小論文は、設問に対する自分の意見を、理由と根拠で支えて書く文章です。この記事では、序論・本論・結論の流れと字数配分、テーマ型小論文の進め方、1,200字の模範例文、常体の語尾、原稿用紙のルール、時間配分に加え、小論文で見られる点、設問の指示の読み分け、接続詞と減点されやすい表現、学部ごとの出題の形まで、東京修学館の家近亮子学長の監修で解説します。
この記事は、大学入試(主に総合型選抜・学校推薦型選抜)の小論文の書き方です。就職試験・公務員試験・大学院入試・社会人の昇進試験などの小論文は、試験ごとに評価の観点や字数が決まっているので、それぞれの案内に従ってください。
段落ごとの文の型(テンプレート)と1,000字の例文は、小論文のテンプレートの節にまとめています。
- 小論文とは?作文との違い
- 小論文で見られる点(評価の観点)
- 出題形式は4種類(テーマ型・課題文型・資料型・ミックス型)
- 設問の指示の読み分け(論じなさい・説明しなさい・述べなさい)
- 3つの部分の役割と配分(要点)
- 序論の役割と3つの要素(要点)
- 本論の書き方:理由と具体例、1,200字の2パターン
- 結論の書き方と例文
- テーマ型小論文の書き方
- 小論文のテンプレート:段落ごとの文の型と1,000字の例文
- 1,200字の組み立てと模範例文
- 600字・800字の骨組み
- 常体(だ・である)で書く:語尾の一覧と例文
- 文の整え方:接続詞・話し言葉・主語と述語のねじれ
- 原稿用紙の使い方
- 試験時間の配分
- 学部・大学で変わる小論文の形(2027年度入試の要項の例)
- よくある失敗と直し方
- 提出前・練習後のチェックリスト
- よくある質問
- まとめ
- 関連記事
- 参考資料
小論文とは?作文との違い
この節の答え小論文は設問への意見を理由と根拠で支える文章で、何を感じたかを書く作文と違い、なぜそう考えるかを書きます。
小論文は、設問で問われたことに対して自分の意見(立場)を示し、その理由と根拠を筋道立てて書く文章です。作文や感想文との違いは、「何を感じたか」ではなく「なぜそう考えるか」「それを支える事実は何か」を書く点にあります。
推薦入試で課される作文の書き方は推薦入試の作文の書き方で説明しています。
| 小論文 | 作文 | |
|---|---|---|
| 書く内容 | 設問への意見と、その理由・根拠 | 体験・感想・心情 |
| 評価されること | 論理の筋道、根拠の妥当性、設問への対応 | 体験と、そこから考えたこと(推薦入試の作文) |
| 文体 | 常体(だ・である)で言い切る | 敬体でも常体でも可 |
| 一人称 | 「私」。多用しない | 「私」が無難 |
| 避けること | 感想だけの文、根拠のない断定 | 感想だけで終わる文、抽象的な言葉だけの説明 |
総合型選抜や学校推薦型選抜では、小論文は「論理的に考えて書けるか」を見る試験です。知識の量より、設問を正しく読み、立場を決め、根拠で支える手順を守れているかが評価されます。
感想文・レポート・論文との違い
小論文と混同されやすい文章は、作文のほかにもあります。書く中身と、小論文との違いを並べると次のとおりです。
| 文章 | 何を書くか | 小論文との違い |
|---|---|---|
| 感想文 | 本や体験から感じたこと、心の動き | 感じたことが中心でよい。小論文は、感じたことより「なぜそう考えるか」を根拠で示す |
| レポート | 調べた事実や資料をまとめ、考察を加える | 時間をかけて調べ、出典を示して書く。入試では出願時に出す課題レポートとして課されることがある |
| 論文 | 研究の問いを立て、調査や実験の結果から結論を導く | 研究の手続きを含む長い文章。小論文は試験時間の中で、手元の知識と経験から書く |
小論文は、この中で最も短い時間で書く「意見の文章」です。調べる時間はないので、設問を読み、立場を決め、知っている事実と経験で支える力が問われます。
小論文で見られる点(評価の観点)
この節の答え文部科学省の実施要項にあるとおり、自分で考えを組み立てる力と、考えた筋道を的確に書き表す力が見られます。
大学が小論文で何を見ようとしているかは、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」に書かれています。小論文や面接を使う目的として、次の二つの能力が挙げられています。
実施要項の記述(第6の3)
入学志願者の「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力1」や「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」を含む能力・適性等を多角的に評価・判定するため、アドミッション・ポリシーに応じ、小論文、面接、(略)等を活用することが望ましい。
つまり、小論文では「自分で考えを組み立てる力」と「考えた筋道を的確に書き表す力」が見られます。同じ箇所で、実施要項は、小論文が教科・科目の知識だけを問う試験にならないよう1大学に求めています。
| 見られる力 | 答案で表れるところ | この記事で扱う節 |
|---|---|---|
| 設問に答える力 | 問われたことに、序論で答えているか。字数や「具体例を挙げて」などの条件を守っているか | 設問の指示の読み分け |
| 考えを組み立てる力 | 立場を一つに決め、理由と具体例で支え、最後まで立場が変わらないか | 基本構成:序論・本論・結論 |
| 的確に書き表す力 | 段落の役割がはっきりし、接続詞が筋道に合い、話し言葉や主語と述語のねじれがないか | 文の整え方 |
| 文章のきまりを守る力 | 常体の統一、原稿用紙の使い方、誤字脱字 | 原稿用紙の使い方 |
実施要項は、試験問題などの公表についての項目(第13の3)1で、小論文のテーマなども積極的に公表することが望ましい1としています。志望校の入試情報のページや要項で、過去の出題を見ておきましょう。
添削を受ける時に伝えたい観点は志望理由書・小論文の添削で整理しています。
出題形式は4種類(テーマ型・課題文型・資料型・ミックス型)
この節の答えどの形式も骨組みは同じですが、序論の前にテーマ型は論点の絞り込み、課題文型は要約、資料型は読み取りが要ります。
