経営学部の志望理由書の書き方と例文4本|経済・商学部との違い【学長監修】

経営学部の志望理由書の書き方と例文4本 受験の知識

最終更新: 2026-10-09 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試の募集要項

経営学部の志望理由書は、「ビジネスに興味がある」「経営者になりたい」で終わってしまいがちです。この記事では、経営学部で学ぶことを経済学部・商学部と比べ、各大学の2027年度入試(2027年4月入学)の要項から読み取れる評価の手がかりを整理します。そのうえで、経営学部ならではのきっかけの探し方と組み立て方を説明し、分野の違う例文を字数別に4本載せます。志望理由書の全体の構成は親記事の志望理由書の書き方、学部ごとの入試の方式は経済学部の総合型選抜で説明しています。

経営学部で学ぶこと(経済学部・商学部との違い)

経営学部の志望理由書 この記事の要点
経営学で見るもの
企業・組織の判断
経済学は社会全体の動き
書く中身の柱
3つ
理由・学びたいこと・目標
例文
4本
400・600・800・1,200字
例文の分野
4つ
マーケティング・組織・起業・会計
経営学と経済学の区分は学問の一般的な分け方による目安。書く中身の柱は文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第6の5(2)による。例文はすべて創作

学問の一般的な分け方では、経営学部で学ぶのは、主に一つひとつの企業や組織が、何を売り、どう人を動かし、お金をどう管理するかという判断です。これに対して経済学部は、物価や景気、市場など社会全体の動きを主に扱います。商学部は、商品やサービスが取引され、流通する仕組みを主に扱います。

ただし、マーケティングや会計は経営学部にも商学部にもあるなど、分野は重なっています。自分の関心が「社会全体」と「一つの会社や組織」のどちらに向いているかを考えると、経営学部を選ぶ理由が書きやすくなります。

経済学部・経営学部・商学部の違い(目安)
学部主に見る対象学ぶ分野の例志望理由書の問いの例
経済学部社会全体のお金とモノの動きミクロ経済学、マクロ経済学、財政、統計物価が上がると、家計の支出はどう変わるか
経営学部一つひとつの企業や組織の判断経営戦略、組織論、人的資源管理、マーケティング、会計、起業論同じ業界の2社は、なぜ新しい商品の出し方が違うのか
商学部商品やサービスの取引と流通の仕組み流通、マーケティング、会計、金融、保険、貿易商品は、作られてから客に届くまでにどこを通るか
学問の一般的な分け方による目安。学部・学科の区切り方と科目は大学ごとに違うので、志望校の公式サイトとシラバスで確かめる

大学によって学部・学科の区切り方が違う

経営学を学べる場所は、経営学部だけではありません。経済学部や商学部の中に経営学科を置く大学もあります。出願する学部・学科の名前と、そこで学べる科目に合わせて書きます。大学ごとの方式と出願要件は経済学部の総合型選抜にまとめています。

区切り方大学の例(2027年度入試の要項)
経営学部の中に、分野ごとの学科がある東洋大学 経営学部(経営学科・マーケティング学科・会計ファイナンス学科)、武蔵野大学 経営学部(経営学科・会計ガバナンス学科)
経済学部の中に、経営学科がある武蔵大学 経済学部(経済学科・経営学科・金融学科)、学習院大学 経済学部、成城大学 経済学部(経済学科・経営学科)
商学部の中に、経営学科がある中央大学 商学部(経営・会計・国際マーケティング・金融の4学科)、西南学院大学 商学部(商学科・経営学科)
起業や国際経営を別の学部・学科で学ぶ武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部、中央大学 国際経営学部、明治学院大学 経済学部 国際経営学科

経営学部の志望理由書で大学が見ている点

志望理由書に書く中身の柱は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」に示されています。総合型選抜では、本人が記載する資料を評価に活用しなければなりません(第3の1(2)①)。大学入学希望理由書では、入学希望理由、入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させるとしています(第6の5(2))。

