最終更新: 2026-10-09 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試の募集要項
小論文の書き出し、つまり序論の一文目の書き方を説明します。一文目の4つの型と例文、テーマ型・課題文型・資料型・賛否型ごとの一文目、よくあるNGの書き出しを直す前と後で並べました。字数ごとの序論の長さと、一文目を書くまでの手順も表にしています。序論・本論・結論の全体と序論の例文5パターンは親記事の小論文の書き方で、段落の組み立ては小論文の構成で説明しています。
小論文の書き出しとは:一文目で設問に答える
小論文の書き出しとは、序論の最初の一文から二文ほどのことです。読み手は、ここで「この答案は設問に何と答えるのか」をつかみます。そのため、書き出しの基本は、一文目で設問に答えることです。
答えるとは、賛成か反対か、どう考えるか、何が必要か、という立場を示すことです。立場が一文目にあれば、読み手は本論の理由や具体例を、その立場を支える材料として読めます。
書き出しが評価にかかわる理由
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、小論文や面接などを使う目的を示しています(第6の3)。評価する能力・適性等には、次の二つが含まれています。一つは「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」です。もう一つは「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」です。
同じ項目では、教科・科目の知識だけを問うものにならないよう留意することも求めています。小論文で見られるのは、知識の量より、自分の考えを筋道立てて示せるかどうかです。書き出しは、その筋道の出発点になります。
実施要項は、大学が小論文のテーマなどを積極的に公表することも望ましいとしています(第13の3)。志望大学の過去の出題を見て、どんな問い方をされるかを確かめてから、書き出しの練習をします。
| 見られる点 | 一文目が前置きの答案 | 一文目で設問に答えた答案 |
|---|---|---|
| 設問の理解 | 何を問われたと受け取ったかが分からない | 問いを正しく受け取ったことが一文で分かる |
| 立場 | 序論の最後か、結論まで出てこない | 最初に示され、本論を読む手がかりになる |
| 字数 | 前置きに使い、本論が短くなる | 序論が短く収まり、本論に字数を回せる |
| 結論との一致 | 書きながら立場が決まり、ずれやすい | 書く前に決めた立場を、結論で言い直せる |
インパクトのある書き出しや、名言から入る書き出しを考える必要はありません。凝った表現に時間を使うより、一文目で答えを示すほうが、試験時間を本論に回せます。
小論文の書き出しの型4つと例文
一文目の型は、大きく4つに分けられます。どの型でも、序論の中で立場が分かるようにすることは変わりません。違うのは、立場の前に一文を置くかどうかと、何を置くかです。この記事の例文・課題文・資料は、すべて説明のための創作です。
| 型 | 一文目の形 | 向く設問 | 向く字数 |
|---|---|---|---|
| 立場から | 私は、〇〇に賛成である/〇〇すべきだと考える | どの設問にも使える。賛否型・テーマ型の基本 | 400字から1,200字まで |
| 問いの言い換えから | この問いは、〇〇かどうかを問うている | 「〇〇は人を幸せにするか」のような抽象的な設問 | 序論が100字以上(800字以上) |
| 定義から | 〇〇とは、△△のことである | 「〇〇とは何か」「〇〇について説明しなさい」 | 序論が100字以上(800字以上) |
| 具体例から | (身近な場面と、それが示す問題を一文で) | 身近な行動や生活から考えるテーマ | 序論が120字以上(1,000字以上) |
次の例文は、いずれも1,000〜1,200字の答案の序論(120〜150字)を想定した長さです。字数が少ない時の書き方は、型1の後と字数別の節で説明します。
型1:立場から書き出す
例文|型1・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:町の公園でのボール遊びを認めるべきか)
私は、町の公園でのボール遊びを、時間と場所を区切って認めるべきだと考える。子どもが体を動かせる場所は限られており、一律に禁じると遊ぶ場そのものがなくなるからだ。ただし、小さな子どもや高齢者が安心して過ごせるよう、使える時間帯を決める必要がある。