| 形式 | 出題のされ方 | 最初にやること |
|---|---|---|
| テーマ型 | 「〇〇について、あなたの考えを述べよ」のように短い設問だけが示される | テーマから論点を一つに絞り、立場を決める |
| 課題文型 | 文章を読み、要約や筆者の主張を踏まえて意見を書く | 筆者の主張を一文で要約してから、賛否と理由を決める |
| 資料型(図表型) | グラフや統計を読み取り、分析と意見を書く | 数値の変化や差を「点」ではなく「傾向」として読み取る |
| ミックス型 | 課題文と資料の両方が示される | 課題文の主張と資料の傾向をつなげて論点にする |
どの形式でも、序論・本論・結論の骨組みは同じです。違うのは序論に入る前の「準備」で、テーマ型は論点を絞る作業、課題文型は要約、資料型は読み取りに時間を使います。
資料型の読み取りの手順と800字の例文は資料読み取り型小論文の書き方にまとめています。志望校の過去問で、どの形式が出るかを先に確認してください。
設問の指示の読み分け(論じなさい・説明しなさい・述べなさい)
この節の答え論じなさいは立場と根拠、説明しなさいは内容や仕組みを書くもので、指示と違う形で書くと設問に答えていない答案になります。
設問の最後の言葉は、答えの形を決める指示です。「論じなさい」と「説明しなさい」では、書くべきものが違います。指示と違う形で書くと、内容がよくても設問に答えていない答案になります。
| 設問の指示 | 書くもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 論じなさい(論ぜよ) | 自分の立場と、それを支える理由・根拠 | 序論・本論・結論で書く。反対意見の検討を入れると論が強くなる |
| あなたの考えを述べなさい | 自分の考え(立場)と、その理由 | 感想ではなく意見を書く。立場を示さずに一般論で終わらせない |
| 説明しなさい | 事柄の内容・仕組み・理由を、読み手に分かるように示す | 賛否や意見は求められていない。意見を書くのは、設問に指示がある時だけ |
| 要約しなさい | 筆者の主張と、それを支える中心の根拠 | 自分の意見や具体例を混ぜない。筆者の言葉の書き写しでなく、まとめ直す |
| 比較しなさい・違いを述べなさい | 二つの事柄の共通点と違い | 観点をそろえて並べる。どちらがよいかは、問われた時だけ書く |
| 〜を踏まえて述べなさい | 課題文や資料の内容と、それに対する自分の考え | 課題文や資料に触れずに書くと、条件を落としたことになる |
試験時間の配分で、設問の確認に5分から10分を取るのはこの作業のためです(試験時間の配分)。課題文型の「要約」と「意見」が別の問いに分かれている時は、要約に自分の意見を入れず、意見の問いで要約を繰り返さないようにします。
課題文型・資料型で構成がどう変わるかは小論文の構成で説明しています。要約の手順と字数別に残すもの、「説明しなさい」の答え方の型は、小論文の要約の書き方の記事に例文つきでまとめています。
3つの部分の役割と配分(要点)
この節の答え序論で立場と論点、本論で理由と具体例、結論で立場の再確認を書き、配分は序論1〜1.5割、本論6〜7割、結論1.5〜2割です。
小論文の基本は、序論で設問への答え(立場)と論点を示し、本論で理由と具体例によって立場を支え、結論で立場を再確認して締める3部構成です。字数の目安は序論1〜1.5割、本論6〜7割、結論1.5〜2割で、配分で最も多い失敗は序論が長くなり本論が薄くなることです。
序論に理由まで書いてしまうと本論で書くことがなくなるので、序論は「立場と論点」だけに絞ります。
起承転結は「転」で話の向きを変える組み立てで物語や随筆に向いており、小論文で使うと立場が揺れているように読まれます。本論に入れる反対意見の検討は、「たしかに〜。
しかし〜」の形で自分の立場に戻って締めます。三段・四段などの型の選び方、字数別の段落の目安、設計図の作り方は小論文の構成で説明しています。
起承転結ではなく、序論・本論・結論で書く
起承転結は、「転」で話の向きを変えて読み手を引きつける組み立てで、物語や随筆に向いています。小論文は、序論で示した立場を最後まで変えずに支える文章です。「転」で話の向きを変えると、立場が揺れているように読まれます。
本論に入れる「反対意見の検討」は「転」に似ていますが、違いがあります。反対意見を取り上げたうえで、自分の立場に戻って締める点です。「たしかに〜。しかし〜」の形で、立場は変えません。
序論の役割と3つの要素(要点)
この節の答え序論は設問の受け止め・立場・論点の予告の3つで全体の1割から1割5分に収め、理由や具体例は本論に回します。
序論の役割は、設問に対する自分の答え(立場)を示し、これから何を論じるかを読み手に伝えることです。要素は、設問の受け止め(1文)、立場(1文)、論点の予告(1文・省略も可)の3つで、全体の1割から1割5分に収めます。
理由や具体例は本論に回します。
「昨今、〜が社会問題になっている」と一般論が続いて立場がどこにもない序論は、最初の一文で立場を示す形に直します。一文目の4つの型、出題形式別の書き出し、序論の例文5パターンは、小論文の書き出しの記事で説明しています。
本論の書き方:理由と具体例、1,200字の2パターン
この節の答え1段落に理由と具体例を一つずつ置き、1,200字では反対意見の検討か問題点と解決策のどちらかの段落を入れます。
本論は、序論で示した立場を「理由」と「具体例」で支える部分です。1段落に理由を一つ、その理由を裏付ける具体例や事実を一つ、という組み立てが基本です。
| 段落 | パターンA「反対意見の検討」を入れる | パターンB「問題点と解決策」を入れる |
|---|---|---|
| 本論1 | 理由1と具体例 | 現状の問題点と、その原因 |
| 本論2 | 理由2と具体例(本論を2段落にする場合は省く) | 解決策と、それが有効だと考える理由 |
| 本論3 | 予想される反対意見と、それでも自分の立場が妥当である理由 | 解決策を実行するうえでの課題と対応(任意) |
1段落の基本形
型