専修大学の経営学科のように、この3つを含めて書くよう要項で指定する大学もあります。書類の名前、字数、設問は大学ごとに違うので、出願する方式の要項で確かめます。

経営・商学系の学部・学科の志望理由書(2027年度入試の要項)
大学・学部(方式)書類と字数書く内容・あわせて出すもの
専修大学 経営学科(総合型選抜)志望理由書 1,000字以内(自筆)入学後に学びたい内容・計画、卒業後を見据えた目標を含める
青山学院大学 経営学部(キリスト者推薦。対象が限られる方式)志願者提出用紙「経営学部へ進学して学びたい学問領域・学業の目標・将来の目標について述べなさい。」
横浜国立大学 経営学部(学校推薦型選抜)志望理由書(自筆)志望した理由、大学生活に期待すること、将来の希望・進路
立教大学 経営学部(自由選抜入試)志望理由書 2,000字程度学科・資格によって活動報告書も出す
明治学院大学 経済学部 国際経営学科(自己推薦AO入学試験)志望理由書 500字以内字数のみ記載
西南学院大学 商学部 商学科・経営学科(総合型入試)志望理由書および学修計画書学修計画についてプレゼンテーションと質疑応答がある
同志社大学 商学部 商学科フレックス複合コース(AO入試)志望理由書 1,000字以内ビジネスに関連したテーマのエッセイ(2,000字以内)も出す
明治大学 商学部(全商協会員校の生徒向けの方式)志望理由書 1,000字以内商業の学びを踏まえて商学部を志望する理由
このサイトの大学別記事で、各大学の2027年度入試の要項から確かめた内容。出願する年度の要項で原文を確かめる
経営・商学系の学部・学科の志望理由書の字数の例
明治学院大学 経済学部 国際経営学科
500字
専修大学 経営学科
1,000字
同志社大学 商学部 フレックス複合コース
1,000字
明治大学 商学部(全商協会員校対象)
1,000字
立教大学 経営学部
2,000字
立教大学は「2,000字程度」、ほかは「以内」の指定

要項から読み取れる、経営学部らしい見られ方

志望理由書以外の選考の内容も、経営学部・経営学科が受験生の何を見ようとしているかの手がかりになります。成蹊大学の経営学部は、課題レポートと同じテーマで少人数の討論を行い、要項には、自分の意見を主張し続けるだけでは高い評価は得られないと書かれています。専修大学の経営学科の面接では、社会情勢・時事問題の基礎知識を問う場合があります。南山大学の経営学科には、日商簿記2級以上、統計検定2級以上、実用数学技能検定2級以上などの資格で出願できる方式があります。学習院大学 経済学部 経営学科(公募制)は、評定4.0以上かつ数学3.8以上(数学Ⅰ・Ⅱ・Aの平均)が条件です。

これらと親記事の志望理由書の書き方の構成をふまえ、次の点を確かめながら書くとよいでしょう。学部・学科ごとのアドミッション・ポリシーも、大学の公式サイトで読んでおきます。

経営学部の志望理由書で確かめる点
どの店・会社・組織の、どんな判断に問いを持ったのかが書かれている
経済学部・商学部ではなく、経営学部(経営学科)を選ぶ理由が1〜2文である
学びたい分野(マーケティング、組織と人、起業、会計など)が一つに絞られている
企業や社会の動きへの関心が、自分の経験と結びついている
売上や人数などの数字、記録や統計で確かめようとする姿勢がある
入学後に学びたい内容と、学年ごとの計画が書かれている
将来の目標が、誰のどんな課題に関わるかまで書かれている
このサイトの目安。要項の評価の観点は大学・方式ごとに違う

経営学部の志望理由の組み立て方(きっかけから将来まで)

経営学部の志望理由書も、親記事の志望理由書の書き方と同じ4つの部分で組み立てます。結論、きっかけと問い、この大学・学部で学びたいこと、将来の目標です。経営学部で特に意識したいのは、きっかけから「問い」を立てることと、その問いがなぜ経営学で学べるのかを示すことです。

