志望理由書の中で、自己PRと将来の夢(将来の目標)をどう書くかを整理します。自己PRは強みが表れた行動として短く入れ、将来の夢は大学で学ぶことと一本の筋でつなぐのが基本です。この記事は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と各大学の2027年度入試(2027年4月入学)の要項をもとに、様式の型、自己推薦書との書き分け、字数別の配分、NG例と例文を順に見ます。志望理由書全体の構成と手順は志望理由書の書き方の記事にまとめています。
志望理由書の中の自己PRと将来の夢の役割
この節の答え実施要項が志望理由書に書かせる内容のうち、将来の夢は卒業後を見据えた目標に当たり、自己PRは学ぶ力を示す材料として使います。
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、総合型選抜では、志願者本人が記載する資料を評価に活用するとしています(第3の1(2))。例に挙がっているのは、活動報告書、大学入学希望理由書1、学修計画書などです。
志望理由書は、このうちの大学入学希望理由書に当たります。
実施要項は、大学入学希望理由書や学修計画書に書かせる内容として、入学を希望する理由、入学後に学びたい内容と計画、大学卒業後を見据えた目標の3つを挙げています(第6の5(2))。「目標等」とあり、これに限りません。
将来の夢は、3つ目の目標に当たります。
一方、自己PRは、志望理由書に書く内容としては挙げられていません。高校までの活動は活動報告書の役目とされ、課題研究や、学校の内外で意欲的に取り組んだ活動を書かせる1としています(第6の5(1))。
志望理由書の自己PRは、活動の記録ではなく、この大学で学ぶ力と準備があることを示す材料として使います。
| 要素 | 答える問い | 志望理由書のどこに入るか | 分量の目安 |
|---|---|---|---|
| 自己PR(強み) | この学びに取り組める力があるか | きっかけと問いの段落。問いを持った場面での自分の行動として書く | 1〜2文。全体の1割ほどまで(目安) |
| 学びたいこと | この大学・学部で何を学ぶのか | 中心の段落。自己PRと将来の夢をつなぐ | 最も多く |
| 将来の夢(将来の目標) | 学んだことを何に使うのか | 最後の段落。学びたいことの後に置き、学びとのつながりで結ぶ | 全体の2割前後 |
自己PRと将来の夢は、どちらも学びたいことを支える部品です。自己PRは「学べる人であること」を、将来の夢は「学ぶ理由」を受け持ちます。
どちらかが中心の段落より長くなると、志望理由書というより、自己推薦書や将来についての作文に近づきます。
要項に見る、自己PRと将来の夢を書かせる様式
この節の答え様式は1枚にまとめる型、欄が分かれる型、将来の夢を先に書く型、自己PRを別の書類に書く型の4つに分かれます。
自己PRや将来の夢を、どこにどれだけ書くかは、大学の様式で変わります。このサイトの大学別記事で扱った2027年度入試の要項から、様式を4つの型に分けました。
| 型 | 要項の例 | 書き方 |
|---|---|---|
| 1枚の志望理由書にまとめて書く | 弘前大学 農学生命科学部(総合型選抜Ⅰ)は、志望理由・将来への展望・自己PRなどを600字の志望理由書に書く。岡山大学 理・歯・工・農学部(学校推薦型選抜)の志望理由書は、志望学部への興味、大学生活と将来への抱負、高校生活で興味をもってやっていたこと(自分をアピールできること)などをA4片面1枚に書く | 4つの部分の構成の中に、自己PRと将来の夢を組み込む |
| 欄が分かれている | 弘前大学 人文社会科学部の学習計画書(自己PR 400字以内・志望理由と入学後の学習計画 600字以内・大学卒業後の進路希望 200字以内)。岡山大学 経済学部(学校推薦型選抜)の志望理由書(志望理由で1枚、入学後の勉学と自分の長所で1枚) | 欄ごとに役割を分け、同じ経験を同じ書き方で繰り返さない |
| 将来の夢を先に書き、志望理由と結ぶ | 成蹊大学 経営学部などの志望理由書(1に将来の夢や就きたい職業などを書き、2に志望理由と学びたいことを1と関連づけて横書き600字以内)。横浜国立大学 理工学部 材料工学EPの自己推薦書(熱意を600字程度、プログラムを学んだ後の将来の夢を600字程度) | 将来の夢を出発点にして、学びたいことへ筋を通す |