理由(〜だからである)→ 具体例・事実(たとえば〜)→ その具体例が立場を支える説明(このように〜)
1,200字の本論:パターンA「反対意見の検討」を入れる
- 本論1:理由1と具体例
- 本論2:理由2と具体例(本論を2段落にする場合は省く)
- 本論3:予想される反対意見と、それでも自分の立場が妥当である理由
反対意見を自分で取り上げて検討すると、論の説得力が上がります。「たしかに〜という意見もある。しかし〜」の形で、反対意見を認めたうえで乗り越えます。
1,200字の本論:パターンB「問題点と解決策」を入れる
- 本論1:現状の問題点と、その原因
- 本論2:解決策と、それが有効だと考える理由
- 本論3(任意):解決策を実行するうえでの課題と対応
政策や制度を論じるテーマでは、パターンBのほうが書きやすい場合が多いです。原因を分けて書くと、解決策が自然に導けます。
結論の書き方と例文
この節の答え結論では序論の立場を本論を踏まえて同じ言葉で言い直し、新しい理由は足さず「〜と考える」で言い切ります。
結論では、序論で示した立場を、本論の内容を踏まえて言い直します。新しい理由や具体例を足す場所ではありません。
例文|結論(スマートフォン利用のテーマ)
以上のように、学校による一律の制限は、使い方を自分で判断する機会を生徒から奪う。必要なのは制限ではなく、利用のルールを生徒自身が考え、守る経験である。私は、学校はその経験の場をつくることに力を注ぐべきだと考える。
- 「以上のように」「したがって」で本論を受ける
- 立場は序論と同じ言葉で言い直す(途中で立場が変わっていないか確認)
- 「〜と思う」ではなく「〜と考える」「〜べきである」で言い切る
- 最後の一文で、本論の要点を一言で示して終える
テーマ型小論文の書き方
この節の答え連想を広げ、論点を一つに絞り、立場を決め、構成メモを作ってから、メモの順番どおりに書きます。
テーマ型は「〇〇について、あなたの考えを述べなさい」のように短い設問だけが示される形式です。自由度が高い分、論点を絞らずに書き始めると散漫になります。次の手順で、書く前に論点と立場を固めます。
- 連想を広げる:テーマから思いつくことを5分で10個以上書き出す(原因、影響、関係する人、賛否、自分の経験)
- 論点を一つに絞る:書き出した中から、理由と具体例を用意できるものを一つ選ぶ
- 立場を決める:その論点について、賛成・反対・条件付きのどれかを決める
- 構成メモを作る:序論の一文、本論の理由2つと具体例、結論の一文を箇条書きにする
- 書く:メモの順番どおりに書く。書きながら構成を変えない
例|テーマ「働くことの意味」
連想:収入、自己実現、社会とのつながり、やりがい、過労、AIによる仕事の変化、家族を支える、学生のアルバイト経験
論点に絞る:「社会とのつながり」
立場:働くことの意味は収入だけでなく、自分が社会の一部として役割を持つことにある
本論1:アルバイト先で任された仕事を通じて、自分の行動が誰かの役に立つと実感した経験
本論2:定年後も働き続ける人が「人とのつながり」を理由に挙げる調査結果
結論:働くことの意味は、役割を通じて社会とつながることにある
テーマ型で使う材料(志望学部の主題、白書や統計の使い方、ネタ帳の作り方)は、小論文のテーマ一覧とネタの集め方の記事にまとめています。
小論文のテンプレート:段落ごとの文の型と1,000字の例文
この節の答え序論は立場と予告、本論は理由・根拠・具体例・まとめ、結論は振り返りと立場の言い直しを型にし、1,000字なら序論120字、本論700字、結論180字で書きます。
小論文のテンプレートとは、段落ごとに「どの順で、どんな役割の文を書くか」を決めた型のことです。決まった文章を覚えて写すものではありません。
型の文の役割に、設問に合わせた自分の考えと具体例を入れて使います。次の表は、本論の書き方で説明したパターンA(反対意見の検討)の型を、1,200字と1,000字の字数とあわせて並べたものです。
| 段落 | 字数(1,200字/1,000字) | 書く文の型(テンプレート) |
|---|---|---|
| 序論 | 150字/120字 | ①〇〇について、私は△△と考える(〇〇に賛成・反対である)。②(なぜなら)〜からである。③本論では、□□と◇◇の二点を論じる。 |
| 本論1 | 320字/280字 | ①第一に、□□。②〜からである。③たとえば、〜。(経験や事実。数文になってもよい)④このように、〜。(例が立場をどう支えるか) |
| 本論2 | 320字/260字 | ①第二に、◇◇。②〜④は本論1と同じ形。パターンBでは①を「次に、解決策として〜を提案する。」にする |
| 本論3 | 200字/160字 | ①たしかに、〜という意見もある。②しかし、〜。③〜すれば、〜。(立場に戻る)パターンBでは「しかし、この解決策には〜という課題がある。これには〜で対応できる。」 |
| 結論 | 210字/180字 | ①以上のように、〜。(本論の要点を一文ずつ振り返る)②序論の①と同じ言葉で立場を言い直す。 |
どちらの字数でも、本論が全体の7割(1,200字なら840字、1,000字なら700字)、序論が1割強、結論が2割弱になる割合です。1,000字の配分は小論文の構成の字数別の目安と同じで、400字から800字の段落の分け方や、三段・四段などの型の選び方もそちらで説明しています。
テンプレートで1,000字を書く流れ(例)
架空の設問を一つ使い、テンプレートに当てはめて1,000字以内の答案を書くまでの流れを示します。設問と例文の内容(体験を含む)は、説明のために作ったものです。
構成メモ|テンプレートに当てはめた例
設問:学校の清掃は、生徒ではなく専門の業者に任せるべきか。あなたの考えを1,000字以内で論じなさい。
序論(120字):立場=業者に任せることに反対。予告=使う場所を大切にする意識と、分担して仕事を終える力
本論1(280字):理由1=自分たちで掃除をすると、使う場所を大切にする意識が育つ。例=雨の日の床の泥汚れと、靴の泥を落とす決まり
本論2(260字):理由2=分担を決めて時間内に仕事を終える練習になる。例=特別教室の掃除の順番の見直し
本論3(160字):反対意見=業者のほうが短い時間できれいにできる。答え=危険な作業だけを業者に任せる分け方
