大学入試の小論文では、書き方の型を覚えても、理由や具体例に使う材料がなければ答案は薄くなります。この記事は、総合型選抜・学校推薦型選抜の小論文に向けて、「何を書くか」の準備に絞って解説します。学部系統別に主題の領域を整理し、志望校の要項の書き方から主題を読む方法を示します。そのうえで、白書・統計・ニュースからネタを集める手順、ネタ帳の作り方、ネタ本の選び方を順に見ます。根拠は文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と各大学の2027年度入試(2027年4月入学)の要項、府省の白書・統計です。出題の予想はしません。
小論文のテーマとネタとは:材料が要る理由と、覚えるだけでは足りない理由
この節の答えテーマは設問が扱う主題、ネタは理由や具体例に使う材料で、覚えた知識を並べるためではなく自分の考えを組み立てるために集めます。
この記事でいう「テーマ」は、小論文の設問が扱う主題のことです。「ネタ」は、答案の中で理由や具体例として使う材料を指します。テーマ型・課題文型・資料型のどの形式でも、自分の考えを支える材料が要ります。
材料は大きく、事実と数字、背景と制度、自分の経験の3種類に分けられます(東京修学館の目安)。後の節の表では、これを出どころごとに統計・白書・新書・新聞・自分の経験の5つに分けて、探す場所を並べます。
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、小論文を選抜の資料の一つに挙げています。総合型選抜と学校推薦型選抜では、小論文などの評価方法を少なくとも一つ使うよう大学に求めています(第3の1)。
第6の3は、小論文が専ら教科・科目の知識を問うものにならないよう留意1するとしています。ネタは、覚えた知識を並べるためのものではありません。
| 準備すること | 中身 | くわしく扱う記事 |
|---|---|---|
| テーマ(主題) | 設問が扱う話題の範囲。例:社会と法、環境、医療と地域 | この記事 |
| ネタ(材料) | 理由や具体例に使う事実・数字・制度・自分の経験 | この記事 |
| 書き方と構成 | 材料を序論・本論・結論にどう並べるか | 小論文の書き方、小論文の構成 |
| 読み取り | 与えられた課題文の要約、図表の読み取り | 小論文の要約の書き方、資料読み取り型小論文の書き方 |
材料を答案のどこに置くかは小論文の書き方と小論文の構成、一文目の書き方は小論文の書き出し方で説明しています。この記事は、その前の段階の「材料をそろえる」準備を扱います。
学部系統別:小論文の主題の領域と材料の探し場所(一覧)
この節の答え法・経済・教育・理工・情報・医療看護など系統ごとに、材料を集めたい主題の領域と、その材料が載っている白書や統計を対応させます。
下の表は、学部の系統ごとに、材料を集めておきたい主題の領域と、その材料が載っている政府の白書や統計を並べたものです。主題の領域は東京修学館の目安です。
出題数を数えた結果や、出題の予想ではありません。白書の名前は、e-Govポータルの「白書等」の一覧で探し、こども白書と科学技術・イノベーション白書は各府省のページの名前に合わせています。
| 学部の系統 | 主題の領域(東京修学館の目安) | 材料を探す白書・統計の例 |
|---|---|---|
| 法・政治 | 法の役割と社会の決まり、権利と責任、犯罪と再犯防止、国際社会のルール | 犯罪白書・再犯防止推進白書・人権教育・啓発白書(法務省)、警察白書(警察庁) |
| 経済・経営・商 | 働き方と賃金、物価と家計、消費者の保護、中小企業と地域の産業 | 経済財政白書(内閣府)、労働経済白書(厚生労働省)、中小企業白書、消費者白書 |
| 教育 | 学校の役割と学びの変化、子ども・若者の育ち、家庭と学校の関係 | 文部科学白書、こども白書(こども家庭庁)、e-Statの「教育・文化・スポーツ・生活」 |
| 文学・人文・社会 | 言葉と表現、文化の受け継ぎ方、メディアと報道、家族と地域のつながり | 情報通信白書(総務省)、男女共同参画白書(内閣府)、e-Statの「人口・世帯」 |
