小論文の要約の書き方|100〜400字の目安と「説明しなさい」の答え方・例文

小論文の要約の書き方 受験の知識

課題文型の小論文では、最初の問いで「要約しなさい」「筆者の主張をまとめなさい」「傍線部について説明しなさい」と問われることがあります。意見の問いより短いのに、何を残せばよいか迷いやすい問いです。この記事は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と各大学の2027年度入試(2027年4月入学)の要項・公表資料をもとに、要約と説明問題の書き方を整理します。要約の手順、100字から400字までの字数別の目安、説明問題の答え方、減点されやすい書き方を順に見ます。創作の課題文を使った答案の例と、総合型選抜・学校推薦型選抜で要約を課す大学の例、練習の素材の選び方まで載せます。

小論文の要約問題と「説明しなさい」問題とは(課題文型の設問1)

この節の答え要約は課題文の主張と中心の根拠を短くまとめる問い、説明は傍線部などの一点を本文の言葉で言い直す問いで、どちらも自分の意見は入れません。

小論文の要約と「説明しなさい」この記事の要点
要約で書くもの
主張と根拠
具体例と自分の意見は入れない
要約の手順
5つの手順
大きく3段階:段落の要点 → 骨 → 削る
大学の例の字数
200〜400字
関西大学・武蔵大学・南山大学の要項など。東京女子大学は過去の出題
説明問題の形
言い換え・因果
対比も。文末を問いの形に合わせる
手順はこの記事の目安。大学の字数は各大学の要項と公表資料による

課題文型の小論文は、文章を読んでから答える小論文です。最初の問いで課題文の内容をまとめさせ、次の問いで自分の意見を書かせる形がよく見られます。

最初の問いの指示は「要約しなさい」「筆者の主張をまとめなさい」「傍線部について説明しなさい」などです。

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の第6の3は、小論文などで「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」を含む能力・適性を評価することが望ましいとしています。要約と説明の問いは、読んだ内容を正しくつかみ、それを過不足なく書き表せるかを見る問いです。

要約と説明は、どちらも課題文に書いてあることだけで答えます。違うのは答えの範囲です。

要約は、文章全体か指定された範囲の主張と根拠を短くまとめます。説明は、傍線部や設問が指す一点について、本文の言葉を使って分かるように言い直します。

小論文の要約・説明問題 設問の言葉で変わる答えの範囲
設問の言葉答えの範囲中心に置くもの自分の意見
要約しなさい/要旨をまとめなさい文章全体(範囲の指定があればその部分)筆者の主張と、その主な根拠入れない
筆者の主張をまとめなさい筆者が最も言いたいこと主張そのもの。根拠は短く添える入れない
傍線部はどういうことか説明しなさい傍線部と、その前後の段落比喩・指示語・抽象的な言葉を本文の言葉で言い直した内容入れない
傍線部のように言えるのはなぜか説明しなさい傍線部の原因が書かれた所原因から結果へのつながり入れない
講義の要点を整理してまとめなさい聞いた講義の全体講義の問いと結論、その間の筋道入れない
要約したうえで、あなたの考えを述べなさい前半は文章全体、後半は自分の考え前半は要約、後半は立場と理由後半だけに書く
設問の言葉は説明のための例。実際の設問の言い方は大学・年度で違う

要約・要旨・要点の違い

要旨は、文章の中心となる内容のことです。要約は、それを指定された字数の文章にまとめたものです。

要点は、段落や講義の中の大事な点を指して使われます。入試の設問では、どの言葉でも「中心の内容を短くまとめる」問いとして答えます。

言葉の違いより、字数と範囲の指定のほうが答えを大きく左右します。

たとえば東京女子大学が公開している知のかけはし入学試験の過去の出題では、見出しが「講義の要旨」で、設問は「講義の要点を自分のことばで整理し、400字程度でまとめなさい2」です。要旨と要点が同じ問いの中で使われています。

要約の書き方の手順(段落の要点 → 主張と根拠の骨 → 削る)

