最終更新: 2026-10-01 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 各大学の2027年度入試要項(大学別の記事に出典を記載)、文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項』
看護師などの看護職を目指して、総合型選抜や学校推薦型選抜で大学を受けたいと考えている人に向けて、どの大学にどんな入試があり、何を準備すればよいかを1本にまとめました。各大学の2027年度入試の要項と、文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」に基づいて、主な12大学の方式、募集人員、出願要件、選考方法、日程を整理し、志望理由書・小論文・面接の準備の進め方を東京修学館の家近亮子学長の監修で解説します。
看護学部の総合型選抜・学校推薦型選抜とは
看護職を育てる学科は、大学によって置かれている学部も名前も違います。近畿大学は看護学部、慶應義塾大学は看護医療学部、上智大学は総合人間科学部看護学科です。国立大学では、北海道・東北・名古屋・大阪・神戸・九州の各大学が医学部保健学科看護学専攻、京都大学が医学部人間健康科学科、東京科学大学が医学部保健衛生学科看護学専攻、筑波大学が看護学類です。この記事で取り上げる国立大学の多くは、看護系の入試を医学部の要項の中で案内しています。志望校の要項を探すときは、医学部や保健学科のページも確認してください。
文部科学省の実施要項は、二つの入試を次のように定めています。
| 入試 | 実施要項での位置づけ | 時期のルール(2027年度入試) |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせて、能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価する。自らの意志で出願できる公募制 | 出願の受付は2026年9月1日以降、合格の発表は11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 出身高校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ評価する。志願者自らの意志のみで出願できるものではない | 出願の受付は2026年11月1日以降、合格の発表は12月1日以降 |
実施要項は、どちらの入試でも、志望する学問分野への意欲や適性を確かめる面接(集団討論、プレゼンテーション、口頭試問などを含む)を必ず行うよう求めています。総合型選抜については、高度な専門知識が必要な職業分野の人材を育てる学部・学科で実施する場合、「当該職業分野を目指すことに関する入学志願者の意欲・適性等を特に重視した評価・判定に留意する」とも書かれています。看護系の入試では、看護職を目指す理由と、そのために何をしてきたかを、書類と面接で具体的に示すことが準備の中心になります。
出典
各大学の2027年度入試の学生募集要項・入学試験要項(出典は大学別の記事に記載)、文部科学省「入学者選抜実施要項」(令和9年度、令和8年5月27日付け)。募集人員・出願要件・日程は年度ごとに変わります。出願前に必ず各大学の最新の要項で確認してください。
主な大学の看護系の入試(2027年度入試)
看護学・保健学系で総合型選抜または学校推薦型選抜を実施している主な大学です。大学名から、それぞれの大学の総合型選抜・学校推薦型選抜を詳しく解説した記事に移れます。
| 大学・学科 | 入試の名称(区分) | 募集人員 | 共通テスト |
|---|---|---|---|
| 北海道大学 医学部保健学科 看護学専攻 | フロンティア入試TypeⅠ(総合型選抜) | 7人 | 必要 |
| 東北大学 医学部保健学科 看護学専攻 | AO入試II期/III期(総合型選抜) | 12人/10人 | II期は不要、III期は必要 |
| 筑波大学 看護学類 | 推薦入試(学校推薦型選抜) | 28名 | 不要 |
| 東京科学大学 医学部保健衛生学科 看護学専攻 | 特別選抜Ⅰ(学校推薦型選抜) | 20人 | 不要 |
| 名古屋大学 医学部保健学科 看護学専攻 | 学校推薦型選抜 | 35人 | 必要 |
