最終更新: 2026-10-01 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)
評定平均は、総合型選抜や学校推薦型選抜の出願要件や書類審査で使われる、高校の成績の平均値です。この記事では、文部科学省が定める調査書の記入ルールに基づいて、計算方法、学習成績概評(A〜E)の区分、入試での使われ方、上げ方と下げないための注意点を、東京修学館の家近亮子学長の監修で整理します。
評定平均とは(正式には「全体の学習成績の状況」)
評定平均とは、高校で履修したすべての科目の評定(5、4、3、2、1の5段階)を平均した値です。大学に提出する調査書では「全体の学習成績の状況」という欄に記載されます。以前は「評定平均値」という名称だったため、今も「評定平均」「評定」と呼ばれています。
調査書には、全体の値のほかに、国語・数学・外国語など教科ごとの平均である「各教科の学習成績の状況」も記載されます。大学によっては、全体の値だけでなく、特定の教科の値を出願要件にしている場合があります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 評定 | 各科目の成績を5段階で表したもの(5が最も高い) |
| 全体の学習成績の状況 | すべての科目の評定の平均。一般に「評定平均」と呼ばれる値 |
| 各教科の学習成績の状況 | 教科ごと(国語、数学、外国語など)の評定の平均 |
| 学習成績概評 | 全体の学習成績の状況を A〜E の5段階に区分したもの |
出典
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)の別紙「調査書記入上の注意事項等について」。計算方法と学習成績概評の区分は、この通知で全国共通に定められています。文部科学省「入学者選抜実施要項」で公開されています。
評定平均の計算方法
計算式は次のとおりです。文部科学省の通知では「すべての教科・科目の評定の合計数をすべての評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)」と定められています。
計算式
評定平均(全体の学習成績の状況)= すべての科目の評定の合計 ÷ 評定の数
小数点以下第2位を四捨五入して、小数第1位まで求める
計算の例
文部科学省の通知に載っている例では、評定の合計が120、評定の数が31の場合、120 ÷ 31 = 3.87 となり、小数点以下第2位を四捨五入して「3.9」になります。教科ごとの値も同じ方法で、理科の3科目の評定が3、3、5なら(3+3+5)÷ 3 = 3.66 で「3.7」です。
計算で間違えやすい点
- 単位数では重み付けしない:週の授業時間が多い科目も少ない科目も、評定1つは同じ重さで数える
- すべての教科・科目が対象:保健体育、芸術、家庭、情報なども、国語や数学と同じ1科目として入る
- 複数の学年で履修する科目は学年ごとに数える:たとえば体育を3年間履修した場合、各学年の評定をそれぞれ1科目分として計算する
- 四捨五入は最後に1回:学年ごとの平均を出してから平均するのではなく、全科目の評定を合計して割る
通知表の成績が10段階や100点満点の高校でも、調査書には5段階の評定に換算して記載されます。自分の評定平均を正確に知りたい場合は、担任の先生に確認するのが確実です。
調査書には、成績のほかに「出欠の記録」も学年ごとに書かれます。欠席日数を出願条件にしている方式の例と、調査書での扱いは総合型選抜の欠席日数で説明しています。
いつからいつまでの成績が対象か
評定平均は、高校1年生の最初の成績から計算に入ります。卒業見込みの現役生の場合、3年生の成績は年度の途中でまだ確定していないため、通知では「当該学年における直近の成績を総合し、高等学校として判定した成績」を3年生の成績として記入すると定められています。
| 出願時の立場 | 評定平均に入る成績 |
|---|---|
| 現役生(総合型選抜・学校推薦型選抜に秋に出願) | 高1、高2の成績と、高3の出願時点までの直近の成績(多くの高校では1学期または前期) |
| 卒業した人 | 高1から高3の卒業時までの成績(卒業後に変わることはない) |
総合型選抜の出願は9月1日以降、学校推薦型選抜の出願は11月1日以降に始まります。出願時点の評定平均は、高3の1学期(前期)までにほぼ決まるため、高3の夏以降に取り戻すことはできません。高1・高2の成績が、高3の1学期(前期)の成績とあわせて、そのまま入試の持ち点になります。
学習成績概評(A〜E)の区分