この節の答え設問の条件を読み、段落ごとの要点を一文でメモし、主張・根拠・対比に分けて骨を作ってから、字数に合わせて具体例から削ります。

要約は、課題文を頭から縮めていく作業ではありません。先に文章の骨組みを取り出し、その骨を指定の字数に合わせて文章にします。次の5つの手順で進めます。

小論文の要約の書き方 5つの手順
1
設問の条件を読む
字数と「以内」「程度」、要約の範囲、文体の指定、「筆者の主張」に絞るかを見る
2
段落ごとの要点を一文でメモする
段落の最初と最後の文、「しかし」「つまり」の後ろに印を付ける
3
主張・根拠・対比・具体例に分ける
メモの横に、それぞれの役割を書き込む
4
骨を作る
主張1文と根拠1〜2文、対比の相手を短い言葉で並べる
5
字数に合わせて削り、つなぐ
具体例から削り、接続の言葉で文をつないで、最後に字数と文末を見直す
この記事の手順。時間の配分は志望校の試験時間で決める

手順1・2:設問の条件を読み、段落ごとの要点をメモする

最初に設問の条件を読みます。字数、要約する範囲(全体か、第3段落までか)、文体の指定、「筆者の主張」に絞るかどうかです。条件を読む前に課題文を読み始めると、範囲の外まで要約してしまうことがあります。

次に、段落ごとの要点を一文でメモします。段落の中では、最初の文か最後の文に要点が置かれることが多くあります。文章の中の目印の言葉も手がかりになります。

目印の言葉例要約での扱い
逆接しかし・だが・ところが後ろに筆者の言いたいことが来やすい。前の内容は、筆者が退ける考えのことが多い
言い換え・まとめつまり・すなわち・要するに前の内容を短くした文。要約の芯になりやすい
具体例たとえば・実際に・ある〜では例の部分。要約では削るか、一般化して短く言う
主張の文末〜べきだ・〜必要がある・〜ではないか・〜にほかならない筆者の主張の候補。段落をまたいで同じ内容が出てくれば主張と見てよい
対比〜ではなく・一方・〜に対して筆者が退ける考えと、選ぶ考えを分ける
理由なぜなら・〜からだ・そのため主張を支える根拠

手順3・4:主張・根拠・対比に分けて骨を作る

メモした要点を、主張・根拠・対比・具体例の4つに分けます。主張は筆者が最も言いたいこと、根拠はその理由、対比は筆者が比べている相手です。具体例は根拠を分かりやすくするための話で、要約ではふつう残しません。

分けたら、主張1文と根拠1〜2文、対比の相手を短い言葉で並べます。これが要約の骨です。骨だけで、課題文を読んでいない人に筆者の言いたいことが伝わるかを見ます。伝わらなければ、主張の選び方か根拠の選び方がずれています。

手順5:字数に合わせて削り、つなぐ

骨が字数より短ければ足し、長ければ削ります。削る時は、具体例、導入の一般論、同じ内容の言い換え、細かい条件の順に外します。足す時は、2つ目の根拠、対比の相手、根拠どうしのつながりの順に加えます。

文をつなぐ時は「しかし」「そのため」「したがって」など、課題文の筋道どおりの接続の言葉を使います。課題文の文を切り貼りすると、つながりが切れた答案になります。要約は自分の文で組み立て直すものです。

字数別の目安(100字・200字・300字・400字で何を残すか)

この節の答え字数が増えても具体例は足さず、100字なら主張と中心の根拠、400字なら根拠どうしのつながりと筆者の筋道まで残します。

要約の字数が変わると、残すものの量が変わります。字数が増えても、具体例を足すわけではありません。増やすのは根拠と、根拠どうしのつながりです。

小論文の要約 字数別に残すものと削るもの(目安)
字数文の数の目安残すもの削るもの
100字2〜3文主張と、中心の根拠1つ(導入を縮めれば2つ目も短く入る)具体例、導入の詳しい説明、言い換え
200字5〜6文主張、根拠1〜2つ、対比の相手(何と比べているか)具体例、細かい条件
300字5〜7文主張、根拠2〜3つ、対比、根拠どうしのつながり具体例の細部(例があることを短く示すのはよい)
400字7〜9文主張、根拠、対比、筆者が退ける考えへの応答、結論までの筋道具体例の細部、数字の細かい値
東京修学館の目安。課題文の長さと設問の範囲で変わる