| 京都大学 医学部人間健康科学科 先端看護科学コース | 特色入試(総合型選抜) | 20人 | 必要 |
| 大阪大学 医学部保健学科 看護学専攻 | 学校推薦型選抜 | 10人 | 必要 |
| 神戸大学 医学部保健学科 看護学専攻 | 「志」特別選抜(総合型選抜) | 7名 | 不要 |
| 九州大学 医学部保健学科 看護学専攻 | 総合型選抜Ⅱ | 10人 | 必要 |
| 慶應義塾大学 看護医療学部 | AO入試 A方式・B方式(総合型選抜) | 若干名 | 選考に使わない |
| 上智大学 総合人間科学部 看護学科 | 推薦入学試験(公募制)(学校推薦型選抜) | 20人 | 不要 |
| 近畿大学 看護学部 看護学科 | 総合型選抜(専願制)/推薦入試(一般公募) | 10名程度/55人 | 不要 |
国公立大学では、総合型選抜と学校推薦型選抜のどちらを実施するかが大学ごとに決まっています。東北大学は学校推薦型選抜を実施しておらず、共通テストを課さないII期と、課すIII期の二つのAO入試があります。神戸大学の「志」特別選抜は2027年度入試(2026年秋実施)が最後の実施です。私立大学では、近畿大学が専願制の総合型選抜と、学力試験が中心の推薦入試(一般公募)の両方を実施しています。
北海道・東北・名古屋・大阪・神戸・九州の各大学は、同じ保健学科の検査技術科学専攻などでも同じ方式の入試を実施しています。ほかの専攻は大学別の記事で確認してください。
出願要件の傾向(専願・評定・推薦人数・英語資格)
| 大学 | 専願・第一志望 | 評定 | その他の主な要件 |
|---|---|---|---|
| 北海道大学 | 合格したら入学を確約できる人 | 数値の基準の記載なし | 原則2027年3月卒業見込み。看護学専攻は履修科目の指定なし。高校の先生が作成するコンピテンシー評価書を提出 |
| 東北大学 | 合格したら必ず入学することを確約できる人 | II期は学習成績概評がA段階。III期は記載なし | II期は2027年3月卒業見込み、III期は2026年3月以降の卒業者も出願可。高校が作成する志願者評価書を提出 |
| 筑波大学 | 合格したら入学することを確約できる人 | 推薦要件は学類ごとに要項で指定 | 学校長の推薦。1校から推薦要件(1)(2)で2名、要件(3)で1名まで。原則2027年3月卒業見込み |
| 東京科学大学 | 合格したら必ず入学する専願 | 学習成績概評A(評定平均値4.3以上) | 高い語学力(英語力)。1校から2人以内。2027年3月卒業見込み |
| 名古屋大学 | 合格したら必ず入学することを確約できる人 | 記載なし | 1校から専攻ごとに2人以内。2027年3月卒業見込み |
| 京都大学 | 合格したら必ず入学することを確約する人 | 記載なし | 高校が作成する学業活動報告書を提出 |
| 大阪大学 | 合格したら必ず入学することを確約する人。出願は1つだけ | 評定平均値4.0以上 | 1校から1専攻につき2名 |
| 神戸大学 | 合格した場合に入学することを確約できる人 | 全体の学習成績の状況4.0以上 | 学部・専攻ごとに要件が違う |
| 九州大学 | 第1志望、または合格したら必ず入学することを確約 | 記載なし | 出願できる卒業年度は学部・学科ごとに要項で指定 |
| 慶應義塾大学 | 第1志望。A方式とB方式の併願は不可 | A方式は条件なし、B方式は4.5以上 | 既卒生も出願可。A方式は看護・医療・保健・福祉に関する活動などの成果が要項の例に当てはまる人 |
| 上智大学 | 第一志望で、合格したら入学を確約できる人 | 全体4.0以上 | 英検2級などの外国語検定試験の基準。数学や理科の必履修科目の指定あり。2027年3月卒業見込み |
| 近畿大学(総合型選抜) | 専願制 | 評定の基準ではなく活動・資格の条件 | 2027年3月卒業見込み。地域活動・ボランティア、スポーツ・文化活動の都道府県大会入賞以上または主将・主務を1年間、生徒会の委員会活動、英検CSEスコア1980以上・日本漢字能力検定準2級以上などの資格のいずれか |
ほとんどの大学が「合格したら入学する」ことを求める