一文目で設問に答え、二文目で理由の方向を示しています。どの字数でも使える基本の型です。
例文|型1・400字の答案の序論(テーマ:町の公園でのボール遊びを認めるべきか)
子どもが体を動かせる場は限られているため、私は、公園でのボール遊びを時間と場所を区切って認めるべきだと考える。
400字では序論が50字前後しかないため、立場と理由の方向を一文にまとめます。
型2:問いを言い換えて書き出す
例文|型2・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:科学技術の発展は、人を幸せにするか)
この問いは、暮らしが便利になることと、人が幸せになることが同じかどうかを問うている。私は、二つは同じではないと考える。技術は暮らしの時間や手間を減らすが、空いた時間を何に使うかは、使う人が決めることだからだ。
設問が抽象的な時に向く型です。一文目で「何を問われているのか」を具体的な言葉に置き換え、二文目ですぐに立場を示します。言い換えだけで序論を終えないようにします。
型3:定義から書き出す
例文|型3・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:自立とはどのようなことか)
自立とは、誰にも頼らずに生きることではなく、頼る相手と頼り方を自分で選べる状態のことだと私は考える。一人ですべてを抱え込む人は、困った時に動けなくなる。助けを求める先を複数持つことこそが、自分の足で立つことにつながる。
「〇〇とは何か」「〇〇について説明しなさい」のように、言葉の意味が問われる設問に向きます。辞書の説明を写すのではなく、自分の主張につながる定義を一文目に置きます。
型4:具体例から書き出す
例文|型4・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:食品ロスを減らすために、消費者には何ができるか)
牛乳を買う時、私は棚の奥から日付の新しいものを選んでいたが、その選び方が手前の商品の売れ残りと廃棄を生む。私は、すぐ使う食品は手前から取る習慣が、最も身近な食品ロス対策だと考える。本論では、買う側と売る側の工夫を順に論じる。
身近な場面と、その場面が示す問題を一文目にまとめ、二文目で立場につなげる型です。具体例に字数を使うと立場が遅れるので、序論が120字以上ある1,000字以上の答案で使います。
親記事の例文5パターンとの関係
親記事の小論文の書き方では、序論の例文を5パターン(立場を先に示す、現状と課題から、両面を示してから、課題文の主張を受けて、資料の読み取りから)載せています。この記事の4つの型は、その5パターンを一文目の入り方で分け直し、定義と具体例を加えたものです。
親記事は、序論を「設問の受け止め→立場→論点の予告」の順で組むことを基本にしています。受け止めを省いて立場から入るのが最も短い書き出しで、受け止めから入るのが型2の問いの言い換えです。どちらも、二文目までに立場があれば書き出しとして成り立ちます。
両面を示してから立場を決める形は、利点と懸念を一文にまとめ、次の文で立場を言う時に使えます。両面の紹介に二文以上使い、問いかけで序論を終えると、後で取り上げるNG4と同じく立場の無い書き出しになります。
一文目に使える文の形
| 示したいこと | 文の形の例 |
|---|---|
| 賛成・反対 | 私は、〇〇に賛成(反対)である。 |
| 条件付きの立場 | 私は、〇〇に条件付きで賛成である。△△の場合に限るべきだと考える。 |
| 解決策 | 〇〇を解決するには、△△が必要だと私は考える。 |
| 問いの言い換え | この問いは、〇〇と△△が同じかどうかを問うている。 |
| 定義 | 〇〇とは、△△ではなく、□□のことである。 |
| 課題文の要約 | 筆者は、〇〇は△△であると述べている。 |
| 資料の読み取り | 資料から、〇〇が△△しているという傾向が読み取れる。 |
「私は」から書き出すことに問題はありません。小論文は自分の意見を書く文章なので、一文目に「私は」を置くと、ここからが自分の立場だと読み手に伝わります。ただし、本文の多くの文を「私は」で始めると単調になるため、二文目以降は理由や事実を主語にします。
出題形式別:テーマ型・課題文型・資料型・賛否型の書き出し
一文目に何を置くかは、出題形式で変わります。課題文や資料がある形式では、それをどう読んだかを一文目に置き、すぐ後に立場を続けます。