経営学部の志望理由書を組み立てる流れ
1
きっかけを一つ選ぶ
身近な店、部活動の運営、家業、アルバイト、企業のニュースなど、自分が見た場面
2
問いにする
「なぜ売れたのか」「なぜ人が辞めるのか」のように、一つの会社や組織の判断についての問いにする
3
学びたい分野を決める
問いに答える分野(マーケティング、組織と人、起業、会計など)と、学べる科目・ゼミを要項とシラバスで確かめる
4
経営学部を選ぶ理由を書く
経済学部・商学部ではなく、経営学部(経営学科)で学ぶ理由を1〜2文で示す
5
将来の目標につなぐ
学んだことを、卒業後にどの仕事で、誰のために生かすかを書く

経営学部ならではのきっかけの探し方

経営学部のきっかけは、大きな実績である必要はありません。身近な店や組織で「なぜだろう」と感じた場面が材料になります。経済学部の総合型選抜でも、関心のきっかけとして、地域の商店やニュースで見た企業の動きなど、具体的な出来事を挙げています。次の表のように、場面ごとにつながりやすい分野があります。

きっかけの場面つながりやすい分野問いの例
身近な店(商店、飲食店など)マーケティング、消費者行動同じ通りにあるのに、なぜ客が並ぶ店と並ばない店があるのか
部活動や委員会の運営組織論、リーダーシップ役割の分け方で、メンバーの意欲はどう変わるのか
家業(親の仕事)会計、中小企業の経営仕事が多い月ほど、なぜ先に出ていくお金も多くなるのか
アルバイト人的資源管理、サービス・マネジメント新しく入った人が辞めない職場は、何が違うのか
自分で始めた販売や企画起業論、経営戦略売上が伸びても、なぜ手元に残るものが増えないのか
企業のニュース経営戦略、企業と社会同じ業界でも、なぜ会社によって判断が分かれるのか

家業や親の仕事をきっかけにする場合は、「親の影響で」と書くだけでは足りません。自分が担った役割、自分で調べたこと、そこで分からなかったことまで書きます。家業の数字や事情を書く時は、家族に確かめてから書きます。アルバイトの場合も、仕事の説明ではなく、店や会社の判断について持った問いを中心にします。

字数が増えた時に足すもの

4つの部分に使う字数の目安は、親記事の志望理由書の書き方に字数別の表があります。字数の多い指定でも、経験の数は増やしません。次のような材料を足すと、経営学部らしい具体性が出ます。

足すもの書く部分例文での例
売上や人数などの数字きっかけと問い月に15個ほど売れた(800字)、3人のうち2人が辞めた(600字)
自分で作った記録や表きっかけと問い入金と支払いの月ごとの表(1,200字)
科目の名前とゼミの研究分野学びたいこと消費者行動論(400字)、人的資源管理(600字)、管理会計(1,200字)
学年ごとの計画学びたいこと1・2年次、3年次、4年次の順に書く(1,200字)

書き出しの1文の型は志望理由書の書き出し、最後の段落の結び方は志望理由書の締め方で説明しています。

経営学部の志望理由書の例文(400字・600字・800字・1,200字)

経営学部の分野を変えて、字数別に4本の例文を載せます。いずれも説明のための創作です。経験と数字、〇〇・△△で伏せた名称は、自分のものと大学の公式サイトで確かめた正式な名称に置き換え、言い回しは写さずに構成と配分だけを参考にします。

経営学部の志望理由書の例文一覧
字数の指定分野きっかけの題材
400字以内マーケティング銭湯の客の層が変わった理由
600字以内組織・人(人的資源管理)アルバイト先の留学生スタッフの定着
800字以内起業・経営戦略リメイクバッグのネット販売
1,200字以内会計(公認会計士志望)家業の整備工場の請求書の整理
例文はすべて説明のための創作。字数は句読点やかぎかっこを含めて数え、改行と1字下げは含まない
経営学部の例文 指定の字数と例文の字数
指定の字数例文の字数
マーケティング(400字)
400字
371字
組織・人(600字)
600字
560字
起業・経営戦略(800字)
800字
719字
会計(1,200字)
1,200字
1,116字
例文は指定の9割から9割5分程度に収めた

400字の例文(マーケティング)

400字前後では、見た場面を2〜3文にとどめ、学びたいことに字数を回します。

例文|経営学部(マーケティング)・400字以内の指定(371字)

