資料読み取り型(データ型・グラフ型)の小論文は、示されたグラフや表、文章から読み取れることを書く形式です。そのうえで、原因の推測や自分の考えを述べます。この記事では、資料の種類ごとの見るところ、読み取りの5つの手順、設問の指示の読み分け、字数の配分をまとめました。よくある失敗、架空の資料による例文、公式サイトで出題例が公開されている大学の例も載せています。序論・本論・結論の基本と原稿用紙のルールは小論文の書き方の記事、段落の設計は小論文の構成の記事で説明しています。
資料読み取り型小論文とは(テーマ型・課題文型との違い)
この節の答えテーマ型や課題文型と違い、資料の単位・年・出典を確かめて傾向を読み取る作業が先に入り、その読み取りが答案の土台になります。
資料読み取り型の小論文は、グラフ・表・統計などの資料が示される形式です。設問は「資料から読み取れることを述べなさい」「資料を踏まえて、あなたの考えを述べなさい」のように問われます。
データ型、図表型、グラフ型とも呼ばれます。
テーマ型は短い設問だけが示され、論点を自分で絞ります。課題文型は文章を要約してから意見を書きます。
資料型は、資料を読み取る作業が先に入り、その読み取りが答案の土台になります。4つの出題形式の全体は小論文の書き方の記事で比べています。
| 形式 | 答案の土台になるもの | 資料型で増える作業 |
|---|---|---|
| テーマ型 | 自分で絞った論点と立場 | — |
| 課題文型 | 筆者の主張の要約 | — |
| 資料読み取り型 | 資料から読み取った傾向と目立つ点 | 単位・年・出典の確認、傾向の言語化、読み取りと推測の区別 |
出願時に提出する課題レポートも資料を使いますが、調べる時間があり、出典を示して書く点が違います。試験場で、その場で渡された資料を読んで書くのが資料読み取り型です。
課題レポートの書き方は課題レポートの書き方の記事にあります。
資料型で見られる力
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、小論文や面接などの位置づけを第6の3に書いています。考えを論理的に組み立てる力と表現する力を評価する方法です。
同じ箇所で、教科・科目の知識だけを問う試験にならないよう大学に求めています1。資料型では、この2つの力が「資料から何を読み取ったか」と「読み取りをどう意見につなげたか」に表れます。
同じ実施要項は第13の3で、教科・科目の個別試験の問題は原則として公表するとしています。小論文のテーマなども積極的に公表することが望ましい1としています。
資料型を出す大学は、出題の概要や試験問題を入試情報のページに載せていることがあります。まず志望校の公開資料を探します。
資料の種類と見るところ(グラフ・表・文章・複数資料)
この節の答えどの資料も題・出典・単位・年と範囲を最初に見て、折れ線グラフなら始点と終点に加えて傾きが変わる年を押さえます。
資料の種類によって、見るところと、読み取りの言葉が変わります。どの種類でも最初に見るのは、題、出典、単位、対象の年と範囲です。ここを読み違えると、そのあとの読み取りが大きくずれます。
| 資料の種類 | 示していること | 見るところ | 読み取りの言葉の例 |
|---|---|---|---|
| 折れ線グラフ | 時間の変化 | 始点と終点の値、傾きが変わる年、山と谷 | 「10年で約2割減った」「2020年に大きく落ち込み、その後も戻っていない」 |
| 棒グラフ | 項目どうしの比較 | 最大と最小、差の大きさ、並び順 | 「最も多いのはA、最も少ないのはB」 |
| 円グラフ・帯グラフ | 全体に占める内訳 | 最大の区分、年ごとの区分の入れ替わり | 「Aが全体の半分近くを占める」「Bの割合が12ポイント下がった」 |
| 表 | 複数の項目と数値 | 行と列の見出し、単位、注、合計の欄 | 「地域で比べると」「年で比べると」 |
| 図表に付いた文章資料(新聞記事・報告書) | 主張と根拠 | 筆者の主張、根拠になっている数字、反対の見方 | 「筆者は〜と述べている」 |
| 複数の資料 | 資料どうしの関係 | 同じ年・同じ対象か、食い違い、組み合わせて言えること | 「二つの資料の変化は同じ10年に並んで進んでいる」 |
