最終更新: 2026-10-01 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」、各大学が公表した令和8年度入試の実施結果
総合型選抜や学校推薦型選抜の倍率は、大学・学部・方式によって大きく違い、年度によっても変わります。この記事では、文部科学省の統計と、各大学が公表している令和8年度入試の志願者数・合格者数をもとに、倍率の実際と正しい読み方を、東京修学館の家近亮子学長の監修で整理します。数字はすべて公式の発表に基づいています。
総合型選抜の倍率とは(3つの種類と計算方法)
「倍率」と呼ばれる数字には3つの種類があり、どれを見ているかで意味が変わります。
| 種類 | 計算方法 | 分かること |
|---|---|---|
| 志願倍率 | 志願者数 ÷ 募集人員 | その入試にどれだけ人が集まったか |
| 受験倍率 | 受験者数 ÷ 募集人員 | 実際に受験した人の多さ |
| 実質倍率 | 受験者数 ÷ 合格者数 | 受験した人のうち、何人に1人が合格したか |
総合型選抜や学校推薦型選抜では、合格者数が募集人員より少なくなることがあります。そのため、募集人員で割った志願倍率だけを見ると、実際の合格の難しさを見誤ります。合格者数で割った数字を見ることが大切です。
この記事で大学ごとに示す数字は、上の3つとは別の「志願者数 ÷ 合格者数」です。大学が公表している志願者数と合格者数から計算しています。第1次選考で不合格になった人も含めて、出願した人のうち何人に1人が最終的に合格したかを表す数字で、受験者数を使う実質倍率とは計算が違います。
総合型選抜で入学する人はどのくらいいるか(全国の統計)
文部科学省が公表した令和7年度入学者選抜の実施状況によると、総合型選抜で大学に入学した人は126,766人で、入学者全体の19.5%でした。学校推薦型選抜は221,415人で、全体の34.1%です。
| 区分 | 総合型選抜の入学者数(全体に占める割合) | 学校推薦型選抜の入学者数(全体に占める割合) |
|---|---|---|
| 国立大学 | 7,714人(7.7%) | 12,706人(12.7%) |
| 公立大学 | 2,183人(6.0%) | 9,732人(26.9%) |
| 私立大学 | 116,869人(22.8%) | 198,977人(38.8%) |
| 合計 | 126,766人(19.5%) | 221,415人(34.1%) |
総合型選抜を実施している大学は728大学で、全体の93.6%にあたります。国立大学では入学者の7.7%にとどまる一方、私立大学では22.8%を占めており、国立大学のほうが募集人員の少ない入試であることが分かります。
出典
文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(令和7年11月26日)。文部科学省の発表ページで公開されています。令和7年度から選抜区分の整理が変わったため、前年度までの数値とは比較できないとされています。
国公立大学の志願者数・合格者数(令和8年度入試・公式データ)
各大学が公表している令和8年度入試の実績です。右端の列は、志願者数を合格者数で割って計算した値で、受験者数を使う実質倍率ではありません(小数第2位を四捨五入)。大学名から、制度の詳しい解説記事に移動できます。
| 大学 | 入試 | 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 志願者数÷合格者数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京大学 | 学校推薦型選抜 | 100人程度 | 265 | 93 | 2.8倍 |
| 京都大学 | 特色入試(一般枠) | 191 | 635 | 142 | 4.5倍 |
| 京都大学 | 特色入試(女性募集枠) | 39 | 96 | 29 | 3.3倍 |
| 大阪大学 | 総合型選抜・学校推薦型選抜 | 384 | 1,083 | 316 | 3.4倍 |
| 東北大学 | AO入試II期 | ― | 1,341 | 298 | 4.5倍 |
| 東北大学 | AO入試III期 | ― | 1,209 | 397 | 3.0倍 |
| 北海道大学 | フロンティア入試 | 135 | 317 | 106 | 3.0倍 |
| 名古屋大学 | 学校推薦型選抜 | 368 | 960 | 369 | 2.6倍 |
| 名古屋大学 | 総合型選抜(理学部) | 25 | 59 | 15 | 3.9倍 |
| 九州大学 | 総合型選抜(Ⅰ・Ⅱ) | 254 | 802 | 232 | 3.5倍 |
| 九州大学 | 学校推薦型選抜 | 46 | 124 | 44 | 2.8倍 |
| 筑波大学 | アドミッションセンター入試 | 42 | 343 | 36 | 9.5倍 |
