最終更新: 2026-10-08 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試の募集要項
小論文の構成を、書く前に決める「段落の設計図」として説明します。4つの構成の型の選び方、設計図を書く手順、字数別の段落数と字数の目安を表にまとめました。同じテーマを三段と四段で組んだ設計図と、崩れた設計図を直す前と後の例も載せています。三段構成の基本、序論の例文、1,200字の模範例文は、「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方で説明しています。
小論文の構成とは:段落に役割を割り当てる設計図
小論文の構成とは、どの段落で何を言うかを、書く前に決めたものです。段落ごとに「立場」「理由と具体例」「反対意見の検討」「立場の再確認」などの役割を一つ割り当て、字数も決めます。この記事では、これを段落の設計図と呼びます。
設計図があると、書いている途中で論の向きが変わりにくくなります。読み手も、各段落の役割を追いながら、主張と根拠のつながりを確かめられます。
構成が評価にかかわる理由
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、小論文や面接などを使う目的を示しています(第6の3)。評価する能力・適性等には、次の二つが含まれています。一つは「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」です。もう一つは「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」です。
同じ意見でも、理由がどの順で、どの根拠と結びついて示されるかで、考えた過程の伝わり方は変わります。構成は、その過程を読み手に見える形にする部分です。
実施要項は、総合型選抜について、調査書などの出願書類だけでなく、ほかの評価方法を少なくとも一つ使うよう定めています(第3の1(2)③)。その評価方法は、教科・科目のテスト、共通テスト、小論文・面接等、資格・検定試験の成績です。実施要項は、小論文のテーマを大学が積極的に公表することも望ましいとしています(第13の3)。志望大学の過去の出題を確かめ、その形に合う構成を練習します。
| 見られる点 | 構成を決めずに書いた答案 | 設計図を作ってから書いた答案 |
|---|---|---|
| 立場 | 書きながら決まり、序論と結論でずれることがある | 書く前に一文で決まっていて、序論と結論で一致する |
| 理由 | 思いついた順に並び、同じ理由が繰り返される | 互いに違う理由が、段落ごとに一つずつ置かれる |
| 字数 | 前半に使いすぎ、結論が短くなる | 段落ごとの字数が先に決まっている |
| 段落 | 役割が重なったり、一つの段落に二つの話が入る | 一つの段落に一つの役割 |
小論文の構成の型は4つ:出題形式と字数で選ぶ
小論文の構成には、よく使われる型が4つあります。「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方は、基本の三段構成(序論・本論・結論)を中心に説明しています。ここでは、4つの型をいつ使うかに絞って整理します。
| 型 | 段落の並び | 向く設問・出題形式 | 向く字数 |
|---|---|---|---|
| 三段構成 | 序論(立場)→本論(理由と具体例)→結論(立場の再確認) | 「あなたの考えを述べなさい」。テーマ型・課題文型の基本 | 400〜1,200字のどれでも |
| 四段構成 | 問題提起→現状分析→解決策→結論 | 「問題点を挙げ、解決策を述べなさい」。政策や制度の問題を問う設問に向く | 800字以上 |
| 主張先行の型(PREP法) | 主張→理由→具体例→主張 | 字数の少ない設問、小問に分かれた設問の意見の部分 | 300字以下(400字前後は短い三段構成でもよい) |
| 比較型 | 論点の提示→一方の考え→もう一方の考え→比べた結論 | 「賛否を論じなさい」「AとBのどちらが望ましいか」 | 800字以上 |
三段構成:どの設問にも使える基本の型
三段構成は、序論で立場を示し、本論で理由と具体例で支え、結論で立場を言い直す型です。字数が増えたら、本論を理由ごとの段落に分けます。迷った時は、この型を選びます。
