自己推薦書は、総合型選抜や学校推薦型選抜で「あなたはどんな人物か」を大学に伝える書類です。この記事では、評価される構成の5要素、書き出しと締め方、NG例と改善例、語尾の整え方まで、自己推薦書ならではの書き方を順に見ていきます。監修は東京修学館の家近亮子学長です。字数別・題材別・学部別の完成した例文11本は、自己推薦書の例文にまとめています。推薦書との違い、面接での使われ方、生成AIについての大学の決まりも扱います。
自己推薦書とは?志望理由書・自己PRとの違い
この節の答え自己推薦書は「どんな人物か」を経験で示す書類で、志望理由書は動機と計画、活動報告書は活動の記録を書きます。
自己推薦書は、受験生が自分の強みや人物像を、高校時代の経験をもとに大学へ伝える書類です。総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜の出願書類として、志望理由書や活動報告書と一緒に求められることが多く、書類審査と面接の両方で参照されます。
「自己推薦書」という名前の書類は、高校入試、大学院や専門学校の入試、社会人の昇格の場面でも使われます。この記事は、大学受験の総合型選抜と学校推薦型選抜で、高校生が出す自己推薦書を扱います。
大学受験の自己推薦書は、高校時代の経験から強みを示し、志望学部のアドミッション・ポリシーと入学後の学びにつなげて書くのが基本の形です。
似た書類と役割が混ざりやすいので、最初に違いを整理しておきます。
| 書類 | 問われていること | 時間軸 | 中心になる内容 |
|---|---|---|---|
| 自己推薦書 | あなたはどんな人物か | 過去から現在 | 強みと、それを示す経験 |
| 志望理由書 | なぜこの大学・学部で学びたいか | 現在から未来 | 志望動機と入学後の学修計画 |
| 自己PR | あなたの強みは何か | 現在 | 強み1つと裏付けの経験、大学での生かし方(短い欄や面接向け) |
| 活動報告書 | 何をしてきたか | 過去 | 活動の事実と成果の記録 |
両方を提出する大学では、同じエピソードを二つの書類で繰り返さないことが大切です。自己推薦書では人物像、志望理由書では動機と計画、と役割を分けて書くと、審査する側に「この受験生は自分を客観的に理解している」と伝わります。
活動報告書との使い分けは活動報告書の書き方、志望理由書は志望理由書の書き方で詳しく説明しています。
自己推薦文・自己推薦状・推薦書との違い
「自己推薦文」「自己推薦状」という呼び方もあります。名前が違っても、本人が自分の強みを経験で示す書類であれば、書き方の骨組みはこの記事と同じです。
大学によっては、千葉大学 医学部の千葉県地域枠入試の「自己アピール資料」のように、別の名前の書類を求めることもあります。名前ではなく、募集要項に書かれた「書く内容」を確かめてから書きます。
混同しやすいのが「推薦書」「推薦状」です。こちらは本人ではなく、高校(学校長や先生)が作る書類です。
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、学校推薦型選抜の推薦書に、大学のアドミッション・ポリシーに対応する本人の学習歴や活動歴を踏まえた評価を書くよう求めています1。
また、「自己推薦」は入試方式の名前にも使われます。青山学院大学の「自己推薦」や中央大学 文学部の「自己推薦入学試験」は、総合型選抜の方式名です。
方式名が「自己推薦」でも、自己推薦書を出すとは限りません。中央大学 文学部の自己推薦入学試験で本人が作る主な書類は、志願者経歴書と志望理由書です2。
| 名前 | 作る人 | 中身 |
|---|---|---|
| 自己推薦書(自己推薦文・自己推薦状) | 本人 | 自分の強みと、それを示す経験 |
| 推薦書・推薦状 | 高校(学校長・先生) | 本人の学習歴や活動歴を踏まえた評価。学校推薦型選抜で出す |
| 「自己推薦」(入試方式の名前) | 大学が決める方式名 | 総合型選抜の方式の一つ。出す書類は大学ごとに違う |
高校の先生に推薦書を頼む時の手順は推薦書の依頼方法で説明しています。
大学が自己推薦書で見ている3つのこと
この節の答え大学は文章のうまさではなく、再現性のある強みか、自分で考えて動いたか、大学での学びにつながるかを見ています。
大学は自己推薦書を「文章のうまさ」で評価しているわけではありません。アドミッション・ポリシー(求める学生像)に照らして、次の3点を見ています。