結論(180字):二つの理由と反対意見への答えを振り返り、序論と同じ言葉で反対と言い直す
例文|1,000字以内(970字)テーマ「学校の清掃は、生徒ではなく専門の業者に任せるべきか」
学校の清掃を生徒ではなく専門の業者に任せることに、私は反対である。自分たちが毎日使う場所を自分たちで整える経験は、業者に任せると得られなくなるからである。本論では、使う場所を大切にする意識と、分担して仕事を終える力の二点を論じる。
第一に、自分たちで掃除をすることで、使う場所を大切にする意識が育つ。汚れを落とす手間を知っている人ほど、汚れを生まない使い方を考えるからである。たとえば、私のクラスでは雨の日に教室の床が泥で汚れ、掃除当番の時間内に拭き終わらない日が続いた。そこで学級会で提案し、廊下で靴の泥を落としてから教室に入る決まりを作った。その後、床の汚れは目に見えて減り、当番の時間内に拭き終わるようになった。掃除を業者に任せていれば、私たちは床の汚れにも、その原因にも気づかなかったはずである。このように、自分たちで掃除をすると、汚れを生む使い方を自分たちで改めるようになる。
第二に、清掃は、分担を決めて時間内に仕事を終える練習になる。清掃には決まった時間と終えるべき範囲があり、班の中で誰が何をするかを決めなければ終わらないからである。たとえば、私の班は特別教室の掃除を担当していた。机を運ぶ人と床を拭く人の順番がかみ合わず、毎回時間が足りなかった。班で話し合い、机を運ぶ人を先に二人決めて、拭く人は運び終わった列から始めるように順番を変えた。すると、時間内に終わるようになった。このように、清掃は、人と分担して一つの仕事を終える力を身につける場になる。
たしかに、専門の業者のほうが、生徒より短い時間で隅々まできれいにできるという意見もある。しかし、学校の清掃の目的は、建物をきれいに保つことだけではない。高い所の窓のように危険のある場所や、専門の道具が要る作業は業者に任せ、日常の清掃は生徒が担うように分ければよい。そうすれば、建物をきれいに保つことと、自分たちで整える経験を両立できる。
以上のように、清掃を業者に任せると、生徒は使う場所を大切にする意識と分担して仕事を終える力を育てる機会を失う。汚れの原因に自分で気づき、班で順番を決め直す経験は、掃除を自分たちで担うからこそ得られる。危険のある作業だけを業者に任せれば、建物をきれいに保つこととも両立できる。学校の清掃を生徒ではなく専門の業者に任せることに、私は反対である。
例文は、各段落を表の①の文から書き始めています。本論1と本論2は「〜からである」で根拠を示した後、「たとえば」で体験を置き、「このように」でまとめています。
本論3は「たしかに」「しかし」で反対意見に答えて立場に戻り、結論は序論の一文目と同じ文で終えています。字数は、序論115字、本論1が277字、本論2が240字、本論3が168字、結論170字の計970字です。
1,200字の指定なら、同じ型のまま、表の1,200字の字数に合わせて本論の各段落に一、二文ずつ足します。足すのは新しい理由ではなく、具体例が立場をどう支えるかの説明です。
この型で書いた1,200字の答案が、次の節の模範例文A・Bです。
テンプレートを使う時の注意点
- 型の文を覚えて、そのまま書き写さない。〇〇や△△には設問の言葉を入れ、理由と具体例は設問ごとに考える。決まり文句を並べただけの答案は、設問に答えていないと受け取られやすい
- 「説明しなさい」「要約しなさい」の設問には、立場を示す型は使わない(設問の指示の読み分け)
- 理由が二つ出ない時は、本論2を反対意見の検討にする。600字・800字では段落を減らす(600字・800字の骨組み)
- 課題文型は序論に筆者の主張の要約を、資料型は本論の最初に資料の読み取りを置く。資料型の手順は資料読み取り型小論文の書き方にまとめている
- 一文目の入り方(立場・問いの言い換え・定義・具体例)は小論文の書き出しで例文つきで説明している
1,200字の組み立てと模範例文
この節の答え1,200字の配分は序論150字、本論1と本論2が各320字、反対意見の検討200字、結論210字が目安です。
1,200字は、本論を2段落から3段落に分けて書く長さです。配分の目安は、序論150字、本論1が320字、本論2が320字、本論3が200字、結論210字です。
以下に、この配分で書いた模範例文(模範解答)を2本、段落ごとの役割の解説つきで示します。例文AはパターンA(反対意見の検討)、例文BはパターンB(問題点と解決策)で書き、例文の内容(体験を含む)は、説明のために作ったものです。
模範例文A|パターンA「反対意見の検討」を入れる(1,185字)
テーマ「高校生のスマートフォン利用を学校が制限すべきか」
高校生のスマートフォン利用を学校が一律に制限することに、私は反対である。制限をすれば校内での問題は一時的に減るかもしれないが、生徒が自分で使い方を判断し、守る力は育たないからである。本論では、一律の制限が問題を校外へ移すだけであることと、自分で決めたルールのほうが守られやすいことの二点を論じる。
第一に、一律の制限はスマートフォンをめぐる問題を解決せず、校外へ移すだけである。問題の多くは、機器そのものではなく使い方の未熟さに原因があるからである。授業中に通知が気になって集中が途切れることも、SNSで友人と行き違いが起きることも、使う側の判断で防げる場面が多い。たとえば、私の通う高校では、校内での使用を原則として禁止している。しかし、友人の多くは校内で使えない分を取り戻すように下校後に長く画面を見てしまい、家での勉強が後回しになると話している。校内では、使う時と使わない時を切り替える練習がほとんどできないからである。つまり、使い方の未熟さは、学校の目が届かない所へ持ち越されたにすぎない。
第二に、利用のルールは、与えられるより自分たちで決めたほうが守られやすい。決めた理由を自分で説明できるルールは、破る前に一度立ち止まるきっかけになるからである。たとえば、私のクラスは文化祭の準備期間に限って例外として校内での使用を認められ、その使い方を話し合って決めた。連絡と調べ物には使ってよいが、作業の手が止まる動画は見ない、という二つの約束である。自分たちで決めた約束だったため、動画を開きかけても、なぜ見ないと決めたかを思い出して手を止める人が多かった。準備の終わりまで約束は崩れなかった。このように、ルールを守る力は、与えられる側ではなく作る側に立つ経験から育つ。学校が一律に禁止すれば、この経験を積む機会そのものがなくなる。