| 国際・外国語 | 国と国の協力、開発協力の現場と日本の役割、多文化の地域づくり、言語と文化 | 外交青書(外務省)、出入国在留管理(法務省)、e-Statの「国際」 |
| 理工・農 | エネルギーと環境、技術と安全、ものづくり、食料と農業 | 環境白書、エネルギー白書、科学技術・イノベーション白書(文部科学省)、ものづくり白書、食料・農業・農村白書 |
| 情報 | デジタル社会と個人情報、データの利用、情報の信頼性 | 情報通信白書、個人情報保護委員会の年次報告、e-Statの「情報通信・科学技術」 |
| 医療・看護・福祉 | 高齢社会と医療・介護、健康づくり、医療の担い手、障害と共生 | 厚生労働白書、高齢社会白書、障害者白書(内閣府)、e-Statの「社会保障・衛生」 |
一つの主題が複数の系統にまたがることもあります。たとえばエネルギーと環境は、理工系では技術の問題、法学部では規制の問題、経済学部では費用の問題として扱えます。
同じ材料でも、志望学部の見方で切り直すと使える範囲が広がります。
学部の主題と、どの学部でも使える主題を分けて集める
材料は、志望学部の主題と、学部を問わず使える主題に分けて集めると管理しやすくなります。学部を問わず使える主題の例は、人口と家族の変化、働き方、環境、科学技術と社会です。
設問が志望学部の分野から少し離れた時も、こうした主題の材料が支えになります。
学部ごとの選考の形は、法学部、経済学部、教育学部、文学部、理工系学部、看護学部、医学部、国際系学部の各記事にまとめています。練習用の問いの例は、法学部・経済学部・看護学部・医学部・国際系学部の記事にあります。
要項の「〜に関する小論文」から志望校の主題を読む(2027年度入試の例)
この節の答え要項の「社会と法に関する」のような書き方が主題の範囲を示し、出願時のレポートの課題からも大学が重く見る主題が分かります。
志望校で扱われる主題の手がかりは、募集要項の選考方法の欄にあります。文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、教科・科目のテストの試験問題を原則として公表するよう定めています。
そのほか、小論文のテーマについても積極的な公表が望ましいとしています(第13の3)。要項の書き方と、大学が公開している過去の問題を合わせて読みます。
下の表は、各大学の2027年度入試の要項から、小論文の主題が分かる書き方を抜き出したものです。上智大学の推薦入学試験(公募制)と同志社大学の推薦選抜入学試験は、学校推薦型選抜です。
| 系統 | 大学・学部・方式 | 要項の書き方 |
|---|---|---|
| 法 | 上智大学 法学部 法律学科(推薦入学試験・公募制=学校推薦型選抜) | 社会と法に関する設問を含む小論文(800字・60分) |
| 法 | 上智大学 法学部 地球環境法学科(同) | 社会(環境問題を含む)と法に関する小論文(800字・60分) |
| 法 | 南山大学 法学部 法律学科(総合型入試) | 現代社会に関する文章を読み、設問に答え、扱われたテーマについて自分の考えを論述する(1000字程度) |
| 経済・経営 | 上智大学 経済学部 経営学科(推薦入学試験・公募制) | 産業社会に関する理解力と思考力を問う試験(90分) |
| 経済・経営 | 南山大学 経済学部 経済学科(総合型入試・プレゼンテーション型) | 経済・社会問題に関する文章や資料を読んで、内容に関する設問について論述する(1000字程度) |
| 国際・人文 | 南山大学 外国語学部 アジア学科(総合型入試・資格・検定試験活用型) | アジアの社会、文化、民間交流(民際交流)に関する文章を読み、設問に答え、文章の内容について自分の考えを論述する(1000字程度) |
| 国際・人文 | 南山大学 人文学部 人類文化学科(総合型入試・プレゼンテーション型) | 人間と文化・社会に関する文章を読んで、要約し、自分の考えを述べる(1000〜1200字程度) |