- 再現性のある強みか:一度だけの出来事ではなく、別の場面でも同じ強みが発揮されそうか
- 自分で考えて動いたか:言われたことをこなしたのではなく、課題に対して自分の判断で行動したか
- その強みが大学での学びにつながるか:入学後に学部の学びや研究で活きる資質か
この3点が読み取れる文章は、受賞歴や役職がなくても評価されます。逆に、実績が立派でも「何を考えてどう動いたか」が書かれていない文章は、人物像が見えないため評価が伸びません。
総合型選抜と学校推薦型選抜での自己推薦書の扱い
この節の答え総合型選抜では本人が書く資料が評価に使われ、北海道大学保健学科の一部の専攻は書類100点中50点を自己推薦書に充てます。
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、総合型選抜では志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用する1としています。例に挙がっているのは活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書などです。
自己推薦書を求める大学では、自己推薦書がこの資料の一つになります。
学校推薦型選抜は、出身高校の学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料とする入試です。高校が作る推薦書に加えて、本人の自己推薦書を求める大学もあります。このサイトの大学別の記事で確認した例を並べます。
| 大学・入試 | 区分 | 自己推薦書の扱い |
|---|---|---|
| 筑波大学 AC入試 | 総合型選抜 | 第1次選考は書類審査。要項は「特に自己推薦書(本文,活動経過報告書及びその根拠となる添付資料),志願理由書を重視します」としている |
| 北海道大学 フロンティア入試 TypeⅠ 医学部保健学科 | 総合型選抜 | 第1次選考(書類・100点)のうち、自己推薦書だけに50点(看護学・検査技術科学専攻)や40点(理学療法学専攻・作業療法学専攻)を割り当てる専攻がある |
| 一橋大学 | 学校推薦型選抜 | 学校長の推薦書と、本人の自己推薦書(片面3枚以内)の両方を出す。自己推薦書の配点は10点 |
| 上智大学 推薦入学試験(公募制) | 学校推薦型選抜 | 高等学校長の推薦状と、本人の自己推薦書(大学所定用紙・A4サイズ1枚以内)を出す |
北海道大学の保健学科では、看護学・検査技術科学専攻が書類100点のうち50点2、理学療法学専攻と作業療法学専攻が40点を自己推薦書に割り当てています。一方、一橋大学の学校推薦型選抜では自己推薦書の配点は10点です2。
ただし一橋大学のアドミッション・ポリシーでは、面接、調査書、推薦書、自己推薦書で「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価するとされています。配点が小さくても、面接で読まれる前提で書きます。
二つの入試の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違いで比べています。
文字数と様式の目安
この節の答え大学の指定が最優先で、指定がある時は上限の8割から9割、指定がない時は800字から1,200字にまとめます。
文字数と様式は、大学の募集要項と指定様式が最優先です。多くの大学では600字から1,200字の範囲で指定され、2,000字程度を求める学部もあります。
指定がある場合は上限の8割から9割を目安に書き、指定がない場合は800字から1,200字にまとめるのが一般的です。
- 指定文字数の8割未満は「書くことが少ない」と受け取られやすい
- 設問が複数ある様式では、設問ごとに答える内容を分ける(同じ話を繰り返さない)
- 手書き指定の場合は、下書きを完成させてから清書する。訂正は原則としてやり直す
- 出願前に募集要項の「提出書類」欄を読み直し、様式が出願する年度のものになっているかを見る
大学ごとの字数と枚数の指定の例(1本の文章で300字以内から2,000字以内まで、A4で1枚以内や片面3枚以内など)は、自己推薦書の例文の記事に表でまとめています。
1,200字なら何段落か:段落の分け方と1段落の字数
大学から段落の指定がなければ、段落の数は自分で決めます。5要素のうち短い「強み(結論)」を「経験」と同じ段落にまとめると、4段落に分けられます。
