済学部、医学部医学科、看護学部の総合型選抜の記事でも整理しています。

当日までに確認しておくこと

この節の答え要項で口頭試問の形式・時間・言語を調べ、提出書類を自分の言葉で説明でき、分からない時の言い方を決めておきます。

口頭試問 当日までの確認リスト
募集要項で、口頭試問の有無、形式、時間、使う言語を調べた
提出した書類の写しを読み返し、書いた内容を自分の言葉で説明できる
志望分野の基本的な用語を、定義と例で説明できる
教科の基礎を問う型なら、教科書の定義や公式を理由と一緒に説明できる
結論→理由→具体例の順で、声に出して答える練習をした
質問役を立てた練習で、追加の質問に答える経験をした
分からない時の言い方を決めている
集合時刻、会場、持ち物を要項で調べた

小論文や筆記試験のあとに口頭試問がある方式では、試験の合間に答案の要点を思い出しておきます。入室から退室までの作法は、面接対策の記事で説明しています。

口頭試問の日の持ち物と服装

この節の答え受験票、筆記用具、通信機能のない腕時計、書類の写しを持ち、服装の指定がなければ高校の制服が無難です。

持ち物と服装は、まず受験票と一緒に届く案内や募集要項を読み、大学の指定に従います。指定がない部分は、次の一般的な目安を参考にしてください。

口頭試問の日の持ち物(一般的な目安)
受験票と、大学から持参を指定された書類
筆記用具と腕時計(通信機能のないもの)
提出した書類の写し(試験前に読み返す用)
昼食と飲み物(試験が長引く場合に備えて)
大学の入試担当の連絡先(交通機関が遅れた時のため)
大学の指定が最優先。試験室に持ち込める物が決められていることもある

試験時間中に持ち込める物が、要項で決められている場合もあります。國學院大學の公募制自己推薦(AO型)では、法学部の政治専攻は指定された文献だけを試験時間中に持ち込めます(電子書籍は不可)。

これは小論文試験の例ですが、口頭試問でも持ち込みの指定がないかを見ておきます。

服装

服装の指定がない場合は、高校の制服で受けるのが無難です。制服がない学校の場合は、落ち着いた色のシャツやジャケットなど、清潔感のある服を選びます。

服装で合否が決まるわけではありませんが、身だしなみを整えておくと、落ち着いて試験に向かえます。これらは一般的な助言で、大学の指定がある時はそれに従ってください。

オンラインで受ける場合

近畿大学の情報学部や、武蔵野大学の通信教育部 データサイエンス学科のように、オンラインで行う方式もあります。オンラインの場合は、前日までに次の点を整えておきます(一般的な目安です)。

  • 大学が指定する方法で、使う機器から接続を試した
  • カメラに顔が明るく映る位置を決めた
  • 家族に試験の時間を伝え、静かな部屋を確保した
  • 通信が切れた時の連絡方法を、要項や案内で調べた

口頭試問でよくある失敗と防ぎ方

この節の答え黙り込む、前置きが長い、暗記を読み上げる、書類と違うことを言うといった失敗は、結論から話す練習と書類の読み返しで防ぎます。

口頭試問で起きやすい失敗には、共通する形があります。次の表は、起きやすい失敗と防ぎ方の一般的な例です。

口頭試問で起きやすい失敗と防ぎ方
失敗起きる理由防ぎ方
頭が真っ白になり黙り込む想定外の質問に、すぐ正解を言おうとする考える時間をもらい、分かる所から話す
前置きが長く、答えが伝わらない考えながら話し始めている最初の一文で結論を言う練習をする
暗記した文章を読み上げる想定した答えを丸ごと覚えている要点だけを覚え、言い方は毎回変える
書類と違うことを言う提出した書類を読み返していない試験前に書類の写しを読み返す
知らないことを知っているように話す分からないと言うのが怖い分かる範囲と分からない範囲を分けて伝える
反論されてすぐに意見を変える反論を「不正解」の合図と受け取る指摘を認めたうえで根拠を示す。考えを改める時は理由を添える
質問とずれた答えをする質問を最後まで聞いていない聞き終えてから話し始める。不安な時は聞き返す

口頭試問で大切なのは、一度も詰まらないことではありません。詰まった時にどう立て直すかも見られていると考えて、立て直しの言い方も練習しておきます。具体的な言い方は、上の「答えられない時の対応」の表を参考にしてください。

口頭試問で落ちる原因になりやすいこと

この節の答え合否は口頭試問だけで決まるとは限らず、評価が伸びにくい答え方は5つの観点に当てはめると、どれも準備の段階で直せます。

「口頭試問で落ちるのはどんな時か」と不安に思うかもしれません。まず、合否は口頭試問だけで決まるとは限りません。

上の大学・方式の例のように、書類審査、小論文、プレゼンテーションなどと組み合わせて行う方式が多くあります。どの試験をどう組み合わせて選考するかは、志望大学の要項の選考方法の欄で読み取れます。

