最終更新: 2026-10-01 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)
総合型選抜と学校推薦型選抜は、どちらも一般選抜より早い時期に、書類や面接などで評価する入試です。ただし、出願に学校長の推薦が要るかどうか、何を主な資料として評価するかが違います。この記事では、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項に基づいて二つの違いを整理し、どちらを選ぶかの判断基準を東京修学館の家近亮子学長の監修で解説します。
総合型選抜と学校推薦型選抜の違い(比較表)
| 項目 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 出願の条件 | 本人の意志で出願できる(公募制) | 出身高校の学校長の推薦が必要 |
| 主な評価資料 | 詳細な書類審査と、時間をかけた丁寧な面接など | 調査書を主な資料とし、推薦書、面接など |
| 本人が書く書類 | 活動報告書、志望理由書、学修計画書などを必ず評価に使う | 大学により志望理由書などを求める |
| 面接 | 必ず行う(討論、プレゼンテーション、口頭試問などを含む。以前からある方式は、遅くとも令和11年度入試までに導入) | 必ず行う(指定校制で入学を確約する方式は大学の判断) |
| 学力の評価 | 小論文、資格・検定試験、共通テスト、教科の試験などのうち少なくとも一つ | 同じ |
| 出願の開始(令和9年度入試) | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 合格発表(令和9年度入試) | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日以降 |
出典
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)の「第3 入試方法」「第4 試験期日等」。文部科学省「入学者選抜実施要項」で公開されています。実際の日程と条件は大学ごとに違うので、志望大学の募集要項で確認してください。
総合型選抜とは
総合型選抜は、以前「AO入試」と呼ばれていた方式です。文部科学省の実施要項では、「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」と定義されています。
- 公募制:学校長の推薦がなくても、出願資格を満たせば自分の意志で出願できる
- 本人が書く書類を必ず評価する:活動報告書、志望理由書(大学入学希望理由書)、学修計画書など
- 面接などを必ず行う:志望する学問分野への意欲や適性を、面接、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問などで評価する(令和8年度にすでに実施されていた方式で導入が難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに導入する)
- 学力も評価する:調査書などの書類だけでなく、教科の試験、大学入学共通テスト、小論文・面接・実技検査など、資格・検定試験の成績のうち少なくとも一つを使う
大学によっては、総合型選抜でも推薦書や評価書の提出を求める場合があります。「推薦がいらない方式」と決めつけず、提出書類の一覧を確認してください。全体像は総合型選抜とは(仕組み・日程・対策)で説明しています。
学校推薦型選抜とは
学校推薦型選抜は、以前「推薦入試」と呼ばれていた方式です。実施要項では、「出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ」評価・判定する入試方法と定義されています。本人の意志だけでは出願できず、高校が「この大学・学部で学ぶのにふさわしい」と判断して推薦することが前提です。
| 方式 | 以前の呼び名 | 実施要項の定義 | 出願 |
|---|---|---|---|
| 総合型選抜 | AO入試 | 「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」 | 学校長の推薦がなくても、出願資格を満たせば自分の意志で出願できる |
| 学校推薦型選抜 | 推薦入試 | 「出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ」評価・判定する入試方法 | 本人の意志だけでは出願できない。高校が推薦することが前提 |
公募制と指定校制
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 公募制 | 大学が示す推薦要件を満たし、学校長の推薦があれば、どの高校からでも出願できる。1校から推薦できる人数に上限を設ける大学もある |
| 指定校制 | 大学が指定した高校の生徒だけが出願できる。高校ごとに推薦枠があり、希望者が多い場合は校内で選考が行われる |
大学は推薦要件を募集要項で具体的に示すことになっています。評定平均(全体の学習成績の状況)の基準、卒業年度、専願かどうかなどが定められているので、まず要件を満たすかを確認します。評定平均の計算方法は評定平均の解説を参照してください。
推薦書に書かれること
推薦書は高校が作成します。実施要項では、大学のアドミッション・ポリシーに対応する本人の学習歴や活動歴を踏まえて、学力の三要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)に関する評価を記載することが求められています。先生への依頼の進め方は推薦書の依頼方法にまとめています。
出願時期とスケジュールの違い
令和9年度入試(2027年4月入学)について、実施要項が定める時期は次のとおりです。これは全国共通の「これより前には行わない」という基準で、実際の日程は大学ごとに決まります。
| 項目 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 出願の開始 | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 合格発表 | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日以降で、一般選抜の試験期日の10日前まで(共通テストを使う場合は前日までのなるべく早い時期) |
| 大学入学共通テスト | 2027年1月16日・17日(共通テストを課す方式の場合) | 同じ |
総合型選抜のほうが出願が2か月早く始まるため、志望理由書などの書類は高3の夏休み中に仕上げておく必要があります。共通テストを課す方式では、総合型選抜でも学校推薦型選抜でも最終的な合格発表が2月になることがあります。国公立大学に多い形です。