折れ線グラフは、始点と終点だけでなく、傾きが変わる年を見ます。棒グラフは最大と最小を押さえ、差がどのくらいかを言います。円グラフや帯グラフは、最大の区分と、年ごとの区分の入れ替わりを見ます。
表は、行と列の見出しと単位、欄外の注まで読みます。図表に新聞記事や報告書が付いている時は、筆者の主張と、その根拠になっている数字を分けて押さえます。
複数の資料がある時は、対象の年や集団が同じかを確かめてから、組み合わせて言えることを探します。
資料の読み取りの手順(5つのステップ)
この節の答え題・単位・年を見る、傾向を一文にする、目立つ点を2つ拾う、設問に戻る、読み取り・推測・意見を3行に分けてメモするの順で進めます。
ステップ1:題・出典・単位・年を見る
資料の題は「何を数えたか」を示します。人数なのか、割合なのか、金額なのかで、変化の言い方が変わります。単位と年の範囲も見ます。10年の変化と3年の変化では、同じ「減った」でも意味が違います。
ステップ2:全体の傾向を一文にする
資料全体を、「増えた」「減った」「差が広がった」「横ばい」のどれかで一文にします。この一文が、序論の最初の文になり、意見の出発点にもなります。細かい数字を見る前に、この一文を決めます。
ステップ3:目立つ点を2つ拾う
全体の傾向に続けて書く材料を2つ拾います。最大と最小の値、傾きが変わる年、全体と逆に動いている例外、二つの資料の食い違いなどです。
数字はここで使います。写す値は1つの資料につき2〜3個(始点・終点・折れ目)に絞り、変化の大きさ(◯割・◯ポイント)は言葉で添えます。
ステップ4:設問の指示に戻る
読み取りができたら、設問の最後の言葉を読み直します。読み取りだけを求めているのか、原因の考察か、自分の考えまでか。ここで決めた形が、次の節の字数配分につながります。
ステップ5:読み取り・推測・意見を分けてメモする
書き始める前に、「資料に書いてあること」「資料から推測したこと」「自分の意見」を3行に分けてメモします。資料に無いことは推測の行に入れ、答案では「〜と考えられる」「資料には無いが」と書き分けます。
割合の資料から人数の増減を言い切らないことも、ここで確かめます。
数字の言い方
割合の差は「ポイント」で言います。32%から20%への変化は「12ポイント下がった」で、「12%減った」ではありません。
量の変化は「約2割減った」「1.5倍になった」のように、割合か倍率で言うと読み手に伝わります。元の数字は、必要な所だけ添えます。
設問の指示の読み分け(読み取れること・説明しなさい・あなたの考え)
この節の答え「読み取れること」で書くのは図表が示す結果だけで、原因の推測や自分の考えは「理由を考えなさい」「あなたの考えを述べなさい」と問われた時に書きます。
資料型の設問の指示は、主に4つあります。「読み取れることを述べなさい」「図表が示していることを説明しなさい」「理由を考えなさい」「あなたの考えを述べなさい」です。
求めているものは、この指示の言葉で変わります。指示と違う形で書くと、中身がよくても設問に答えていない答案になります。
| 設問の指示 | 書くもの | 書かないもの |
|---|---|---|
| 資料から読み取れることを述べなさい/図表が示していることを説明しなさい | 資料が示している結果。全体の傾向と、目立つ点 | 推測(〜と思う)や考察(〜と考える)。軸や色など描き方の説明 |
| 〜の理由(原因・背景)を考えなさい | 結果の原因の推測。根拠を添え、複数あってよい | 根拠の無い推測。資料に無いことを事実のように書くこと |
| 〜を踏まえて、あなたの考えを述べなさい | 読み取り(短く)→ 立場 → 理由と根拠 | 資料に触れない意見。読み取りだけで終わる答案 |
| 要約しなさい(文章資料) | 筆者の主張と、それを支える中心の根拠 | 事例の書き写し、自分の意見 |
福知山公立大学 地域経営学部が公表した2026年度の小論文試験の講評は、図表を見てわかることは「結果」だと述べています。それが「読み取れること」で問われていることです。
説明を求める解答では、推測や考察の記述は適切ではないとしています。縦軸や横軸・色などの描き方の説明も、解答には要らない9としています。
同じ講評は、結果には原因があり、原因は図表から推測するものだとしています。推測される原因は一つではないので、正解も一つではありません。