私は、人がどのような理由で店やサービスを選ぶのかを、消費者行動の分析から学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。

家の近くの銭湯は、数年前まで客の多くが高齢者でした。サウナを新しくし、入口に入り方の手順を貼り出すと、料金は変わらないまま、休日に高校生や大学生が並ぶようになりました。若い客は、何をきっかけにこの銭湯を知り、選んだのか、という問いを持ちました。

貴学部では、消費者行動論とマーケティング・リサーチを学び、アンケートや購買の記録を分析する方法を身につけられます。〇〇ゼミでは、地域の店と組んで客の調査を行っていると知りました。私は、若い客が銭湯を知った経路と、来てみて満足した点を調べ、客の層が変わった理由を確かめたいと考えています。

卒業後は、地域の商業施設の企画に携わり、古くからある店が新しい客と出会う場をつくることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論57字学びたい分野と学部を1文で示す
第2段落きっかけと問い122字見た場面は一つ。3文で問いまで進める
第3段落この大学・学部で学びたいこと143字学べる方法と自分の問いを結ぶ。最も長い段落
第4段落将来の目標49字誰のどんな課題に関わるかを書く

「料金は変わらないまま」と書くことで、値段以外の理由で客が変わった場面だと分かります。問いを「どう知り、なぜ選んだのか」に絞ったので、学びたいことの段落では、知った経路と満足した点という、客の調査で確かめられる形に結びつけています。

600字の例文(組織と人)

600字前後では、見たことに加えて、そこで分からなかったことを書けます。

例文|経営学部(組織と人)・600字以内の指定(560字)

私は、国籍の違う人が一緒に働く職場で、人を育て、定着させる仕組みを、人的資源管理の視点から学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。

高校2年の春から、ファミリーレストランの厨房でアルバイトをしています。その年の秋、留学生のスタッフが3人入りましたが、2か月のうちに2人が辞めました。店長は、文字だけだった作業の手順書を写真入りに変え、最初の1週間は同じ先輩と組んで働く決まりを作りました。その後に入った留学生は、半年後も働き続けていました。ただ、写真入りの手順書と、先輩と組む決まりのどちらが効いたのかは、店長にも分かりませんでした。

人が辞めずに力を伸ばせる職場は、どのような仕組みでつくられるのか。この問いに答える方法を、貴学部で学びたいと考えています。貴学部では、組織論と人的資源管理を学び、職場の制度が働く人の意欲や定着にどう影響するかを調べる方法を身につけられます。〇〇教授のゼミでは、外国人の従業員を受け入れる企業への聞き取り調査が行われています。入学後は統計と調査の方法を学び、3年次からはゼミで、教え方の違う職場を比べたいと考えています。

卒業後は、外食や小売の企業の人事部門で、多様な人が長く働ける職場の制度をつくりたいと考えています。アルバイト先で見た工夫を、根拠のある仕組みにして広げることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論66字組織・人の分野であることを1文目で示す
第2段落きっかけと問い201字店が変えた仕組みと、分からなかったことを書く
第3段落この大学・学部で学びたいこと209字問いの1文から始め、学べることと計画につなぐ
第4段落将来の目標84字アルバイトの経験と仕事を結ぶ

アルバイトの仕事の説明ではなく、店長が変えた2つの仕組みと、その効果が分からなかった点を書いています。学びたいことの段落では、教え方の違う職場を比べて確かめる調査に結びつけています。

800字の例文(起業)

800字前後では、自分で行動した結果と、読んだ本で問いを深めた過程まで書けます。

例文|経営学部(起業)・800字以内の指定(719字)

私は、小さく始めた事業が続けられる形に育つまでの過程を、起業論と経営戦略の視点から学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。

高校2年の夏、手芸部の友人と2人で、着なくなった服を作り直したバッグを、フリマアプリで売り始めました。最初の月に売れたのは2個でしたが、写真の撮り方と説明文を変えると、半年後には月に15個ほど売れるようになりました。ところが、注文が増えるほど作る時間が足りなくなり、材料の古着を集める手間も増えました。売上は伸びたのに、手元に残るお金と時間はほとんど増えませんでした。小さな事業は、どの順序で仕組みを整えれば続けられるのか、という問いを持つようになりました。