100字の要約は、主張と中心の根拠を入れると字数の大半を使います。導入を一言に縮めれば、2つ目の根拠を短く添えられます。

文の数が少ないので、主語と述語の対応が崩れると意味が通らなくなります。200字では、筆者が何と比べて主張しているかを入れると、主張の輪郭がはっきりします。

300字・400字になると、根拠が2つ以上入ります。根拠を並べるだけでなく、「そのうえ」「そのため」などで根拠どうしの関係を書くと、筆者の筋道が伝わります。

400字では、筆者が反対の考えにどう答えているかまで入れられます。

「以内」「程度」「〇字で」の読み方

「200字以内」は200字を超えてはいけない指定、「400字程度」は400字の前後で書く指定です。この記事では指定の9割以上を目安にしています(「程度」の扱いとマス目の使い方は小論文の書き方の記事の原稿用紙の節にあります)。

「200字で要約せよ」のように字数だけを示す設問もあります。武蔵大学の経済学部が示した2027年度入試の筆記試験のサンプル問題は、この形です。指定の字数にできるだけ近づけて書きます。

要約と意見を一続きで書く答案の場合

要約と意見を一つの答案に書く設問では、要約を短くして序論に置き、字数の多くを意見に回します。段落の組み立ては小論文の構成、一文目の形は小論文の書き出し方の記事で説明しています。

この記事の字数別の目安は、要約が独立した問いになっている時のものです。

「説明しなさい」問題の答え方(言い換え・因果・対比)

この節の答え説明問題は言い換え・因果・対比の3つの型に分かれ、文末は「〜ということ。」「〜から。」など問いの形に合わせます。

課題文型の「説明しなさい」は、傍線部や設問が指す一点について、課題文の内容を分かるように言い直す問いです。自分の意見を問う問いではありません。

青山学院大学は、文学部英米文学科の自己推薦の小論文について、2026年度の出題意図で英語論説文の「議論の要点を的確に日本語で説明する力」を問うとしています。

説明問題は、答えの形で大きく3つに分かれます。どの型かを設問の言葉で見分けてから、答えの骨を作ります。

「説明しなさい」問題の3つの型と答えの形
型設問の例(創作)答えの骨文末
言い換え(内容の説明)傍線部「〜」とはどういうことか、説明しなさい比喩・指示語・抽象的な言葉を、本文の具体的な言葉に置き換える〜ということ。
因果(理由の説明)筆者が〜と考えるのはなぜか、説明しなさい原因 → 結果のつながりを一続きで書く〜から。/〜ため。
対比(違いの説明)AとBの違いを説明しなさい同じ観点でAとBを並べるAは〜であるのに対し、Bは〜である。
設問の例と答えの形は説明のための創作。大学の設問の言い方は年度で違う

言い換えの型:比喩と指示語を本文の言葉で開く

「どういうことか」と問われたら、傍線部の言葉をそのまま繰り返さず、意味の分かりにくい言葉を開きます。比喩なら何をたとえているか、指示語なら何を指しているかを、前後の段落から探して置き換えます。

答えは「〜ということ。」で結ぶと、問いに対応した形になります。

因果の型:原因から結果へ一続きで書く

「なぜか」と問われたら、傍線部が結果で、答えるのはその原因です。原因が二段になっている時は、「AなのでB、だからC」のように、つながりを途中で切らずに書きます。

原因だけを書いて結果につなげないと、理由として読めない答案になります。文末は「〜から。」「〜ため。」にそろえます。

対比の型:同じ観点で並べる

違いを問われたら、比べる観点を一つ決めて、AとBを同じ観点で書きます。「Aは速く決められる。

Bは意見を多く集められる」では観点がずれています。「かかる時間で比べると、Aは採決までの時間を短くするのに対し、Bは採決の後のやり直しの時間を短くする」のように、同じ物差しで並べます。

