最終更新: 2026-10-06 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試の募集要項
志望理由書の書き出しは、読む人が最初に目にする部分です。この記事では、最初の数文の書き方に絞って、4つの型、学部系統別の例、字数別の分量、避けたい書き出しの直し方を整理します。本文へのつなぎ方、です・ます調や改行の決まりもまとめました。全体の構成と800字の例文は、親記事の志望理由書の書き方で説明しています。
志望理由書の書き出しの役割
志望理由書は、総合型選抜や学校推薦型選抜で、受験生本人が書いて出す書類です。書かせる中身の柱は、文部科学省の実施要項に示されています。
実施要項の定め(第3の1(2)①・第6の5(2))
総合型選抜では、志願者本人が記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書及び学修計画書等)を「必ず評価に活用する」とされています。
大学入学希望理由書には、「入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等」を書かせるとされています。
書く中身の柱は、志望の理由、入学後に学びたいこと、卒業後の目標の3つです。書き出しでは、このうち入学後に学びたいことを先に示します。1文目で、何を学びたい人なのかが分かるようにします。
| 読む人がつかみたいこと | 書き出しで示すこと | 示し方の例 |
|---|---|---|
| 何を学びたい人か | 学びたい内容を具体的に | 「〜の仕組みを学びたい」「〜という問いを確かめたい」 |
| どこで学びたい人か | 志望する学部・学科の名前 | 「貴学〇〇学部〇〇学科を志望します」 |
| 設問に答えているか | 設問の言葉に対応する答え | 「〜を学ぼうと考えたのは、〜からです」 |
| この先に何が書かれるか | きっかけや将来像への入り口 | 2文目で「きっかけは〜」と続ける |
実施要項は、総合型選抜で面接による評価を必ず行うことも定めています(第3の1(2)②)。本人が書いた資料は、プレゼンテーションなどで積極的に使うとされています(第6の5(3))。志望理由書の内容は、面接で質問のもとになります。書き出しに書いた学びたいことは、自分の言葉で説明できるようにしておきます。面接の準備は総合型選抜の面接で説明しています。
書き出しの4つの型と使い分け
書き出しの型は、1文目に何を置くかで4つに分かれます。型の名前と考え方は、親記事の志望理由書の書き方と同じです。ここでは、どの型を選ぶか、2文目に何を続けるかまで並べます。
| 型 | 1文目に置くもの | 2文目に続けるもの | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| 結論型 | 学びたいことと志望の意思 | きっかけの一言 | 字数が短い場合。迷った場合 | 学びたい内容をぼかさない |
| 将来像型 | 卒業後の目標 | そのために学部で学ぶこと | 医療・教育など職業と学部が結びつく場合 | 職業名だけで終わらせない |
| 経験型 | きっかけになった場面 | そこで持った疑問と学びたいこと | 字数に余裕がある場合 | 2文目までに学びたいことを出す |
| 問い型 | 自分が持っている問い | 問いの出どころと大学で確かめたいこと | 探究学習や読書から関心が生まれた場合 | 答えの分かっている問いにしない |
型ごとの書き出しの例
同じ受験生が、同じ志望先で4つの型を書き分けた例です。地域の公共図書館に関心を持つ受験生を想定した創作です。
例|結論型
私は、地域の公共図書館が住民の学びの場であり続けるための運営の方法を学びたいと考え、貴学文学部図書館情報学科を志望します。きっかけは、地元の図書館の分館が閉館したことです。
例|将来像型
私は、図書館を住民が集まり学び合う場所にできる司書を目指しています。そのために、貴学文学部図書館情報学科で、図書館の運営と地域との連携を学びたいと考えました。
例|経験型
高校1年の春、通っていた図書館の分館が閉館し、勉強や読書の場を失った小学生や高齢者を地域で見かけるようになりました。図書館が地域で果たしている役割を学ぶため、貴学文学部図書館情報学科を志望します。