たしかに、制限がなければ授業に集中できない生徒が出るという意見もある。授業中の通知や操作が、本人だけでなく周りの生徒の集中も妨げることは否定できない。しかし、それは校内での使用を一律に禁じなくても、授業中の扱いを決めれば防げる問題である。授業の間は電源を切るか机にしまうという決まりを生徒自身が作り、守れなかった時の対応もあらかじめ決めておけばよい。集中を守ることと、使い方を学ぶ機会を残すことは、両立できる。
以上のように、学校による一律の制限は、使い方を自分で判断する機会を生徒から奪う。制限によって校内の問題は見えにくくなるが、使い方の未熟さは残ったまま、下校後の時間へ持ち越される。また、ルールは与えられるより、自分たちで決めたほうが守られる。授業への集中も、授業中の扱いを生徒が決めることで守れる。必要なのは制限ではなく、利用のルールを生徒自身が考え、守る経験である。私は、学校はその経験の場をつくることに力を注ぐべきだと考える。
| 段落 | 字数 | 役割 | この段落でしていること |
|---|---|---|---|
| 第1段落 序論(148字) | 148字 | 立場と論点の予告 | 一文目で「反対である」と設問に答え、二文目に理由の方向、三文目で本論の二点を予告している。 |
| 第2段落 本論1(300字) | 300字 | 理由1と具体例 | 一文目で予告の一点目を言い切り、二文目の「〜からである」で根拠を示す。「たとえば」の例も、出典を示せない数字は使わず見聞きしたことで書く。 |
| 第3段落 本論2(318字) | 318字 | 理由2と具体例 | 一文目で予告の二点目を言い切り、二文目で根拠を示す。文化祭の体験の後、「このように」で例の意味をまとめる。 |
| 第4段落 本論3(205字) | 205字 | 反対意見の検討 | 「たしかに」で反対意見を認め、その一部が正しいことも書いたうえで、「しかし」で制限以外の対処を示して立場に戻る。 |
| 第5段落 結論(214字) | 214字 | 立場の言い直し | 「以上のように」で受け、本論の三つの段落を一文ずつで振り返る。新しい理由は足さず、序論と同じ立場で締める。 |
模範例文B|パターンB「問題点と解決策」を入れる(1,180字)
テーマ「地方の路線バスの減便にどう対応すべきか」
地方の路線バスの減便は、車を運転できない住民から、通学や通院の手段を奪いつつある。この問題の解決には、バスを減らすか残すかではなく、利用者の数に合わせて移動の手段を組み合わせ直すことが必要である。本論では、減便の原因を整理したうえで、予約に応じて走る乗り合いの車を組み合わせる方法とその課題を論じる。
まず、現状の問題点は、車を運転できない人ほど減便の影響を強く受けることにある。高校生の多くは免許を持たず、運転をやめた高齢者と同じく、家族の送迎に頼るしかなくなる。たとえば、私の住む町では病院の前を通る便が一日数本に減り、通院する祖母は帰りの便を長く待つようになった。このような減便の原因は、利用者の減少と便の削減が互いを強め合う循環にある。乗る人が減れば運賃の収入が減り、バス事業者は便を減らす。便が減れば待ち時間が延び、車を使える人はバスから離れるため、利用者はさらに減る。また、決まった時刻にバスを走らせるには、乗客が少なくても運転手と車両が要る。空に近いバスでも走らせる費用がかかるため、事業者はこの循環から抜け出しにくい。
次に、解決策として、自治体とバス事業者が利用の少ない時間帯と地域を予約に応じて走る乗り合いの車に切り替えることを提案する。乗る人が前もって予約した時だけ走るため、空に近いバスを走らせ続ける費用を抑えられる。また、小型の車両なら大型のバスが入れない細い道にも入れるため、利用者は家の近くで乗り降りできる。停留所まで歩くのが難しい高齢者には、この利点が大きい。一方、通学の時間帯のように乗る人がまとまる便は、路線バスのまま残す。抑えた費用を残した路線バスに回せば、通学の便を減らさずに済む。この方法なら、空に近いバスの費用を抑えて残す便を守れるため、便が減って利用者が離れる循環に歯止めをかけられる。
しかし、この解決策を実行するうえでは、予約の手間という課題がある。スマートフォンでの予約に慣れていない高齢者は、乗るたびに予約するのを負担に感じ、外出を控えるおそれがある。これには、電話での予約を残すことで対応できる。さらに、通院のように曜日と時刻が決まっている外出については、一度登録すれば毎回予約しなくても乗れるようにする。使う人の慣れに合わせて予約の方法を選べるようにすれば、この負担は小さくできる。
以上のように、地方の路線バスの減便は、利用者の減少と便の削減が互いを強め合う循環から起きている。この循環は、便を残すか減らすかを選ぶだけでは断ち切れない。乗る人がまとまる便は路線バスで残し、利用の少ない時間帯と地域は、予約に応じて走る乗り合いの車に切り替えるべきである。そのうえで、予約の方法を使う人に合わせて選べるようにする。この問題の解決には、利用者の数に合わせて移動の手段を組み合わせ直すことが必要であると、私は考える。
| 段落 | 字数 | 役割 | この段落でしていること |
|---|---|---|---|
| 第1段落 序論(150字) | 150字 | 問題の提示と立場 | 一文目で問題が誰に起きているかを示し、二文目で「この問題の解決には〜が必要である」と立場を置く。 |
| 第2段落 本論1(317字) | 316字 | 現状の問題点と原因 | 「まず」で問題点を述べ、町の体験で裏付ける。後半で原因を「循環」と名づけ、減便が利用者を減らす筋道を順に書く。 |
| 第3段落 本論2(298字) | 298字 | 解決策と有効な理由 | 「次に」で解決策を一文で示し、費用と乗り降りの二つの利点を挙げる。最後の一文で、本論1の循環に歯止めをかける策であることを確かめる。 |