| 自己PRは別の書類に書く | 成蹊大学 経営学部は、自分の得意なことや長所を活動報告書の欄に書く。志望理由書の様式の設問は、将来の夢と志望理由の2つ | 志望理由書では強みを言い直さず、学びに関わる行動だけを短く書く |
型を見分けると、自己PRに使う字数が決まります。1枚にまとめる型では、自己PRは「きっかけと問い」の中の1〜2文です。
欄が分かれている型では、自己PRの欄に強みを、志望理由の欄に学ぶ理由を書き分けます。弘前大学の人文社会科学部の学習計画書は、これまでに熱心に取り組んだことを含めた自己PRの欄を、志望理由と学習計画の欄とは別に設けています。
成蹊大学の型では、将来の夢が志望理由の出発点になります。横浜国立大学の材料工学EPのように、将来の夢だけで600字程度を求める様式もあります。
将来の目標が出願の条件になっている例
将来の目標が、書類の中身だけでなく、出願資格や出願要件の文に入っている方式もあります。
| 大学・方式 | 出願資格・出願要件にある将来の目標(要項の要旨) |
|---|---|
| 成蹊大学 総合型選抜(自己推薦型など共通) | 将来に明確な目標を持ち、それに向かって努力していること。志望する学部が将来の目標の実現に役立つものであること |
| 千葉大学 教育学部 方式Ⅲ(総合型選抜) | 出願要件。大学卒業後(大学院修了後も含む)に千葉県内で公立の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等の教員となることに強い意欲があること。義務教育修了後に教育に関する体験的な活動を行っていること |
| 岡山大学 教育学部 県北地域(学校推薦型選抜Ⅰ) | 卒業後、岡山県北地域で学校教員として教職に就き、学校と地域社会に貢献しようとする強い意志があること |
こうした方式では、志望理由書の将来の目標が、出願資格・出願要件を満たしていることの説明にもなります。目標の書き方が要件の言葉とずれていないかを、要項と並べて読みます。
詳しい条件は成蹊大学、千葉大学、岡山大学の各記事にあります。
志望理由書に自己PRをどこまで・どう入れるか
この節の答え自己PRは問いを持った場面での自分の行動として1〜2文で書き、量は全体の1割ほどまでを目安にします。
自己PRの欄がない志望理由書でも、強みを伝えることはできます。自己PR書や面接の自己PRの組み立ては大学入試の自己PRの書き方の記事で説明しています。
ここでは、志望理由書の4つの部分のどこに、どんな形で強みを置くかを見ます。
| 置く場所 | 強みの見せ方 | 文の例(創作) |
|---|---|---|
| きっかけと問いの中 | 疑問を持った後に、自分でとった行動として書く | 市の広報誌の過去10年分から公園の数を拾い、表にまとめました |
| 学びたいことの前置き | 高校で始めている学びを、入学後の学びの準備として書く | 入門書を読み、〇〇までは理解できましたが、△△の考え方は独学では分かりませんでした |
| 将来の目標の中 | 強みが卒業後の役割で生きる場面を1文で書く | 聞き取ったことを記録して整理する力を、地域の相談窓口で生かしたいと考えています |
どの場所でも、「私の長所は〜です」と強みの名前を言うより、行動の文で示すほうが伝わります。強みの名前を書かなくても、何を自分で調べ、どう続けたかが書いてあれば、読む人は力を読み取れます。
どこまで入れるか:量の目安
量の目安は、強みを示す文が1〜2文、全体の1割ほどまでです。800字なら80字前後になります。強みを裏付けようとして経験を長く書くと、きっかけの説明がふくらみ、学びたいことの字数が足りなくなります。
大会の成績、資格の級、役職などの実績は、活動報告書がある方式ではそちらに書き、活動報告書がない方式でも高校が作る調査書に載ります。志望理由書では、学びたいことに関わる実績だけを1回出し、ほかは書きません。
アドミッション・ポリシーの言葉と強みを合わせる
どの強みを見せるかは、志望学部のアドミッション・ポリシー(求める学生像)を手がかりに決めます。弘前大学の人文社会科学部では、学習計画書を、アドミッション・ポリシーを理解し自己PRができているか2、という観点で点数化します。
求める学生像の言葉と、自分の行動が重なる場面を選びます。方針の読み方はアドミッション・ポリシーとはの記事にあります。
自己推薦書・自己PR書との書き分け