例|問い型
本は買えば読めるのに、なぜ町には公共図書館が必要なのか。分館の閉館をきっかけに持ったこの問いを、貴学文学部図書館情報学科で、公共図書館が地域で果たす役割を学ぶことで確かめたいと考えています。
どの型でも、2文目までに「図書館の運営」「地域での役割」という学びたい内容が出てきます。経験型と問い型は、1文目が学びたいことではない分、2文目までに学びたい内容と学部につなげます。
型を選ぶ手順
設問がある様式の書き出し
志望理由書の様式に設問が書かれている場合は、型よりも設問への答えを優先します。1文目で設問の言葉を使って答えると、読む人は「聞いたことに答えている」とすぐ分かります。2027年度入試(2027年4月入学)の要項にある設問の例と、書き出しの考え方です。
| 大学・書類 | 要項の設問(要約) | 1文目で答えること |
|---|---|---|
| 大阪大学 文学部 志望理由書(800字程度) | 大阪大学文学部でどのような学問的探究に取り組みたいか。読書経験やその他の経験をふまえて | 取り組みたい探究の中身。読書経験は2文目以降で |
| 大阪大学 人間科学部 志望理由書(800字程度) | 大阪大学への入学を目指す理由と、志望する学部でどのような学修に取り組みたいか | 入学を目指す理由の結論。その中で学びたい分野にも一言ふれ、学修の中身は後半でくわしく |
| 慶應義塾大学 法学部 FIT入試 志望理由書(800字以内・自筆・横書き) | なぜ慶應義塾大学の法学部で法律学/政治学を学ぼうと考えたのか。その学びが自分の将来においてどのような意味をもち得るのか | 法律学・政治学を学ぼうと考えた理由の核 |
| 東北大学 AO入試II期 志願理由書(1枚に収まる程度) | 志願する理由を、勉学したい学問分野、希望する進路、これまで熱中したことなどと関連させて | 勉学したい学問分野と志願の意思 |
設問が2つ以上ある場合は、書き出しで1つ目の問いに答え、2つ目の問いには後半の段落で答えます。慶應義塾大学 法学部のFIT入試なら、1文目で学ぼうと考えた理由を示し、最後の段落で将来における意味を書く形です。
例|法律学を学ぼうと考えた理由に答える書き出し(慶應義塾大学 法学部 FIT入試の設問を想定した創作)
私が貴学法学部法律学科で法律学を学ぼうと考えたのは、インターネット上の書き込みで傷ついた人が、どこに相談すればよいのか分からずにいる状況を変えたいからです。
大阪大学 文学部のように「どのような学問的探究に取り組みたいか」と聞く設問では、志望の意思より先に探究の中身を書きます。「私は〜を探究したいと考えています」と1文目で言い切り、その探究に至った読書経験を2文目から書きます。
学部系統別の書き出しの例
学部系統によって、志望理由書で重く問われる点は違います。このサイトの学部別の記事でまとめた要項の傾向をふまえた、書き出しの例です。いずれも説明のための創作で、大学名・科目名は伏せています。
| 系統 | 例で使った型 | 書き出しで意識すること | 学部別の記事 |
|---|---|---|---|
| 文学部(人文系) | 結論型 | 何を読み、何を考えてきたかにつながる学びたいこと | 文学部の総合型選抜 |
| 法学部 | 結論型 | ルールや制度に関わる社会の問題 | 法学部の総合型選抜 |
| 経済・経営・商学部 | 結論型 | 経済・経営・商のどれを選ぶかの理由 | 経済学部の総合型選抜 |
| 国際系学部 | 問い型 | 「海外に興味がある」で終わらない具体的な問い | 国際系学部の総合型選抜 |
| 教育学部 | 経験型 | 教員の仕事だけでなく、教育学として何を学ぶか | 教育学部の総合型選抜 |
| 理工学部 | 結論型 | 研究したい技術や現象と、高校で取り組んだこと | 理工学部の総合型選抜 |
| 医学部 | 将来像型 | なぜ医学か。どんな医師・研究者を目指すか | 医学部の総合型選抜 |
| 看護学部 | 将来像型 | 医師などではなく看護職を選ぶ理由 | 看護学部の総合型選抜 |
文学部(人文系)
例|文学部
私は、明治時代に訳された外国の小説が日本語の文体をどう変えたのかを、訳文を読み比べる方法で研究したいと考え、貴学文学部を志望します。授業の副読本で読んだ明治期の翻訳と今の翻訳の違いに驚いたことが、関心の出発点です。