この記事の構成テンプレートの配分をもとにすると、1段落の字数の目安は次のとおりです。
| 段落 | 中身 | 600字 | 800字 | 1,200字 |
|---|---|---|---|---|
| 1段落目 | 強み(結論)と経験 | 180字 | 240字 | 360字 |
| 2段落目 | 課題と行動 | 180字 | 240字 | 360字 |
| 3段落目 | 結果と学び | 120字 | 160字 | 240字 |
| 4段落目 | 大学での活かし方 | 120字 | 160字 | 240字 |
1,200字では、課題と行動の段落が360字と長くなります。課題に気づいた場面と、自分で考えて取った行動で段落を分け、5段落にしてもかまいません。
反対に、1文だけの段落が続くと区切りが細かくなりすぎ、どこが中心なのかが伝わりにくくなります。
手書きでマス目のある用紙に書く時は、段落の最初を1字下げます。段落を変えるとその行の残りのマスは空くので、段落を増やすほど書ける字数は減ります。下書きの段階で段落の数を決め、指定の字数に収まるかを数えてから清書します。
様式の指定の例:所定用紙・自筆・Web入力
字数のほかに、書類の作り方が指定されることもあります。同じ自己推薦書でも、次のように大学によって違います。
| 大学・入試 | 作り方の指定 |
|---|---|
| 上智大学 推薦入学試験(公募制) | 大学所定用紙。手書きでもPC入力でもよい。国際教養学部とデジタルグリーンテクノロジー学科は英語で書く |
| 一橋大学 学校推薦型選抜 | 表紙のみ所定様式。手書き・PCどちらでもよい。内容の根拠になる資料を添付できる |
| 明治大学 文学部(自己推薦特別入試) | 自筆で書く |
| 大阪大学 薬学部・基礎工学部 | Web出願システムに直接入力する |
| 日本女子大学 総合型選抜 経済学科 | 自由表現で2枚以内。試験当日のプレゼンテーションの資料として作る |
- 所定用紙がある時は、出願する年度の様式を大学のサイトから入手する
- 英語で書く指定や、添付資料を付けられるかどうかも要項で確かめる
- Web入力の時は、入力欄に貼る前に下書きを別に保存しておく
明治大学 文学部の自己推薦特別入試と、大阪大学 薬学部・基礎工学部の出願書類や日程は、明治大学の総合型選抜と大阪大学の総合型選抜・学校推薦型選抜にまとめています。
合格する自己推薦書の5要素
この節の答え強み1割、経験2割、課題と行動3割、結果と学び2割、大学での活かし方2割の順で書き、中心は課題と行動です。
評価される自己推薦書には共通する骨格があります。次の5要素をこの順番で書くと、人物像が自然に伝わります。
| 要素 | 書くこと | 目安の分量 |
|---|---|---|
| 1. 強み(結論) | 自分を一言で表す強み・資質を一つに絞る | 全体の1割 |
| 2. 経験 | その強みが表れた具体的な出来事。いつ・どこで・誰と・何を | 全体の2割 |
| 3. 課題と行動 | 直面した問題と、自分で考えて行った工夫や行動 | 全体の3割 |
| 4. 結果と学び | 行動によって何が変わったか。自分自身の変化と気づき | 全体の2割 |
| 5. 大学での活かし方 | その強みを志望学部の学びでどう活かすか | 全体の2割 |
配分の中心は「課題と行動」です。ここが具体的であるほど、強みが本物だと伝わります。逆に、経験の説明が長く、行動が一文で終わる文章は、活動報告書のようになってしまいます。
書く前の準備:自己分析と大学研究
この節の答え高校3年間の経験をすべて書き出して困ったことと工夫をメモし、アドミッション・ポリシーの資質と重なる経験を選びます。
自己分析:経験の棚卸し
いきなり書き始めず、高校3年間の経験をすべて書き出します。部活、委員会、探究学習、習い事、アルバイト、家庭での役割まで、小さなものも含めて構いません。
書き出したら、それぞれに「困ったこと」「自分で工夫したこと」「周囲の反応」をメモします。この3つが揃う経験が、自己推薦書の中心候補です。
大学研究:アドミッション・ポリシーの読み込み
志望学部のアドミッション・ポリシーを読み、求められている資質を自分の言葉で3つに要約します。そのうえで、自己分析で挙げた経験のうち、どれがその資質と重なるかを選びます。
大学の言葉をそのまま書くのではなく、自分の経験が結果としてその資質を示している、という順番で書くのがポイントです。
自己推薦書の書き方5ステップ