| 筑波大学 | 推薦入試 | ― | 1,683 | 551 | 3.1倍 |
| 一橋大学 | 学校推薦型選抜 | ― | 71 | 33 | 2.2倍 |
| 東京科学大学 | 総合型選抜(理工学系) | 225 | 890 | 218 | 4.1倍 |
| お茶の水女子大学 | 学校推薦型選抜 | 56 | 171 | 57 | 3.0倍 |
募集人員の「―」は、この表にまとめた単位での合計を記事で扱っていないものです。東京大学の募集人員は「100人程度」と公表されています。一橋大学は5学部の出願者数と合格者数を合計しています。
志願者数を合格者数で割った値は、多くの大学で2倍台後半から4倍台です。筑波大学のアドミッションセンター入試は9倍を超えており、書類による第1次選考で大きく絞られます。
出典
東京大学「学校推薦型選抜 志願者数・合格者数」、京都大学「令和9年度特色入試学生募集要項」掲載の令和8年度結果、大阪大学「令和8年度総合型選抜・学校推薦型選抜実施状況」、東北大学「令和8年度AO入試選考状況」、北海道大学「令和8年度入学試験実施状況」、名古屋大学「令和9年度学校推薦型選抜学生募集要項」掲載の令和8年度結果、九州大学「令和8年度入学者選抜実施状況」、筑波大学「令和8年度入学試験実施結果」、一橋大学「令和8年度出願・選抜状況」、東京科学大学「令和8年度学士課程入学者選抜実施結果」、お茶の水女子大学「令和8年度学校推薦型選抜実施状況」。
同じ大学でも学部・方式で差が大きい
大学全体の数字だけでは、志望する学部の状況は分かりません。同じ大学の中でも、学部や方式によって大きな差があります。令和8年度入試の例を挙げます。
| 大学・学部(方式) | 志願者数 | 合格者数 |
|---|---|---|
| 京都大学 理学部(数理科学入試) | 62 | 4 |
| 京都大学 法学部 | 54 | 16 |
| 京都大学 農学部 食品生物科学科 | 4 | 0 |
| 大阪大学 文学部 | 71 | 30 |
| 大阪大学 医学部医学科 | 31 | 4 |
| 筑波大学 体育専門学群(アドミッションセンター入試) | 94 | 8 |
| 筑波大学 知識情報・図書館学類(推薦入試) | 55 | 40 |
| 筑波大学 医学類(推薦入試・一般推薦) | 237 | 44 |
| 一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 | 4 | 0 |
志願者が少なくても合格者が0人の学部がある一方で、志願者の多くが合格している学類もあります。志望校を考える時は、大学全体ではなく、志望する学部・学科・方式の数字を見てください。
倍率の数字を読む時の注意点
募集人員どおりに合格者が出るとは限らない
国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜では、基準に達した人だけを合格にし、募集人員に満たなくても合格者を増やさないことがよくあります。たとえば京都大学の特色入試(一般枠)は、令和8年度の募集人員191人に対して最終合格者は142人でした。欠員は一般選抜の募集人員に回されます。志願者が少ないから合格しやすい、とは言えません。
出願の時点で志願者が絞られている
評定平均の基準、英語の資格・検定試験、学校長の推薦、1校から推薦できる人数の上限、専願といった出願要件によって、出願できる人はあらかじめ限られています。倍率が2〜3倍に見えても、その中身は要件を満たした人どうしの競争です。
共通テストの基準がある方式では、倍率と合否が直結しない
共通テストを課す方式では、「概ね80%以上」のような基準が設けられていることがあります。書類と面接で評価されても、基準に届かなければ合格できません。
年度によって変わる
募集人員が少ない入試では、志願者が数人増減するだけで倍率が大きく動きます。1年分の数字だけで判断せず、大学が公表している過去数年分を見てください。
大学によって公表する数字が違う
志願者数と合格者数だけを公表する大学、第1次選考の合格者数や受験者数まで公表する大学、「志願倍率」として募集人員で割った値を載せる大学があります。別の大学の倍率を比べる時は、同じ計算方法の数字かどうかを確かめます。
私立大学の倍率の調べ方
私立大学の総合型選抜は、学部・方式ごとに募集人員が細かく分かれているため、大学全体の倍率にはあまり意味がありません。志望する学部・方式の数字を、次の手順で調べます。
- 大学の公式サイトの入試情報から、「入試結果」「入試データ」「入試統計」のページを探す
- 志望する学部・学科・方式の、志願者数、受験者数、合格者数を確認する
- 受験者数 ÷ 合格者数(実質倍率)を見る。募集人員で割った志願倍率しか載っていない場合は、合格者数から自分で計算する
- 過去2〜3年分を並べて、増減の幅を見る
