大学受験で調査書で落ちることはある?評定・欠席日数の扱いと入試方式別の違い

大学受験で調査書で落ちることはある?評定・欠席日数の扱いと入試方式別の違い 受験の知識

「調査書で落ちることはあるのか」は、評定や欠席日数に不安がある人が一度は気にする疑問です。答えは、入試の方式と、要項で調査書がどう使われているかで変わります。この記事は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と、2027年度入試(2027年4月入学)の大学の要項をもとに整理します。調査書が出願資格・点数・参考資料のどれとして使われるかを、大学の実例で示します。評定が基準に届かない時の要項の読み方、欠席日数・遅刻・指導上参考となる諸事項の扱いも説明します。総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜の違いと、出願前に自分で見られることもまとめました。

調査書で落ちることはある?結論と合否に関わる仕組み

この節の答え調査書だけで最終の合否を決める入試はなく、出願資格・書類選考・点数などの扱いは大学が決めて要項に書きます。

大学受験で調査書で落ちるか 要点
書類だけの最終判定
しない
総合型・推薦も小論文や面接などを使う。第1次選考を書類で行う方式はある
道が閉じる場面
出願資格
評定・概評・欠席の基準に届かないと、その方式に出願できない
点数にする例
250点中50点
神奈川大学 適性検査型、龍谷大学 公募推薦スタンダード方式
全国共通の基準
ない
欠席や評定の何日・何点で落ちるという定めは実施要項にない
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」 第3の1・第5、各大学の2027年度入試の要項(大学別の記事に出典を記載)

調査書は、高校が作る成績と学校生活の記録で、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜で原則として提出を求められます。調査書の様式や記載項目、頼み方は「調査書とは」の記事で説明しています。

この記事では、その調査書が合否にどう関わるかに絞ります。

結論から言うと、調査書だけで最終の合否を決める入試はありません。一方で、調査書の数字が基準に届かず出願できない場面、書類の第1次選考で調査書の点を含む評価が届かず不合格になる場面、評定が点数として合計に入る場面はあります。

どちらに当たるかは、志望する方式の要項を読めば分かります。

実施要項が定めている調査書の扱い

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、選抜の資料として、在籍する高校が別紙様式1で作った調査書1を出してもらうよう大学に求めています(第5の1)。そのうえで、調査書を十分に活用するよう大学に求めています(第5の2)。

実施要項にある、調査書と合否の関係を決める定め(2027年度入試)
定め内容箇所
調査書の提出大学は、在籍する高校が別紙様式1で作った調査書の提出を求める第5の1
成績以外も活用成績の欄に限らず、調査書のほかの記載事項も活用する(例:探究・特別活動・指導上参考となる諸事項)第5の2(1)
評定を出願要件に大学が重要と判断する教科・科目を指定し、一定水準以上の評定を出願要件として求めることができる第5の2(2)
活用の仕方を明記調査書や本人が書く資料をどう活用するかを、募集要項等に明記する第10の1(2)
書類だけで判定しない総合型選抜・学校推薦型選抜は、調査書等の出願書類だけでなく、小論文・面接・教科のテスト・資格・共通テストなどのうち少なくとも一つを使う第3の1(2)③・(3)②
健康状況原則として判定資料にしない。本人に帰責されない病気・事故などの欠席には、不利益が出ないよう配慮する第13の2(1)
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」

「評定を出願要件にできる」と「活用の仕方を募集要項に書く」の2つの定めが、この記事の答えの出発点です。調査書の扱いは全国一律ではなく、大学が決めて要項に書きます。

だから、調査書で落ちるかどうかは、志望する方式の要項でしか答えが出ません。

調査書は合否にどう使われるか(出願資格・点数化・参考資料)

この節の答え調査書の使われ方は出願資格・点数化・参考資料の3つの型で、神奈川大学や龍谷大学は評定を10倍して250点中の50点にします。

要項での調査書の使われ方は、大きく3つの型に分かれます。1つの方式が複数の型を兼ねることもあります。

調査書の使われ方 3つの型(2027年度入試の例)
型要項での書かれ方合否への関わり方例
出願資格「全体の学習成績の状況が3.0以上」「学習成績概評がA段階」など基準に届かないと、その方式には出願できない愛知淑徳大学の総合型選抜(3入試とも3.0以上)、千葉大学の学校推薦型選抜(文・医・薬・看護学部はA段階)
点数化「評定平均値×10」「調査書10点」など配点が書かれる合計点の一部になる。評定が高いほど点が上がる神奈川大学 適性検査型(50点)、北海道大学 フロンティア入試、共立女子大学 基礎力判定方式(10点)
参考資料・総合判定「面接の参考資料」「総合して判定」「得点化しない」など配点は無いが、書類審査や面接で読まれる弘前大学の一般選抜の個人面接、同志社大学 商学部 AO入試、近畿大学 推薦入試(一般公募)
各大学の2027年度入試の要項による(くわしくは大学別の記事)