創業についての入門書を読み、事業を大きくする前に、何を自分たちで行い、何を人に任せるかを決める必要があると知りました。その決め方を、計画と数字で確かめる方法として学びたいと考えています。私たちは作るのにかかった時間を記録していなかったため、1個あたりの利益を出せませんでした。貴学部では、1年次に簿記と経営学の基礎を学び、2年次から起業論や経営戦略の科目を選べます。△△プログラムでは、学生が事業の計画を作り、企業の方から講評を受ける機会があると知りました。私はそこで、作り手が少ない事業でも続けられる、生産と販売の分け方を計画にまとめたいと考えています。さらにゼミでは、地域で創業した小さな事業者に話を伺い、続いた例と続かなかった例を比べます。

卒業後は、創業を支援する団体で経験を積み、その後は自分でも、手仕事を事業として続けられる会社を立ち上げたいと考えています。好きなことを始めた人が、時間とお金の不足であきらめずに済む仕組みを広げることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論62字起業そのものでなく、学びたい過程を示す
第2段落きっかけと問い229字行動、販売の数字、ぶつかった壁、問いの順に書く
第3段落この大学・学部で学びたいこと323字読んだ本で分かったことから書き、学ぶ方法と場と計画を書く
第4段落将来の目標105字起業の先に、誰のどんな課題があるかを書く
経営学部の例文(800字・起業) 部分ごとの割合
結論8.6%
きっかけと問い31.8%
この大学・学部で学びたいこと44.9%
将来の目標14.6%
入門書で知ったことを学びたいことの段落の頭に置き、きっかけの段落は販売の数字と壁に絞った

「起業したい」から書き始めず、小さな事業を続けられる形にする過程を学びたい、と1文目で示しています。2個から15個という販売の数字と、売上が伸びても手元に残らなかったという壁を書くと、学びたい内容が「計画を数字で確かめる方法」に絞られます。

1,200字の例文(会計)

1,000字を超える指定では、経験を増やすのではなく、自分で調べた過程と、学年ごとの計画を加えます。

例文|経営学部(会計)・1,200字以内の指定(1,116字)

私は、会計の数字を、小さな会社の経営者が判断に使える情報にする方法を学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。将来は公認会計士として、中小企業の経営を数字の面から支えることを目指しています。

父は従業員5人の自動車整備工場を営んでおり、私は高校1年の冬から請求書の整理を手伝っています。ある時、取引先の運送会社のトラックの修理代は、入金が数か月先になると父から聞きました。その前に、部品の代金と従業員の給料を払う必要があります。仕事が多い月ほど、先に出ていくお金も多くなるのです。お金の流れを理解したいと考え、日商簿記3級の勉強を始めました。高校2年の夏には、父に確かめながら、工場の1年分の入金と支払いを月ごとの表にまとめました。すると、支払いが先に重なる月は、大きな修理の注文が続いた後に集まっていました。ただ、それが分かっても、父が仕事を受ける時に表をどう使えばよいのかは分かりませんでした。会計の数字を、記録するだけでなく、仕事を受けるかどうかの判断に使うにはどうすればよいのか、という問いを持つようになりました。

この問いに答えるために、貴学部では管理会計を中心に学びたいと考えています。私が作った表は、入金と支払いを並べただけのものでした。貴学部では、1年次に簿記と財務会計の基礎を学んだ後、2年次から管理会計の科目を選べます。原価や資金の計画の考え方を身につければ、仕事を受ける前に、お金の動きを見通せるようになると考えています。そのうえで、中小企業の会計を扱うゼミに入り、帳簿が経営の判断にどう使われているかを調べたいと考えています。ゼミの学生が地域の企業を訪ねて調査を行っていることも、貴学部を選んだ理由です。公認会計士試験の勉強は、学部の授業と並行して1年次から始めます。入学後は、1・2年次に簿記、財務会計、経営学の基礎を身につけます。3年次からはゼミで、従業員の少ない会社が資金の計画をどう立てているかを調べます。業種の違う会社を比べ、仕事の受け方とお金の動きの関係を確かめます。経営者の方には、仕事を受けるかどうかを決める時に、何の数字を見ているのかも伺います。4年次には、その結果を卒業論文にまとめ、父の工場でも使える資金の計画の表を作りたいと考えています。