文学部では、読んだ本や作品と、そこから生まれた関心が問われやすい傾向があります。2文目で関心の出発点になった作品や本を示すと、何を読んできた人なのかが伝わります。くわしくは文学部の総合型選抜で説明しています。
法学部
例|法学部
私は、インターネット上の誹謗中傷から被害者を守る法の仕組みを学びたいと考え、貴学法学部法律学科を志望します。きっかけは、友人が匿名の書き込みに悩み、削除を求める方法が分からずにいたことです。
法学部の書き出しは、身近な出来事をルールや制度の問題として言い直すと、学びたい分野がはっきりします。本文では、賛否の両方の立場を調べたことも書きます(法学部の総合型選抜)。
経済・経営・商学部
例|経営学部
私は、地域の農産物を加工して売る小さな事業が利益を出し続ける方法を、経営学の視点から学びたいと考え、貴学経営学部を志望します。経済全体の動きよりも、一つの事業の意思決定に関心があるため、経営学部を選びました。
経済・経営・商のどれを選ぶかの理由は、書き出しの2文目で短く示しておくと、本文が書きやすくなります(経済学部の総合型選抜)。
国際系学部
例|国際系学部
同じ災害の報道でも、国によって伝え方がなぜこれほど違うのか。英語のニュースを読み比べる中で持ったこの問いを、貴学国際関係学部でメディアと国際政治の両面から確かめたいと考えています。
国際系では、「海外に興味がある」「英語を使う仕事がしたい」だけでは学びたいことが伝わりません。問いの形にすると、何を学ぶ学部を選んだのかが見えます(国際系学部の総合型選抜)。英語で書く志望理由書は、大学ごとの指定に従います。
教育学部
例|教育学部
中学生に数学を教える学習支援のボランティアで、同じ説明でも理解できる生徒とできない生徒がいることに気づきました。理解の差がどこから生まれるのかを教育心理学の面から学ぶため、貴学教育学部を志望します。
教員を目指す人も、書き出しでは教育学として何を学びたいかまで書きます。経験型で始めた場合は、2文目で学びたい分野を示します(教育学部の総合型選抜)。
理工学部
例|理工学部
私は、地震の時に建物の揺れを小さくする制振の技術を研究したいと考え、貴学理工学部建築学科を志望します。課題研究で紙の模型に揺れを与える実験を行い、柱の組み方で揺れ方が変わることを確かめたのが出発点です。
理工系は、高校で何に取り組み、何が分からないまま残ったかが学びたいことの理由になります。2文目に課題研究や実験を短く入れると、本文の材料につながります(理工学部の総合型選抜)。
医学部
例|医学部
私は、感染症の広がりを早くつかみ、流行を防ぐ研究に携わる医師を目指し、貴学医学部医学科を志望します。保健所の発表を毎日記録した探究活動で、報告される感染者数の増え方に地域差があることに気づいたのがきっかけです。
医学部では、なぜ医学なのか、どんな医師や研究者を目指すのかが問われます。きっかけを書くだけで終わらず、そこから何を調べたかまで本文で書きます(医学部の総合型選抜)。
看護学部
例|看護学部
私は、在宅で療養する高齢者と家族を支える訪問看護師を目指しています。そのために、貴学看護学部で在宅看護と家族への支援を学びたいと考えています。
看護系では、医師や薬剤師などではなく看護職を選ぶ理由を説明できるようにしておきます。将来像型で書き出す時は、目指す看護職の姿を具体的にし、2文目で学部と学びたいことを示します。看護職を選んだ理由は本文で書きます(看護学部の総合型選抜)。
字数別の書き出しの分量
書き出しに使う分量は、全体の字数で変わります。親記事の字数別の配分では、最初の「結論」の部分を次の字数としています。一文を60字前後までとすると、書き出しの文の数も決まってきます。
| 全体の字数 | 書き出しの目安 | 文の数 | 書き出しに入れるもの | 段落 |
|---|---|---|---|---|
| 400字 | 40字 | 1文 | 学びたいことと学部 | きっかけと同じ段落でもよい |
| 600字 | 60字 | 1文 | 学びたいことと学部 | 書き出しで1段落にしてもよい |
| 800字 | 80字 | 1〜2文 | 学びたいこと、学部、きっかけの一言 | 書き出しで1段落 |
| 1,200字 | 100字 | 2文 | 学びたいこと、学部、問いや将来像の一言 | 書き出しで1段落 |