出願資格の型は、受験の前に結果が決まります。点数化の型は、試験の得点と同じように合計点に効きます。参考資料の型は、点数の形では表に出ませんが、書類審査や面接で読まれます。

評定を点数にする方式(配点の例)

神奈川大学の総合型選抜(適性検査型)は、評定の出願基準がありません。そのかわり、調査書の全体の評定平均値を10倍した値(50点満点)を、筆記試験2教科(各100点)の得点に足して6250点満点にします。

龍谷大学の公募推薦入試(学校推薦型選抜)のスタンダード方式も、全体の学習成績の状況を10倍して50点とし、2科目200点と合わせた250点で判定します。

計算の例を挙げます。全体の評定平均値が3.6なら36点、4.2なら42点です。

評定が0.1違うと、250点満点の中で1点違う計算です。評定だけで勝負がつく配点ではありません。

ただし、評定が低い人ほど、筆記試験で取り返す点が増えます。

龍谷大学の公募推薦入試では、評定が点数に入るのは5つの方式のうちスタンダード方式だけです。2科目方式などほかの方式では、評定は点数に入りません。同じ大学でも、方式を選ぶことで調査書の重みを変えられます。

北海道大学 フロンティア入試TypeⅠ 第1次選考(書類100点)のうち調査書の配点
医学部 医学科
20点
歯学部
20点
医学部 保健学科 作業療法学専攻
30点
工学部 社会基盤学コース
50点
工学部 応用マテリアル工学コース
60点
北海道大学「令和9(2027)年度 学生募集要項 フロンティア入試(総合型選抜)」による(くわしくは大学別の記事)。残りの点はコンピテンシー評価書・自己推薦書などの配点。調査書とほかの書類をまとめて採点する学科は除いた

北海道大学のフロンティア入試(総合型選抜)TypeⅠは、第1次選考を書類で行います。書類100点のうち調査書の配点は、医学部医学科と歯学部が20点、工学部の応用マテリアル工学コースが60点です。

同じ大学の同じ入試でも、学科によって調査書の重みが3倍違います。

配点の例はほかにもあります。九州大学の総合型選抜Ⅱの歯学部は、第1次選抜の評価点に調査書50点を含めます(課題講義のレポート250点、グループ面接100点)。

共立女子大学の基礎力判定方式は、評定の出願基準がない一方で調査書を10点で評価します。愛知淑徳大学の大学理念・違いを共に生きる入試は、第1次選考の課題レポート30点と調査書[学習成績の状況]10点で書類審査をします。

「参考資料」「総合して判定」と書かれている方式

配点が書かれていない方式でも、調査書が読まれないわけではありません。近畿大学の推薦入試(一般公募。

短期大学部を除く)は、調査書と事前課題(小論文)を得点化しないと要項に書いています。そのうえで、試験の得点と合わせて総合的に判定します。

同志社大学の商学部 AO入試は、評定の基準を設けず、調査書を学力把握の参考にしています。

関係する国の方針として、文部科学省「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告について(通知)」(平成29年7月13日)があります。この通知は、評定平均値を、高校の学習成績を全体的に把握するうえでの一つの目安と位置づけました2。

あわせて平成32年度から呼び名を「学習成績の状況」に改めるとし、調査書を「どのように」活用するかを募集要項に明記する方向を示しています。

評定が基準に届かないとどうなるか(要項の基準の読み方)

この節の答え評定の基準に届かないとその方式には出願できませんが、「いずれか」や「望ましい」の書き方なら出願できる場合があります。

評定の基準が出願資格に書かれている方式では、基準に届かないとその方式に出願できません。試験で不合格になるのとは違い、受験の前に対象から外れます。逆に言えば、基準を満たしていれば、評定は出願の段階では問題になりません。