表の大学の多くは、合格した場合に入学することを確約できる人だけが出願できる専願の入試です。慶應義塾大学と九州大学は第1志望であることを条件にしています。国公立大学の学校推薦型選抜は、どの大学でも出願できるのが1つの大学・学部だけです(筑波・東京科学・名古屋・九州などの要項に明記)。大阪大学は総合型選抜・学校推薦型選抜を通じて出願できるのが1つの学部・学科・専攻だけで、複数に出願するとすべて無効になります。
評定の基準は大学で大きく違う
- 4.0以上:大阪大学(評定平均値)、神戸大学、上智大学(全体の学習成績の状況)
- 4.3以上:東京科学大学(学習成績概評A・評定平均値4.3以上)。東北大学のII期も学習成績概評がA段階であることが要件(文部科学省の区分では、A段階は全体の学習成績の状況が5.0〜4.3)
- 4.5以上:慶應義塾大学のB方式
- 記載なし:北海道大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、慶應義塾大学のA方式
上智大学は、評定の基準を在学全期間を通じて満たす必要があり、大学のFAQでは出願時点までの通算で判断すると説明しています。評定の基準がある大学を考えるなら、1年生から評定を保つことが大切です。学習成績概評の区分は評定平均の解説を参照してください。
英語の資格・推薦人数・履修科目
- 英語:上智大学は英検2級、TOEFL iBT 42、IELTS 4.0などのいずれかが必要。東京科学大学は「高い語学力(英語力)」を要件にしている。筑波大学の推薦入試では、4技能のスコアがCEFRのB1相当以上なら総合評価に反映される
- 推薦人数:学校推薦型選抜は1校から推薦できる人数に上限がある。名古屋大学は専攻ごとに2人以内、大阪大学は1専攻につき2名、東京科学大学は2人以内。校内で推薦者を選ぶこともあるので、早めに担任の先生に相談する
- 履修科目:北海道大学の看護学専攻は指定なし(同じ保健学科でも放射線技術科学専攻は物理を含む2科目、理学療法学専攻は2科目の履修が必要)。上智大学の看護学科は数学や理科の指定がある
選考で課されるもの(大学の実例)
第1次選考は書類審査(大学により共通テストも使う)、第2次選考は面接や小論文という2段階の大学が多くなっています。面接の形式は個人面接、グループ面接、口頭試問と大学で違います。
| 大学 | 書類・第1次選考 | 第2次選考など |
|---|---|---|
| 北海道大学 | 調査書・コンピテンシー評価書50点、自己推薦書50点 | 面接100点。そのうえで共通テストの成績で最終合格を判定 |
| 東北大学(II期) | 第1次選考は筆記試験(数理的思考力、自然科学分野の基礎的理解度と論理的思考力、学問への関心と英文理解力・英文表現力。医学科と同じ構成) | 小作文と面接。第2次は筆記200点・面接200点の合計400点 |
| 東北大学(III期) | 共通テスト1,400点 | 筆記320点、面接320点(合計2,040点) |
| 筑波大学 | 推薦書、調査書、志望の動機 | 小論文と面接 |
| 東京科学大学 | 出願書類(保健衛生学科は第1段階選抜を実施しない) | 小論文(大問1は全学科・専攻共通で、批判的・創造的・協働的思考力を問う)、課題を与えたグループ面接のあとに個人面接 |
| 名古屋大学 | 書類と共通テスト | 口頭試問による面接 |
| 京都大学 | 書類 | 論文と面接 |
| 大阪大学 | 共通テストと書類。募集人員の概ね5倍まで | 口頭試問(放射線技術科学専攻は面接、検査技術科学専攻は小論文と面接) |
| 神戸大学 | 書類審査 | 面接・口頭試問など(学部により小論文やプレゼンテーションなど) |
| 九州大学 | 書類 | 小論文(900字程度)、個人面接またはグループ面接 |
| 慶應義塾大学 | 書類 | 面接 |
| 上智大学 | 自己推薦書、調査書、レポート等特定課題(看護体験・ボランティアからの学びと、看護に関する新聞記事を使った考察。各2000字程度) | 小論文60分と面接 |
| 近畿大学(総合型選抜) | 書類 | 小論文(60分)、面接(口頭試問) |
北海道大学のTypeⅠは、面接で口頭試問などによる基礎学力の判定も行うとしています。上智大学は出願時に長いレポートを2本提出するので、書く量が多い入試です。京都大学・北海道大学・大阪大学などの共通テストを使う方式では、書類や面接の評価が高くても、共通テストが基準に届かなければ合格できません。