卒業後は公認会計士の資格を取り、監査の仕事で多くの会社の会計に触れて経験を積みます。そのうえで、従業員の少ない会社の経営者が、会計の数字を判断に使えるよう支える仕事に就きたいと考えています。父の工場のように、仕事はあるのにお金の流れで迷う会社の力になりたいと考えています。会計を、記録のためだけでなく、経営を前に進めるための道具にすることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論95字長い字数でも結論は2文に収める
第2段落きっかけと問い365字自分の役割、自分で作った表、残った問いの順に書く
第3段落この大学・学部で学びたいこと481字問いから管理会計の科目、ゼミ、学年ごとの計画の順に書く。最も長い段落
第4段落将来の目標175字資格の先に、どんな会社を支えるかを書く

家業の請求書の整理という自分の役割から書き、月ごとの表で分かったことと、分からなかったことを示しています。問いが「数字を仕事の判断に使う方法」なので、学びたいことの段落は、管理会計の科目、ゼミ、学年ごとの計画の順に、すべてをその問いに結びつけています。

ほかの学部の例文や、設問がある様式の例文は志望理由書の例文にまとめています。

経営学部の志望理由書でよくあるNGと直し方

経営学部の下書きに多い3つの形を、直す前と直した後で並べます。いずれも説明のための創作です。

直す前|「経営者になりたい」だけで終わっている(87字)

私は将来、経営者になりたいと考えています。社長として多くの社員を率い、会社を大きくすることが夢です。そのために、貴学経営学部で経営について幅広く学びたいと考え、志望しました。

直した後(168字)

私は、地域の小さな宿が、人手が少なくても客を迎え続けられる運営の方法を学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。職場体験で訪ねた町の小さな宿で、予約と客室の管理を手作業で行う大変さを見たことがきっかけです。貴学部のサービス・マネジメントの科目で、少ない人数で回せる仕組みを学び、将来はそうした宿を経営する立場で生かしたいと考えています。

直す前|経済学部と区別がつかない(56字)

私は、日本の景気がなぜ長く停滞したのかに関心があり、物価や金利の動きを学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。

直した後(122字)

私は、原材料の値段が上がる中で、中小の製造業がどのように値上げを決め、取引先と交渉しているのかを学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。関心の中心が国全体の物価ではなく、値上げを決める会社の側にあるため、経済学部ではなく経営学部を選びました。

直す前|「数学が苦手だから」を理由にしている(54字)

数学が苦手なので、経済学部ではなく経営学部を選びました。経営学部なら、人と関わる力を生かせると考えています。

直した後(152字)

私は、中小企業が新しい機械を買うかどうかを、どのような根拠で決めているのかを学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。設備への投資は、売上の見込みとその確からしさを比べて判断する必要があります。そのため数学では確率と統計の単元に力を入れ、入学後は経営財務の科目で投資の判断の方法を学びたいと考えています。

経営学部の志望理由書のNGと直し方のまとめ
NGの形伝わらない理由直し方
「経営者になりたい」だけどんな事業で、何を学びたいのかが見えない経営したい事業と、そのために学ぶ分野を具体的に書く
経済学部と区別がつかない景気や物価など社会全体の話だけで、経営学部を選ぶ理由が見えない一つの会社や組織の判断についての問いにし、経営学部を選ぶ理由を1文で書く
「数学が苦手だから」が理由消極的な理由に読める。経営学でも会計や統計で数字を扱う学びたいことを理由にし、数字を扱う学びへの取り組みも書く
経営学を学ぶ学科でも、学習院大学 経済学部 経営学科(公募制)のように数学の評定が出願の条件になる方式がある

経営学部の面接で聞かれやすいこと

総合型選抜の面接では、提出した志望理由書の内容が深く聞かれます。経済・経営・商の面接では、関心のある経済のニュースや数学への取り組みが聞かれやすい傾向があります。経営学部では、経営学部を選んだ理由も説明できるようにしておきます。次の表は準備の目安で、特定の大学の出題ではありません。面接の形式や答え方の型は大学入試の面接対策で説明しています。