ただし、「基準に届かない」と思っても、要項の書き方を正しく読むと出願できる場合があります。基準の書き方は、主に次の6つに分かれます。

要項にある評定の基準の書き方と読み方(2027年度入試の例)
書き方例読み方
全体の値で区切る愛知淑徳大学の総合型選抜:学習成績の状況3.0以上全科目の評定平均(全体の学習成績の状況)だけを見る
学習成績概評で示す千葉大学の学校推薦型選抜(文・医・薬・看護学部):学習成績概評がA段階A段階は全体の学習成績の状況が4.3以上
全体と教科の両方中央大学 文学部 日本史学専攻(自己推薦):全体3.8以上かつ「歴史総合」「日本史探究」4.5以上全体を満たしても、教科の基準に届かないと出願できない
ほかの条件と「いずれか」関西学院大学 探究評価型:3.5以上、または指定の英語資格のスコア/神奈川工科大学 一般公募制(学校推薦型選抜):全体3.0以上、届かなくても指定教科の平均3.0以上なら可評定が足りなくても、別の条件で出願資格を満たせる
「望ましい」お茶の水女子大学 新フンボルト入試:学習成績概評がA段階以上であることが望ましい出願の要件ではない
年度で変わる弘前大学 医学部医学科の総合型選抜Ⅱ:評定平均値4.3以上の要件を2027年度入試で廃止前の年の要項で判断しない
各大学の2027年度入試の要項による(くわしくは大学別の記事)

見落としやすいのは「いずれか」と「望ましい」です。関西学院大学の探究評価型は、評定3.5以上か英語資格のスコアのどちらかがあれば出願できます(文系はCEFR B1以上、理系はA2以上)。

神奈川工科大学の学校推薦型選抜(一般公募制)は、全体が3.0に届かなくても、普通科なら英語・数学・理科の平均が3.0以上で出願できます。

お茶の水女子大学の新フンボルト入試の「A段階以上が望ましい」は、満たさないと出願できない条件ではありません。反対に、中央大学の文学部 日本史学専攻のように、全体と教科の両方を求める基準は、教科の評定まで見る必要があります。

「基準なし」の方式でも評定が効くことがある

出願資格に評定の基準がないことは、評定が合否と無関係という意味ではありません。上で見た神奈川大学の適性検査型は、基準なしで出願できますが、評定が50点分の点数になります。

共立女子大学の基礎力判定方式も、基準なしで調査書を10点で評価します。基準のない方式を探す時は、選考方法の欄で配点まで見ておくと、出願後の見通しが立ちます。

どの時点の成績で判断されるか(高3の1学期まで、2年次末までなど)も方式ごとに違うので、出願資格の欄で期間まで読みます。評定平均の計算と、基準に届かない時の考え方は学習成績概評と評定平均の計算方法、基準のない大学は総合型選抜で評定がいらない大学一覧の記事にまとめています。

欠席日数・遅刻・指導上参考となる諸事項は見られるのか

この節の答え欠席日数は書かれて上限を出願資格にする方式もありますが、遅刻・早退の回数を書く欄は様式に無く、扱いは欄ごとに違います。

調査書の裏面には、出欠の記録、指導上参考となる諸事項、特別活動の記録などが書かれます。成績以外の欄が合否にどう関わるかは、欄ごとに定めが違います。

成績以外の記録は合否にどう関わるか(2027年度入試の定め)
気になる記録調査書に書かれるか合否との関わり(定めと例)
欠席日数書かれる。学年ごとの欄で、最終学年は直近の学期末まで上限を出願資格にする方式がある。上限が無い方式でも、書類審査で読まれることはある
病気・けがによる欠席欠席日数として書かれる本人に帰責されない理由のやむを得ない欠席は、不利益が出ないよう配慮すると実施要項が定める
遅刻・早退様式の「出欠の記録」に遅刻・早退の欄は無い回数が数字で並ぶ欄は無い。備考の書き方は様式で決まっていない
出席停止・忌引き等2027年度入試の調査書では、原則として日数を記載しない(授業日数も原則として記載しない)欠席日数には入らない扱い(くわしくは欠席日数の記事)
指導上参考となる諸事項特徴・特技、学校外の活動、留学・休学の期間などを必要最小限に書く実施要項は、成績以外の記載事項も有効に活用するよう大学に求めている
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」 第5の2(1)・第13の2(1)、別紙様式1、調査書記入上の注意事項等について 12・14・17(2)

欠席日数

欠席日数の上限を出願資格に書いている方式はあります。総合型選抜と欠席日数の記事で42大学の要項を調べた範囲では、上限を書いていたのは4大学5方式(うち1方式は学校推薦型選抜)でした。