評価のポイントは、問題文を注意深く読んで、題意に則して簡潔に解答できているかどうかだとしています。設問が結果の説明を求めているのか、原因の推測を求めているのかを読み分けるということです。
ただし、読み取りの範囲は設問の言葉で決まります。慶應義塾大学 法学部のFIT入試B方式の総合考査Ⅰ(2026年度)が例です。
統計や図から、人口変動や高齢化とその要因を読み取る設問でした。そこでは、生じると考えられる問題まで読み取ることが求められています。
「考えられる問題」まで含めるかどうかは、設問の指示で判断します。
「資料を踏まえて、あなたの考えを述べなさい」は、読み取りと意見の両方を求める指示です。武蔵大学 社会学部の総合型選抜(2026年度)では、少子化に関する4つの資料(A〜D)が示されました。
(1)では、「すべての資料の図表にふれたうえで」多面的に論じることが求められ、(2)では原因や対策を論じる形でした。採点の観点として、資料の内容を引用して概略するにとどまらず、説得力のある形で多面的に論じられているかが示されています8。
「要約しなさい」は、図表に文章資料が付いている時の指示です。筆者の主張と中心の根拠をまとめ直し、事例や自分の意見は入れません。要約と意見が別の小問に分かれている時は、意見の小問で要約を繰り返しません。
字数の配分(序論・読み取り・分析・意見・結論)
この節の答え800字で読み取りと意見を求められたら、序論100字・読み取り160字・分析180字・意見と根拠220字・結論140字が目安です。
資料型の答案は、序論(傾向の一言と立場)、読み取り、分析(原因・背景の推測)、意見と根拠、結論の5つの部分でできています。800字の設問で、読み取りと意見の両方を求められた時の目安は次のとおりです。
序論100字、読み取り160字、分析180字、意見と根拠220字、結論140字です。
読み取りは全体の2割が目安です。小論文の構成の記事で説明しているとおり、序論には資料の傾向の一言と立場を置き、読み取りの中身は本論の最初の段落に書きます。意見と根拠に最も多い字数を使うのは、テーマ型と同じです。
| 設問の形と字数 | 組み立て | 気をつけること |
|---|---|---|
| 読み取りだけ・400字 | 全体の傾向(1文)→ 目立つ点2つ(数字を添える)→ 言えることのまとめ(1文) | 意見や原因の推測を入れない。数字は1つの資料につき2〜3個(始点・終点・折れ目) |
| 読み取り+原因・600字 | 読み取り(150字前後)→ 原因の推測を2つ、根拠を添えて(400字前後)→ まとめ | 推測であることを言葉で示す。原因は一つに決めつけない |
| 読み取り+意見・800字 | 序論100字 → 読み取り160字 → 分析180字 → 意見と根拠220字 → 結論140字 | 意見が読み取りとつながっているか。資料に無い前提で意見を立てない |
| 読み取り+意見・1,000〜1,200字 | 800字の形に、反対の見方の検討か、もう一つの資料との関係を加える | 読み取りを長くしない。増やすのは意見の根拠 |
字数ごとの序論の長さと一文目の形は小論文の書き出しの記事に、段落数の目安は小論文の構成の記事にあります。
よくある失敗と直し方
この節の答え数字の羅列や%とポイントの混同など失敗は8つあり、写す値は1つの資料につき2〜3個に絞って変化の大きさを言葉で添えます。
資料型で起こりやすい失敗は8つあります。どれも、読み取りと意見の区別、設問の指示、数字の扱いのどれかに関わります。
| 失敗 | なぜ評価が下がるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 数字の羅列 | 読み取りでなく転記。何が言いたいか伝わらない | 数字は1つの資料につき2〜3個(始点・終点・折れ目)に絞り、変化の大きさ(◯割・◯ポイント)は言葉で添える |
| 資料に無い推測を事実として書く | 資料の読み取りと自分の推測の区別がついていないと見られる | 推測は「〜と考えられる」「資料には無いが」と書き分ける |
| 割合の資料から人数の増減を言う | 割合が上がっても人数が増えたとは限らない。資料に無いことを言い切ることになる | 「◯◯の割合が高まっている」「割合が下がっている」と、資料の言葉のまま書く |