共通テストが要る大学・要らない大学
| 区分 | 大学(方式) | 合格発表 |
|---|---|---|
| 共通テストが必要 | 北海道大学(TypeⅠ)、東北大学(III期)、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学(総合型選抜Ⅱ) | 2027年2月9日・10日 |
| 共通テストが不要 | 東北大学(II期)、筑波大学、東京科学大学、神戸大学、慶應義塾大学、上智大学、近畿大学 | 2026年11月〜12月 |
共通テストを使う大学の基準と配点
- 北海道大学:国語、地歴・公民、数学、理科2科目、外国語。目安は900点満点中600点程度
- 京都大学:1000点満点中概ね75%以上
- 大阪大学:第1次選考で共通テストの得点と提出書類を総合判定する
- 名古屋大学:6教科8科目(理科は基礎を付さない科目から2)、950点満点。要項に得点の基準はないが、令和8年度の看護学専攻の合格者の共通テスト平均得点率は70.50%
- 九州大学:看護学専攻は375点満点
- 東北大学(III期):理系型の指定(国語、地理歴史・公民から1科目、数学2科目、理科2科目、英語、情報I)で1,400点
共通テストを使う方式は合格発表が2月なので、一般選抜の学習を止めずに進める必要があります。北海道大学は第2次選考の結果が12月8日に出ますが、最終合格は共通テストの成績を見て2027年2月9日に決まります。
共通テストを使わない方式は11月から12月に合否が決まり、書類・小論文・面接(東北大学のII期は大学独自の筆記試験も)の評価で結果が決まります。
日程(2027年度入試)
出願が早い順に並べています。年の記載がないものは2026年です。
| 大学(方式) | 出願 | 試験 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 近畿大学(総合型選抜) | 9月1日〜9月8日(消印有効) | 10月10日 | 11月7日 |
| 北海道大学 | 9月9日〜9月15日(必着) | 11月15日 | 2027年2月9日 |
| 神戸大学 | 9月 | 11月(第1次選抜の発表は10月21日の予定) | 12月 |
| 慶應義塾大学 | 9月15日〜9月17日 | 面接10月24日 | 11月2日 |
| 京都大学 | 10月1日〜10月7日(必着) | 11月14日 | 2027年2月10日 |
| 東北大学(II期) | 10月13日〜10月16日(正午必着) | 筆記11月7日、面接11月28日 | 12月4日 |
| 九州大学 | 10月19日〜10月30日 | 2027年1月30日 | 2027年2月10日 |
| 上智大学 | Web出願11月1日〜11月5日 | 11月28日 | 12月10日 |
| 近畿大学(推薦入試・一般公募) | 11月1日〜11月28日 | 12月6日 | 12月16日 |
| 大阪大学 | 11月2日〜11月7日(必着) | 2027年2月6日 | 2027年2月9日 |
| 東京科学大学 | 11月2日〜11月6日 | 小論文11月24日、面接11月25日 | 12月11日 |
| 筑波大学 | 11月2日〜11月9日(必着) | 11月26日・27日 | 12月10日 |
| 名古屋大学 | 2027年1月19日〜1月22日 | 2027年2月8日 | 2027年2月10日 |
| 東北大学(III期) | 2027年1月19日〜22日 | 2027年2月8日 | 2027年2月10日 |
私立大学と神戸大学の総合型選抜は9月に出願が集中し、国公立大学の学校推薦型選抜は11月初めに出願します。名古屋大学と東北大学のIII期は、共通テストを受けてから1月に出願します。東北大学のIII期の令和9年度の募集要項は11月下旬に公表される予定です。多くの大学は、Web出願の登録に加えて書類を期間内に郵送で届ける必要があり、持参できない大学もあります。
前年度の志願者数・合格者数(公表されている大学)
看護学専攻・看護学科の数字が公表されている大学の結果です。年度は大学の表記に合わせています。