この節の答え強みと経験を一つずつ選び、課題・行動・結果・学びを箇条書きにし、大学につなげる一文を作り、第三者に読んでもらいます。
- 強みを一つに絞る:候補が複数あっても、文章の軸は一つ。「継続力」「周囲を巻き込む力」「課題を見つける力」など、経験で証明できるものを選ぶ
- 強みを証明する経験を一つ選ぶ:目立つ実績より、課題と行動を具体的に書ける経験を優先する
- 課題・行動・結果・学びを箇条書きにする:文章にする前に事実を並べる。数字や固有名詞が入ると具体性が上がる
- 大学での学びにつなげる一文を作る:志望学部で何を学び、強みをどう使うか。志望理由書と重ならない範囲で簡潔に
- 指定文字数に合わせて整え、第三者に読んでもらう:学校の先生や塾の講師に添削を受け、指摘をもとに自分で書き直す
構成テンプレート(600字・800字・1,200字)
この節の答え800字なら強み80字・経験160字・課題と行動240字・結果と学び160字・大学での活かし方160字が目安です。
5要素を文字数ごとに配分したテンプレートです。各要素の目安の文字数を守ると、全体のバランスが整います。
| 要素 | 600字 | 800字 | 1,200字 |
|---|---|---|---|
| 強み(結論) | 60字 | 80字 | 120字 |
| 経験 | 120字 | 160字 | 240字 |
| 課題と行動 | 180字 | 240字 | 360字 |
| 結果と学び | 120字 | 160字 | 240字 |
| 大学での活かし方 | 120字 | 160字 | 240字 |
800字版の骨組み
私の強みは〇〇です。(結論)
高校〇年の時、△△に取り組みました。(経験)
その中で□□という課題に直面し、私は◇◇と考えて☆☆を行いました。(課題と行動)
その結果、◎◎が変わり、私自身は●●を学びました。(結果と学び)
貴学の〇〇学部では、この強みを△△の学びに活かし、□□を目指します。(大学での活かし方)
書き出しの3つの型
この節の答え強みを先に示す、経験から入る、問いから入るの3つの型があり、どの型でも最初の段落に強みと経験の両方を入れます。
書き出しの役割は、最初の3行で「何を伝える文章か」を示すことです。型は、強みを先に示す、経験から入る、問いから入る、の3つで、どの型でも最初の段落に強みと経験の両方を入れます。
自己紹介、性格の言葉、志望動機、名言、活動の羅列から入る書き出しは、最初の1文が強みの証明に使われていないので、1文目を強みか経験に直します。
一橋大学の学校推薦型選抜や上智大学の公募制推薦のように書く項目が指定されている時は、項目の順に答え、1文目は最初の項目への答えを結論から書きます。3つの型の例は自己推薦書の書き出しに、書き出しから締めまで通して読める完成例は自己推薦書の例文に字数別・題材別・学部別の11本をまとめています。
締め方の例文2パターン
この節の答え大学での学びにつなげる型と強みを再確認して結ぶ型があり、新しいエピソードは足さずに一文か二文で結びます。
パターン1:大学での学びにつなげる
例文
貴学の〇〇学部では、地域の課題を調査する実習が重視されています。部活動で培った「問題を見つけて周囲と解決に向かう力」を、この実習での聞き取り調査や企画立案に活かし、将来は地域の教育課題に取り組む仕事に就きたいと考えています。
パターン2:強みを再確認して結ぶ
例文
この経験を通して、私は結果が出ない時こそ原因を分けて考え、小さく試すことの大切さを学びました。貴学で学ぶ中でも、この姿勢を手放さずに取り組みたいと考えています。
締めの段落で新しいエピソードを足す必要はありません。志望理由書を別に提出する場合は、締めの段落で志望動機を長く書かず、強みと学びの接続を一文か二文で示すにとどめます。
終わり方で避けたい形と、最後の一文の作り方
終わり方(締め方)は、最後の段落に何を置くかと、最後の一文をどう結ぶかで決まります。最後の段落に置くのは、本文で示した強みと、それを志望学部の学びでどう使うかの二つです。避けたい終わり方を、直し方と並べます。
| 避けたい終わり方 | 伝わりにくい理由 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「よろしくお願いいたします」「ご検討ください」と手紙のように結ぶ | 自己推薦書は審査の書類で、あいさつの一文は人物像の材料にならない | 最後の一文は、強みと大学での学びをつなぐ文で終える |