この節の答え同じ経験でも、志望理由書は学ぶ理由、自己推薦書は人物像、活動報告書は事実と、書類ごとに書く中心を変えます。
志望理由書と一緒に、自己推薦書や自己PR書を出す方式もあります。それぞれの書類の役割は自己推薦書とはと大学入試の自己PRの書き方の記事にあります。
ここでは、同じ強みと同じ経験を、書類ごとにどう書き分けるかを一つの例で示します。
| 書類 | 書く中心 | 書き方の例(創作) |
|---|---|---|
| 志望理由書 | 学ぶ理由。経験はきっかけとして短く | 子ども会で小学生30人に下校中に怖いと感じる場所を聞き取り、大人の考える場所と違うと分かったことから、子どもの視点をまちづくりに生かす方法を社会学の面から学びたい、と書く |
| 自己推薦書 | どんな人物か。経験を深く | 聞き取りを始めた理由、答えてもらえなかった時の工夫、地図にまとめるまでの過程、そこで分かった自分の強みまで、段落を使って書く |
| 自己PR書・自己PRの欄 | 強み1つと、大学での生かし方を短く | 強みを1文で言い、聞き取りの場面と、大学の調査実習で生かす場面を書く |
| 活動報告書 | 事実の記録 | 期間、内容(聞き取りの人数と方法)、結果(地図を作って子ども会に渡した)を事実で書く |
書き分けの目安は、志望理由書では経験を1〜2文で終え、すぐに問いと学びたいことへ移ることです。同じ経験を複数の書類で使う場合も、志望理由書は学ぶ理由、自己推薦書は人物像、活動報告書は事実と、書類ごとに中心を変えます。
自己推薦書の中に志望理由の欄がある様式
反対に、自己推薦書の中に志望理由を書く欄がある様式もあります。岡山大学の総合型選抜では、教育学部(養護教諭養成課程)・理学部・薬学部の自己推薦書に、志望理由、自己アピール、活動体験の記録を書きます。
教育学部(養護教諭養成課程)は、志望理由と自己アピールを合わせて1ページです7。横浜国立大学の経済学部の自己推薦書は、志望する理由と、自身が学部にふさわしい理由を1,000字以内で書く様式です。
書く中身は、書類の名前より、欄の指示で決まります。志望理由の欄はこの記事の考え方で、自己アピールの欄は自己PRの考え方で書き、2つの欄で同じ文を使わないようにします。
将来の夢がある時の書き方(夢から学部・大学までの筋)
この節の答え夢を誰のどんな課題に関わるかまで具体的にし、夢、学ぶこと、学部、この大学の4つを一本につなげて書きます。
将来の夢が決まっている人は、それを志望理由の柱にできます。ただし、夢を書くだけでは志望理由になりません。
夢、そのために大学で学ぶこと、それを学べる学部、その中でこの大学を選ぶ理由の4つが一本につながって、志望理由になります。
夢を「誰の、どんな課題に、どう関わるか」まで具体的にする
職業の名前だけの夢は、大学で何を学ぶかを決める手がかりになりません。関わりたい相手と課題を足すと、学ぶことが決まります。
| 夢の書き方 | 足りないこと | 具体的にした例(創作) |
|---|---|---|
| 食品メーカーで働きたい | 何を作り、誰の役に立つのかが見えない | 値がつかずに捨てられる魚を、漁業者と一緒に加工品にする食品の開発者になりたい |
| 建築家になりたい | 何を設計したいのかが見えない | 災害時に避難所として使われる学校の体育館を、子ども連れの家族も過ごしやすく設計する仕事に就きたい |
| 国際的な仕事がしたい | 分野も立場も見えない | 外国から働きに来た人と受け入れ先の企業の間に立ち、契約や生活の相談に乗る仕事がしたい |
| ゲームを作りたい | 大学での学びとのつながりが見えない | 小学生が算数のつまずきを遊びながら直せる学習用のアプリを作りたい |
具体的にすると、大学で学ぶことが決まります。魚の加工の例なら、食品の加工技術に加えて、水産物の流通の仕組みを学ぶ理由が書けます。
つなぎ目が抜けると、どう読まれるか
夢から大学までの筋には、4つのつなぎ目があります。資格が必要な職業を目指す場合は、その学部・学科で資格の受験資格が得られるかも、要項や大学案内で見ておきます。
| つなぎ目 | 書くこと | 抜けた時の伝わり方 |
|---|---|---|
| 夢 → 学ぶこと | 夢をかなえるのに足りない知識や調べ方 | 夢を語っているだけで、大学で学ぶ必要が見えない |
| 学ぶこと → 学部 | 学びたいことが学部・学科のカリキュラムにあること | ほかの学部でもよいのでは、と受け取られる |