| 大学(方式) | 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 北海道大学(TypeⅠ・令和8年度) | 7 | 5 | 2 |
| 京都大学(先端看護科学コース・令和8年度) | 20 | 48 | 13 |
| 大阪大学(令和8年度) | 10 | 31 | 12 |
| 筑波大学(推薦入試・令和8年度) | ― | 65 | 28 |
| 上智大学(公募制推薦・2026年度) | 20 | 29 | 20 |
| 慶應義塾大学(A方式・2026年度、男/女) | 若干名 | 4/48 | 0/5 |
| 慶應義塾大学(B方式・2026年度、男/女) | 若干名 | 0/19 | 0/1 |
| 近畿大学(総合型選抜・2026年度) | ― | 69 | 13 |
| 近畿大学(推薦入試・一般公募・2026年度) | ― | 335 | 54 |
名古屋大学(保健学科5専攻の計で志願者129人・合格者79人)、東北大学(保健学科の計でII期は志願者81人・最終合格22人、III期は志願者72人・最終合格32人)、九州大学(保健学科で募集22人・志願者78人・合格者18人)は、保健学科全体の数字だけが公表されています。
北海道大学のように、合格者が募集人員を下回る大学もあります。基準に届いた人だけが合格する入試なので、志願者数が少ないから受かりやすいとは言えません。
志望理由書の書き方(看護系の場合)
本人が書く書類の名前と字数は大学ごとに違います。まず志望校の様式を確認し、何を何字で書くのかを把握してから書き始めます。
| 大学 | 本人が書く主な書類 | 字数・内容(要項の記載) |
|---|---|---|
| 大阪大学 | 志望理由書 | アドミッション・ポリシーに沿って、志望理由を1,600字程度 |
| 東京科学大学 | 志望理由書(Web入力) | 学びたい理由、高校在学中の活動の成果、卒業後の将来像と、国際感覚に優れていることを示す活動や経験を、まとめて3,000字以内 |
| 筑波大学 | 志望の動機 | 自筆で600字以内 |
| 東北大学 | 志願理由書、活動報告書(II期) | 志願理由書は1枚に収まる程度。活動報告書は活動を5件、重要度の高い順に書く |
| 北海道大学 | 自己推薦書 | 所定の様式。高校の先生がコンピテンシー評価書を作成する |
| 慶應義塾大学 | 志望理由書、活動報告書(A方式)または学習計画書(B方式) | このほか志願者評価書2通(親・兄弟姉妹以外の2名に依頼) |
| 上智大学 | 自己推薦書、レポート等特定課題 | 自己推薦書はA4サイズ1枚以内。レポートは各2000字程度 |
| 京都大学 | 学びの設計書 | 学部ごとの所定様式 |
「なぜ看護か」を経験から説明する
看護系の志望理由書でいちばん問われるのは、なぜ看護職を目指すのかです。「人の役に立ちたい」「家族の入院がきっかけ」だけで終わると、ほかの志願者と区別がつきません。きっかけとなった出来事、そのとき何を見て何を考えたか、その後に自分で調べたり行動したりしたこと、という順に書くと、動機に具体性が出ます。医師や薬剤師など、ほかの医療職ではなく看護職を選ぶ理由も、自分の言葉で説明できるようにしておきます。
その大学で学ぶ理由と、将来像をつなげる
大学のアドミッション・ポリシーやカリキュラムを読み、その大学で何を学びたいのかを書きます。大阪大学は志望理由書を「アドミッション・ポリシーに沿って」書くよう求めています。卒業後にどの分野でどう働きたいかまで書くと、志望理由が一本の筋になります。看護体験やボランティアの経験がある人は、そこで何を学んだかを整理しておくと、上智大学のレポートのような課題にも、面接での質問にも使えます。
生成AIの利用について
京都大学の要項は「志願者以外の者(生成AIツールを含む)により作成された文章等を利用することは認めません」、上智大学の要項は「出願書類の作成において生成AIが出力した文章は、志願者本人が作成したものとしては認められません」と明記しています。九州大学も、生成系AIツールを含む志願者以外の者が作成したと認められる場合は不正行為とみなすとしています。自分で考え、自分の言葉で書くことが前提です。