| 「入学したら何事も頑張ります」と決意だけで終える | どの強みを、どの学びに使うのかが書かれていない | 「〇〇する力を、△△の学びに活かしたい」と、強みと学びの中身を入れる |
| 「拙い文章ですが」とへりくだって終える | 強みを示す書類なのに、自信がない印象で終わる | へりくだる言葉は削り、学んだことを言い切って終える |
| 書き出しの一文をそのまま繰り返して終える | 同じ文が二度出て、字数を使う | 書き出しの強みを、経験を通して分かったことを加えた言葉に言い換える |
最後の一文の文末は、本文の文体にそろえます。本文を「です・ます」で書いたなら「考えています」「学びたいです」、「である」で書いたなら「考えている」「学びたい」で終えます。
「〜したいと思います」は、「〜したいと考えています」や「〜します」に直すと、言い切った印象で終わります。
締めの段落の字数は、構成テンプレートの「大学での活かし方」の配分が目安で、800字なら160字前後、1,200字なら240字前後です。字数が足りない時は、締めを引き延ばすのではなく、課題と行動の部分を書き足します。
5要素を文章にした例の見方
この節の答え5要素を順に並べれば大きな実績がなくても書け、字数別・題材別・学部別の例文11本は別の記事にまとめています。
5要素を300〜350字の文章にすると、強み(結論)→経験→課題と行動→結果と学び→大学での活かし方の順になります。題材は、部活動、勉強や資格、委員会やボランティア、目立つ実績がない場合の日常の習慣など、大きな実績でなくてかまいません。
評価されるのは実績の大きさではなく、経験から何を考え、どう行動したかです。
字数別(400〜1,200字)・題材別・学部別の完成した例文11本は、自己推薦書の例文の記事に載せています。例文の経験や数字は自分のものに置き換え、大学で学べることは公式の情報で確かめてください。
NG例と改善例
この節の答え性格の説明だけ、実績の羅列だけの文章は評価されにくく、一つの経験で誰に何をしてどう変わったかを書いて直します。
添削で特に多い2つの失敗を、改善例と並べて示します。
| 失敗 | 評価されにくい理由 | 直し方 |
|---|---|---|
| 性格の説明だけで終わっている | 性格の説明は、それを裏付ける行動がなければ評価の材料にならない | 強みを「誰に対して、何をして、どう変わったか」で示す |
| 実績を並べるだけになっている | 「何を考えてどう動いたか」が書かれていないと、人物像が見えない | 一つの経験に絞って深く書く。残りの実績は活動報告書に回す |
NG例1:性格の説明だけで終わっている
NG
私は明るく、誰とでも仲良くなれる性格です。友人も多く、クラスのムードメーカーだとよく言われます。協調性があり、人の話を聞くのが得意です。この性格を活かして、大学でも多くの人と関わりたいです。
改善
私の強みは、初対面の人とも信頼関係をつくる力です。高校2年の夏、クラスの合唱コンクールで、練習に参加しない生徒が5人いました。私は昼休みに一人ずつ声をかけ、参加しない理由を聞きました。理由は「歌が苦手で迷惑をかけたくない」というものだったため、パート練習を少人数に分け、苦手な人が目立たない形に変えました。結果として全員が練習に参加し、本番では学年2位になりました。
性格の説明は、それを裏付ける行動がなければ評価の材料になりません。改善例では、強みを「誰に対して、何をして、どう変わったか」で示しています。
NG例2:実績を並べるだけになっている
NG
私は高校で生徒会副会長、テニス部の部長、英検2級、校内弁論大会の優秀賞など、多くの実績を残しました。これらの経験から、リーダーシップと行動力を身につけました。貴学でもこの力を活かしたいです。
改善
私の強みは、意見が割れた場面で決断し、周囲に説明する力です。テニス部の部長として、練習試合の相手校を選ぶ際に、強豪校を望む部員と同レベル校を望む部員で意見が分かれました。私は両方の案で3か月の試合結果を比較し、同レベル校との試合で勝率と出場機会が増えるデータを示して、後者に決めました。反対していた部員にも理由を個別に説明し、最終的に全員が納得して臨めました。
実績が多い人ほど、一つに絞る勇気が必要です。残りの実績は活動報告書に回し、自己推薦書では一つの経験を深く書きます。
語尾と文体の整え方
この節の答え文体は混在させず、言い切れる事実は「しました」で言い切り、一文は60字前後まで、呼び方は「貴学」で統一します。