四段構成:問題と解決策を問う設問に
四段構成は、本論を「現状分析」と「解決策」に分けた型です。設問が問題点と解決策の両方を求めている時に使います。現状分析で挙げた問題の数と、解決策で答える問題の数をそろえると、論のつながりが見えます。
主張先行の型(PREP法):短い字数や小問に
主張→理由→具体例→主張の順に書く型です。三段構成を短く縮めた形です。200〜300字の設問では、序論や結論に段落を分ける余裕がないため、この型で1〜2段落にまとめます。
比較型:賛否や二つの案を比べる設問に
比較型は、対立する二つの考えを順に検討してから、自分の結論を出す型です。両方の考えに段落を使うので、800字以上の設問に向きます。結論では、どちらを選ぶかと、比べた基準を示します。
三段構成の本論に「反対意見の検討」を1段落入れる形も、比較の考え方を使っています。「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方では、これを1,200字の本論のパターンとして説明しています。
設問の言葉から型を選ぶ
型は、設問が何を求めているかで決まります。設問の最後の指示の言葉と、字数を確かめます。
| 設問の言い方の例 | 選ぶ型 | 理由 |
|---|---|---|
| 〇〇について、あなたの考えを述べなさい(800字以内) | 三段構成 | 立場と理由が問われている |
| 〇〇の問題点を挙げ、その解決策を論じなさい(1,000字以内) | 四段構成 | 問題点と解決策の両方が問われている |
| 〇〇に賛成か反対か、立場を明らかにして論じなさい(1,200字以内) | 比較型、または反対意見の検討を入れた三段構成 | 反対の立場への応答が求められている |
| 〇〇について、あなたの意見を述べなさい(200字以内) | 主張先行の型(PREP法) | 段落を分ける余裕がない |
| 筆者の主張を要約し、あなたの考えを述べなさい(800字以内) | 三段構成(序論に要約) | 要約と意見の二つが問われている |
| 資料から読み取れることを示し、考えを述べなさい(800字以内) | 三段構成(本論の最初に読み取り) | 読み取りと意見の二つが問われている |
要項にある小論文の字数の例
小論文の字数と時間は、大学・学部・方式ごとに違います。2027年度入試(2027年4月入学)の要項から、このサイトの大学別・学部別の記事で確かめた例を並べます。
| 大学・学部(方式) | 試験 | 字数 | 時間・補足 |
|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 法学部(FIT入試B方式) | 総合考査Ⅱ(小論文) | 400字程度 | 45分。総合考査Ⅰは資料を読み取り400字程度にまとめる(45分) |
| 上智大学 法学部(推薦入学試験・公募制) | 小論文 | 800字 | 60分。法律・国際関係法・地球環境法学科 |
| 武蔵大学 社会学部(ゼミ力重視方式) | 小論文 | 800字程度 | 80分 |
| 九州大学 医学部保健学科(総合型選抜Ⅱ) | 小論文 | 900字程度 | 個人面接またはグループ面接もある |
| 國學院大學 法学部 法律専攻(公募制自己推薦・AO型) | 小論文試験 | 1,000字程度 | 120分。法・政治に関連するテーマ |
| 関西大学 法学部(AO入試Ⅱ型) | 指定図書の小論文 | 1,000字程度 | 90分。指定図書について書く |
| 上智大学 フランス語学科(推薦入学試験・公募制) | 小論文 | 1,400字 | 60分 |
400字前後の試験では、主張先行の型(PREP法)か、短い三段構成で書きます。800字前後では本論を2段落に、1,000字前後では2〜3段落に分けた三段構成か、四段構成が使えます。1,400字のように、次の節の字数別の表の上限を超える時は、1,200字の配分を同じ比率で広げます。大学ごとの選考の形は、法学部の総合型選抜などの学部別の記事でもまとめています。
段落の設計図を書く手順と、字数別の段落の目安
型を選んだら、段落の設計図を書きます。設計図は、段落ごとに役割、字数、書くことのメモを並べた箇条書きです。次の5段階で作ります。