| 理工 | 福岡大学 工学部 機械工学科・社会デザイン工学科(総合型選抜) | 機械工学に関する小論文試験、社会デザイン工学・環境工学に関する小論文試験(各60分)。社会デザイン工学科は参考資料(図表・文章資料等)を読み取って論述 |
| 理工 | 上智大学 理工学部 物質生命理工学科(推薦入学試験・公募制) | 自然科学を対象とした小論文(物理学・化学・生物学から2つを選ぶ。120分) |
| 情報 | 福岡大学 工学部 電子情報工学科(総合型選抜) | 電子情報通信工学に関する小論文試験(60分)。参考資料(図表・文章資料等)を読み取って論述 |
| 情報 | 同志社大学 文化情報学部(推薦選抜入学試験=学校推薦型選抜) | 論述問題:数量的データの分析・論考を問う問題と、与えられた文章に対する論考・表現能力を問う問題(各45分) |
| 学際 | 千葉大学 国際教養学部(総合型選抜) | 課題論述:資料の理解力、論理構成力、科学・統計リテラシーを問う。資料の一部に英文 |
| 農・生命 | 弘前大学 農学生命科学部(総合型選抜Ⅰ) | 農学や生命科学などに関するいくつかのテーマについて論述(800字・90分) |
| 医療 | 弘前大学 医学部 保健学科(総合型選抜Ⅱ) | 専攻ごとに1つのテーマについて論述(800字・60分) |
| 医療 | 弘前大学 医学部 医学科(総合型選抜Ⅱ) | 総合論述:与えられた資料の内容を捉え、課題を見出し、考えの過程と結論を論述 |
書き方の「〜に関する」の部分が、準備する主題の範囲です。上智大学の法律学科は社会と法、地球環境法学科は環境問題を含む社会と法と、同じ学部でも学科で範囲が変わります。
福岡大学の工学部は、建築学科を除く学科ごとに「機械工学に関する小論文試験」のように分野を名指し5しています。
範囲が広い書き方もあります。南山大学の法律学科は、現代社会に関する文章を読んで論述する形です3。
弘前大学の農学生命科学部は、農学や生命科学などに関するいくつかのテーマについて論述させるとしています4。こうした方式では、学部の分野の主題と、社会全体の主題の両方に材料を用意します。
「文章を読んで」とあれば課題文型、「資料」「データ」とあれば資料型の準備も要ります。同志社大学の文化情報学部や千葉大学の国際教養学部のように、数量的なデータや統計を読む力を問う方式もあります。
課題文の読み方は小論文の要約の書き方、図表の読み方は資料読み取り型小論文の書き方で説明しています。
出願時のレポートの課題にも主題が書かれている
試験の小論文だけでなく、出願時に出すレポートの課題からも、大学がどんな主題を重く見ているかが分かります。上智大学の推薦入学試験(公募制)では、学科ごとに「レポート等特定課題」が決まっています。
| 学科(上智大学 推薦入学試験・公募制) | レポート等特定課題の主題(要項の要旨) |
|---|---|
| 法律学科 | 社会において法が果たす役割・機能を具体例を挙げて論じ、大学で法律学を学ぶ意義を述べる(2000字程度) |
| 地球環境法学科 | 具体的な環境問題を1つ挙げ、これまでの法的対応と、今後必要な法的対応についての考えを述べる(2000字程度) |
| 新聞学科 | 時事問題から関心をもったテーマを1つ選び、報道のあり方の点も含めて意見を述べる。参照した記事や文献の出典を明示する |
| 看護学科 | 新聞に掲載された看護に関連する記事を素材に、医療・看護の問題や課題を文献を使ってまとめ、考えを述べる(2000字程度) |
| 物質生命理工学科 | エネルギー問題や環境問題から1つを選び、原因・取り組み・自分の貢献の可能性を自然科学の視点から書く |
| 情報理工学科 | 自然科学や科学技術に関する報道を1つ選び、概略・興味を引かれた理由・自分の考えを書く |
新聞学科・看護学科・情報理工学科の課題は、ニュースや新聞記事を素材にして自分の考えを書く形です。新聞学科は、参照した新聞記事・番組・ニュースサイトの名前や掲載年月日、文献の著者名や書名など、出典を明示するよう求めています。
ネタを集める段階から、出どころを控えておく理由がここにあります。出願時のレポートの組み立てと引用の書き方は課題レポートの書き方で説明しています。