- 大学から文体の指定があれば従う。指定がなければ「です・ます」でも「である」でも構わないが、一つの文章の中で混在させない
- 「思います」「感じました」が続くと自信がない印象になる。言い切れる事実は「しました」「学びました」で言い切る
- 同じ語尾が3文以上続いたら、体言止めや順番の入れ替えで調整する
- 一文は60字前後まで。80字を超える文は二つに分ける
- 「貴学」「貴学部」で統一し、「御校」「そちらの大学」は使わない
「です・ます」(ですます調)と「である」の選び方
大学から指定がなければ、自己推薦書は「です・ます」(ですます調)と「である」(である調)のどちらで書いてもかまいません。選ぶ時は、次の違いを目安にします。
一緒に出す志望理由書や活動報告書とも文体をそろえておくと、並べて読まれた時に書き手の印象がぶれません。
| 比べる点 | です・ます(ですます調) | である(である調) |
|---|---|---|
| 文末の例 | 取り組みました/学びたいと考えています | 取り組んだ/学びたいと考えている |
| 向いている時 | 字数に余裕がある時。面接で話す言葉に近く、書いた内容をそのまま口で説明しやすい | 字数の上限が厳しい時。「しました」が「した」になるなど、文末が短くなる |
| 混ざりやすい所 | メモや箇条書きから文章に直した所に「〜した。」が残る | 気持ちを書く所に「〜と思います。」が入る |
ですます調では「〜しました。」が続きやすくなります。同じ文末が3文続いたら、一つを「〜したのは、〜からです。」のように理由を述べる文に変えるか、文の順番を入れ替えます。書き終えたら、次の2つを見直します。
- 文末だけを順に拾い読みし、「です・ます」と「である」が混ざっていないか
- 体言止めを続けて使っていないか(続くと箇条書きのように見える)
書くことがない時の見つけ方
この節の答え続けてきたこと、失敗した時の行動、自分なりの工夫、頼られた場面の4つの視点で振り返ると材料が見つかります。
「大会で勝った経験も役職もない」という相談は毎年あります。自己推薦書で評価されるのは実績の大きさではなく、経験から何を考えてどう動いたかです。次の4つの視点で振り返ると、材料は見つかります。
- 続けてきたこと:3年間続けた習い事、毎日の家事、通学路でのルーティンなど。続けた理由と、途中でやめなかった工夫を書く
- 失敗した時の行動:テストの失敗、部活での挫折、人間関係のつまずき。失敗そのものより、その後にどう動いたか
- 自分なりに工夫したこと:勉強法、部活の練習方法、家族との役割分担。誰に言われたのでもなく自分で変えたこと
- 頼られた場面:友人に相談されたこと、後輩に教えたこと、家族に任されたこと。頼られた理由に強みが隠れている
自己推薦書は面接でも読まれる
この節の答え自己推薦書は面接や発表の材料にもなるため、書いた経験の理由や数字を声に出して説明できるようにしておきます。
文部科学省の実施要項は、総合型選抜と学校推薦型選抜で、志願者本人が記載する資料をプレゼンテーションなどで積極的に活用するよう求めています。自己推薦書は書類審査で読まれて終わりではなく、面接や発表の材料にもなります。
ほかにも、千葉大学の国際教養学部の個別面接は自己推薦書と学びの履歴書に関する質問を含み、横浜国立大学の都市社会共生学科は自己推薦書と課題作文に基づく面接(口頭試問)2を行います。書いた後は、次の3つを済ませておきます。
- 書いた経験について「なぜそうしたか」「ほかの方法は考えたか」を、声に出して説明してみる
- 数字や時期は当時の記録と照らし合わせ、聞かれた時に同じ数字で答えられるようにする
- 志望理由書と並べて読み、二つの書類の話が一本の筋でつながっているかを見る
面接の準備は総合型選抜の面接で説明しています。
自己推薦書と生成AI:大学の要項の決まり
この節の答え上智大学は生成AIの文章を本人作成と認めず、横浜国立大学教育学部は指導者が作った文章の使用も禁じています。
出願書類への生成AIの使い方について、要項で決まりを示している大学があります。このサイトの大学別の記事で調べた例です。
| 大学・入試 | 要項の書き方 |
|---|---|
| 上智大学 推薦入学試験(公募制) | 「出願書類の作成において生成AIが出力した文章は、志願者本人が作成したものとしては認められません」 |
| 横浜国立大学 教育学部 | 自己推薦書と課題レポートについて「指導者及び生成AI等が作成した文章の一部又は全部を使用することを禁じます」 |