| 学部 → この大学 | その大学の授業科目・ゼミ・実習・プログラムの名前 | 同じ学部ならどの大学でもよい、と受け取られる |
| この大学 → 夢 | 大学で学んだことを、卒業後にどう使うか | 学びと夢が別々の話に見える |
最後の「この大学 → 夢」は、締めの段落で書く部分です。締めの型と例文は志望理由書の締め方の記事にあります。
将来の夢が決まっていない時
将来の夢が決まっていなくても、志望理由書は書けます。職業の名前の代わりに、卒業後に関わりたい分野や課題を書く方法と、材料の探し方は志望理由書に書くことがない・将来の夢がない時の記事で説明しています。
書き出しでの扱いは志望理由書の書き出しの記事にあります。
字数別の配分(自己PRと将来の夢に使う字数)
この節の答え自己PRはきっかけと問いの字数に含め、将来の夢は800字なら160字前後が目安で、欄が分かれる様式は大学の配分に従います。
志望理由書の字数別の配分は、志望理由書の書き方の記事で、結論・きっかけと問い・学びたいこと・将来の目標の4つに分けて示しています。自己PRは、そのうち「きっかけと問い」の字数の中で書き、別の枠を足しません。
将来の夢は「将来の目標」に当たります。
| 志望理由書の字数 | 自己PR(強みを示す文) | 将来の夢(将来の目標) | 書き方 |
|---|---|---|---|
| 400字 | 1文・40字前後 | 80字前後 | 夢を1文で書き、学びとのつながりをもう1文で書く |
| 600字 | 1文・60字前後 | 120字前後 | 夢と、そのために学ぶことを2〜3文で書く |
| 800字 | 1〜2文・80字前後 | 160字前後 | 夢の中身(誰の、どんな課題か)と、学んだことの使い方を書く |
| 1,200字 | 2文・100〜120字 | 250字前後 | 夢を持ったきっかけを短く足し、卒業後に最初に取り組むことにも触れる |
欄が分かれている様式は、大学が配分を決めている
欄が分かれている様式では、配分は大学が決めています。弘前大学の人文社会科学部の学習計画書は、1,200字を3つの欄に分けています。
この様式では、自己PRが全体の3分の1を占める一方、卒業後の進路希望は200字以内です。将来の欄が短い様式では、夢の説明を広げず、大学での学びとのつながりを1〜2文で書きます。
将来についての欄の字数は、200字から800字まで幅があります。愛知淑徳大学は、将来の目標を実現するために4年間で取り組みたいことを400字以内で問います10。
玉川大学のコミュニケーションシートは、卒業後にどのような役割を果たす人になりたいか、それを踏まえて社会にどう貢献するかを800字で問う設問です。長い欄でも、夢の話だけで埋めず、大学での学びとの関係に字数を使います。
将来の夢を先に問う成蹊大学の型では、1の欄に夢の中身を書きます。2の志望理由は、1で述べたことと関連づけながら書く指示3なので、夢を繰り返さず、「1で述べた〜のために」と受けてから学びたいことに字数を使います。
よくあるNGと直し方
この節の答え夢だけで大学と結びつかない書き方と、自己PRが活動報告書の実績の繰り返しになる書き方が、直したいNGの代表です。
自己PRと将来の夢の部分を書き終えたら、次の表と照らし合わせます。
| NG | 伝わらない理由 | 直し方 |
|---|---|---|
| 夢だけで大学と結びつかない | 夢の説明で終わり、その大学で学ぶ理由が見えない | 夢に必要な学びを書き、それを学べる授業やゼミの名前を挙げる |
| 夢が職業の名前だけ | 何に取り組みたいかが分からず、学ぶことが決まらない | 誰の、どんな課題に関わるかを足す |
| 夢と学部の学びがずれている | 夢に必要な専門や資格が、その学部で学べない | 夢を学部の学びに合わせて言い直すか、学部の選び方を見直す |
| 夢が遠すぎる | 大学4年間の学びとの距離が説明できない | 大きな目標は残し、卒業後に最初に取り組むことを書き足す |
| 自己PRが活動報告書の繰り返し | 実績や役職を並べ直しただけで、新しい情報がない | 事実の記録は活動報告書に任せ、学びにつながる行動を1〜2文で書く |
| 自己PRの段落が浮いている | 強みの話と学びたいことの話が別々で、つながりがない | 強みを、学びたいことに取り組む時に使う力として書く |