材料の種類と探す場所(白書・統計・新書・新聞・自分の経験)
この節の答え数字はe-Stat、背景と国の取り組みは府省の白書の概要版から集め、何年版か・どの調査かを一緒に控えます。
小論文の材料は、出どころによって答案での使い道が変わります。数字は問題の大きさを示し、白書の記述は背景と国の取り組みを示し、自分の経験は具体例と問題意識の出発点になります。
| 材料 | 答案での使い道 | 探す場所 | 控える時に気をつけること |
|---|---|---|---|
| 統計の数字 | 理由の根拠、問題の大きさを示す | 政府統計の総合窓口(e-Stat)、総務省統計局「日本の統計」 | 年・単位・調査の名前を一緒に書く |
| 白書の記述 | 問題の背景、国の取り組み | e-Govポータル「白書等」の一覧、各府省の白書のページ | 何年版かを書く。概要版から読み始める |
| 新書・入門書 | 考え方の枠組み、用語の意味 | 学校の図書室、公立図書館 | 著者の主張と、事実の記述を分けて書く |
| 新聞・ニュース | 具体的な出来事、議論の入口 | 新聞、テレビ、ニュースサイト | 媒体名と日付を書き、白書や統計で裏づけを取る |
| 自分の経験 | 具体例、問題意識の出発点 | 探究活動、地域の活動、家族や身近な人から聞いた話 | 経験一つで社会全体を言い切らない |
白書は「概要版 → 本文の章 → 図表」の順に読む
白書は、府省がその分野の現状と施策をまとめた報告書です。e-Govポータルの「白書等」には、府省ごとの白書が一覧で並んでいます8。
志望学部の系統に近い白書を一つ選び、まず概要版で全体の章立てをつかみます。厚生労働省の白書のページにも、本文と並んで概要版が置かれています。
白書は年ごとの版で出ていて、版ごとに特集や副題があります。たとえば法務省の令和7年版犯罪白書の副題12は「犯罪被害の実態(犯罪被害の暗数と精神障害を有する者等の性犯罪被害)」です。
副題を見ると、その版が重く扱った主題が分かります。数字を写す時は、何年版のどの図表かを一緒に控えます。
統計はe-Statの分野から探す
政府統計の総合窓口(e-Stat)は、府省の統計をまとめて探せるサイトです。人口・世帯、労働・賃金、教育・文化・スポーツ・生活、社会保障・衛生、情報通信・科学技術など、17の統計分野から探せます9。
各分野の主な統計を一冊にまとめたものとして、総務省統計局の「日本の統計」もあります。
統計から写すのは、一つの主題について2〜3個の数字で足ります(東京修学館の目安)。始まりの年と終わりの年の値、変化の向きが分かれば、答案の根拠になります。
グラフの読み取りそのものを練習したい時は資料読み取り型小論文の書き方を参考にしてください。
ニュースを論点に変える手順(時事問題の使い方)
この節の答え出来事を一文にし、背景を白書で調べ、立場を並べて問いの形にすると、同じニュースが学部ごとに違う論点になります。
ニュースは、小論文の材料の入口です。ただし、出来事を知っているだけでは答案になりません。立場が分かれる問いの形、つまり論点に変えて初めて、理由と具体例を組み立てられます。
手順1では、出来事を40字ほどの一文にまとめます(東京修学館の目安)。長く書くと、何が論点なのかがぼやけるからです。手順2〜3で集めた背景と立場が、答案の理由と反対意見の材料になります。
上智大学の情報理工学科のレポートは、この手順に近い形です。自然科学や科学技術に関する報道を1つ選び、報道内容の概略と興味を引かれた理由2、社会への影響などを考えた自分の考えを書くよう求めています。
概略が手順1、自分の考えが手順5に当たります。2つ目の課題にある、入学後に学びたいことと、その理由や動機は、手順6に当たります。
例:同じニュースを学部ごとの論点に変える(創作)
同じ出来事でも、学部の見方によって論点は変わります。次の例は説明のための架空のニュースで、実在の町や事業ではありません。出来事は「ある町で、運転手が乗らない自動運転バスの試験運行が始まった」です。
| 学部の系統 | 論点の例 | 材料を探す白書の例 |