手順ごとに書き出すもの
| 手順 | 書き出すもの | 例(800字以内・三段構成) |
|---|---|---|
| 1. 問いを一文にする | 何に答えるのか | 服装を学校が一律に決めるか、生徒が選ぶかについて、自分の考えを800字以内で述べる |
| 2. 結論を決める | 問いへの答えの一文 | 制服は残し、種類を選べるようにすべきだ |
| 3. 理由を二つに絞る | 具体例を用意できる理由 | 理由は一つ(家庭の負担の差を広げない)。二つ目が出ないので、反対意見(個性を表せる)への答えを二つ目の段落にする |
| 4. 役割と字数を割り当てる | 段落ごとの役割と字数 | 序論100字・本論1 300字・本論2 250字・結論150字 |
| 5. 書く | 各段落の最初の一文 | 設計図の役割の言葉から書き始める |
手順3で理由が一つしか出ない時は、予想される反対意見を一つ挙げ、それに答える段落を二つ目の本論にします。三段構成の本論は、理由の段落と反対意見の検討の段落を組み合わせて作れます。
字数別の段落数と各段落の字数の目安
段落の数と字数は、全体の字数で決まります。次の表は、「小論文の書き方」の記事「小論文の書き方」の配分(序論1〜1.5割、本論6〜7割、結論1.5〜2割)と同じ比率で、字数ごとに割り当てた目安です。
| 全体の字数 | 段落の数 | 各段落の字数 | 本論の組み立て |
|---|---|---|---|
| 400字 | 3段落 | 序論50・本論270・結論80 | 理由を一つ。短い設問は主張先行の型(PREP法)で1〜2段落にしてもよい |
| 600字 | 3段落 | 序論80・本論400・結論120 | 理由を一つに絞り、具体例を一つ |
| 800字 | 4段落 | 序論100・本論1 300・本論2 250・結論150 | 理由二つ、または理由一つと反対意見の検討 |
| 1,000字 | 5段落 | 序論120・本論1 280・本論2 260・本論3 160・結論180 | 理由二つと反対意見の検討、または四段構成 |
| 1,200字 | 5段落 | 序論150・本論1 320・本論2 320・本論3 200・結論210 | 理由二つと反対意見の検討、または四段構成 |
段落を設計する時の決まりごと
| 決まりごと | 理由 |
|---|---|
| 一つの段落に、役割を一つだけ割り当てる | 二つの理由が一段落に入ると、どちらも説明が足りなくなる |
| 段落の最初の一文で、その段落の役割が分かるように書く | 最初の一文だけを拾い読みしても、論の筋が追える |
| 本論の段落の字数は、立場を支える重さの順にする | 最も強い理由に最も多くの字数を使う |
| 結論の段落に、新しい役割を割り当てない | 結論は本論で示したことを受けて立場を言い直す場所 |
設計図の実例:同じテーマを三段と四段で組む
同じ制服のテーマでも、設問が違えば型が変わります。立場を問う設問は三段構成、問題点と解決策を問う設問は四段構成で組みます。どちらも説明のための創作で、完成した本文ではなく設計図です。三段・四段は答案を分ける部分の数のことで、段落の数とは一致しません。
三段構成の設計図(800字以内)
設問:「高校の制服を廃止し、服装を自由にすべきか。あなたの考えを述べなさい(800字以内)」
設計図|三段構成・800字以内(計800字)
第1段落 序論(立場・100字):問い=服装を学校が一律に決めるか、生徒が選ぶか。立場=制服は残し、種類を選べるようにすべきだ。論点の予告=家庭の負担と、自分で選ぶ経験の二つ
第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):理由1=制服をなくすと、毎日の服をそろえる費用と手間が家庭ごとに違ってくる。具体例=私服の高校に通う知人が、毎朝の服選びと買い足しの出費を負担に感じていた話。つなぎ=制服には、服の差を見えにくくする働きがある
第3段落 本論2(反対意見の検討・250字):反対意見=自由にすれば個性を表せる。検討=たしかに一理ある。しかし、スラックスとスカート、上着の種類を選べる制服でも、選ぶ経験は得られる。費用の差を広げずに済む
第4段落 結論(立場の再確認・150字):本論の要点=負担の差を広げず、選ぶ経験もできる。立場=制服は残し、種類を選べるようにすべきだ(序論と同じ言葉で)