| 千葉大学 医学部 | 「出願書類は、入学者受入れの方針等を参照し、自身で考えて作成してください」 |
横浜国立大学の教育学部のように、生成AIだけでなく指導者が作った文章も禁じている例があります。先生や塾の講師に添削を受ける時は、直してもらった文章を写すのではなく、指摘を受けて自分で書き直します。
添削の頼み方と受けた後の書き直し方は志望理由書・小論文の添削で説明しています。決まりは大学・学部・年度で違うので、出願する年度の要項で確かめてください。
提出前チェックリスト
この節の答え最初の3行で強みと経験が分かるか、課題と行動が最も長いか、字数が8割から9割か、自分で書き直したかを確かめます。
- 最初の3行で、強みと経験の両方が分かる
- 強みは一つに絞られていて、文章全体がその強みの証明になっている
- 課題と行動の部分が最も長く、具体的な数字や固有名詞が入っている
- 志望理由書と同じエピソードを繰り返していない
- 大学の指定文字数の8割から9割に収まっている
- 語尾が統一され、「思います」が3回以上続いていない
- 誤字脱字がなく、大学名・学部名が正式名称で書かれている
- 先生または塾の講師に添削を受け、指摘をもとに自分で書き直した
- 様式(所定用紙・手書きかPCか・枚数)と書く項目の指定を、出願する年度の要項で確認した
- 生成AIや他人が書いた文章を使っておらず、書いた内容を面接で自分の言葉で説明できる
よくある質問
- Q. 自己推薦書には何を書けばいいですか?
- A. 自分の強みを一つ決め、その強みが表れた経験、経験の中で考えて行動したこと、得た学び、そして大学での学びにどうつなげるかの5点を書きます。性格の説明や実績の羅列ではなく、経験を通して強みを証明する構成にすると評価されます。
- Q. 自己推薦書の書き出しはどう書けばいいですか?
- A. 結論から書きます。「私は〇〇という強みを持っています」と最初の一文で強みを示し、続けてそれを裏付ける経験に入るのが基本です。「私は高校時代、〇〇に取り組みました」と経験から入る書き出しも使えますが、どちらの場合も最初の3行で何を伝える文章なのかが分かるようにします。
- Q. 自己推薦書は何文字くらい書けばいいですか?
- A. 大学が指定する文字数が最優先です。指定がある場合はその8割から9割を目安に書きます。指定がない場合は800字から1,200字程度にまとめるのが一般的です。文字数を埋めるために経験を増やすのではなく、一つの経験を深く書きます。
- Q. 自己推薦書と志望理由書の違いは何ですか?
- A. 自己推薦書は「自分はどんな人物か」を過去の経験から示す書類で、志望理由書は「なぜこの大学で学びたいか」を将来の視点から示す書類です。両方を提出する場合は、同じエピソードを繰り返さず、自己推薦書で人物像、志望理由書で動機と計画を分担させます。
- Q. 自己推薦書に書くことがない場合はどうすればいいですか?
- A. 大会での受賞や生徒会のような目立つ実績は必要ありません。長く続けてきた習慣、失敗したときにどう動いたか、自分なりに工夫して改善した経験、周囲から頼られた場面を振り返ると、強みを示す材料は見つかります。評価されるのは実績の大きさではなく、経験から何を考え、どう行動したかです。
- Q. 自己推薦書の語尾は「です・ます」と「である」のどちらにすべきですか?
- A. 大学から指定があればそれに従います。指定がなければどちらでも構いませんが、一つの文章の中で混在させないことが大切です。「思います」を多用すると自信がない印象になるため、言い切れるところは「です」「しました」で言い切ります。
まとめ
自己推薦書は、強みを一つに絞り、それを示す経験を「課題と行動」を中心に深く書く書類です。書き出しは結論から、締めは大学での学びへの接続で、文字数は大学の指定に合わせます。
目立つ実績がなくても、続けてきたことや失敗から動いた経験で十分に人物像は伝わります。
書いた後は、第三者に読んでもらってください。東京修学館では、家近亮子学長が自己推薦書の構成づくりから添削まで無料相談で対応しています。
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リンク先の確認日:2026-11-01
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