|---|---|---|
| 法・政治 | 事故が起きた時の責任を、運行する事業者・車の製造者・町のだれがどう負うべきか | 交通安全白書(内閣府)、警察白書 |
| 経済・経営 | 自動運転の広がりで、運転の仕事を失う人と新しく生まれる仕事をどう考えるか | 労働経済白書(厚生労働省)、交通政策白書 |
| 情報・工学 | 安全のためのデータの収集と、乗る人の個人情報の保護をどう両立させるか | 情報通信白書、個人情報保護委員会の年次報告 |
| 医療・福祉 | 車いすを使う人や目の不自由な人が、運転手のいないバスに乗る時の支えを誰が担うか | 障害者白書(内閣府)、交通政策白書 |
論点の形にすると、必要な材料も決まります。法の論点なら責任の決まり、経済の論点なら仕事の移り変わり、医療・福祉の論点なら障害のある人の移動の実態が材料になります。手順2で白書や統計に当たるのは、このためです。
時事問題(2026年・2027年度入試)の追い方
この記事では、特定のニュースを出題の予想として挙げません。時事問題は、試験の時点で話題の出来事がそのまま設問になるとは限りません。
東京修学館の目安では、試験の前の1年ほどのニュースを追い、一つひとつを数年単位で続く課題に結びつけてネタ帳に書きます。数年単位で続く課題とは、人口の変化、エネルギー、デジタル化、働き方などです。
出来事の細部を覚えるより、その出来事がどの課題の一場面なのかを説明できることが大切です。白書の版を二つ並べると、同じ課題の数字や国の取り組みがどう変わったかも見えます。
ネタ帳の作り方(1主題1ページの型と例)
この節の答え1つの主題を1ページにまとめ、出典つきの数字、対立する立場、自分の考え、志望学部とのつながりを毎回同じ項目で書きます。
ネタ帳は、集めた材料を小論文で使える形に整えるノートです。ノートでもパソコンのファイルでもかまいません。大切なのは、1つの主題を1ページにまとめ、同じ項目を毎回埋めることです。
自分の考えは60字ほどの一文にします(東京修学館の目安)。答案の序論で立場を示す一文に、そのまま近い形で使えるからです。ネタ帳は週に1回見直し、新しいニュースや数字を書き足して、古くなった数字には印をつけます。
1ページに書く項目と、その書き方の例は次のとおりです。例は説明のための創作で、数字の欄は実際の白書から写す場所を示しています。
| 項目 | 書くこと | 例(創作) |
|---|---|---|
| 主題 | 何についてのページか | 再生可能エネルギーと地域(太陽光発電の設置) |
| きっかけの出来事 | ニュースを一文で。媒体名と日付 | ある町が、山の斜面への太陽光パネルの設置に条件をつける決まりを作った(架空。実際は「〇〇新聞、20XX年〇月〇日」のように控える) |
| 事実と数字 | 白書・統計から2〜3個。版の年と図表の番号 | エネルギー白書・環境白書の該当の章から、電源の内訳などを原本のまま写す |
| 立場A | 進める側の理由 | 温室効果ガスを減らすために、設置を広げたい |
| 立場B | 慎重な側の理由 | 斜面の崩れや景観への影響を心配する住民がいる |
| 自分の考え | 立場と理由を一文で | 設置は進めつつ、場所の条件を住民と決める仕組みが要る |
| 自分の経験 | 見聞きしたこと | 通学路の空き地にパネルが並び、家族の間で話題になった |
| 志望学部とのつながり | 大学で深めたい問い | 法学部なら環境と法、工学部ならエネルギーの技術、経済学部なら費用の負担 |
| 使えそうな設問 | 想定する主題の形 | 環境と法、科学技術と社会、地域の合意づくり |
試験の前には、ネタ帳を読み返して、立場と理由を口に出して説明できるかを見ます。本番では、設問に合うページを1つか2つ選び、その中の材料だけを使います。用意した材料を全部入れようとすると、設問からずれやすくなります。
ネタ帳を面接と志望理由書にも使う
ネタ帳の「志望学部とのつながり」の欄は、面接や口頭試問で関心のある社会の課題を聞かれた時の準備にもなります。口頭試問の形は口頭試問とはにまとめています。