| 出題形式 | 一文目に置くもの | 二文目以降 | 崩れやすい点 |
|---|---|---|---|
| テーマ型 | 絞った論点への答え(立場) | 理由の方向と、論点の予告 | テーマの説明から入り、立場が遅れる |
| 課題文型 | 筆者の主張の要約(1文) | 要約への立場(賛成・反対・条件付き) | 要約が長くなる。課題文を写す |
| 資料型 | 資料から読み取れる傾向(1〜2文) | 傾向の意味と、自分の立場 | 読み取りだけで序論が終わる |
| 賛否型 | 賛成か反対かの言い切り | 理由の方向と、条件があれば条件 | 両方の意見の紹介で字数を使う |
| 説明型(〇〇を説明しなさい) | 説明する言葉の定義 | 説明の観点の予告 | 意見を書いてしまう |
| 経験を踏まえて書く設問 | 経験から得た考え(立場) | その考えに至った経験の一場面 | 経験の説明から入り、考えが最後に出る |
テーマ型の書き出し
例文|テーマ型・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:外国から来た人と共に暮らす地域をつくるには、何が必要か)
外国から来た人と共に暮らす地域をつくるには、ことばの壁を下げる仕組みが必要だと私は考える。ごみの出し方や防災の情報が伝わらなければ、困った時に助け合えないからだ。本論では、やさしい日本語や多言語での情報の伝え方と、顔を合わせて尋ねられる場の二つを論じる。
テーマから論点を一つに絞り、その論点への答えを一文目に置いています。最後の一文は論点の予告で、一文目の「ことばの壁を下げる仕組み」を二つに分けています。
課題文型の書き出し
例文|課題文型・1,000〜1,200字の答案の序論(課題文の要旨:旅の価値は、目的地に着くことより、途中で予定外の出来事に出会うことにある)
筆者は、旅の価値は目的地に着くことより、途中で予定外の出来事に出会うことにあると述べている。私はこの主張に条件付きで賛成である。予定外の出会いは旅を豊かにするが、それを楽しめるのは、帰り道や宿など最低限の準備がある時だと考える。
一文目は筆者の主張の要約です。課題文の言葉を写さず、主張の中心だけを自分の言葉でまとめます。二文目で、要約に対する立場を示します。
資料型の書き出し
例文|資料型・1,000〜1,200字の答案の序論(資料:ある市の海岸に流れ着いたごみの量の推移と、その内訳。資料は説明のための創作)
資料1・2から、ある市の海岸に流れ着くごみはこの10年で増えており、その多くをプラスチック製品が占めていることが読み取れる。私は、海岸でごみを拾う活動よりも先に、使い捨ての容器を減らす仕組みを町で作るべきだと考える。
一文目は資料の読み取りです。数値を一つずつ並べず、変化の向き(増えた・減った・差が広がった)を傾向として書きます。二文目で、読み取りを受けた立場を置きます。
賛否型の書き出し
例文|賛否型・1,000〜1,200字の答案の序論(テーマ:公立高校の始業時刻を遅らせることに、賛成か反対か。立場を明らかにして論じなさい)
私は、公立高校の始業時刻を遅らせることに賛成である。朝早い通学で睡眠が削られると、午前中の授業に集中しにくくなるからだ。ただし、下校が遅くなる分、放課後の時間をどう確保するかも合わせて考える。本論では、睡眠と授業の関係、放課後の時間の確保の二点を論じる。
賛否を問われたら、一文目で「賛成である」「反対である」「条件付きで賛成である」のどれかを言い切ります。両方の意見を紹介してから立場を出す形は、序論が長くなりやすくなります。
資料型の例文の資料、課題文型の例文の課題文は、どちらも説明のための創作です。課題文型の要約と資料型の読み取りは、序論の中で1〜2文までに収めます。
経験を踏まえて書く設問・説明型の設問
「あなたの経験を踏まえて論じなさい」という設問でも、一文目は経験の説明ではなく、経験から得た考えにします。経験は二文目以降か本論で、その考えを支える具体例として書きます。
「〇〇について説明しなさい」という説明型の設問では、意見を求められていない場合があります。一文目は説明する言葉の定義にし、立場は書きません。設問が説明と意見の両方を求めている時は、説明の後に立場を置きます。
NGの書き出し4つと直し方
書き出しで多い失敗は、一文目が設問に答えていないことです。よくある4つの形を、直す前と後で並べます。題材と文章は、いずれも説明のための創作です。