書類全体の組み立て方は志望理由書の書き方、活動のまとめ方は活動報告書の書き方、自己推薦書は自己推薦書の書き方で説明しています。
小論文・面接・口頭試問の準備
小論文:形式を確かめてから練習する
看護系の小論文は、九州大学が900字程度、上智大学と近畿大学が60分と、字数や時間が大学で違います。東京科学大学は全学科共通の大問で批判的・創造的・協働的思考力を問い、東北大学のII期は小作文を課します。まず志望校の形式を要項で確かめ、同じ字数・時間で書く練習をします。
練習では、医療や看護に関する新聞記事を読み、要点を短くまとめてから、自分の意見を理由とともに書く、という流れを繰り返すと力がつきます。書いたものは学校や塾の先生に読んでもらい、論点がずれていないか、根拠が具体的かを確かめます。
練習に使えるテーマの例
次は練習用の例です。実際に出題されたテーマではありません。
- 患者が自分で治療を選ぶことを、看護職はどう支えるか
- 高齢の人が住み慣れた地域で暮らし続けるために、医療と看護に何ができるか
- 医師、看護師、薬剤師などが協力するチーム医療で、看護職が果たす役割
- 災害や感染症の流行のとき、看護職に求められること
- 医療の現場でAIやデジタル技術を使うことの利点と課題
- 看護職が長く働き続けられる職場をつくるには
面接:書類の内容を深く聞かれる前提で準備する
面接の形式は、九州大学が個人面接またはグループ面接、東京科学大学が課題を与えたグループ面接のあとの個人面接というように、大学で違います。どの形式でも、志望理由書や活動報告書に書いた内容は詳しく聞かれると考えて準備します。志望理由を短く話す場合と詳しく話す場合の両方を用意すること、看護職を目指すきっかけとなった経験を具体的に説明できるようにすること、志望校の看護教育の特色を自分の言葉で言えるようにすることは、どの大学を受ける場合も役に立ちます。
口頭試問:知識と考えを口頭で説明する
大阪大学の看護学専攻は第2次選考が口頭試問、名古屋大学は口頭試問による面接、近畿大学は面接(口頭試問)です。北海道大学のTypeⅠも、面接で口頭試問などによる基礎学力の判定を行うとしています。高校で学んだ内容や、自分が書類に書いたテーマについて、質問されたら筋道を立てて説明できるようにしておきます。
練習の進め方は小論文の書き方、面接対策、口頭試問の対策で詳しく説明しています。
学年別の準備の進め方
高校3年生
- 志望校の要項で、方式(総合型か学校推薦型か)、専願かどうか、評定の基準、共通テストの要否を確認する
- 学校推薦型選抜を受ける場合は、校内で推薦を受けられるかを早めに担任の先生に相談する。1校から推薦できる人数が少ない
- 北海道大学のコンピテンシー評価書のように、高校の先生が作成する書類は時間がかかる。夏休み前に先生に伝え、活動の記録を渡す
- 9月出願の大学(近畿・北海道・慶應など)を受ける場合は、夏休み中に志望理由書を仕上げる
- 共通テストを使う大学を受ける場合は、一般選抜と同じ水準で学習を続ける。使わない大学を受ける場合も、不合格に備えて一般選抜の準備を並行する
高校1・2年生
- 評定の基準がある大学(大阪・東京科学・神戸・上智・慶應B方式など)を考えるなら、1年生の1学期から評定を保つ
- 看護体験やボランティアなど、看護職を目指す理由を確かめられる経験をし、そのたびに気づいたことを記録しておく
- 英語の資格・検定試験が必要な大学(上智など)を考えている場合は、高2までに基準のスコアを取っておく
- 医療や看護に関するニュースを日頃から読み、自分の意見を短くまとめる習慣をつける
いまの高校2年生が受ける2028年度入試の変更
- 神戸大学:「志」特別選抜の募集が停止される。医学部保健学科看護学専攻には学校推薦型選抜(5名)が新設される
- 北海道大学:医学部保健学科の5専攻すべてで、フロンティア入試の第1次選考の配点が「調査書・コンピテンシー評価書80点、自己推薦書20点」に変わる予告がある
制度は年度ごとに変わります。高校2年生以下の人は、受験する年度の要項が公表されたら必ず確認してください。総合型選抜と学校推薦型選抜の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違いで整理しています。
よくある質問
- Q. 看護学部は総合型選抜で受けられますか?