成蹊大学の理工学部の要項は、面接は「減点法ではありません」としています。一度詰まったことだけで評価が決まると考えず、立て直すことに気持ちを向けてください。

そのうえで、評価が伸びにくくなる原因は、上の「口頭試問で見られていること」の5つの観点に当てはめると整理できます。次の表は一般的な目安です。

観点評価が伸びにくい答え方準備でできること
基礎学力用語や公式を覚えていても、なぜそうなるかを説明できない教科書の定義を、理由と例をつけて声に出して説明する
志望分野への関心学びたい分野について、本や資料で調べたことを話せない入門書を1冊読み、印象に残った考えと自分の疑問を言葉にしておく
筋道を立てて考える力結論と理由がつながらない。理由が「大切だから」で止まる「なぜ」を2回重ねて、理由の理由まで答える練習をする
対話する力追加の質問に、最初の答えをくり返すだけになる質問役に、答えのあとで条件を変えた質問を重ねてもらう
書類との一貫性書類に書いた言葉の意味を聞かれて、答えられない書類の一文ごとに、言葉の意味と根拠をメモにしておく

表の答え方は、どれも準備の段階で見つけて直せるものです。練習で詰まった所を書き出し、本番までに一つずつ説明できるようにしておきます。

よくある質問

Q. 口頭試問と面接の違いは何ですか?
A. 一般的な面接は、志望動機や高校での活動を通して人物と意欲を見ます。口頭試問は、教科の基礎や志望分野の内容について質問し、基礎学力と考える筋道を見ます。文部科学省の実施要項では、口頭試問は面接による評価の一つの形に位置づけられています。
Q. 口頭試問では何を聞かれますか?
A. 大学・学部によって違います。高校で学ぶ教科の基礎、当日書いた小論文や課題の内容、志望理由書などの提出書類の内容、研究や活動の発表についての質問などがあります。どの型に近いかは、志望大学の募集要項の選考方法の欄から読み取れます。
Q. 口頭試問で答えが分からない時はどうすればいいですか?
A. まず「少し考える時間をいただけますか」と伝えて考えます。それでも分からない時は、分かる範囲と分からない範囲を分け、分かる部分から考えたことを話します。黙り込んだり、知っているふりをしたりするのは避けます。
Q. 口頭試問の対策はいつから始めればいいですか?
A. 高校3年生の春から夏に、志望大学の募集要項で口頭試問の有無と形式を調べ、声に出して説明する練習を始めるのが目安です。教科の基礎を問う型では、高校2年生までの授業の理解が土台になります。
Q. 口頭試問はどの大学でもありますか?
A. 大学・学部・方式によります。文部科学省の実施要項は、総合型選抜と学校推薦型選抜で面接による評価を行うよう求めています。ただし、指定校推薦など、入学を確約して受験する非公募型は、大学が面接の要否を判断できます。口頭試問は、その面接の例の一つに挙げられています。実施するかどうかと内容は、志望大学の募集要項で確認してください。
Q. 口頭試問の時間はどのくらいですか?
A. 大学・方式によって違います。2027年度入試の要項に時間が書かれている例では、多くが10分から30分です。慶應義塾大学の法学部FIT入試A方式は約15分、明治大学の国際日本学部は20分、成蹊大学の理工学部は一人30分程度です。大阪大学の理学部(研究奨励型)は、10分間の発表を含めて1人30分〜1時間程度です。
Q. 口頭質問と口頭試問は同じものですか?
A. 同じものを指す言い方として使われます。この記事で引用した大学の要項の表記は「口頭試問」で、面接の中で学んだ内容や志望分野の理解を口頭で問う試験を指します。呼び方が違っても、準備の仕方は上の節のとおりです。

まとめ

口頭試問は、試験官の質問にその場で口頭で答え、基礎学力と考える筋道を確かめる試験です。制度の上では面接の一つの形です。

この記事では、教科の基礎、課題や小論文、提出書類、発表、外国語の5つの型に分けて説明しました。志望大学の方式がどの型に近いかを、募集要項の選考方法の欄で調べることが出発点です。

答えは結論、理由、具体例の順で組み立て、分からない時は分かる範囲と分からない範囲を分けて伝えます。東京修学館では、家近亮子学長が、志望理由書の構成づくりと、小論文・面接・口頭試問の練習を無料相談でお手伝いしています。

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参考資料

この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。

  1. 令和9年度大学入学者選抜実施要項文部科学省・2026-05-27・PDF
  2. 各大学の2027年度入試の募集要項・入学試験要項(大学別の記事に出典を記載)東京修学館

リンク先の確認日:2026-11-01

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