本論1は理由と具体例、本論2は反対意見の検討です。字数は字数別の目安の800字と同じにしています。序論で予告した「家庭の負担」と「選ぶ経験」が、本論1と本論2に一つずつ対応しています。
四段構成の設計図(1,200字以内)
設問:「高校の制服をめぐる問題点を挙げ、その解決策を述べなさい(1,200字以内)」。「小論文の書き方」の記事の本論パターンB(問題点と解決策)を設計図にしたものです。
設計図|四段構成・1,200字以内(計1,200字)
第1段落 序論(問題提起・150字):問い=制服の何が問題か。方向=問題は制服があることではなく、季節や体の変化に合わせにくいことにある。この後、現状と解決策を示すと予告する
第2段落 本論1(現状分析・340字):問題点を二つに分ける。①季節に合わない(夏の上着の暑さ、冬のスカートの寒さ)。②成長で体に合わなくなると、買い直す負担が大きい。それぞれに、身近な例を一つ
第3段落 本論2(解決策・300字):①には、夏冬の上着とスラックス・スカートを組み合わせて選べる形にする。②には、サイズの交換と、卒業生からの譲り受けの仕組みを学校が用意する。現状分析の①②に一つずつ対応させる
第4段落 本論3(課題と対応・200字):課題=種類が増えると、購入費が上がる。対応=標準の組み合わせを一つ決め、追加の種類は希望者だけが買う形にする
第5段落 結論(立場の再確認・210字):現状分析の二つの問題と、それぞれに対応する解決策を一文ずつで振り返る。立場=選べる形と譲り受けの仕組みで、制服の利点を残したまま問題を解消できる
現状分析で挙げた二つの問題に、解決策が一つずつ答えています。1,200字なので、解決策の部分を「解決策」と「課題と対応」の2段落に分け、全体を5段落にしています。「課題と対応」では、解決策への反論に先に答えています。結論では、問題と解決策の組を振り返ります。
| 比べる点 | 三段構成(800字) | 四段構成(1,200字) |
|---|---|---|
| 設問が求めること | 制服を廃止すべきかへの立場 | 問題点と解決策 |
| 序論の中身 | 立場と論点の予告 | 何が問題かと、解決の方向 |
| 本論の中身 | 理由と具体例、反対意見の検討 | 現状分析、解決策、課題と対応 |
| 結論の中身 | 立場を序論と同じ言葉で言い直す | 問題と解決策の組を振り返る |
| 段落の数 | 4段落 | 5段落 |
設計図ができたら、各段落の最初の一文を書き出してから本文に進みます。三段構成を1,200字の構成で文章にした例は、「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方で読めます。
序論・本論・結論の構成上の役割と、崩れる典型の直し方
序論・本論・結論には、それぞれ構成の上での役割があります。役割が守られていないと、一文ずつは正しくても、答案全体の筋が通りません。
| 部分 | 構成上の役割 | 崩れる典型 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 序論 | 問いへの答え(立場)を先に置き、本論で何を論じるかの道筋を示す | 背景の説明だけで終わり、立場を書かない | 序論の中に「私は〜と考える」の一文を入れる |
| 本論 | 立場を支える理由を、段落ごとに一つずつ置く | 2段落が同じ理由の繰り返しになる | 設計図の段階で違う理由を二つ出す。出ない時は反対意見の検討の段落にする |
| 結論 | 本論の要点を受けて、立場を言い直す | 本論で論じていない理由や提案を出す | 新しい話は本論に移すか、削る |
型ごとに変わる序論の中身
序論で示すものは、型によって少し変わります。どの型でも、序論の中で立場か問題の方向が分かるようにします。
| 型 | 序論に入れるもの | 序論に入れないもの |
|---|---|---|
| 三段構成 | 問いの言い換え、立場、論点の予告 | 理由の説明と具体例 |
| 四段構成 | 何が問題か、解決の方向 | 問題の原因の分析(現状分析の段落に回す) |
| 主張先行の型(PREP法) | 主張の一文 | 背景の説明 |
| 比較型 | 対立する二つの考えと、自分の立場 | どちらか一方の考えの詳しい説明 |