夢だけで大学と結びつかない例
直す前|夢の説明で終わる(例・創作)
私の夢は、建築家になることです。小さい頃から家の間取り図を見るのが好きで、人が住みやすい建物を設計したいと思ってきました。建築家になるために、貴学建築学科を志望します。
直した後|夢から大学までつながる(例・創作)
私は、災害時に避難所として使われる学校の体育館を、子ども連れの家族も過ごしやすい空間にする設計に携わりたいと考えています。大雨で近くの小学校が避難所になった夜、家族と体育館で過ごした際、仕切りがなく、小さな子どもを連れた家族が眠れずにいる様子を見たことがきっかけです。貴学建築学科では、〇〇(授業科目の名前)で建築の環境計画を学び、△△(研究室の名前)の避難所の調査に参加したいと考えています。
直す前は「建築家になりたい」が志望理由の全部で、その大学の建築学科を選ぶ理由がありません。直した後は、夢を具体的にし、夢に必要な学びと、それを学べる科目・研究室まで一本につながっています。
自己PRが活動報告書の繰り返しになっている例
直す前|実績を並べ直している(例・創作)
私は課題研究で県の高校生の科学発表会に出場し、優秀賞を受賞しました。数学検定準1級と情報処理の検定も取得しました。これらの実績で示した探究心を、貴学工学部での学びに生かしたいと考えています。
直した後|学びにつながる行動を書く(例・創作)
課題研究で、教室の窓際と廊下側の夏の室温を1か月測り、日よけのある教室では差が小さいと分かりました。発表会では測った場所が少ないという指摘を受け、測り方そのものを学ぶ必要を感じました。この経験から、建物の中の熱の流れを測り、予測する方法を、貴学工学部の〇〇(授業科目の名前)で学びたいと考えています。
直す前は、活動報告書に書く実績を並べ直しただけで、志望理由書ならではの情報がありません。直した後は、受賞した課題研究の中で自分が測ったことと、指摘から生まれた学びたいことを書いています。
受賞や検定の級そのものは、活動報告書の資格・実績の欄や調査書で伝える情報です。活動の書き方は活動報告書の書き方の記事にあります。
例文:自己PRと将来の夢を入れた志望理由書
この節の答え将来の夢の欄と600字の志望理由、800字の1枚の志望理由書の2本の例で、自己PRと夢の置き方と字数を示します。
次の2本は、説明のために作った創作の例です。大学名・授業名は伏せ、〇〇などで示しています。経験は、自分が実際にしたことに置き換えてください。字数別・学部別の例文は志望理由書の例文の記事にまとめています。
例1:将来の夢を先に書く様式(夢の欄と、志望理由600字以内)
将来の夢の欄と志望理由の欄が分かれた様式を想定した例です。志望理由の欄では夢を言い直さず、「1で述べた」と受けてから、学ぶことに字数を使っています。
1|将来の夢(例・創作)
私の将来の夢は、地域の漁港で値がつかずに捨てられている魚を、漁業者と一緒に加工品にして届ける食品の開発者になることです。とれた魚をむだにせず、浜の収入にもつながる商品を、地域の人と組んで作れる人を目指しています。
2|志望理由(例・創作・578字)
私は、1で述べた開発者になるために、値がつかない魚を食品に生かす加工と流通の方法を学びたいと考え、貴学水産学部を志望します。
きっかけは、地元の漁港の朝市を手伝ったことです。売り場に出されず、箱ごと捨てられる魚があることを知りました。そこで高2の夏から3か月、朝市の日ごとに、捨てられた魚の種類と箱の数を記録しました。記録を見ると、小さすぎる魚と、地元で食べる習慣のない魚がほとんどで、味が悪いからではないと分かりました。漁協の方に記録を見せて話を聞くと、加工する人手と売り先がないことが理由だと教えていただきました。この経験から、魚の価値は、とれた後の加工と売り方で変わると考えるようになりました。
貴学水産学部では、〇〇(授業科目の名前)で水産物の加工と保存の技術を学び、△△(実習の名前)で加工場での実習に参加できます。あわせて◇◇(授業科目の名前)で水産物の流通の仕組みを学び、加工品をどこに、どう届ければ買ってもらえるのかも身につけたいと思います。□□(研究室の名前)では未利用の魚の活用を研究しており、朝市の記録から生まれた「捨てられる魚を、誰に、どんな形で届ければよいのか」という問いを、研究として深めたいと考えています。
入学後に身につける加工と流通の知識と、記録から問いを立てる姿勢を、1で述べた、地域の魚をむだにしない商品づくりに役立てます。