- 数字が公表されていない方式は、大学の入試担当の窓口や進学相談会で確認する
塾や受験情報サイトに載っている倍率は、年度や計算方法が書かれていないことがあります。出願を決める材料にする時は、必ず大学の公式の数字で確認してください。
倍率より先に確認すること
倍率は結果の数字で、自分では変えられません。出願先を決める時に先に確認するのは、次の3点です。
| 確認すること | 見る場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 出願要件を満たしているか | 募集要項の「出願資格」「出願要件」 | 評定、資格、卒業年度、推薦の要否を満たさなければ出願できない |
| 選考方法が自分の強みと合うか | 募集要項の「選抜方法」 | 小論文、口頭試問、プレゼンテーション、筆記試験、共通テストなど、求められる力が大学ごとに違う |
| 専願か、併願できるか | 募集要項の「出願上の注意」 | 合格したら入学することが条件の方式が多い。国公立大学は他大学との併願にも制限がある |
総合型選抜と学校推薦型選抜の違いはこちらの記事、評定平均の計算方法は評定平均の解説で説明しています。
倍率を志望校選びにどう生かすか
- 倍率が高い方式:第1次選考(書類)で絞られることが多い。志望理由書や自己推薦書の完成度を上げることに時間を使う
- 倍率が低い方式:出願要件が厳しいか、求める水準が高い可能性がある。合格者数が募集人員を下回っていないかを確認する
- 倍率が大きく変動している方式:募集人員が少ない。数字に一喜一憂せず、準備の質を上げる
- どの方式でも:不合格に備えて、一般選抜の学習を並行する
倍率で受ける大学を決めるのではなく、大学で学びたいことと、大学が求める学生像が合っているかで決めることが、結果として合格に近づきます。志望理由の組み立て方は志望理由書の書き方で説明しています。
よくある質問
- Q. 総合型選抜の倍率はどのくらいですか?
- A. 大学・学部・方式によって大きく違います。国公立11大学の令和8年度入試では、志願者数を合格者数で割った値は、多くが2倍台後半から4倍台でした。たとえば大阪大学の総合型選抜・学校推薦型選抜は志願者1,083人に対して合格者316人、東京科学大学の総合型選抜(理工学系)は志願者890人に対して合格者218人です。
- Q. 総合型選抜の倍率はどうやって計算しますか?
- A. 志願倍率は志願者数÷募集人員、実質倍率は受験者数÷合格者数で計算します。総合型選抜では合格者数が募集人員を下回ることがあるため、合格の難しさを見るには、募集人員ではなく合格者数で割った数字を使います。この記事の大学別の数字は、志願者数を合格者数で割ったものです。
- Q. 倍率が低い大学・学部は受かりやすいですか?
- A. そうとは限りません。国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜では、基準に達した人だけを合格にするため、志願者が少なくても合格者が0人の学部があります。出願要件で志願者があらかじめ絞られていることも多く、倍率だけで難しさは判断できません。
- Q. 総合型選抜で入学する人は全体の何割ですか?
- A. 文部科学省の発表では、令和7年度に総合型選抜で大学に入学した人は126,766人で、入学者全体の19.5%でした。国立大学は7.7%、公立大学は6.0%、私立大学は22.8%です。学校推薦型選抜は全体の34.1%です。
- Q. 私立大学の総合型選抜の倍率はどこで調べられますか?
- A. 大学の公式サイトの入試情報にある「入試結果」「入試データ」のページで、学部・方式ごとの志願者数と合格者数が公表されています。年度と計算方法を確かめたうえで、過去2〜3年分を見てください。
- Q. 総合型選抜と一般選抜ではどちらの倍率が高いですか?
- A. 一概には言えません。総合型選抜は募集人員が少なく、出願要件で志願者が絞られるため、一般選抜の倍率とは意味が違います。倍率の高低で入試方式を選ぶのではなく、出願要件と選考方法が自分に合っているかで判断してください。
まとめ
総合型選抜の倍率は、志願倍率・受験倍率・実質倍率のどれを見ているかで意味が変わります。国公立11大学の令和8年度入試では、志願者数を合格者数で割った値は多くが2倍台後半から4倍台でしたが、学部や方式による差は大きく、募集人員より合格者が少ない学部もあります。倍率は大学の公式の入試結果で、志望する学部・方式の数字を確認してください。
倍率は自分では変えられない数字です。出願要件と選考方法を確かめ、志望理由書や面接の準備に時間を使うことが合格への近道です。東京修学館では、家近亮子学長が、志望校と出願方式の選び方から書類・面接の準備まで、無料相談で一緒に整理しています。
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