| 第4段落 本論3(203字) | 203字 | 課題と対応 | 「しかし」で解決策の弱点を自分から挙げ、電話の予約と事前の登録という対応を示す。読み手が抱きそうな疑問に先に答える役割の段落である。 |
| 第5段落 結論(213字) | 213字 | 立場の言い直し | 「以上のように」で原因を振り返り、解決策と課題への対応を一文ずつで示す。最後の一文は、序論の立場の文と同じ言葉で言い直している。 |
2本とも、各段落の最初の一文で、その段落の役割が分かるように書いています。本番の原稿用紙では段落の頭を1マス空け、「〇字以内」の指定なら9割以上を書くのが目安です。
句読点やかぎかっこの扱いは、後の原稿用紙の使い方の節にまとめています。
600字・800字の骨組み
この節の答え600字は3段落で理由を一つに絞り、800字は序論100字、本論300字と250字、結論150字が目安です。
| 字数 | 段落構成 | 本論の書き方 |
|---|---|---|
| 600字 | 3段落(序論・本論・結論) | 理由を一つに絞り、具体例を一つ入れる。反対意見の検討は省く |
| 800字 | 3〜4段落 | 理由を一つか二つ。4段落にするなら本論を理由ごとに分ける |
| 1,000〜1,200字 | 4〜5段落 | 本論を2〜3段落に分け、反対意見の検討か問題点と解決策を入れる |
800字の骨組み
序論(100字):設問の受け止め → 立場
本論1(300字):理由1 → 具体例 → 立場との接続
本論2(250字):理由2 → 具体例、または反対意見の検討
結論(150字):本論を受けて立場を再確認
常体(だ・である)で書く:語尾の一覧と例文
この節の答え指定がなければ常体で書き、「思います」は「考える」に直し、常体と敬体を一つの答案で混ぜないようにします。
大学から指定がなければ、小論文は常体(だ・である調)で書きます。意見と根拠を示す文章では、言い切る常体のほうが論旨がはっきりするためです。一つの答案の中で常体と敬体(です・ます)を混ぜることは、最も目立つ減点要因です。
| 敬体(作文で使いがち) | 常体(小論文) | 備考 |
|---|---|---|
| 〜です | 〜だ/〜である | 「である」のほうが硬く、小論文向き |
| 〜ます | 〜する | 動詞は辞書形で言い切る |
| 〜と思います | 〜と考える | 「思う」は感想に聞こえるため避ける |
| 〜ではないでしょうか | 〜ではないか/〜である | 問いかけで終わる文は多用しない |
| 〜でした | 〜だった/〜であった | 過去の事実を述べる時 |
| 〜なければなりません | 〜なければならない/〜べきである | 主張を述べる時 |
常体で書いた例文(作文調との比較)
作文調(NG)
私は部活動で、仲間と協力することの大切さを学びました。最初はうまくいかなくて大変だったけれど、みんなで話し合って乗り越えることができて、とても嬉しかったです。
常体・小論文調(改善)
部活動における協力は、個人の努力では到達できない成果を生む。私の所属するバスケットボール部では、練習方法をめぐって部員の意見が対立した時期があった。しかし、週に一度の話し合いの場を設けて意見を出し合った結果、練習の効率が上がり、地区大会で前年を上回る成績を収めた。この経験は、協力とは単に仲良くすることではなく、意見の違いを調整する作業であることを示している。
改善例では、感情の言葉(大変、嬉しい)を事実と説明に置き換え、語尾を常体で統一しています。「とても」「すごく」などの程度副詞も、小論文では使いません。
です・ます調とだ・である調のどちらで書くかを評価の観点に挙げている大学の例や、文末をそろえる見直し方は小論文のルールにまとめています。
文の整え方:接続詞・話し言葉・主語と述語のねじれ
この節の答え接続詞は段落と文の役割に合わせて選び、話し言葉や主語と述語のねじれは、主語と文末をつなげて読んで直します。
構成が正しくても、一文一文が読みにくいと筋道は伝わりません。ここでは、接続詞の使い方と、減点されやすい表現の直し方をまとめます。
接続詞は、段落と文の役割に合わせて選ぶ
接続詞は、次の文が前の文とどうつながるかを、読み手に先に知らせる言葉です。役割に合ったものを選ぶと、読み手は筋道を追いやすくなります。
| 役割 | 接続詞の例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 理由を示す | なぜなら(〜からである) | 立場の根拠を述べる。文末を「〜からである」で受ける |
| 理由を並べる | 第一に・第二に/まず・次に | 本論の段落の書き出し。理由がいくつあるかが伝わる |
| 例を挙げる | たとえば | 理由を支える具体例や事実を出す |
| 付け加える | また・さらに | 同じ向きの理由や事実を足す |
| 逆の内容に移る | しかし・だが | 反対意見を認めたあと、自分の立場に戻る |
| 言い換える・まとめる | つまり・すなわち | 具体例のあとに、その例が示す要点を述べる |
| 結論を導く | したがって・以上のように | 結論の段落の書き出し |
「だから」「でも」「なので」は話し言葉に近いので、「したがって」「しかし」に置き換えます。一つの文に接続詞を重ねたり、すべての文の頭に付けたりすると、かえって読みにくくなります。
段落の頭と、話の向きが変わる所に絞って使います。
減点されやすい表現と直し方
| 表現 | 例 | 直した例 |
|---|---|---|
| 話し言葉 | スマホを使うのはすごく便利じゃないか。 | スマートフォンの利用は、生活を大きく便利にした。 |
| 主語と述語のねじれ | 私の夢は、教師になりたい。 | 私の夢は、教師になることである。 |
| 原因の文のねじれ | 人口減少の原因は、若者が都市部へ移るからだ。 | 人口減少の原因は、若者が都市部へ移ることにある。 |
| ら抜き・い抜き | 見れる/調べてる | 見られる/調べている |
| 一文が長い | 制限は必要だが、使い方を学ぶ機会も必要で、家庭との連携も要るので、学校だけで進めるのは難しい。 | 制限は必要である。しかし、使い方を学ぶ機会も要る。そのためには家庭との連携が欠かせず、学校だけで進めるのは難しい。 |