| NGの書き出し | よく使われる言葉 | 何が起きているか | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 前置き(一般論・背景や体験の説明) | 近年、昨今、現代社会では、私の学校では | 答えに関係する話をしているようで、設問に答えないまま字数を使う | 一文目を立場にする。背景や体験は本論の具体例に回す |
| あいさつ・宣言 | 考えてみたいと思います、書いていきます | 答案に要らない文で、敬体も混ざりやすい | 宣言を消し、立場か定義から書く |
| 課題文の丸写し | 課題文には「…」と書かれている | 読み取れたかが伝わらず、字数も使う | 主張の中心を自分の言葉で1文に要約する |
| 問いかけで終わる | 〜だろうか、果たして | 問題提起をしたまま、答えが出てこない | 問いの直後に自分の答えを置く |
NG1|前置き(背景や体験の説明)から始める
テーマ:高校生のボランティア活動を、授業に取り入れるべきか。
直す前の書き出し(NG)
私の高校では、毎年夏に地域の清掃活動への参加を呼びかけている。私も友人と一緒に参加し、河川敷のごみを拾った。参加したのは、声をかけ合った一部の生徒だった。
3文とも具体的に見えますが、どれも設問に答えていません。読み手は、この体験が賛成と反対のどちらの材料なのか分からないまま読むことになります。体験は本論の具体例に回し、一文目を立場にして直します。「近年、〇〇が問題になっている」のような一般論から入る形も、同じ理由で直します(親記事にも例があります)。
直した後の書き出し(例)
私は、ボランティア活動を授業に取り入れることに反対である。活動を授業として評価すると、参加が自分の意思ではなく、成績のための作業になるからだ。授業では活動の機会を紹介し、参加するかどうかは生徒に任せるべきだと考える。
NG2|あいさつ・宣言から始める
テーマ:よい友人関係とは何か。
直す前の書き出し(NG)
よい友人関係について、私なりに考えてみたいと思います。難しいテーマですが、自分の経験をもとに書いていきます。
これから書くという宣言は、答案に書かなくても伝わります。語尾も敬体(です・ます)になっています。一文目を定義の型にして、常体で言い切ります。
直した後の書き出し(例)
よい友人関係とは、意見が違う時に、それを口に出せる関係のことだと私は考える。いつも相手に合わせている関係は、居心地はよいが、相手のために言うべきことを言えなくなる。本論では、意見の違いがかえって関係を強くした場面を示す。
NG3|課題文を丸写しする
課題文の要旨:すぐに答えを出すより、問いを持ち続けることに学びがある。
直す前の書き出し(NG)
課題文には「学びとは、早く答えを出すことではなく、答えの出ない問いを持ち続けることである。すぐに分かったつもりになることが、学びを止めてしまう」と書かれている。
課題文の文をそのまま写すと、読み取れたかどうかが読み手に伝わりません。字数も使います。主張の中心を自分の言葉で1文にまとめ、すぐに立場を続けます。
直した後の書き出し(例)
筆者は、すぐに答えを出すより、問いを持ち続けることにこそ学びがあると述べている。私はこの主張に条件付きで反対である。問いを持ち続けるには、一度仮の答えを出し、それを確かめ直す過程が要ると考えるからだ。
NG4|問いかけで終わり、立場が無い
テーマ:町の防災のために、高校生にできることは何か。
直す前の書き出し(NG)
町の防災のために、高校生にできることはあるのだろうか。大人に任せるべきだという考えもあれば、高校生にも役割があるという考えもある。果たしてどちらが正しいのだろうか。
問いかけ(問題提起)は、答えとセットで使う書き方です。問いを投げたまま序論を終えると、立場が本論まで分かりません。問いの直後に、自分の答えを置きます。
直した後の書き出し(例)
町の防災のために、高校生にできることはあると私は考える。町に住む若い世代として、避難の呼びかけや、高齢の住民の見守りを担えるからだ。本論では、日ごろの備えと、災害が起きた時の動きの二つに分けて論じる。
インパクトのある書き出し・面白い書き出しは要るか
名言、会話文、擬音から始める書き出しは、物語や随筆では使われます。小論文では、その一文が立場を示していなければ、前置きと同じ働きになります。読み手の目を引くことより、一文目で何を論じる答案かが分かることを優先します。
字数別:序論の字数と書き出しの目安