志望理由書に書く問題意識とネタ帳の主題がつながっていると、書類と試験の話が一貫します。
ネタ本(小論文の参考書)の選び方の考え方
この節の答え志望学部の主題が章になっているか、出典と年が書いてあるかで選び、1冊を読み切って結論は写さずにネタ帳へ移します。
小論文の参考書のうち、主題ごとに背景や論点、用語をまとめた本は「ネタ本」と呼ばれます。この記事では、特定の本の名前は挙げません。本の種類と、選ぶ時に見るところを示します。
| 種類 | 中身 | 向く使い方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| テーマ解説型(ネタ本) | 主題ごとの背景・論点・用語の解説 | 主題の全体をつかむ。ネタ帳の主題を選ぶ | 本の結論を自分の意見として写さない |
| 書き方・演習型 | 型の説明、例題、答案例 | 構成と時間配分の練習 | 主題の材料は別に補う |
| 新書・入門書 | 一つの分野を専門家が解説 | 志望学部の主題を深める | 読んだら要約してネタ帳に移す |
| 白書の概要版 | 府省が現状と施策を数字でまとめた資料 | 数字と国の取り組みを引く | 何年版かを控える |
東京修学館では、ネタ本を選ぶ時に次の順で見ることを勧めています。最初に、志望学部の系統の主題が章として立っているかを見ます。
次に、データや出来事に出典と年が書いてあるか、賛成と反対の両方の考えが紹介されているかを見ます。出典の書いていない数字は、答案の根拠には使わないようにします。
本の数字は、刊行された時点のものです。版の年が古い本を使う時は、白書や統計の新しい版で数字を置き換えてからネタ帳に移します。
何冊そろえるか
東京修学館の目安では、テーマ解説型を1冊、志望学部の分野の新書を1〜2冊です。何冊も読みかけにするより、1冊を読み切って主題ごとにネタ帳へ移すほうが、答案で使える材料になります。
書き方の型は、本ではなく小論文の書き方の記事でも身につけられます。
集めた材料を答案に使う時の注意(数字・出典・一般論)
この節の答えうろ覚えの数字や本の結論の丸写し、設問とずれた材料は避け、材料ごとに自分の主張へつなげて具体策まで書きます。
材料は、量よりも使い方で答案の質が決まります。次の表は、材料の使い方の失敗と直し方です。
| 失敗 | 何が起きているか | 直し方 |
|---|---|---|
| 数字をうろ覚えで書く | 年や単位が抜け、違う数字になる | ネタ帳の数字だけを使う。覚えていなければ「増えている」など向きで書く |
| ネタ本の結論を写す | なぜそう考えるかを自分の言葉で言えない | 立場は自分で決め、本の記述は理由の一つとして使う |
| 材料を並べるだけ | 事実の列挙で終わり、意見が見えない | 材料ごとに「だから〜」と自分の主張につなぐ |
| 設問とずれた材料を入れる | 用意したネタを書きたくて論点が動く | 設問の言葉に合う材料だけを選ぶ |
| 一般論で終わる | 「社会全体で考えるべきだ」で終わり、具体策がない | 誰が何をするかまで書く |
| 出どころの分からない話を使う | 根拠のない話が混ざる | 白書・統計・新聞など、出どころを言えるものに限る |
答案に出典をどう添えるかは、記事の最後の質問で答えています。
材料を序論・本論・結論のどこに置くか、理由と具体例をどう段落に組むかは、小論文の構成の設計図の作り方で説明しています。
出願前・試験前の確認リスト
この節の答え要項の主題の範囲と形式、過去の問題、ネタ帳のページ数と出典、本番と同じ字数・時間での練習を出願前に見直します。
チェックが埋まらない項目は、試験日から逆算して準備の順番を決めます。ネタ集めは、書く練習と並行して進めるのが東京修学館の目安です。
週に1本書くたびに、足りなかった材料をネタ帳に足していくと、主題ごとのページが少しずつ厚くなります。
いつから始めるか、残り期間ごとの計画は小論文対策はいつからにまとめています。書いた答案は学校や塾の先生に読んでもらい、材料が設問に合っているかを見てもらいます。
よくある質問
- Q. 小論文のネタが足りているかは、どう判断すればいいですか?