| 指す先が分からない言葉 | これは大きな問題である。 | 若者の投票率の低下は、大きな問題である。 |
| 体言止め・問いかけで終わる文 | 地域の未来。/本当にそれでよいのだろうか。 | 地域の未来を考える必要がある。/それでは問題は解決しない。 |
例の文は、説明のために作ったものです。主語と述語のねじれは、主語(「〜は」)と文末だけをつなげて読むと見つかります。
「私の夢は、〜なりたい」のように、つなげて読んだ時に意味が通らなければ直します。一文の長さと語尾の混在は、よくある失敗と直し方の表も参考にしてください。
原稿用紙の使い方
この節の答え書き出しと段落の冒頭は1マス空け、句読点とかぎかっこは1マスに1つ、行頭の句読点は前の行の最後のマスに入れます。
- 書き出しと段落の冒頭は1マス空ける
- 句読点(、。)は1マスに1つ。行の最初に来る場合は前の行の最後のマスに文字と一緒に入れる
- かぎかっこ(「 」)は1マスに1つ。閉じかっこと句点が重なる場合は同じマスに入れる
- 数字は縦書きなら漢数字、横書きなら算用数字。2桁の算用数字は1マスに2文字
- 英字は横書きの場合、大文字は1マスに1文字、小文字は1マスに2文字
- 記号(!?…)は原則使わない。使う場合は1マスに1つで、次のマスを空ける
- 字数指定は「〇字以内」なら9割以上、「〇字程度」なら前後1割以内が目安
- 小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」も1マスに1字。マスの右上(横書きは左下)に小さく書く
- のばす音の「ー」は1マス使う。縦書きでは縦の線で書く
- 改行は段落を変える時だけ。段落の途中で行を変えない
- 題名や氏名は、解答用紙の欄や指示に従う。指示がない時の扱いは大学で違うので、過去の出題や解答用紙に欄があるかを確かめる
数字・記号・英字の書き方や、「以内」「程度」の字数の範囲など、表記の決まりは小論文のルールの記事に一覧表でまとめています。
試験時間の配分
この節の答え90分・1,200字なら確認10分、構成メモ15分、執筆50分、見直し15分が目安で、執筆の残りが10分を切ったら結論へ移ります。
| 工程 | 60分・600字 | 90分・1,200字 | やること |
|---|---|---|---|
| 設問の確認・立場の決定 | 5分 | 10分 | 問われていることを一文で書き出し、立場を決める |
| 構成メモ | 10分 | 15分 | 序論の一文、本論の理由と具体例、結論を箇条書き |
| 執筆 | 35分 | 50分 | メモの順番どおりに書く。途中で構成を変えない |
| 見直し | 10分 | 15分 | 誤字脱字、語尾の統一、序論と結論の立場の一致 |
時間切れで結論が書けないのが最も大きな失点です。執筆の残り時間が10分を切ったら、本論を切り上げて結論を書きます。
本番で時間が足りない時の対処
練習どおりに進まない時に備えて、どこで何に切り替えるかを決めておきます。上の表の60分・600字の配分で書くと、目安は次のとおりです。
| 困った場面 | 対処 |
|---|---|
| 構成メモが終わらない | 理由を一つに絞る。600字なら、理由一つと具体例一つで本論が書ける |
| 本論の途中で時間がない | 書きかけの段落を一文で閉じ、結論を書く。結論のない答案がいちばん大きな失点になる |
| 字数が足りない | 新しい理由を足さず、書いた具体例が立場をどう支えるかの説明を書き足す |
| 大きく書き直したくなった | 段落ごと書き直す時間はないことが多い。構成は変えず、語句の直しにとどめる |
時間内に書き切る力は、時間を計って書く練習でしか身につきません。練習の本数と1本にかける時間は小論文対策はいつからにまとめています。
学部・大学で変わる小論文の形(2027年度入試の要項の例)
この節の答え英文資料の要旨作成や講義を聞いて書く論述など大学で形が違うため、要項で字数と時間、出題の形を調べて練習します。
総合型選抜や学校推薦型選抜の小論文は、大学や学部によって形がかなり違います。テーマについて論じるものだけでなく、資料を読み取ってまとめる問題、英語の文章を読んで日本語で書く問題、講義を聞いてから書く問題もあります。
2027年度入試の要項に書かれている例です。
| 分野 | 大学・方式 | 小論文の形(要項の記載) |
|---|---|---|
| 法学部 | 慶應義塾大学 法学部 FIT入試B方式 | 総合考査Ⅰは資料を読み取り400字程度にまとめる(45分)。総合考査Ⅱは400字程度の小論文(45分) |
| 法学部 | 中央大学 法学部 チャレンジ入学試験 | 45分程度の講義の後、75分の論述(講義理解力試験) |
| 法学部 | 関西大学 法学部 AO入試 | Ⅰ型は英文資料の要旨作成(90分、日本語200字程度)。Ⅱ型は指定図書の小論文(90分、1,000字程度) |
| 法学部 | 京都大学 法学部 特色入試 | 英語の文章を題材に、日本語で書く小論文 |
| 経済学部 | 一橋大学 経済学部 | 大きなテーマを論じさせて、構想力や論理的思考力などをみる小論文 |
| 経済学部 | 関西大学 経済学部 AO入試 | 当日作成する課題エッセイ(800字程度) |
| 文学部 | 名古屋大学 文学部 学校推薦型選抜 | 英語の文章を読み、日本語で論述する小論文 |
| 教育系 | 上智大学 総合人間科学部 教育学科 推薦入学試験(公募制) | 教育に関する小論文(90分) |
| 医学部医学科 | 東京科学大学 医学部医学科 | 小論文の大問2は、生命科学などに関する複数の資料の整理と要約 |
| 看護系 | 九州大学 医学部保健学科 看護学専攻 総合型選抜Ⅱ | 小論文(900字程度) |
一橋大学の法学部の学校推薦型選抜では、小論文が300点で、共通テストの250点を上回ります2。配点が大きい方式では、小論文の出来が合否に大きく関わります。
形は違っても、設問に答え、立場を決め、理由と根拠で支えるという骨組みは同じです。そのうえで、志望校の要項で、字数、試験時間、英文や資料を読む問題があるかを調べ、同じ形で練習します。