テーマ型の小論文で「〇〇について説明しなさい」と問われた時の一文目の形は小論文の書き出し方の記事に、図表について「説明しなさい」と問われた時の答え方は資料読み取り型小論文の書き方の記事にあります。

例:課題文と要約・説明の答案(創作)

この節の答え創作の多数決の課題文で、具体例の段落を削った100字と200字の要約と、言い換えと因果の説明問題の答案を示します。

ここからの課題文・設問・答案は、すべて説明のための創作です。実在の大学の出題ではありません。課題文は5つの段落で、435字です。

課題文(創作・例)

① 学級で文化祭の出し物を決める時、多くの場合は多数決が使われる。手を挙げた人の数を数えれば、短い時間で結論が出るからだ。

② しかし、多数決が示すのは、その場で多くの人が選んだ案である。それが最もよい案であることまでは示していない。票を数える前に、それぞれの案の弱点が話し合われていなければ、多くの人が同じ見落としをしたまま賛成することもある。

③ たとえば、ある学級で、屋外の模擬店が大差で選ばれたとする。雨の日の準備について意見を言いかけた生徒がいたが、時間がないという理由で採決に進んだ。当日は雨になり、店は半分しか開けなかった。

④ 少数意見は、多くの人が見ていない危うさを知らせる手がかりになることがある。採決の前に少数意見を聞く時間を取れば、決めるまでの時間は延びる。だが、決めた後にやり直す時間は減る。

⑤ 多数決は、話し合いを終わらせるための道具であって、話し合いの代わりではない。集団で何かを決める時に大切なのは、採決の速さよりも、採決の前にどれだけ異なる意見を聞いたかである。

設問(創作・例)

問1 課題文の筆者の主張を、100字以内で要約しなさい(同じ課題文を200字以内で要約する場合も示す)。

問2 傍線部「多数決は、話し合いを終わらせるための道具であって、話し合いの代わりではない」とはどういうことか。60字以内で説明しなさい。

問3 筆者が、採決の前に少数意見を聞く時間を取ることを勧めるのはなぜか。80字以内で説明しなさい。

段落ごとの要点と、要約での扱い

段落役割要点(一文のメモ)要約での扱い
①導入多数決は短い時間で結論が出るので広く使われる200字では対比の片側として残す。100字では短く
②根拠1(対比)多数決が示すのは多くの人が選んだ案で、最もよい案とは限らない残す
③具体例雨の日の準備を話し合わずに屋外の模擬店を選んだ学級の例削る
④根拠2少数意見は見落としを知らせ、決めた後のやり直しを減らす残す
⑤主張多数決は話し合いの代わりにならず、採決前に異なる意見を聞くことが大切残す(要約の芯)

骨は、主張が「多数決は話し合いの代わりにならず、採決の前に異なる意見を聞くことが大切」、根拠が②と④、対比が「採決の速さ」と「異なる意見を聞くこと」です。③の模擬店の話は②の根拠を分かりやすくする例なので、要約には入れません。

問1の答案例|100字以内(99字)

多数決は早く結論を出せるが、示すのは多くの人が選んだ案で、最もよい案とは限らない。少数意見は見落としを知らせる手がかりになる。集団で決める時は、採決の速さより、その前に異なる意見を聞くことが大切だ。

問1の答案例|200字以内で要約する場合(196字)

筆者は、多数決は話し合いの代わりにならないと述べる。多数決は短い時間で結論を出せるため、よく使われる。しかし、示すのは多くの人が選んだ案であり、それが最善かどうかではない。案の弱点を検討せずに採決すると、見落としが残ったまま決まることもある。少数意見は多数が気づかない危うさを示し、採決の前に聞けば後のやり直す時間も減る。集団の決定で大切なのは、結論を急ぐことより多様な意見を聞くことである。

100字の答案は、②と④の根拠をそれぞれ短い句に縮め、最後の文に主張を置いています。①の導入を「早く結論を出せるが」の一言にまとめたので、根拠を2つ入れられました。