崩れた設計図を直す前と後
構成の崩れは、本文を書く前の設計図の段階で直せます。よくある3つの形を、直す前と後の設計図で並べます。いずれも説明のための創作です。
例1|序論に立場がない
テーマ「町の商店街の空き店舗をどう生かすか」800字。背景と案の紹介で本論が終わり、立場が最後の段落まで出てきません。読み手は、何のための説明なのか分からないまま読むことになります。
直す前の設計図|序論に立場がない(計800字)
第1段落 序論(背景・100字):空き店舗が増えた背景(人口の減少、郊外の大型店)
第2段落 本論1(現状・300字):空き店舗の様子と、困っている人の例
第3段落 本論2(案の紹介・250字):若い人の起業に貸す案と、地域の集会所にする案を並べる
第4段落 結論(立場・150字):若い人の起業に貸すべきだと、ここで初めて書く
直した後の設計図(計800字)
第1段落 序論(立場・100字):立場=空き店舗は、若い人の起業の場として安く貸すべきだ。論点の予告=人が来る理由と、集会所にする案との比べ方
第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):新しい店は、それ自体が人の来る理由になる。例=空き店舗に開いた店に、近くの高校生が集まるようになった場面
第3段落 本論2(反対意見の検討・250字):集会所にすべきだという意見を検討する。集会所の役割は、店の一角を地域に開くことでも果たせる
第4段落 結論(立場の再確認・150字):起業の場として貸すことが、人の流れと地域の場を両立させると言い直す
例2|本論の2段落が同じ理由の繰り返し
テーマ「高校の夏休みの課題は、生徒が選べるようにすべきか」800字。本論が2段落あるのに、理由は一つです。2段落目は1段落目の言い換えになり、字数を使っても論は深まりません。
直す前の設計図|本論の2段落が同じ理由の繰り返し(計800字)
第1段落 序論(立場・100字):立場=課題は、生徒が選べる形にすべきだ
第2段落 本論1(理由と具体例・300字):理由=一律の課題は写して出す生徒がいる。例=友人Aの話
第3段落 本論2(同じ理由と別の例・250字):理由=写して出す生徒がいる(同じ理由)。例=友人Bの話
第4段落 結論(立場の再確認・150字):課題は選べる形にすべきだ
直した後の設計図(計800字)
第1段落 序論(立場・100字):立場=課題は、生徒が選べる形にすべきだ。論点の予告=課題の中身と、休み明けの学び
第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):理由1=一律の課題は、得意な生徒にも苦手な生徒にも合いにくい。例=同じ問題集を、早く終える生徒と写して出す生徒がいる
第3段落 本論2(理由2と具体例・250字):理由2=自分で選んだ課題は、休み明けに人へ説明できる学びとして残る。例=自分で選んだ調べ学習を、授業で発表した経験
第4段落 結論(立場の再確認・150字):合う課題と、説明できる学びの二つを挙げ、選べる形にすべきだと言い直す
例3|結論で新しい話を出す
テーマ「公共図書館は夜間も開館すべきか」600字。カフェの提案は、本論で一度も論じていない新しい話です。結論で新しい話を出すと、本論で何を示したのかがぼやけます。
直す前の設計図|結論で新しい話を出す(計600字)
第1段落 序論(立場・80字):立場=夜間も開館すべきだ
第2段落 本論(理由と具体例・400字):理由=働く人や高校生が使える時間に開いていない。例=閉館時刻が部活動の終わる時刻より早い
第3段落 結論(立場と新しい提案・120字):夜間も開館すべきだ。さらに、館内にカフェを置けば若い人も来るだろう
直した後の設計図(計600字)
第1段落 序論(立場・80字):立場=夜間も開館すべきだ。論点の予告=使いたい人が使える時間
第2段落 本論(理由と具体例・400字):理由=働く人や高校生が使える時間に開いていない。例=閉館時刻が部活動の終わる時刻より早い。夜間に開けば、使える人が増える
第3段落 結論(立場の再確認・120字):本論の要点(使いたい人が使える時間に開く)を一言で受け、夜間も開館すべきだと言い直す
例3の600字は本論が1段落なので、理由は一つで足ります。困るのは、例2のように本論を2段落に分けたのに、同じ理由を繰り返す時です。