| 2,000字 | 150字 | 2〜3文 | 学びたいこと、学部、志望理由の柱の予告 | 書き出しで1段落 |
短い指定と長い指定の書き出しの例
例|400字の指定(1文)
私は、食品の売れ残りを減らす流通の仕組みを学ぶため、貴学商学部を志望します。
例|2,000字の指定(3文)
私は、食品の売れ残りを減らす流通の仕組みを、データ分析と現場の調査の両面から学びたいと考え、貴学商学部を志望します。理由は二つあります。一つは流通の仕組みを数字で捉える方法を学べること、もう一つは地域の小売店と連携した実習で、その方法を現場で試せることです。
2,000字ほどの長い指定では、書き出しで志望理由の柱を予告すると、読む人が本文の見取り図を持てます。予告した柱は、本文で同じ順番に書きます。400字ほどの短い指定では、予告を入れず、1文で学びたいことと学部を示して本文に入ります。
避けたい書き出しと直し方
親記事の志望理由書の書き方では、「志望します」だけの書き出し、大学の紹介から入る書き出し、一般論から入る書き出しを避けたい例に挙げています。ここでは、それ以外に避けたい形と直し方をまとめます。
| 避けたい書き出し | 伝わらない理由 | 直し方 |
|---|---|---|
| 名言やことわざ、辞書の定義から入る | 学びたいことが出てくるのが遅れる。誰が書いても同じ文になる | 自分の関心か、自分が見た場面から始める |
| 「幼い頃から〜が好きでした」から入る | 好きという気持ちだけで、何を学びたいのかが見えない | 好きなことから何を調べ、何を学びたくなったかを書く |
| 1文目が100字を超える | 要素を詰め込みすぎて、読む人が一度で理解できない | 60字前後で2文に分ける |
| 「皆さんは〜を知っていますか」と問いかける | 読む人への呼びかけで、自分の問いになっていない | 自分が持った問いの形にして、2文目で学びたいことにつなぐ |
| 「〜と思います」「〜かもしれません」で始める | 志望の意思が弱く見える | 「〜と考え、貴学〇〇学部を志望します」と言い切る |
| 経験の説明が3文以上続く | 何を学びたい人なのかが分からない | 2文目までに学びたいことを置く |
| 設問と違う話から始める | 聞かれたことに答えていない | 設問の言葉を使って1文目で答える |
直す前と直した後の例
3つの書き出しを、直す前と直した後で並べます。いずれも説明のための創作です。
直す前|名言から入る書き出し(63字)
「知は力なり」という言葉があります。私はこの言葉のとおり、知識を身につけることで社会の役に立ちたいと考え、貴学を志望しました。
直した後(90字)
私は、農業の担い手が減る地域で、データを使って作付けを決める方法を学びたいと考え、貴学農学部を志望します。高校の課題研究で、祖父の畑の収穫量の記録を5年分集計したことが出発点です。
直す前|「幼い頃から」から入る書き出し(73字)
私は幼い頃から本を読むことが大好きで、図書館に通うのが楽しみでした。本に囲まれて過ごすうちに、いつか本に関わる仕事がしたいと思うようになりました。
直した後(112字)
私は、子どもが本を選ぶ時に何を手がかりにしているのかを、図書館情報学の方法で調べたいと考え、貴学文学部を志望します。図書委員として小学校の読み聞かせを手伝った時、表紙だけで本を選ぶ子どもが多いことに気づいたのがきっかけです。
直す前|1文に詰め込みすぎた書き出し(104字)
私は高校2年生の時に参加した地域の防災訓練で高齢者の避難に時間がかかることを知り、災害時に誰も取り残されない地域づくりのために必要な制度や住民の協力の仕組みについて学びたいと考えて貴学社会学部を志望しました。
直した後(85字)
私は、災害の時に高齢者が取り残されない地域の仕組みを学びたいと考え、貴学社会学部を志望します。高校2年の防災訓練で、高齢者の避難に時間がかかると知ったことがきっかけです。
直した後の書き出しは、どれも1文目で学びたい内容と学部を示し、2文目できっかけを一つだけ挙げています。3つ目の例は、きっかけを2文目に移して2文に分け、1文を60字以内に収めました。
書き出しから本文へのつなぎ方
書き出しがよくても、次の段落とのつながりが切れると、読む人は話を見失います。書き出しの最後の文と、次の段落の最初の文をつなげることが大切です。