自己PRに当たるのは、3か月間、捨てられた魚の種類と箱の数を記録し、それを持って漁協の方に話を聞いた行動です。強みの名前は最後の1文で触れるだけで、記録から問いを立てる力が、研究したい問いにつながっています。
例2:自己PRと将来の夢を1枚に含む志望理由書(800字以内)
志望理由書(例・創作・739字)
私は、地域のことばが世代の間でどう変わっていくのかを、社会言語学の方法で学びたいと考え、貴学文学部日本語日本文学科を志望します。
きっかけは、高校の探究の時間に、祖父母が住む町の方言を調べたことです。公民館の協力を得て、70代から10代までの24人に、ふだん使うことばを聞き取りました。高2の秋から半年かけて、語ごとに意味と使う場面を年代別の表にまとめました。すると、「えらい」という語が、70代では「疲れた」の意味で使われ、10代では「すごい」の意味でしか使われていないことが分かりました。この経験から、ことばの意味はいつ、誰の間で、なぜ入れ替わるのかという問いを持ちました。
貴学科では、1年次の〇〇(授業科目の名前)で方言の調査の方法を学び、2年次からは△△(ゼミの名前)で地域に出て聞き取り調査を行えます。私は、探究で作った表を出発点に、聞き取る人と語の数を広げ、意味の入れ替わりが起きる年代や場面を調べたいと考えています。特に、10代の使い方が広がった時期と、その理由に注目します。□□(授業科目の名前)で統計の基礎を学び、聞き取りの結果を数字で比べる方法も身につけたいと考えています。さらに、ほかの地域の調査と比べるために、◇◇(授業科目の名前)で日本語の歴史も学びます。1年次から調査の実習があり、高校で始めた調査をすぐに続けられる点に、貴学科を選んだ理由があります。
卒業後は、地域の博物館の学芸員として、使われなくなりつつあることばを記録し、展示や小中学校の授業で地域の人に返す仕事に就きたいと考えています。そのために、在学中に学芸員の資格に必要な科目も履修したいと考えています。ことばを記録として残すだけでなく、次の世代が使える形にして手渡すことが、私の目標です。
| 段落 | 4つの部分 | 自己PR・将来の夢の入り方 | 字数 |
|---|---|---|---|
| 1段落 | 結論 | 学びたいことと学科を言い切る。自己PRも夢もまだ出さない | 64字 |
| 2段落 | きっかけと問い | 聞き取りと、半年かけて年代別の表にまとめた2文(80字)が自己PRに当たる。強みの名前は書かない | 224字 |
| 3段落 | 学びたいこと | 授業・ゼミの名前と、問いの調べ方。高校での調査を続けられる点を大学を選ぶ理由にする | 301字 |
| 4段落 | 将来の目標 | 夢(学芸員)と、学んだことの使い方。新しい経験は足さない | 150字 |
例2では、自己PRに当たるのは2段落目の2文だけで、聞き取りと、半年かけて表にまとめた行動として示しています。将来の夢は最後の段落だけに置き、3段落目の学びと結びつけています。
面接で聞かれることと、提出前のチェック
この節の答え書いた自己PRと将来の夢は面接で質問のもとになるので、夢と強みをそれぞれ1分で話せる形にしてから提出します。
志望理由書に書いた自己PRと将来の夢は、面接で質問のもとになります。弘前大学の人文社会科学部の個人面接では、自己PR、志望理由と入学後の学習計画、卒業後の進路等について、5分以内で口頭発表します2。
その発表をもとに質疑応答があり、1人20分程度です。
横浜国立大学の理工学部 材料工学EPも、面接(口頭試問)で、教育プログラムで学んだ後の将来の夢や入学後の抱負4などを評価するとしています。書いた夢と強みは、自分の言葉で話せる形にしておきます。
| 面接での聞かれ方(例) | 準備すること |
|---|---|
| その夢を持ったのは、いつ、なぜですか | きっかけの場面を1分で話せるようにする |
| その夢のために、なぜこの大学なのですか | 授業科目・ゼミ・実習の名前と、選んだ理由を言えるようにする |
| 夢が変わったらどうしますか | 夢が変わっても続けたい学び(問い)を言えるようにする |
| 書いてある力を、入学後にどう使いますか | 授業や研究の場面を1つ挙げられるようにする |
質問は例です。面接全体の準備は総合型選抜の面接でよく聞かれる質問の記事にまとめています。
よくある質問
- Q. 志望理由書の自己PRは、どの段落に書けばいいですか?