字数を主張と根拠に回すため、「筆者は」は省いています。設問が筆者の主張の要約を求めているので、筆者の考えであることは読み手に伝わります。

200字の答案は、最初の文で主張を示し、①の「速さ」を対比の片側として加えています。どちらも、課題文の文を書き写さず、自分の文にしています。

直す前の100字要約(91字)

多数決は早く決まるが、ある学級では屋外の模擬店を選んだせいで、雨の日に店を半分しか開けなかった。私は、少数意見を聞かない多数決は悪い決め方だと思う。話し合いをもっと大切にするべきだ。

直す前の要約は、③の具体例を写し、後半で「悪い決め方だと思う」と自分の意見を書いています。②の「最もよい案とは限らない」という根拠も、⑤の主張も入っていません。

問2の答案例|言い換えの型・60字以内(59字)

多数決は結論を早く出すための手段にすぎず、案の弱点や少数意見を検討する話し合いを省いてよい理由にはならないということ。

問3の答案例|因果の型・80字以内(72字)

少数意見は、多くの人が気づいていない案の危うさを前もって知らせることがあり、採決の前に聞いておけば、決めた後に計画をやり直す時間を減らせるから。

問2は、傍線部の「道具」を「結論を早く出すための手段」に、「話し合い」を「案の弱点や少数意見を検討すること」に言い換えています。問3は、④の段落から原因を取り出し、「知らせる」→「やり直す時間を減らせる」とつないで「から。」で結んでいます。

採点で減点されやすい書き方と直し方

この節の答え関西大学の講評が挙げるとおり、課題文からの過度な引用や自分の意見の混入は、要約ができていない答案と見られやすくなります。

大学が講評や要項で、要約の評価の観点を示している例があります。関西大学のAO入試ガイドブック(2027年度)は、外国語学部の課題エッセイの評価ポイントの一つに「自分の意見と他者の意見を明確に区別しながら要約できている3」を挙げています。

同じガイドブックの面接員のコメント(2026年度入試の講評)には、要約ができていない答案として、課題文から過度に直接引用したものや、主旨と外れる部分を引用したものが挙げられています。「…と筆者は述べている」のように、自分の意見でないことを示して要約した受験者がいた一方、自分の考えのように要約した受験者もいたと書かれています。

学習院大学の公募制推薦(学校推薦型選抜)の要項は、文学部ドイツ語圏文化学科の小論文で重視する点として「与えられる文章の趣旨を要約できること4」を挙げています。著者の視点を踏まえ、自分の意見との違いと同じ点を区別して述べることも求めています。

小論文の要約で減点されやすい書き方と直した例
減点されやすい書き方答案の例(創作・多数決の課題文)直した例
自分の意見を混ぜる少数意見を聞かない多数決は悪い決め方だと思う。筆者は、多数決は最もよい案を示すとは限らないと述べる。
具体例を写す屋外の模擬店を選んだ学級は、雨で店を半分しか開けなかった。案の弱点を検討せずに採決すると、見落としが残る。
課題文の文を書き写す多数決は、話し合いを終わらせるための道具であって、話し合いの代わりではない。多数決は結論を出す手段にすぎず、話し合いを省く理由にはならない。
「筆者は」を重ねる筆者は〜と言う。筆者は〜と述べる。筆者は〜と考える。「筆者は」は最初の文に1回。後の文は内容だけを書く
主旨から外れた部分を中心にする文化祭の出し物は、天気も考えて決めるべきだ。主張の段落(⑤)と根拠の段落(②④)を中心にする
文末がそろわない〜である。〜です。〜という点。常体にそろえ、体言止めにせず文で言い切る
説明問題で問いと文末がずれる(なぜか、に対して)意見を聞くことが大切である。〜やり直す時間を減らせるから。
答案の例と直した例は説明のための創作。関西大学の講評にあるのは、課題文からの過度な直接引用、主旨と外れる部分の引用、自分の考えのように要約すること、文体の統一。ほかの項目は東京修学館の目安