大学ごとの日数と数える期間、病気の時の申し出の方法は、その記事で説明しています。

実施要項は、出欠の状況を推薦要件や合否判定の材料にする時の配慮を定めています(第13の2(1))。病気・事故など本人に帰責されない理由のやむを得ない欠席を、本人の申し出や調査書の記載で大学が知った場合は、不利益を被らないよう配慮するという内容です。

遅刻・早退

2027年度入試の様式(別紙様式1)で出欠を書く欄に、遅刻や早退の回数の欄はありません。授業日数と出席停止・忌引き等の日数も、2027年度入試では原則として書きません(注意事項17(2))。

出欠の記録の扱いは総合型選抜と欠席日数の記事でくわしく説明しています。

指導上参考となる諸事項

この欄には、生徒の特徴・特技や学校外の活動などを、要点を箇条書きするなど必要最小限に書きます(注意事項12)。留学や休学をした場合は、その期間などもこの欄に入ります。

調査書の作り方(注意事項2・3)は、冒頭で挙げた「調査書とは」の記事で説明しています。受験生は中身を自分で書き換えることはできないので、心配な点は作る側の高校に相談します。

総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜での扱いの違い

この節の答え調査書を主な資料とするのは学校推薦型選抜で、一般選抜でも東北大学の同点時や弘前大学の面接のように使われる例があります。

調査書の重みは、入試の方式で大きく変わります。実施要項の位置づけと、2027年度入試の要項の例を並べると次のとおりです。

入試方式別 調査書が合否に関わる形(2027年度入試の例)
方式実施要項での調査書要項にある合否への関わり方の例
総合型選抜詳細な書類審査と丁寧な面接などで総合的に評価。調査書等の出願書類だけでは判定しない(第3の1(2))出願資格(愛知淑徳大学 3.0以上)、点数化(神奈川大学 50点、北海道大学 20〜60点)、基準なし・参考(同志社大学 商学部)
学校推薦型選抜高校長の推薦をもとに、調査書を主な資料にして評価・判定する。推薦要件は具体的に示す(第3の1(3))推薦要件(千葉大学 A段階)、点数化(龍谷大学 スタンダード方式 50点)、得点化しない(近畿大学 一般公募)
一般選抜学力検査・小論文などを主な資料とし、調査書・面接などを組み合わせる(第3の1(1))同点の時の判断(東北大学)、面接の参考資料(弘前大学・京都大学 医学部医学科)
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」 第3の1、各大学の令和9年度(2027年度)入学者選抜要項・募集要項(くわしくは大学別の記事)

学校推薦型選抜は調査書が主な資料

学校推薦型選抜は、実施要項で「調査書を主な資料としつつ」評価すると定められた入試です。一般選抜は学力検査・小論文などが主な資料で、総合型選抜の定義には「主な資料」という言葉がありません。

制度の全体は学校推薦型選抜とはの記事で説明しています。

指定校推薦は、高校の中の選考で評定が使われることがあり、落ちる場面も公募制とは違います。くわしくは指定校推薦で落ちることはあるかの記事で、4つの場面に分けて説明しています。

一般選抜でも調査書が効く場面

一般選抜は学力検査が主な資料ですが、調査書を使う大学はあります。東北大学の一般選抜(前期日程・後期日程)は、学力検査の成績と「主体性評価チェックリスト」で選抜します。

志願票に調査書と対応した5項目のチェックリストがあり、志願者が自分でチェックする方式です。

東北大学は、合否ラインで志願者が同点で並んだ場合、このチェックリストの評価が高い志願者を優先して合格にする3と要項に書いています。点数が同じ時に限って、調査書と結びついた評価が順位を決める例です。