課題文型・資料型で構成が変わるところ
課題文型と資料型でも、序論・本論・結論の骨組みは変わりません。変わるのは、課題文の要約や資料の読み取りを、構成のどこに置くかです。
| 出題形式 | 序論に置くもの | 本論の最初に置くもの | 崩れやすい点 |
|---|---|---|---|
| テーマ型 | 問いの言い換えと立場 | 理由1と具体例 | 論点が広がり、理由が散らばる |
| 課題文型 | 課題文の主張の要約(1〜2文)と、それへの立場 | 筆者の主張のどこに賛成・反対するかと、その理由 | 要約が長くなり、本論が薄くなる |
| 資料型 | 資料から読み取れる傾向の一言と、立場や問い | 資料の読み取り(数値の変化や差) | 読み取りだけで終わり、意見がない |
| ミックス型 | 資料の傾向が課題文の主張を支えるか、くずすかの見立てと、立場 | 資料の数値を、課題文の主張に当てはめた検討 | 課題文と資料を別々に論じてしまう |
課題文型:要約は序論に短く
課題文型では、序論で筆者の主張を1〜2文で要約し、それに対する立場を示します。要約の分だけ序論は長くなりますが、全体の1.5割までに収めます。本論では、要約を繰り返さず、自分の理由に字数を使います。
設計図|課題文型・三段構成・800字以内(課題文は創作)(計800字)
第1段落 序論(要約と立場・120字):課題文の主張の要約(1〜2文)=筆者は、地域の祭りは観光客ではなく住民のためにあると述べる。立場=条件付きで反対。住民のための祭りという点は認めるが、観光客を遠ざけるべきではない
第2段落 本論1(認める点・300字):筆者の主張のうち、認める点を示す。理由=担い手が住民でなければ、祭りは続かない。例=自分の町の祭りの準備
第3段落 本論2(反対する点・250字):筆者が見落としている点=外から見に来る人がいることが、住民が祭りを続ける動機にもなる。例=見に来た人の言葉で、準備の意味を知った場面
第4段落 結論(立場の再確認・130字):住民のための祭りという点は認めつつ、観光客を遠ざけるべきではないと、条件付きの反対の立場を言い直す
本論1で筆者の主張の認める点を示し、本論2で筆者が見落としている点を挙げています。全面的な賛成か反対かではなく、どこまで認めるかを分けると、要約との違いがはっきりします。
資料型:読み取りは本論の最初の段落に
資料型では、資料の読み取りを本論の最初の段落に置きます。読み取りは、数値の変化や差を傾向として一言でまとめます。2段落目以降を、その傾向の理由の考察と自分の意見にあてます。
資料の読み取りだけを求める設問もあります。たとえば慶應義塾大学 法学部のFIT入試B方式の総合考査Ⅰは、資料を読み取り400字程度にまとめる試験です。資料を使う形式は他にもあり、学習院大学 法学部 政治学科の学校推薦型選抜(公募制)は、評論・グラフ・図表などの資料を分析する論述問題です。設問が意見を求めているかどうかを確かめてから、型を選びます。
英文や指定図書を読んで書く形
筑波大学の教育学類の推薦入試は、専門に関連する英語の文章を読む形式の小論文です。関西大学 法学部のAO入試Ⅱ型は、指定図書についての小論文(90分、1,000字程度)です。読む素材が英文や本でも、設問が要約と意見を一続きで求める場合は、課題文型と同じ組み立てにします。要約を序論に置き、本論で自分の理由を示します。
構成を決めたら確かめるチェックリスト
設計図を作ったら、書き始める前に次の点を確かめます。本文を書いた後に、設計図と答案を見比べる時にも使えます。
設計図を練習と面接に使う
練習では、答案と一緒に設計図も残しておきます。添削で指摘を受けた時、構成の問題か、文の問題かを分けて直せるからです。
小論文の内容について面接で聞かれる方式もあります。筑波大学の推薦入試(社会学類)は、個別面接に小論文の内容に関する設問や口頭試問を含みます。設計図に書いた理由と反対意見への答えは、そのまま口頭での説明の準備になります。答え方は口頭試問の対策で説明しています。
出願時に提出する課題レポートも、序論・本論・結論で組み立てる点は同じです。調べた資料の扱い方は課題レポートの書き方を参考にしてください。
よくある質問
- Q. 小論文の三段構成と四段構成は、どう使い分けますか?