「筆者は」はどこまで書くか

要約の最初に「筆者は〜と述べる」と書くと、ここからが筆者の考えだと読み手に伝わります。関西大学のコメントが示すように、自分の意見と区別する書き方として役立ちます。

ただし、すべての文に付けると字数を使い、文が単調になります。最初の文で1回示せば、後の文は内容だけで続けて構いません。

要約と意見を一つの答案に書く時は、要約の部分を「筆者は〜と述べる」で始め、意見の部分を「私は〜と考える」で始めると、境目がはっきりします。

要約・説明の答案を出す前のチェックリスト
字数と「以内」「程度」の指定、要約の範囲を守っている
筆者の主張が、答案の最初か最後の文にある
具体例や数字の細部を写していない
「思う」「べきだと考える」など、自分の意見や評価の言葉を入れていない
課題文の文を、長く書き写した所がない
「筆者は」は最初の1回だけになっている
文体は常体にそろい、体言止めの文がない
説明問題の文末が問いの形(〜ということ。〜から。)に合っている

要約・要旨・説明を課す大学の例(2027年度入試)

この節の答え当日の筆記で要約・要旨や要点の説明を課す大学があり、要約に当てる字数は200字と400字の例が並びます。

総合型選抜・学校推薦型選抜では、当日の筆記で文章や講義の要約・要旨、要点の説明を求める大学があります。2027年度入試(2027年4月入学)の要項と大学の公表資料から、このサイトの大学別の記事で扱った例を並べます。

当日の筆記で要約・要旨・説明を課す総合型選抜・学校推薦型選抜の例
大学・方式求められること字数時間
東京女子大学 知のかけはし入学試験(ディスカッション型)30分の講義を聞き、講義の要点を自分のことばで整理してまとめる(講義の要旨)。続けて講義をふまえた小論文要旨400字程度、小論文800字程度(2026年度までの過去の出題)要旨と小論文で80分
関西大学 AO入試 法学部Ⅰ型英文資料の要旨作成(日本語で書く)200字程度90分
関西大学 AO入試 外国語学部日本語の課題エッセイ。与えられた日本語の文章の要約と、自分の意見(中身は2026年度の講評による)1,200字程度75分
武蔵大学 総合型選抜 経済学部の筆記試験(サンプル問題)白書の抜粋を読み、文章の要約と、課題と解決案の論述(ほかに漢字の書き取りと数学)要約200字、論述200字総合問題で80分
南山大学 総合型入試(プレゼンテーション型)国際教養学科英文を読み日本語で要約、和文を読み英語で要約し、どちらかについて意見を書く日本語の要約400字程度、英語の要約150 words程度小論文90分
南山大学 総合型入試(プレゼンテーション型)人類文化学科人間と文化・社会に関する文章を読んで要約し、自分の考えを述べる1000〜1200字程度小論文60分
青山学院大学 自己推薦 文学部英米文学科英語の論説文を読み、議論の要点を日本語で説明し、自分の考えを英語で書く(2026年度の出題意図)—60分
青山学院大学 自己推薦 コミュニティ人間科学部図表を含む論説文を読んで要約し、独自の観点を入れた自分の考えを論述する(2026年度の出題意図)—60分
学習院大学 公募制推薦(学校推薦型選抜)文学部ドイツ語圏文化学科一般選抜(国語)の長文読解程度の長さの文章を読み、課題について書く。文章の趣旨の要約を重視——
東北大学 AO入試II期 文学部筆記試験で日本語の長文を読み、要旨をまとめ、自分の考えを述べる——
産業能率大学 AO方式Ⅲ期(現代マネジメント学科)40分の模擬授業を聴き、要約レポートを書くA4・1枚30分
各大学の2027年度入試の要項と公表資料(くわしくは大学別の記事)による。東京女子大学の字数は過去の出題による。武蔵大学はサンプル問題の形で、問題には実際の出題と異なると書かれている。青山学院大学の内容は2026年度の出題意図。—は、この記事で参照した資料に記載がない項目
要約・要旨に当てる字数の例(大学・方式別)
関西大学 法学部Ⅰ型(英文資料の要旨)
200字
武蔵大学 経済学部(サンプル問題の要約)
200字
東京女子大学(講義の要旨・過去の出題)
400字
南山大学 国際教養学科(英文の日本語要約)
400字
関西大学・東京女子大学・南山大学は「程度」の指定。武蔵大学は「200字で要約せよ」。東京女子大学の字数は過去の出題による