| 意見だけで資料に触れない | 「踏まえて」の条件を落としている。資料型を出す意味がなくなる | 序論で資料の傾向を一言入れ、本論の最初で読み取りを書いてから意見に進む |
| 軸・色・凡例の説明に字数を使う | 描き方は結果ではない。字数の無駄になる | 「何がどう変わったか」だけを書く |
| 複数の資料のうち一つしか使わない | 設問が全部の資料に触れることを求めている場合、条件違反になる | 資料どうしの関係(同じ時期・食い違い)を一文で結ぶ |
| %とポイントの混同 | 「32%から20%へ12%減」は誤り。割合の差はポイントで言う | 割合の差は「12ポイント」、量の変化は「約2割減」と使い分ける |
| 設問の指示と違う形で書く | 「読み取れることを述べなさい」に意見を書く、「考えを述べなさい」で読み取りだけ、など | 書き始める前に、設問の最後の言葉に線を引いて形を決める |
直す前|数字の羅列(資料は説明のための創作)
資料によると、献血者数は2014年が24万人、2017年が23万人、2020年が20万人、2022年が19万人、2024年が19万人である。10〜20代の割合は2014年が32%、2020年が25%、2024年が20%である。
直した後|傾向と、二つの資料の関係
資料から、この県の年間献血者数は2014年の24万人から2024年の19万人へと、10年で約2割減ったことが読み取れる。同じ期間に、献血者に占める10〜20代の割合は32%から20%へ12ポイント下がっており、献血者が減る中で若い世代の割合も下がっている。
直す前の文は、資料の数字を順に写しているだけで、何が言いたいのかが伝わりません。直した後は、全体の傾向を一文にし、二つの資料を「同じ期間に」で結んでいます。
資料から写した値は、二つの資料に二つずつの4つです。変化の大きさ(約2割・12ポイント)は言葉で添えています。
模範例文(798字・架空の資料)
この節の答え架空の献血の資料を使った例文で、写す値は献血者数3つと割合2つに絞り、意見と根拠の段落を226字と最も長くしています。
次の例文は、資料と数値をすべて説明のために創作した架空のグラフにもとづいています。実在の県や統計ではありません。設問も創作です。
設問(創作)
資料1は、ある県の年間献血者数の推移(2014年〜2024年)を示している。資料2は、献血者に占める10〜20代の割合の推移(同じ期間)を示している。二つの資料から読み取れることを述べたうえで、若い世代の献血を増やすために何が必要か、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
| 年 | 資料1 年間献血者数 | 資料2 10〜20代の割合 |
|---|---|---|
| 2014年 | 24万人 | 32% |
| 2017年 | 23万人 | (値なし) |
| 2020年 | 20万人 | 25% |
| 2022年 | 19万人 | (値なし) |
| 2024年 | 19万人 | 20% |
グラフの点を表に直したものです。「値なし」は資料2に点が無い年です。値はすべて説明のための創作です。
例文|読み取り+意見・800字以内(798字)
資料から、この県では献血者数が減り、その中で10〜20代の割合も下がっていることが読み取れる。私は、若い世代の献血を増やすには、献血を「呼びかけに応じる行為」から「予定に組み込める行為」に変える必要があると考える。
年間献血者数は、2014年の24万人から2024年の19万人へと、10年で約2割減った。2020年に20万人まで落ち込み、その後の4年間も19万人前後にとどまっている。献血者に占める10〜20代の割合は、2014年の32%から2024年の20%へ12ポイント下がった。献血者が減っただけでなく、その中身も年齢の高い層に寄っている。
二つの資料を重ねると、若い世代の献血が全体の減り方以上に細っていると考えられる。原因として、献血の呼びかけが高校や駅前など決まった場所に頼っていることが考えられる。その場合、進学や就職で生活の場が変わると機会が途切れる。また、献血者数は2017年から2020年にかけて大きく減ったあと戻っていない。一度途切れた習慣は、呼びかけだけでは戻りにくいと考えられる。