書き出しにどれだけの字数を使えるかは、全体の字数で決まります。次の表は、親記事「小論文の書き方」の配分(序論1〜1.5割、本論6〜7割、結論1.5〜2割)と同じ比率で、序論の字数を出した目安です。一文は60字前後までを目安にしています。
| 全体の字数 | 序論の字数 | 序論の文の数の例 | 序論に入れるもの |
|---|---|---|---|
| 400字 | 50字 | 1文 | 立場だけ。一文目で設問に答える |
| 600字 | 80字 | 1〜2文 | 立場と、理由の方向 |
| 800字 | 100字 | 2〜3文 | 立場と論点の予告。言い換え・定義から入ってもよい |
| 1,000字 | 120字 | 3〜4文 | 立場と論点の予告。言い換え・定義・具体例から入ってもよい |
| 1,200字 | 150字 | 3〜4文 | 言い換え・定義・具体例の一文、立場、論点の予告 |
400字では序論が50字前後しかないため、一文目を立場にする型が合います。言い換え・定義から入る型は、立場の前に一文を足すので、序論が100字前後ある800字以上で使います。具体例から入る型は、場面と問題を一文に入れるため、序論が120字以上ある1,000字以上で使います。
1,200字でも、序論は150字前後です。本論に840字、結論に210字を使います。書き出しに凝って序論が200字を超えると、その分だけ本論が短くなります。
要項にある小論文の形と、一文目でまずすること
小論文の字数と形は、大学・学部・方式ごとに違います。2027年度入試(2027年4月入学)の要項から、このサイトの大学別・学部別の記事で確かめた例を並べます。序論の目安は、上の表から出したものです。
| 大学・学部(方式) | 小論文の形と字数 | 序論の目安 | 一文目でまずすること |
|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 法学部(FIT入試B方式)総合考査Ⅰ | 資料を読み取り400字程度にまとめる(45分) | 読み取りの試験 | 資料の傾向を一文目で示す |
| 慶應義塾大学 法学部(FIT入試B方式)総合考査Ⅱ | 400字程度の小論文(45分) | 50字前後 | 一文目を立場にする |
| 上智大学 法学部(推薦入学試験・公募制) | 小論文 800字(60分) | 100字前後 | 立場と論点の予告まで |
| 武蔵大学 社会学部(ゼミ力重視方式) | 小論文 800字程度(80分) | 100字前後 | 立場と論点の予告まで |
| 國學院大學 法学部 法律専攻(公募制自己推薦・AO型) | 法・政治に関連するテーマの小論文 1,000字程度(120分) | 120字前後 | 問いの言い換えか定義から入れる |
| 関西大学 法学部(AO入試Ⅱ型) | 指定図書の小論文 1,000字程度(90分) | 120字前後 | 設問が要約を求めれば本の主張の要約、意見だけなら立場 |
| 学習院大学 法学部 政治学科(学校推薦型選抜・公募制) | 論述問題(60分。評論・グラフ・図表などの資料を分析) | 設問ごとに確かめる | 資料型・課題文型の一文目 |
| 筑波大学 教育学類(推薦入試) | 専門に関連する英語の文章を読む形式の小論文 | 設問ごとに確かめる | 英文の主張を読み取って立場を示す(要約の要否と答える言語は要項・過去の出題で確かめる) |
指定図書や英文を読んで書く形式でも、設問が要約と意見を一続きで求める時は、課題文型と同じ書き出しにします。一文目で読んだ文章の主張を要約し、二文目で立場を示します。大学ごとの選考の形は、法学部の総合型選抜などの学部別の記事でもまとめています。
一文目を書くまでの手順
書き出しは、思いついた順に書くものではありません。一文目を書く前に、問いと立場を決めます。次の5段階で進めます。
手順ごとに書き出すもの
| 手順 | 書き出すもの | 例(1,200字以内・賛否型) |
|---|---|---|
| 1. 指示の言葉に線を引く | 何を求めているか | 「賛成か、反対か」と「論じなさい」に線を引く |
| 2. 問いを言い換える | 何に答えるのか | 朝の始業を遅くすることが、高校生にとってよいかどうか |
| 3. 立場を決める | 答えの一文 | 賛成。ただし、放課後の時間の確保を条件にする |
| 4. 型を選ぶ | 書き出しの型 | 賛否型なので、立場から書き出す |
| 5. 一文目を書く | 一文目 | 私は、公立高校の始業時刻を遅らせることに賛成である。 |