要約の字数は200字と400字の例が並びます。東京女子大学の知のかけはし入学試験(ディスカッション型)は、30分の講義を聞いた後、要旨と小論文を合わせて80分で書きます9。

要項は、解答時間の目安を要旨15分・小論文65分としています。

関西大学の法学部Ⅰ型は、英文資料を読んで日本語で200字程度の要旨を書く形です。南山大学の国際教養学科も、英文を日本語で400字程度に要約します5。英文を読む形でも、日本語の要約の組み立ては同じです。

武蔵大学の経済学部のサンプル問題は、国土交通省「令和7年度版観光白書」の抜粋が素材です。文章を200字で要約し、続けて二重価格の課題と解決案6を200字で論述します。

東北大学のAO入試II期では、文学部の筆記試験で、日本語の文章の要旨と自分の考えを書かせて7読解力と表現力を評価するとしています。

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の第13の3は、教科・科目の個別試験の問題を原則として公表するとしたうえで、小論文のテーマなども積極的に公表することが望ましい1としています。志望校の入試情報のページで過去問題や出題の意図を探し、要約の字数と時間を確かめてから練習に入ります。

要約の練習の素材の選び方と進め方

この節の答え主張がはっきりした社説や新書の1章を選び、段落の要点メモから200字、100字と400字の書き分け、本番の時間での練習へ進みます。

要約の練習は、主張がはっきりした文章を選ぶほど効果が出ます。出来事を伝えるだけの文章には主張が無いので、要約の練習には向きません。

小論文の要約の練習に使う素材と選び方
素材向いている練習選ぶ時のポイント
新聞の社説・解説記事段落ごとの要点、200字の要約主張がはっきりした1本を選ぶ。出来事を伝える報道記事は主張が無いことが多い
新書の1章400字の要約、対比の読み取り章の初めと終わりを先に読み、主張の場所の見当をつける
現代文の教科書・問題集の評論説明問題(言い換え・理由)設問と解答例がある物を選ぶと、答えの形と照らし合わせられる
志望校の過去問題・サンプル問題本番の字数と時間での通し練習大学の入試情報のページで公開されている物を使う
白書など国や自治体の文章説明的な文章の要約武蔵大学のサンプル問題は観光白書の抜粋が素材だった
講義・講演の動画や音声聞いて要点をまとめる練習東京女子大学のように講義を聞いて要旨を書く形式に備える

練習は、短く分けて段階を踏みます。最初から本番の字数で書こうとすると、どこが崩れたのか分からなくなります。

要約の練習の進め方(目安)
1〜2週目
段落ごとの要点を一文で書く
社説や解説記事を使う。要約はまだ書かず、要点のメモだけを作る
3〜4週目
200字で要約する
骨を作ってから書く。元の文章と並べ、主張と根拠が残っているかを見る
5〜6週目
同じ文章を100字と400字で書き分ける
100字で消したもの、400字で足したものを書き出して比べる
7週目以降
志望校の形で、時間を計って書く
要約や説明と意見の問いを通して書き、時間の配分を本番に合わせる
東京修学館の目安。学年と残り期間ごとの計画は「小論文対策はいつから」の記事

書いた要約を見直す方法

書いた要約だけを人に読んでもらい、筆者の言いたいことを一文で言ってもらいます。言えなければ、主張が抜けているか、根拠が多すぎて主張が埋もれています。

一人で見直す時は、要約の一文ごとに、課題文のどの段落から取ったかを横に書きます。具体例の段落から取った文があれば、削る候補です。

当日に渡された文章の要点を、書かずに口で答える形の試験もあります。読んだ文章の要点を一文で言う練習は、口頭試問の準備にも役立ちます。指定図書を事前に読んで要約するレポートの書き方は課題レポートの書き方の記事にあります。