面接のある一般選抜では、調査書が面接の資料になります。弘前大学は、一般選抜(前期日程・後期日程)の個人面接を、事前に出された調査書を参考資料にして行います4。

京都大学の医学部医学科の一般選抜も、調査書を面接の参考資料にしています5。

「調査書で落ちた」と言える場面・言えない場面

この節の答え出願資格に届かない時や書類の第1次選考で落ちた時は調査書が関わったと言えますが、何日・何点で落ちるという全国共通の基準はありません。

ここまでの例をもとに、「調査書で落ちる」と言える場面と、言い切れない場面を分けます。

調査書で落ちると言える場面・言い切れない場面
区分場面要項・実施要項の根拠や例
言える評定・学習成績概評・欠席日数の出願資格に届かず、その方式に出願できない愛知淑徳大学 3.0以上、千葉大学 A段階など
言える調査書が点数化されていて、合計点の差になった神奈川大学・龍谷大学(評定×10で50点)、北海道大学、九州大学 歯学部
言える書類の第1次選考で、調査書の点を含む評価が届かず不合格になった北海道大学 フロンティア入試TypeⅠ、愛知淑徳大学 大学理念・違いを共に生きる入試、共立女子大学 共立リーダーシップ方式の被服学科など
言える調査書の不備や開封で、審査を受けられない・無効になった共立女子大学(開封されたものは無効)
言い切れない調査書を含む書類審査の評価が著しく低く、総合評価が合格点でも不合格になった国士舘大学のAO選抜。書類審査には出願基準証明書・学修計画書も入る
言い切れない配点の無い方式で、ほかの試験と合わせて総合的に判定された近畿大学 推薦入試(一般公募)など。何が決め手かは要項から読めない
言えない最終の合否を調査書だけで決められた総合型・推薦は、出願書類だけでなく小論文・面接などの評価を少なくとも一つ使うと実施要項が定める(第1次選考の書類審査は別)
各大学の2027年度入試の要項と、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」 による

国士舘大学のAO選抜は、小論文・面接・書類審査(調査書、出願基準証明書、学修計画書)を各100点で評価します。要項は、総合評価が合格点に達していても、いずれかの評価が著しく低い場合は不合格になることがある7としています。

書類審査に調査書が含まれるので、こうした方式では調査書の中身が合否に響く余地があります。

書類の手続きでつまずく場面もあります。共立女子大学の要項は、出願書類に不備があると審査を受けられないことがあり、開封された調査書は無効と定めています。中身ではなく扱い方で道が閉じる例です。

「欠席◯日以上は落ちる」と言える根拠はない

「欠席が◯日を超えたら終わり」「評定◯以下は不合格」といった言い方が語られることがあります。実施要項を読んでも、そうした全国共通の線引きは出てきません。

調査書が原因の不合格の数を示す統計も、この記事で使った公的な資料にはありません。

要項にあるのは、方式ごとの出願資格と配点、そして「総合的に判定する」という書き方です。書類や面接など、調査書以外の理由で差がつく場面は総合型選抜で受かる人・落ちる人の違いの記事で説明しています。

出願前に自分で確認できること(手順とチェックリスト)

この節の答え自分の評定と欠席日数を把握し、要項の出願資格と選考方法の欄で調査書の基準・配点・参考資料の扱いを読んでから出願先を選びます。

調査書の中身は高校が作るものですが、それが志望校でどう使われるかは、受験生が自分で調べられます。次の順に進めると、出願の直前に慌てずにすみます。

調査書で落ちないために出願前に確認する手順
1
自分の数字を知る
全体の学習成績の状況、学習成績概評、教科ごとの状況、学年ごとの欠席日数を担任の先生に聞く
2
出願資格の欄を読む
全体・概評・教科のどれで区切るか、「いずれか」「望ましい」の書き方か、いつまでの成績か
3
選考方法の欄を読む
調査書の配点(評定×10・10点など)があるか、参考資料・総合判定の書き方か
4
事情があれば申し出の方法を見る
病気などの欠席、未履修、留学・休学がある時は、配慮の定めと申し出の期限を見る
5
書類の条件を高校と相談する
発行日の条件、厳封、通数を要項で見て、発行を早めに頼む
6
分からない点は大学に聞く
要項で判断できない時は、出願の前に入試の窓口に問い合わせる
出願期間は、総合型選抜が2026年9月1日以降、学校推薦型選抜が2026年11月1日以降(実施要項 第4の4・第4の5)。方式ごとの期間は要項による

実施要項は、総合型選抜の入学願書の受付を2026年9月1日以降1、学校推薦型選抜を2026年11月1日以降としています(第4の4・5)。高1・高2のうちに、自分の評定と欠席日数を担任の先生に聞いておくと、基準に届かない方式が見つかっても、別の方式を探す時間が残ります。

調査書が合否にどう関わるか 出願前のチェックリスト
自分の全体の学習成績の状況と学習成績概評を把握した
志望する方式の出願資格に、評定・概評・欠席日数の基準があるかを読んだ
基準が「全体」「教科」「概評」のどれで、いつまでの成績で判断するかを見た
「いずれか」の別の条件や、「望ましい」の書き方でないかを見た
選考方法の欄で、調査書の配点や参考資料の扱いを読んだ
同じ大学のほかの方式で、調査書の扱いが違わないかを比べた
病気などの欠席がある時は、要項の配慮の定めと申し出の方法を見た
調査書の発行日・厳封・通数の条件を高校に伝えた