手順3で立場が決まらない時は、書き出しではなく材料が足りていません。理由と具体例の候補を書き出してから、支えられる立場を選びます。理由の絞り方と段落の設計図は、小論文の構成で説明しています。
本論・結論の段落の書き出し
書き出しの考え方は、本論や結論の段落にも使えます。段落の一文目で、その段落の役割が分かるように書きます。
| 段落 | 書き出しの言葉の例 | 一文目で示すこと |
|---|---|---|
| 本論(理由1) | 第一に、/その理由は、 | 一つ目の理由 |
| 本論(理由2) | 第二に、/また、 | 一つ目と違う理由 |
| 本論(具体例) | たとえば、/実際に、 | 理由を支える場面や事実 |
| 本論(反対意見の検討) | たしかに、〇〇という意見もある。しかし、 | 反対意見と、それへの答え |
| 結論 | 以上のように、/したがって、 | 本論を受けた立場の言い直し |
原稿用紙に書く時は、書き出しの1マスを空けます。段落の始まりも同じです。句読点やかぎかっこの扱いは、親記事の小論文の書き方の原稿用紙の使い方で確かめてください。
書き出しを確かめるチェックリスト
序論を書いたら、本論に進む前に次の点を確かめます。練習の後に、自分の答案の一文目を見直す時にも使えます。
書き出しを練習する方法
書き出しは、一本の小論文を書かなくても練習できます。過去の出題や問題集の設問を読み、序論だけを5分で書きます。4つの型のうち二つで書き分けて、どちらが本論につなげやすいかを比べます。
一文目で示した立場は、面接で小論文の内容を聞かれた時の答えの出発点にもなります。答え方は口頭試問の対策で説明しています。出願時の課題レポートでも、序論で問いと立場を示す点は同じです。課題レポートの書き方もあわせてご覧ください。総合型選抜の全体の流れは総合型選抜とはでまとめています。
よくある質問
- Q. 小論文の書き出しは「私は」から始めてもいいですか?
- A. 始めてかまいません。「私は、〇〇に賛成である」のように一文目で立場を示すのは、書き出しの基本の型です。ただし、二文目以降も「私は」が続くと単調になります。二文目からは、理由や事実を主語にして書きます。
- Q. インパクトのある書き出しや、面白い書き出しにしたほうがいいですか?
- A. 必要ありません。小論文で読み手が最初に知りたいのは、設問に何と答える答案かです。名言や会話文から入る書き出しは、立場を示していなければ前置きと同じ働きになります。一文目で設問に答えるほうが、短い序論の中で論点を伝えられます。
- Q. 問題提起(問いかけ)から書き出してもいいですか?
- A. 問いの直後に自分の答えを書くなら使えます。「〇〇だろうか。私は△△と考える」のように、問いと答えを続けます。問いかけを重ねたまま序論を終えると、立場が本論まで分からず、立場の無い書き出しになります。
- Q. 「近年」や「現代社会では」から書き出すのはだめですか?
- A. 一文目がそれだけで終わる一般論なら、避けます。「近年、〇〇が問題になっている」は、どの答案にも書ける文で、字数を使っても立場は伝わりません。背景を書きたい時は、序論は立場から始め、背景は本論の具体例や理由の中で書きます。
- Q. 小論文の書き出しは1マス空けますか?題名や名前は書きますか?
- A. 原稿用紙に書く時は、書き出しの1マスを空けます。段落の始まりも同じです。題名や名前は、解答用紙や設問の指示に従います。指示が無い時の扱いは大学で違うことがあるため、過去の出題や解答用紙に題名・名前の欄があるかを確かめます。
- Q. 書き出しが思いつかない時は、どうすればいいですか?
- A. 書き出しの言葉を探す前に、立場が決まっているかを確かめます。設問の指示の言葉に線を引き、問いを一文で言い換え、答えを一文で決めます。答えが決まれば、「私は、〇〇と考える」と書けば一文目になります。答えが決まらない時は、理由の候補を書き出してから立場を選びます。
まとめ
小論文の書き出しは、一文目で設問に答えることが基本です。型は、立場から・問いの言い換えから・定義から・具体例から、の4つで、どの型でも二文目までに立場を置きます。テーマ型は論点への答え、課題文型は主張の要約、資料型は傾向の読み取り、賛否型は賛否の言い切りを一文目にします。前置き、あいさつ、課題文の丸写し、問いかけだけの書き出しは、一文目を立場にして直します。
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