意見の問いを含めた答案全体の段落の組み立ては、小論文の構成の記事で説明しています。

よくある質問

Q. 小論文の要約に「筆者は」は書いたほうがいいですか?
A. 最初の文に1回書くと、自分の意見ではなく筆者の考えをまとめていることが伝わります。関西大学のAO入試ガイドブックも、自分の意見と他者の意見を区別して要約することを評価のポイントに挙げています。ただし、すべての文に付けると字数を使い、読みにくくなります。2文目からは内容だけで続けます。
Q. 要約で、課題文の言葉をそのまま使ってもいいですか?
A. 筆者が使う中心の言葉(キーワード)は、そのまま使って構いません。言い換えると意味がずれることがあるからです。避けるのは、課題文の文を長く書き写すことです。関西大学のガイドブックは、課題文からの過度な直接引用を要約ができていない例に挙げています。文は自分で組み立て直します。
Q. 「200字以内」の要約は、何字書けばいいですか?
A. 東京修学館の目安は指定の9割以上、200字以内なら180字以上です。少なすぎると、根拠や対比が抜けていると見られやすくなります。「400字程度」のように程度で示された時は、前後1割ほどを目安にしています。句読点やかぎかっこも1字に数えます。
Q. 要約は「だ・である」と「です・ます」のどちらで書きますか?
A. 設問に指定がなければ、小論文の答案と同じ常体(だ・である)で書きます。意見の問いと続けて書く時に、文体がそろいます。設問に文体の指定があれば、それに従います。
Q. 「説明しなさい」の問いで、自分の考えを書いてもいいですか?
A. 課題文型の説明問題は、課題文の内容を分かるように言い直す問いなので、自分の考えは書きません。「〜についてあなたの考えを述べなさい」のように、考えを求める言葉が設問にある時だけ書きます。答えは「〜ということ。」「〜から。」など、問いの形に合わせた文末で結びます。
Q. 要約の練習には、何を使えばいいですか?
A. 主張がはっきりした新聞の社説や解説記事、新書の1章、現代文の評論が使えます。最初は段落ごとの要点を一文で書く練習から始め、200字、100字と400字の書き分けへ進みます。志望校が過去問題やサンプル問題を公開していれば、最後は本番の字数と時間で練習します。

まとめ

小論文の要約は、課題文の主張と中心の根拠を短くまとめる問いです。段落ごとの要点をメモし、主張・根拠・対比の骨を作り、字数に合わせて具体例から削ります。

「説明しなさい」は、言い換え・因果・対比のどの型かを見分け、文末を問いの形に合わせます。どちらの問いにも自分の意見は入れません。

東京修学館では、家近亮子学長が、志望校の出題形式に合わせた小論文の練習の計画づくりと、志望理由書・面接の準備を無料相談(60分)でお手伝いしています。

参考資料

この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。

  1. 令和9年度大学入学者選抜実施要項文部科学省・2026-05-27・PDF
  2. 知のかけはし入学試験 過去の出題内容東京女子大学・PDF
  3. 2027年度 AO入試ガイドブック(Admission Office GUIDE BOOK 2027)関西大学
  4. 令和9(2027)年度 学校推薦型選抜(公募制)募集要項(文学部)学習院大学・PDF
  5. 入学試験要項 2027 総合型入試南山大学・PDF
  6. 2027年度入試 経済学部 筆記試験(サンプル問題)武蔵大学・PDF
  7. 令和9年度(2027年度) AO入試(総合型選抜)II期 学生募集要項及び出願書類東北大学・2026-08・PDF
  8. 総合型選抜で評定がいらない大学一覧(各大学の2027年度入試の募集要項・大学別の記事に出典を記載)東京修学館
  9. 2027年度 知のかけはし入学試験(ディスカッション型)入学試験要項東京女子大学・PDF

リンク先の確認日:2026-10-26

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