学習成績概評は、全体の学習成績の状況を次の区分で5段階に分けたものです。大学の募集要項で「学習成績概評がA段階の者」「B段階以上の者」と書かれている場合は、この区分を指しています。
| 学習成績概評 | 全体の学習成績の状況 |
|---|---|
| A | 5.0 〜 4.3 |
| B | 4.2 〜 3.5 |
| C | 3.4 〜 2.7 |
| D | 2.6 〜 1.9 |
| E | 1.8 以下 |
たとえば評定平均4.2はB段階、4.3はA段階です。0.1の差で段階が変わるため、境目に近い人は、次の定期テストでどの科目の評定を上げれば届くかを具体的に計算しておく価値があります。
総合型選抜・学校推薦型選抜での使われ方
評定平均の扱いは、入試方式によって違います。
| 入試方式 | 評定平均の位置づけ |
|---|---|
| 学校推薦型選抜 | 学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として評価する方式。評定平均や学習成績概評を推薦の要件にしている大学が多い |
| 総合型選抜 | 書類審査と面接などを組み合わせて総合的に評価する方式。評定平均の基準を設ける大学と、設けない大学がある。基準がなくても調査書は提出する |
| 一般選抜 | 学力検査が主な資料。調査書は提出するが、評定平均が合否の中心になることは少ない |
文部科学省の実施要項では、大学は「重要と判断する教科・科目を指定し、一定水準以上の具体的な評定の獲得を出願要件等として求めることができる」とされています。全体の評定平均だけでなく、「外国語の学習成績の状況が4.0以上」のように教科を指定する大学もあるのはこのためです。
基準の例
基準は大学・学部・方式ごとに違います。たとえば早稲田大学スポーツ科学部の総合型選抜III群(スポーツ自己推薦入学試験)は、2027年度入試で、卒業見込みの人について「2年次末までの全体の評定平均値が3.5以上」を出願資格の一つにしています。このように、対象となる時点(2年次末まで、3年1学期までなど)も大学によって異なります。
「この大学は評定がいくつ必要」という情報は、まとめサイトではなく、必ず志望大学のその年度の募集要項で確認してください。基準は年度によって変わることがあります。
評定平均だけでは決まらない
総合型選抜でも学校推薦型選抜でも、大学は調査書などの出願書類だけでなく、小論文、面接、口頭試問、資格・検定試験の成績、大学入学共通テスト、教科の試験などのうち少なくとも一つを使って学力を評価することになっています。評定平均は出願の条件や評価の一部であり、基準を満たしたうえで、書類と面接などで何を示せるかが合否を分けます。
評定平均を上げる方法
評定平均は単純な平均なので、上げ方も単純です。評定が低い科目を一つずつ引き上げるのが最も効きます。
| 方法 | やること |
|---|---|
| 1. 評定が低い科目から手をつける | まず評定が3以下の科目を洗い出す。得意科目の4を5にするのも、苦手科目の2を3にするのも、平均への効果は同じ |
| 2. 定期テストの準備を前倒しする | 授業の週のうちに問題集を1周しておき、直前の時間を苦手科目に回す |
| 3. 提出物と授業での取り組みを落とさない | 提出物は期限を守り、内容まで仕上げて出す。発表や話し合いへの参加も評価に入る |
| 4. 実技の科目を軽く見ない | 保健体育、芸術、家庭、情報も評定平均に同じ重さで入る |
| 5. 先生に評価の基準を聞く | 次の学期に何を改善すれば評定が上がるかを確認する |
評定が低い科目から手をつける
すべての科目が同じ重さで数えられるため、得意科目の4を5にするのも、苦手科目の2を3にするのも、平均に与える効果は同じです。一般に、低い評定のほうが上げやすいので、まず評定が3以下の科目を洗い出します。
定期テストの準備を前倒しする
評定の中心になるのは定期テストです。試験範囲が出てから始めるのではなく、授業の週のうちに問題集を1周しておくと、直前の時間を苦手科目に回せます。
提出物と授業での取り組みを落とさない
現在の高校の成績は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されます。テストの点数だけでなく、レポートや課題の提出、授業中の発表や話し合いへの参加も評価に入ります。提出物は期限を守り、内容まで仕上げて出すことが前提です。
実技の科目を軽く見ない
保健体育、芸術、家庭、情報も評定平均に同じ重さで入ります。主要教科に比べて評定を上げやすいことが多く、ここで4や5を取れるかどうかで全体の値が変わります。
先生に評価の基準を聞く