- A. 置きやすいのは、きっかけと問いを書く段落の中です。疑問を持った後に自分でとった行動を1〜2文で書くと、強みの名前を出さなくても力が伝わります。学びたいことの前置きや、将来の目標の中に1文で置く方法もあります。弘前大学 農学生命科学部(総合型選抜Ⅰ)のように、要項が志望理由書に自己PRを含めるよう指示している場合も、置く場所の考え方は同じです。
- Q. 志望理由書の中の自己PRは、何字くらいが目安ですか?
- A. 強みを示す文は1〜2文、全体の1割ほどまでが目安です。800字なら80字前後、400字なら40字前後になります。自己PRの欄が分かれている様式では、その欄の字数に従います。弘前大学 人文社会科学部の学習計画書は、1,200字のうち自己PRが400字以内です。
- Q. 将来の夢は、職業の名前で書かないといけませんか?
- A. 職業の名前でなくてもかまいません。実施要項は、志望理由書などに書かせる内容の一つに「大学卒業後を見据えた目標等」を挙げていて、職業の名前に限っていません。職業の名前を書く場合も、誰の、どんな課題に関わりたいかを足すと、大学で学ぶこととつながります。
- Q. 将来の夢がない時は、志望理由書に何を書けばいいですか?
- A. 夢が決まっていなくても、卒業後に関わりたい分野や、大学で深めたい問いを書けば志望理由書は成り立ちます。材料の集め方と書き方は、このサイトの「志望理由書に書くことがない・将来の夢がない時」の記事で説明しています。
- Q. 志望理由書と自己推薦書の両方を出す時、自己PRはどちらに書きますか?
- A. 強みを経験で深く示すのは自己推薦書です。志望理由書では、同じ経験を使う場合も1〜2文で触れるだけにして、学びたいことに字数を使います。2つの書類に同じ文を書かないようにします。
- Q. 書いた将来の夢が、面接までに変わってしまったらどうしますか?
- A. 書類と面接の答えが食い違うと、その理由を説明することになります。夢の細かい部分が変わっても、志望理由書に書いた学びたいことと問いが同じなら、それを軸に答えられます。提出の前に、書いた夢を1分で話せるかを試し、言い切れない夢は書き方を見直します。
まとめ
志望理由書の自己PRは、問いを持った場面で自分がとった行動として短く書き、学びたいことにつなげます。将来の夢は、夢、大学で学ぶこと、学部、この大学の順に筋を通して書きます。
欄が分かれている様式や、将来の夢を先に問う様式もあるので、最初に要項の欄の名前と字数を見ます。
東京修学館では、家近亮子学長が、志望理由書の自己PRと将来の夢の組み立てを無料相談(60分)でお手伝いしています。
参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項
- 令和9(2027)年度 学生募集要項〔総合型選抜〕
- 2027年度 入学試験要項 総合型選抜(自己推薦型・帰国生特別受験・社会人特別受験)第4版
- 2027年度 総合型選抜 学生募集要項(理工学部)
- 2027年度 総合型選抜 全学部 募集要項
- 2027年度 学校推薦型選抜 公募制 募集要項
- 2027年度 総合型選抜学生募集要項
- 2027年度 学校推薦型選抜学生募集要項
- 令和9年度千葉大学入学者選抜要項
- 2027年度 入学試験要項(大学理念・違いを共に生きる入試、活動実績入試、学科・専攻適性入試)
- 2027年度 入学試験要項【総合型入学審査】
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慶應義塾大学博士・敬愛大学特任名誉教授の家近亮子学長が、あなたの志望校選びと総合型選抜対策を直接アドバイスします。
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