| 書き出しの型 | 次の段落の最初に書くこと | つなぎの言葉の例 |
|---|---|---|
| 結論型 | 学びたいと考えたきっかけ | 「そう考えるようになったきっかけは、〜です。」 |
| 将来像型 | その目標を持った理由になる経験 | 「この目標を持ったのは、〜からです。」 |
| 経験型 | 経験の後に自分で調べたこと・考えたこと | 「その後、〜について調べると、〜が分かりました。」 |
| 問い型 | 問いを持った場面と、調べて分かったこと | 「この問いを持ったのは、〜の時です。」 |
経験型で書き始めた場合は、次の段落で同じ経験をもう一度説明しないようにします。書き出しで場面を示したら、次の段落ではその後に自分で調べたことや、そこから生まれた問いに進みます。結論型で2文目にきっかけを一言入れた場合は、次の段落でそのきっかけをくわしく書きます。
書き出しで使った言葉(「図書館の運営」「制振の技術」など)は、本文でも同じ言葉で使い続けます。言い換えを重ねると、別の話をしているように読めることがあります。本文の組み立て全体は志望理由書の書き方で説明しています。
書き出しの形式(ですます・改行・1字下げ・貴学)
書き出しは、文体や改行の決まりが最初に表れる部分です。親記事で説明している決まりのうち、書き出しに関わるものを整理します。
| 項目 | 決まり | 書き出しでの注意 |
|---|---|---|
| 文体 | 指定があれば従う。なければです・ます調でも、だ・である調でもよい | 1文目で決めた文末を最後まで通す。迷う場合はです・ます調 |
| 1文目の文末 | です・ます調なら「志望します」、だ・である調なら「志望する」 | この記事の例は、だ・である調の例を除いて、です・ます調で書いている |
| 大学の呼び方 | 「貴学」。学部は「貴学部」、学科は「貴学科」 | 1文目は「貴学〇〇学部」。学科がある場合は学科まで書く |
| 一人称 | 「私」 | 「僕」「自分」は使わない |
| 段落の最初 | 1字分(マス目のある用紙では1マス)空ける | 書き出しの1文目も1字下げる |
| 書き出しの後の改行 | 内容の役割が変わるところで段落を分ける | 書き出しの段落ときっかけの段落の間で改行する。300字ほどの短い指定では1段落でもよい |
| Web出願の入力欄 | 改行と1字下げが反映されるかを確認画面で確かめる | 改行や空白を字数に数える様式がある |
です・ます調とだ・である調の書き出し
同じ内容を2つの文体で書くと、次のようになります。どちらでもかまいませんが、1つの文章の中で混ぜないことが大切です。
例|です・ます調
私は、災害の時に高齢者が取り残されない地域の仕組みを学びたいと考え、貴学社会学部を志望します。
例|だ・である調
私は、災害の時に高齢者が取り残されない地域の仕組みを学びたいと考え、貴学社会学部を志望する。
「貴学」と「貴校」「御校」
大学に出す書類では「貴学」を使います。「御校」は一般に話し言葉とされるので、書類では使わないのが無難です。「貴校」は、主に高校や専門学校に宛てる時に使われる言い方です。様式に大学名を書く欄がある場合や、大学名を書くよう指定がある場合は、その指定に従います。
Web出願の入力欄の改行
Web出願の入力欄では、改行やスペースが字数に数えられることがあります。たとえば大阪大学の2027年度入試の要項は、文学部と人間科学部の志望理由書(800字程度)について「スペースや改行も1文字と数えます」と書いています。このような様式では、書き出しの1字下げも字数に入るので、入力欄の字数の上限に近い場合は、確認画面で全体が収まっているかを確かめます。
締め方は書き出しと合わせる
最後の段落の締め方は、書き出しと対応させると文章全体がまとまります。締め方の3つの型と例文は、親記事の志望理由書の書き方でくわしく説明しています。ここでは、書き出しの型ごとに合わせやすい締め方を並べます。締めの型と例文そのものは志望理由書の締め方にまとめています。
| 書き出しの型・状況 | 合わせやすい締め方 | 締めで書くこと |
|---|---|---|
| 結論型 | 将来の目標で結ぶ | 書き出しで示した学びが、卒業後にどうつながるか |
| 将来像型 | 将来の目標で結ぶ | 書き出しの目標を、大学での学びを経た具体的な姿にして書く |