- A. 受けられる大学があります。2027年度入試では、北海道大学(フロンティア入試TypeⅠ)、東北大学(AO入試II期・III期)、京都大学(特色入試)、神戸大学(「志」特別選抜)、九州大学(総合型選抜Ⅱ)、慶應義塾大学(看護医療学部AO入試)、近畿大学(看護学部)が看護系の総合型選抜を実施しています。筑波大学、東京科学大学、名古屋大学、大阪大学、上智大学は学校推薦型選抜で、学校長の推薦が必要です。
- Q. 看護系の総合型選抜・学校推薦型選抜に共通テストは必要ですか?
- A. 大学によります。北海道大学、東北大学のIII期、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学は必要で、合格発表は2月です。東北大学のII期、筑波大学、東京科学大学、神戸大学、慶應義塾大学、上智大学、近畿大学は共通テストを使わず、11月から12月に合否が決まります。
- Q. 看護系の総合型選抜・推薦入試に評定平均はどのくらい必要ですか?
- A. 大学ごとに違います。大阪大学、神戸大学、上智大学は4.0以上、東京科学大学は学習成績概評A(評定平均値4.3以上)、慶應義塾大学のB方式は4.5以上です。東北大学のII期は学習成績概評がA段階であることが要件です。北海道大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、慶應義塾大学のA方式は、要項に評定の基準の記載がありません。
- Q. 看護系の総合型選抜は併願できますか?
- A. 多くの大学が、合格したら入学することを確約できる人や、第1志望の人だけが出願できるとしています。国公立大学の学校推薦型選抜に出願できるのは1つの大学・学部だけです。近畿大学の総合型選抜も看護学部だけは専願制です。一方、国公立大学の一般選抜には別に出願できる大学が多く、不合格に備えて一般選抜の準備を並行して進めます。
- Q. 看護系の総合型選抜の日程はいつですか?
- A. 2027年度入試では、近畿大学(総合型選抜)が9月1日から8日、北海道大学が9月9日から15日、慶應義塾大学が9月15日から17日に出願します。京都大学は10月1日から7日、東北大学のII期は10月13日から16日、上智大学・大阪大学・東京科学大学・筑波大学は11月初めです。名古屋大学と東北大学のIII期は共通テストのあとの2027年1月19日から出願します。
- Q. 看護学部の小論文や面接ではどんなことが問われますか?
- A. 形式は大学ごとに違います。九州大学は900字程度の小論文と個人面接またはグループ面接、上智大学は60分の小論文と面接に加えて看護体験と新聞記事に関するレポート、大阪大学の看護学専攻は口頭試問、東京科学大学はグループ面接のあとに個人面接を行います。どの大学でも、志望理由書に書いた内容と看護職を目指す理由は詳しく聞かれる前提で準備します。
まとめ
看護系の総合型選抜・学校推薦型選抜は、大学によって方式も条件も大きく違います。北海道・東北・京都・九州・神戸・慶應・近畿は総合型選抜、筑波・東京科学・名古屋・大阪・上智は学校推薦型選抜です。共通テストを使う国立大学は合格発表が2月、使わない大学は11月から12月に合否が決まります。多くの大学が専願か第一志望を条件にしており、評定の基準も4.0以上から4.5以上、記載なしまでさまざまです。まず志望校の要項で、方式、評定、共通テストの要否、日程を確かめることから始めてください。
準備の中心は、看護職を目指す理由を経験から説明する志望理由書と、大学ごとの形式に合わせた小論文・面接の練習です。東京修学館では、家近亮子学長が、看護系の志望理由書の構成づくりと、小論文・面接・口頭試問の練習を無料相談でお手伝いしています。
学長への無料相談はこちら
慶應義塾大学博士・敬愛大学特任名誉教授の家近亮子学長が、あなたの志望校選びと総合型選抜対策を直接アドバイスします。