総合型選抜は、エントリーや事前面談、課題の提出などが出願より前に始まる大学もあります。志望大学が決まったら、出願期間だけでなく、その前の手続きの日程も確認してください。
選考方法と評価されるものの違い
二つの方式は選考の進め方が似ていますが、評価の中心が違います。
| 観点 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 評価の中心 | 本人が書いた書類と面接。大学で何を学びたいか、そのために何をしてきたか | 調査書(高校での学習成績と活動の記録)と学校長の推薦 |
| 高校の成績 | 基準を設ける大学と設けない大学がある | 評定平均や学習成績概評を推薦要件にする大学が多い |
| 求められる準備 | 自己分析、大学・学部の研究、志望理由書、活動の整理、面接・小論文の練習 | 高1からの成績の維持、校内選考への対応、面接・小論文の練習 |
総合型選抜は、大学のアドミッション・ポリシー(求める学生像)に自分がどう合うかを、自分の言葉と経験で示す入試です。学校推薦型選抜は、高校3年間の学習の積み重ねを、高校が保証する形で評価してもらう入試です。どちらも学力の評価が課されるため、「学力が問われない入試」ではありません。
併願と入学辞退の注意点
併願できるかどうかは、大学・方式ごとに募集要項で定められています。確認する点は次の3つです。
- 専願かどうか:「合格した場合は必ず入学する」ことを出願の条件にしている方式がある。指定校制の学校推薦型選抜は、合格したら入学することが前提になる
- 他大学との併願:併願を認める方式と認めない方式がある。国公立大学では、たとえば東京大学の学校推薦型選抜の要項に、国公立大学の学校推薦型選抜へ出願できるのは1大学・1学部のみであること、他の国公立大学の総合型選抜に出願した人は出願できないことが明記されている
- 同じ大学の中での併願:総合型選抜と学校推薦型選抜の両方に出願できるか、不合格の場合に一般選抜を受けられるかは、大学ごとに違う
入学を辞退する場合の学費の扱いにも違いがあります。文部科学省の実施要項では、3月31日までに入学辞退の意思表示をした人には、原則として授業料などを返還することとされていますが、専願または学校推薦型選抜に合格して入学手続をした人はこの対象から除かれています。専願の方式や学校推薦型選抜は、合格したら入学する前提で出願する入試だと考えてください。
どちらが向いているか
| こんな人は | 向いている方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 大学で学びたいことが具体的にあり、探究や活動の経験がある | 総合型選抜 | 本人が書く書類と面接で、意欲と取り組みを直接評価してもらえる |
| 高1から評定平均を安定して保っている | 学校推薦型選抜 | 調査書が主な資料になり、成績の積み重ねが評価される |
| 在籍する高校に志望大学の指定校の枠がある | 学校推薦型選抜(指定校制) | 校内選考を通れば、推薦を受けて出願できる |
| 評定平均は基準に届かないが、特定の分野で実績や資格がある | 総合型選抜 | 評定の基準を設けない方式や、資格・実績を要件にする方式がある |
| どちらの条件も満たしている | 日程の早い総合型選抜から検討 | 併願の可否を要項で確認したうえで、機会を増やせる |
迷う場合は、志望大学・学部の募集要項で二つの方式の出願資格を並べて読み、自分が満たしている条件に印をつけてみてください。条件を満たす方式が一つしかないことも多く、そこから準備の優先順位が決まります。
高校2年生までにやっておくこと
- 志望大学・学部で、総合型選抜と学校推薦型選抜のどちらを実施しているかを調べる(両方、片方だけ、どちらもない場合がある)
- 出願資格のうち、評定平均、資格・検定試験、活動実績の要件を確認し、今の自分との差を把握する
- 在籍する高校に指定校の枠があるか、校内選考の時期と基準を先生に聞く
- アドミッション・ポリシーを読み、大学で学びたいことと、それにつながる経験を言葉にし始める
- 一般選抜の学習を並行して続ける。どちらの方式も募集人員が限られ、学力の評価も課される
よくある質問
- Q. 総合型選抜と学校推薦型選抜の一番の違いは何ですか?
- A. 出願に学校長の推薦が必要かどうかです。総合型選抜は本人の意志で出願できる公募制で、本人が書く書類と面接などで評価します。学校推薦型選抜は出身高校の学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として評価します。
- Q. 総合型選抜と学校推薦型選抜は両方受けられますか?
- A. 大学・方式によります。専願を条件にしている方式や、他大学・他方式との併願を認めていない方式があります。国公立大学は制限が厳しいことが多いので、志望大学の募集要項の「出願資格」と「併願」の項目を必ず確認してください。
- Q. 総合型選抜と学校推薦型選抜はいつ出願しますか?
- A. 令和9年度入試(2027年4月入学)では、総合型選抜は2026年9月1日以降、学校推薦型選抜は2026年11月1日以降に出願が始まります。合格発表は総合型選抜が11月1日以降、学校推薦型選抜が12月1日以降です。実際の日程は大学ごとに違います。
- Q. 総合型選抜に評定平均は必要ですか?
- A. 大学・方式によります。評定平均の基準を出願要件にしている大学と、していない大学があります。基準がない場合も調査書は提出します。
- Q. 総合型選抜と学校推薦型選抜はどちらが受かりやすいですか?
- A. 一概には言えません。評価の中心が違うためです。高校の成績を安定して積み上げてきた人は学校推薦型選抜、大学で学びたいことが明確で、それにつながる活動をしてきた人は総合型選抜で力を出しやすくなります。自分が出願資格を満たす方式を確認することが先です。
- Q. 総合型選抜や学校推薦型選抜に学力試験はありますか?
- A. 学力の評価は必ずあります。文部科学省の実施要項では、調査書などの書類だけでなく、教科の試験、大学入学共通テスト、小論文・面接・実技検査など、資格・検定試験の成績のうち少なくとも一つを使うことが定められています。何を課すかは大学ごとに違います。
まとめ
総合型選抜は本人の意志で出願できる公募制で、本人が書く書類と面接などを中心に評価します。学校推薦型選抜は学校長の推薦が必要で、調査書を主な資料として評価します。令和9年度入試では、総合型選抜は9月1日以降、学校推薦型選抜は11月1日以降に出願が始まり、どちらも面接と学力の評価が課されます。
どちらを選ぶかは、志望大学がどの方式を実施しているか、自分が出願資格を満たすかで決まります。東京修学館では、家近亮子学長が志望校と現在の成績・活動をもとに、出願する方式と準備の順番を無料相談で一緒に整理しています。
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