| 経験型 | 冒頭の問いに戻る | 書き出しの場面で持った疑問に、大学でどう向き合うか |
| 問い型 | 冒頭の問いに戻る | 書き出しの問いに、大学での学びでどう答えを出すか |
| 将来の職業を絞っていない場合 | 入学後の計画で結ぶ | 入学後にまず取り組むこと |
書き出しで使った言葉を、締めの段落でもう一度使うと、最初と最後がつながります。ただし、書き出しの文をそのまま繰り返すのではなく、大学での学びを経た形に言い直します。締めに新しい経験や実績を書き足さないことも、親記事と同じです。
書き出しを書く手順と提出前の確認
書き出しは、最初に書いても、本文を書いた後に書き直してもかまいません。本文を書き終えてから読み直すと、学びたいことが書き出しとずれていることに気づく場合があります。
書き出しも、自分の言葉で書くことが前提です。京都大学の特色入試の要項のように、生成AIツールを含む本人以外が作った文章の利用を認めないと明記している大学があります(理工学部の総合型選抜)。書き出しの例文は形を確かめるためのもので、学びたいことと経験は、自分のものに置き換えてください。
一緒に出すことの多い自己推薦書や活動報告書と、同じ経験を同じ書き方で使わないようにします。
よくある質問
- Q. 志望理由書の書き出しは、何文目までに何を書けばいいですか?
- A. 1文目、遅くとも2文目までに、何を学びたくて、どの学部・学科を志望するのかを示します。たとえば「私は、地域の公共図書館の運営の方法を学びたいと考え、貴学文学部図書館情報学科を志望します」のように書きます。経験や問いから書き始める場合も、2文目までに学びたいことを示します。
- Q. 大学の志望理由書の書き出しの例文はありますか?
- A. この記事では、4つの型の例と、文・法・経済・国際・教育・理工・医・看護の学部系統別の例を載せています。例文はどれも説明のための創作です。形を参考にし、学びたいことと経験は自分のものに置き換えてください。800字の例文の全体は親記事の「志望理由書の書き方」にあります。
- Q. 志望理由書の書き出しは「きっかけは」から始めてもいいですか?
- A. 始めてもかまいませんが、きっかけの説明が長く続くと、何を学びたい人なのかが伝わりにくくなります。経験から始める場合は、2文目までに学びたい内容と志望する学部を示します。字数が短い場合は、1文目で結論を書き、2文目を「きっかけは〜です」とする形が書きやすいです。
- Q. 設問がある志望理由書の書き出しはどう書きますか?
- A. 型よりも設問への答えを優先します。1文目で設問の言葉を使って答えると、聞かれたことに答えていることが伝わります。設問が2つ以上ある場合は、書き出しで1つ目の問いに答え、2つ目の問いには後半の段落で答えます。
- Q. 志望理由書を名言やことわざから書き始めてもいいですか?
- A. 避けたい書き出しです。学びたいことが出てくるのが遅れ、誰が書いても同じ文になりやすいためです。自分の関心か、自分が見た場面から書き始めます。
- Q. 書き出しの1字下げは字数に入りますか?
- A. 様式によります。Web出願では、改行やスペースを字数に数える様式があります。大阪大学の2027年度入試の要項は、文学部と人間科学部の志望理由書について「スペースや改行も1文字と数えます」としています。字数の上限に近い場合は、確認画面で全体が収まっているかを確かめます。
まとめ
志望理由書の書き出しは、読む人に何を学びたい人なのかを最初に伝える部分です。1文目、遅くとも2文目までに学びたいことと志望する学部を示します。型は結論型・将来像型・経験型・問い型の4つで、設問がある様式では1文目で設問に答えます。名言や「幼い頃から」、長すぎる1文から始める書き出しは直し、文体と1字下げ、「貴学」の決まりを守ります。
東京修学館では、志望理由書の書き出しについてのご相談を無料相談でお受けしています。全体の構成と800字の例文は、親記事の「志望理由書の書き方」もあわせてご覧ください。
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慶應義塾大学博士・敬愛大学特任名誉教授の家近亮子学長が、あなたの志望校選びと総合型選抜対策を直接アドバイスします。