調査書の数字は、出願の時点で変えられない部分が大きい記録です。変えられるのは、どの方式を選ぶかと、調査書以外の書類や試験の準備です。評定の扱いが違う方式を並べて比べると、自分の調査書を生かせる出願先が見えてきます。

よくある質問

Q. 評定が出願資格に届かないまま出願すると、どうなりますか?
A. 出願資格は、満たしている人だけが出願できる条件です。届いていない場合、その方式の対象から外れるので、受験の前に道が閉じます。ただし、関西学院大学の探究評価型のように、英語資格で代えられる「いずれか」の書き方があります。お茶の水女子大学の新フンボルト入試のように「望ましい」とする書き方もあるので、要項を読み直してから別の方式を探します。判断に迷う時は、出願前に大学の入試の窓口に問い合わせます。
Q. 一般選抜でも調査書は合否に関係しますか?
A. 一般選抜は学力検査が主な資料ですが、調査書を使う大学もあります。東北大学は、合否ラインで同点の時に、調査書と対応した主体性評価チェックリストの評価が高い志願者を優先して合格にします。弘前大学の一般選抜の個人面接や京都大学 医学部医学科の面接では、調査書が参考資料になります。扱いは大学ごとに要項の選考方法の欄に書かれます。
Q. 評定が出願資格に届かない時、同じ大学の別の方式なら出願できますか?
A. できる場合があります。同じ大学でも、方式や学部で評定の基準が違うからです。共立女子大学は、基礎力判定方式に評定の出願基準がありません。共立リーダーシップ方式で基準があるのは、ビジネス学部(3.2以上)と食物栄養学科 管理栄養士専攻(3.6以上と理科の評定の条件)です。中央大学も、法学部・経済学部・商学部の各方式に評定の基準の記載がない一方、文学部 日本史学専攻は全体3.8以上を求めます。別の方式に切り替える時は、出願資格と併願の条件をあわせて読みます。
Q. 調査書の評定は、何点として計算されますか?
A. 点数化の仕方は大学ごとに違います。神奈川大学の適性検査型と龍谷大学の公募推薦スタンダード方式は、全体の評定平均値(学習成績の状況)を10倍して50点満点にします。評定4.0なら40点です。北海道大学のフロンティア入試は、学科ごとに書類100点のうち調査書に20〜60点を配分しています。配点が書かれていない方式もあります。
Q. 指導上参考となる諸事項に悪いことが書かれていないか心配です。
A. 調査書は、高校の委員会の審議を経て校長の責任で作られ、個人的な主観にとらわれずに作ると実施要項で定められています。指導上参考となる諸事項の欄は、特徴・特技や学校外の活動などを必要最小限に書く欄です。中身は自分で書き換えられないので、心配な点は高校に相談してください。
Q. 評定の基準がない総合型選抜なら、評定は合否に関係ありませんか?
A. 関係する場合があります。神奈川大学の適性検査型は評定の出願基準がありませんが、評定平均値の10倍が点数に入ります。共立女子大学の基礎力判定方式も、基準なしで調査書を10点で評価します。基準がない方式でも、要項の選考方法の欄で調査書の配点や扱いを見てください。

まとめ

調査書だけで最終の合否を決める入試はありません。調査書で道が閉じるのは、評定・学習成績概評・欠席日数の出願資格に届かない時と、書類の第1次選考で調査書の点を含む評価が届かない時です。

評定を点数にする方式、面接や同点時の参考にする方式もあり、扱いは大学が要項に書きます。出願資格と選考方法の欄を読み、「いずれか」「望ましい」の書き方まで見て、自分の調査書を生かせる方式を選んでください。

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参考資料

この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。

  1. 令和9年度大学入学者選抜実施要項(別紙様式1 調査書・調査書記入上の注意事項等について を収録)文部科学省・2026-05-27・PDF
  2. 平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告について(通知)文部科学省・2017-07-13・PDF
  3. 令和9年度(2027年度)東北大学 入学者選抜要項東北大学
  4. 令和9(2027)年度入学者選抜要項弘前大学・2026-07・PDF
  5. 令和9年度京都大学入学者選抜要項京都大学・PDF
  6. 2027年度 入学試験要項 総合型選抜(総合評価型/適性検査型)神奈川大学・PDF
  7. 令和9年度(2027年度)入学者選抜要項国士舘大学・PDF

リンク先の確認日:2026-10-26

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