- A. ページの数より、1ページから答案1本分の材料を取り出せるかで判断します。理由を2つ、具体例を1つ、反対の立場への答えを1つ、そのページだけで用意できれば足りています。どれかが欠けるページは、白書や統計で数字を足すか、自分の経験を書き足します。数がそろってから中身を厚くするより、1ページずつ仕上げるほうが本番で使えます。
- Q. 小論文のネタ本は1冊で足りますか?
- A. 東京修学館の目安では、1冊で足ります。足りないと感じた主題だけを、新書や白書の概要版で補います。何冊も買うと同じ主題の説明が重なり、自分の考えを書く時間が減ります。1冊目は最初から順に読むより、志望学部の主題が載っている章から読み始めると、ネタ帳のページを早く作れます。
- Q. 時事問題のニュースは、ネタ帳にどうつなげればいいですか?
- A. ニュースを1つ読んだら、その出来事を扱う白書をe-Govポータルの「白書等」の一覧から選び、何年版のどの章に関係するかをネタ帳に書きます。たとえば犯罪に関わる出来事なら犯罪白書、働き方に関わる出来事なら労働経済白書の該当の章です。出来事の話題性は薄れても、白書の章が扱う課題は続くので、答案では課題の側から書けます。
- Q. 志望学部と関係の薄いテーマが出たら、どうすればいいですか?
- A. 設問の主題の中から、志望学部の学びとつながる一点を探して論じます。たとえば法学部を志望していて「食料と農業」の設問が出たら、食品の表示の決まりや、生産者と消費者の取引のルールの面から考えられます。どの学部でも使える主題(人口、働き方、環境、科学技術と社会)の材料も使えます。ただし、設問からずれない範囲で使うことが前提です。
- Q. 新聞を取っていなくても、小論文のネタは集められますか?
- A. 集められます。府省の白書はWebで読め、e-Govポータルの「白書等」の一覧から探せます。統計は政府統計の総合窓口(e-Stat)で分野ごとに探せます。ニュースはテレビやニュースサイトでもかまいません。図書館で新聞を読み、気になった記事の媒体名と日付をネタ帳に控える方法もあります。
- Q. 小論文で白書や統計の数字を書く時、出典は書きますか?
- A. 試験の答案では、設問と要項の指示に従います。指示がなければ、「厚生労働省の白書によると」のように出どころを短く添えると、根拠の確かさが伝わります。出願時のレポートでは、上智大学の新聞学科や看護学科のように、出典や参考文献の明記を求める例があります。ネタ帳の段階で出どころを控えておきます。
まとめ
小論文の準備では、書き方の型と並んで、何を書くかの材料が要ります。志望校の要項の「〜に関する小論文」から主題の範囲を読み、白書・統計・ニュースから材料を集めます。
集めた材料は1主題1ページのネタ帳に、出典つきの数字・対立する立場・自分の考えの形でまとめます。ネタ本は主題の全体をつかむ1冊に絞り、結論は自分で決めます。
東京修学館では、志望学部の主題の絞り込みとネタ帳づくり、小論文の答案の見直しを無料相談(60分)でお手伝いしています。
参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項
- 2027年度 入学試験要項 推薦入学試験(公募制)
- 入学試験要項 2027 総合型入試
- 令和9(2027)年度 学生募集要項〔総合型選抜〕
- 令和9年度 総合型選抜入学試験要項
- 2027年度 入学試験要項(AO入試・自己推薦入学試験・推薦選抜入学試験)全ページ
- 令和9年度千葉大学入学者選抜要項
- 白書等
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)
- 日本の統計
- 白書、年次報告書
- 犯罪白書
- こども白書
- 科学技術・イノベーション白書
リンク先の確認日:2026-10-27
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