評定がどの要素で決まるか(テスト、課題、発表の割合)は、科目ごとに示されています。分からなければ担当の先生に直接聞き、次の学期に何を改善すれば評定が上がるかを確認します。
評定平均を下げないための注意点
- 定期テストを1回でも大きく落とすと、その学期の評定に響く。体調管理と試験前の計画が前提になる
- 欠席や遅刻が増えると、授業での取り組みが評価されにくくなる。調査書には出欠の記録も記載される
- 提出物の未提出は、テストの点数が良くても評定を下げる原因になる
- 選択科目は、興味だけでなく、自分が評定を取りやすいかも考えて選ぶ
- 部活動や課外活動で忙しい時期ほど、学期の最初に課題と試験の日程を書き出しておく
評定平均が基準に届かない時の考え方
志望大学の基準に届かない場合、選択肢は3つあります。
- 基準を設けていない方式を探す:同じ大学でも、方式によって評定の基準がある場合とない場合がある。総合型選抜には、評定平均の基準を出願要件にしていない大学・学部もある
- 評定以外の要件で出願できる方式を探す:英語の資格・検定試験の成績、特定分野の活動実績や受賞歴などを出願要件にしている方式がある
- 一般選抜と並行して準備する:総合型選抜や学校推薦型選抜は募集人員が限られる。一般選抜の学習を続けておくことで選択肢が残る
基準がない方式でも調査書は提出するため、成績は面接などで話題になることがあります。評定が低い理由と、そこから何を学び、どう取り組みを変えたかを説明できるようにしておくことが大切です。
学年別にやること
| 学年 | やること |
|---|---|
| 高校1年生 | 評定平均は最初の学期から入ることを知る。定期テストと提出物の習慣を作る。実技の科目も手を抜かない |
| 高校2年生 | 1年次の評定を計算し、志望大学の基準との差を確認する。低い科目を1段階上げる計画を立てる |
| 高校3年生 | 1学期(前期)の成績が出願時点の最後の成績になる。志望大学の募集要項で、基準の値と対象の時点を確認する |
よくある質問
- Q. 評定平均の計算方法は?
- A. すべての科目の評定(5段階)を合計し、評定の数で割って、小数点以下第2位を四捨五入します。たとえば評定の合計が120、評定の数が31なら、120÷31=3.87で、評定平均は3.9です。単位数による重み付けはなく、保健体育や芸術なども同じ1科目として数えます。
- Q. 評定平均はいつからいつまでの成績で決まりますか?
- A. 高校1年生の最初の成績から入ります。現役生が総合型選抜や学校推薦型選抜に出願する場合は、高1、高2の成績と、高3の出願時点までの直近の成績(多くの高校では1学期または前期)で計算されます。
- Q. 評定平均4.0は学習成績概評でどの段階ですか?
- A. B段階です。学習成績概評は、A(5.0〜4.3)、B(4.2〜3.5)、C(3.4〜2.7)、D(2.6〜1.9)、E(1.8以下)の5段階で、文部科学省の通知で全国共通に定められています。
- Q. 副教科(実技の科目)も評定平均に入りますか?
- A. 入ります。調査書の「全体の学習成績の状況」は、すべての教科・科目の評定を対象に計算します。保健体育、芸術、家庭、情報も、国語や数学と同じ重さで数えられます。
- Q. 浪人すると評定平均は変わりますか?
- A. 変わりません。卒業した人の評定平均は、卒業時までの成績で確定しています。卒業した人が出願できるかどうか、卒業後何年まで出願できるかは、大学・方式ごとに募集要項で定められています。
- Q. 評定平均が低くても総合型選抜は受けられますか?
- A. 評定平均の基準を出願要件にしていない大学・学部であれば出願できます。ただし調査書は提出するため、成績は評価の資料になります。また、総合型選抜でも小論文や面接、資格・検定試験、共通テストなどで学力が評価されるので、評定以外で学力と意欲を示す準備が必要です。
まとめ
評定平均は、調査書の「全体の学習成績の状況」のことで、すべての科目の評定の合計を評定の数で割り、小数点以下第2位を四捨五入した値です。学習成績概評はこの値をA〜Eの5段階に区分したもので、区分は全国共通です。現役生の場合、高1から高3の直近の成績までが対象になるため、高1・高2の成績がそのまま入試で使われます。
必要な値は大学・学部・方式ごとに違い、年度によっても変わります。志望大学の募集要項で基準と対象の時点を確認し、低い科目を1段階ずつ上げる計画を立てることが出発点です。東京修学館では、家近亮子学長が現在の評定と志望校に合わせた出願方式の選び方を無料相談で一緒に整理しています。
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