- A. 設問の言葉で決めます。「あなたの考えを述べなさい」のように立場を問う設問は、三段構成で組みます。「問題点を挙げ、解決策を述べなさい」のように問題と解決策を問う設問は、四段構成で組みます。四段構成は、三段構成の本論を現状分析と解決策に分けた形です。600字以下では段落が細かくなりすぎるため、三段構成が書きやすくなります。
- Q. 起承転結で小論文を書いてもいいですか?
- A. 小論文では、起承転結より三段構成か四段構成が向いています。起承転結は物語や随筆の組み立てで、「転」で話の向きが変わります。小論文で話の向きが変わると、立場と理由のつながりが切れて見えます。反対の視点を入れたい時は、「反対意見の検討」の段落として本論に置きます。
- Q. PREP法は小論文の構成に使えますか?
- A. 使えます。PREP法は、主張(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、主張(Point)の順に書く型です。三段構成を短く縮めた形といえます。300字以下の設問や、小問に分かれた設問の意見の部分に向きます。400字前後なら、短い三段構成でも書けます。800字以上では、理由ごとに段落を分けた三段構成に広げます。
- Q. 小論文の段落はいくつに分ければいいですか?
- A. 字数で決まります。400字と600字は3段落、800字は3〜4段落、1,000〜1,200字は4〜5段落が目安です。一つの段落に役割を一つ割り当てるので、段落の数は、序論、理由の数、反対意見の検討、結論を足した数になります。
- Q. 理由が一つしか思いつかない時は、どう構成すればいいですか?
- A. 600字以下なら、理由は一つで足ります。800字以上で本論を2段落にする時は、予想される反対意見を一つ挙げ、それに答える段落を二つ目の本論にします。理由の候補は、「誰にとってよいか」「すぐの効果と先の効果」のように視点を分けると見つけやすくなります。
- Q. 課題文型の小論文では、要約をどこに書けばいいですか?
- A. 設問が要約と意見を分けて求めている時は、小問ごとに書きます。分けていない時は、序論で筆者の主張を1〜2文で要約し、それに対する立場を続けます。要約には筆者の主張の中心だけを書き、例や細かい説明は入れません。800字なら、序論は120字前後までが目安です。
まとめ
小論文の構成は、段落ごとに役割と字数を割り当てた設計図です。設問の言葉、出題形式、字数から、三段・四段・主張先行・比較の4つの型を選びます。問いを一文にし、結論を決め、理由を二つに絞り、段落に役割と字数を割り当ててから書き始めます。序論に立場がない、本論の2段落が同じ理由の繰り返し、結論で新しい話を出す、の3つの崩れは、設計図の段階で直せます。
東京修学館では、小論文の材料の整理から構成づくりまでのご相談を、無料相談でお受けしています。序論の書き出しの例文や1,200字の模範例文は、「小論文の書き方」の記事もあわせてご覧ください。
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