聞かれやすいこと(例)志望理由書のどこと結びつくか準備のしかた
なぜ経済学部・商学部ではなく経営学部なのか結論、学びたいこと3つの学部の違いと、自分の関心がどこに向いているかを1〜2文で言えるようにする
きっかけの場面をくわしくきっかけと問い書いた数字や出来事の順序を、自分の言葉で説明できるようにする
関心のある企業や経済のニュースきっかけ、将来の目標自分の問いに近いニュースを一つ選び、事実と自分の考えを分けて話せるようにする
数学や統計への取り組み学びたいこと会計や統計など、学びたい分野で数字をどう使うかを話せるようにする
入学後に学びたい科目・ゼミこの大学・学部で学びたいことシラバスで科目の内容を確かめ、なぜ自分の問いに必要かを言えるようにする
卒業後の進路将来の目標仕事の名前だけでなく、誰のどんな課題に関わりたいかまで話せるようにする

専修大学の経営学科のように社会情勢・時事問題の基礎知識を問う場合がある大学や、成蹊大学の経営学部のように討論でグループの結論をまとめる力を見る大学もあります。

よくある質問

Q. 経営学部の志望理由書に「経営者になりたい」と書いてはいけませんか?
A. 書いてもかまいません。ただし、それだけでは何を学びたいのかが伝わりません。どのような事業を経営したいのか、そのためにマーケティングや会計など何を学ぶ必要があるのかまで書きます。
Q. 将来の夢が決まっていなくても、経営学部の志望理由書は書けますか?
A. 書けます。将来の目標は、職業の名前が決まっていなくても、関わりたい課題で書けます。たとえば「地域の小さな店が客と出会う場をつくりたい」「多様な人が長く働ける職場をつくりたい」のように書きます。
Q. 経済学部・商学部との違いは、志望理由書にどう書けばいいですか?
A. 自分の関心が、社会全体の動きではなく、一つひとつの企業や組織の判断に向いていることを1〜2文で書きます。たとえば「関心の中心が国全体の物価ではなく、値上げを決める会社の側にあるため、経営学部を選びました」のように書きます。経済学部の中の経営学科や、商学部の中の経営学科に出願する場合は、その学部の中で経営学科を選ぶ理由を書きます。
Q. 数学が苦手でも、経営学部を志望できますか?
A. 志望できますが、経営学部でも会計や統計、マーケティング・リサーチで数字を扱います。学習院大学 経済学部 経営学科(公募制)のように、数学の評定が出願の条件になる方式もあります。志望理由書では「数学が苦手だから経営学部」と書かず、学びたいことを理由にします。
Q. 簿記の資格は、経営学部の志望理由書に書いたほうがいいですか?
A. 学びたいこととつながる場合は、きっかけや学びの準備として書けます。たとえば会計を学びたい人が、家業の請求書を整理するために簿記を勉強した、という書き方です。南山大学の経営学科のように、日商簿記2級以上などの資格で出願できる方式もあります。
Q. 学校推薦型選抜や指定校推薦でも、経営学部の志望理由書の書き方は同じですか?
A. 書く中身の柱は同じで、志望の理由、入学後に学びたいこと、卒業後の目標です。たとえば横浜国立大学の経営学部(学校推薦型選抜)の志望理由書は、志望した理由、大学生活に期待すること、将来の希望・進路を書く様式です。指定校推薦で、校内選考のために志望理由書を出す場合も、同じ3つで書きます。方式ごとに設問と字数が違うので、要項で確かめ、設問ごとに答えます。

まとめ

経営学部の志望理由書では、どの店・会社・組織の、どんな判断に問いを持ったのかを書き、その問いを経営学部で学ぶ理由を示します。学問の一般的な分け方では、経済学部は社会全体、経営学部は一つひとつの企業や組織の判断を主に扱います。きっかけは身近な店、部活動の運営、家業、アルバイト、企業のニュースから探せます。例文は構成と配分をつかむために読み、自分の言葉で書いてください。

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