学部ごとの選考の全体は、法学部・経済学部・文学部・教育学部・医学部・看護学部の記事にまとめています。関西大学のAO入試の日程や出願資格は関西大学の総合型選抜、中央大学のチャレンジ入学試験は中央大学の総合型選抜で確かめられます。
よくある失敗と直し方
この節の答え設問に答えていない、序論が長い、理由が感想になるといった失敗には、序論の一文を設問の言い換えと立場で書き直す直し方があります。
| 失敗 | 何が起きているか | 直し方 |
|---|---|---|
| 設問に答えていない | テーマに関係はあるが、問われたことに答えていない | 序論の一文を「設問の言い換え+立場」で書き直す |
| 序論が長い | 一般論や背景説明で全体の3割を使っている | 序論は立場と論点だけ。背景は本論の具体例に回す |
| 理由が感想になっている | 「大切だと思う」「必要だと感じる」で理由が終わる | 「なぜなら〜だからである」と事実や仕組みで説明する |
| 具体例がない | 理由の説明だけで段落が終わる | 各理由に一つ、経験・事実・データのいずれかを添える |
| 途中で立場が変わる | 序論と結論の主張が違う | 書く前に構成メモで結論の一文を決めておく |
| 語尾が混在 | だ・である と です・ます が混ざる | 見直しの最初に語尾だけを通して読む |
| 一文が長い | 80字を超える文が続き、主語と述語が離れる | 一文は60字前後に。読点が3つ以上なら二文に分ける |
提出前・練習後のチェックリスト
この節の答え序論で立場が分かるか、本論の各段落に理由と具体例があるか、結論が序論と一致するかなど10項目で見直します。
- 序論の中で、設問への答え(立場)が分かる
- 序論は全体の1割から1割5分に収まっている
- 本論の各段落に、理由と具体例が一つずつある
- 1,000字以上なら、反対意見の検討か問題点と解決策が入っている
- 結論の立場が序論と一致している
- 語尾は常体で統一され、「思う」「とても」などの感想語がない
- 一文は60字前後。80字を超える文がない
- 原稿用紙のルール(段落冒頭の1マス、句読点の位置)を守っている
- 字数は指定の9割以上(「以内」の場合)
- 第三者に読んでもらい、「何を主張しているか」を一言で言ってもらえた
よくある質問
- Q. 小論文の序論には何を書けばいいですか?
- A. 設問に対する自分の立場(結論)と、その問題をどう捉えるかを短く書きます。理由や具体例は本論に回し、序論は全体の1割から1割5分、800字なら80字から120字に収めます。「私は〜と考える」と立場を先に示すのが基本です。
- Q. テーマ型小論文はどう書き始めればいいですか?
- A. テーマから連想することを書き出し、自分が論じやすい論点を一つに絞ってから、立場を決めます。書き出しは「〇〇については△△という課題がある。私は□□と考える」のように、論点と立場を一文ずつで示すと、本論に自然につながります。
- Q. 小論文1200字の構成はどう配分すればいいですか?
- A. 序論150字前後、本論840字前後、結論210字前後が目安です。本論は「理由と具体例」の段落を1つか2つ書き、「反対意見とその検討」か「問題点と解決策」を1段落入れて、2段落から3段落にします。1,200字では本論を1段落で書くと根拠が薄くなるため、段落を分けます。
- Q. 小論文は常体(だ・である)と敬体(です・ます)のどちらで書きますか?
- A. 大学からの指定がなければ常体(だ・である調)で書くのが一般的です。小論文は意見と根拠を示す文章なので、言い切る常体のほうが論旨がはっきりします。一つの答案の中で常体と敬体を混ぜないことが最も重要です。
- Q. 小論文と作文の違いは何ですか?
- A. 作文は自分の体験や感想を書く文章で、小論文は設問に対する意見を理由と根拠で支える文章です。小論文では「楽しかった」「大変だった」といった感想ではなく、「なぜそう考えるか」「どんな事実がそれを支えるか」を書きます。
- Q. 小論文の対策はいつから始めればいいですか?
- A. 総合型選抜や学校推薦型選抜で小論文がある場合、出願の3か月前には書き始めるのが目安です。週に1本書いて添削を受け、書き直すサイクルを10本ほど回すと、構成の型が身につきます。過去問で出題形式(テーマ型・課題文型・資料型)を確認してから練習を始めてください。
- Q. 小論文1,200字は何段落で、どう配分しますか?
- A. 本論を2段落か3段落に分けるので、全体で4〜5段落になります。配分の目安は序論150字、本論1が320字、本論2が320字、本論3が200字、結論210字で、この配分で書いた模範例文を2本、上の「1,200字の組み立てと模範例文」の節に載せています。段落の型の選び方は、小論文の構成の記事にまとめています。
まとめ
小論文は、序論で立場を示し、本論で理由と具体例によって支え、結論で立場を再確認する文章です。序論は短く、本論に字数を使い、1,000字を超えるなら反対意見の検討か問題点と解決策を入れます。
文体は常体で統一し、感想ではなく根拠で書きます。
型が身についたら、あとは「書いて、添削を受けて、書き直す」回数です。添削を誰に頼むか、頼み方、自分でできるチェックは志望理由書・小論文の添削で説明しています。
いつから始めるか、残り期間別の計画と1本の時間配分は小論文対策はいつからにまとめています。東京修学館では、家近亮子学長が小論文の構成づくりから添削まで無料相談で対応しています。
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この記事で分からなかったところを、家近亮子学長があなたの志望校と今の状況に当てはめて整理します。60分・初回無料、入塾は任意です。
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- 志望理由書・小論文の添削
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参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
リンク先の確認日:2026-11-01
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