そこで私は、若い世代が献血を予定に組み込めるように、情報の届け方を変えるべきだと考える。第一に、予約できる仕組みを、高校の卒業時や大学の入学時に案内することである。第二に、大学や専門学校で行われる献血の日を、時間割や学内の連絡網で知らせることである。割合が下がっている10〜20代は、進学や就職で生活が変わる時期にあたる。機会が見えなければ、呼びかけだけでは足が向きにくい。節目の案内と学内の周知は、資料が示す12ポイントの低下に働きかける手段である。
献血者数の減少と若い世代の割合の低下は、同じ10年に並んで進んでいる。全体の減少を食い止めるためにも、まず若い世代が日常の中で献血に触れる機会を増やすことが必要である。献血を「予定に組み込める行為」に変える発想の転換が求められていると考える。
例文の組み立て
| 段落 | 役割 | 字数 | 書いていること |
|---|---|---|---|
| 第1段落 | 序論(傾向の一言と立場) | 107字 | 二つの資料の傾向を一文で受け、「〜に変える必要がある」と立場を示す |
| 第2段落 | 資料の読み取り | 165字 | 献血者数(始点・折れ目・終点)→ 割合(始点・終点)→ 二つを結んだ一文。割合から人数の増減は言わない |
| 第3段落 | 分析(原因の推測) | 179字 | 原因を二つ。どちらも「〜と考えられる」で書き、資料の数字(割合の低下・2020年の落ち込み)に結びつける |
| 第4段落 | 意見と根拠 | 226字 | 立場を言い直し、具体策を二つ。根拠は読み取った12ポイントの低下 |
| 第5段落 | 結論 | 121字 | 二つの資料の関係を言い直し、立場を再確認する |
資料から写した値は、献血者数が始点・折れ目・終点の3つ(24万人・20万人・19万人)です。割合は始点・終点の2つ(32%・20%)です。
変化の大きさ(約2割・12ポイント)は言葉で添えています。第3段落の「全体の減り方以上に細っている」は、総数と割合の両方が示されているから言えることです。
割合の資料だけでは言えません。配分は目安の100・160・180・220・140に近く、意見と根拠の段落が最も長くなっています。
資料型を出す大学の例(公式サイトで公開されている出題例)
この節の答え慶應義塾大学 法学部・武蔵大学・福知山公立大学が出題例を公開しているので、志望校の過去問題・出題の概要・講評で資料型が出るかを確かめます。
大学の公式サイトで、資料型の出題の概要や試験問題が公開されている例です。どれも各大学の入試情報のページで2026年10月19日に確かめました。出題の形は年度で変わるので、受ける年度の要項と、新しい公開資料を見てください。
| 大学・方式 | 公開されている出題の内容 | 字数・時間 | 公開の場所 |
|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 法学部 FIT入試B方式 総合考査Ⅰ | 2026年度(2025年9月21日実施)。都道府県の総人口・高齢者人口・人口変動の要因に関する統計や図から、人口変動や高齢化とその要因、生じると考えられる問題を読み取る | 400字程度・45分 | 法学部 FIT入試:過去の選考概要 |
| 武蔵大学 経済学部 総合型選抜(課外活動重視型) | 2026年度(2025年10月11日実施)。新聞記事を抜粋した問題文と図表2つ。問3・問4で図表の読み取りと計算、問5で図表の内容を踏まえた意見 | 問5は600字程度。試験時間は10時00分〜11時20分 | 2026年度 試験問題に関する情報 |
| 武蔵大学 社会学部 総合型選抜 | 2026年度。少子化について資料A〜D(新聞記事、人口ピラミッド、意識調査)。(1)すべての資料の図表にふれて多面的に論じる、(2)原因や対策を論じる | (1)500字前後、(2)300字前後・80分 | 2026年度 試験問題に関する情報 |
| 福知山公立大学 地域経営学部 小論文試験 | 2026年度の講評。問題2は、図表が何を示しているかを簡潔に説明する力と、図表から読み取れることを論理的に記述する力を問う | 講評に字数の記載なし | 小論文試験についての全体講評 |
慶應義塾大学 法学部のFIT入試B方式では、第2次選考の総合考査Ⅰの概要が年度ごとに公開されています。2026年度は、都道府県の総人口・高齢者人口・人口変動の要因に関する統計や図が素材でした2。
そこから、人口変動や高齢化とその要因、生じると考えられる問題を読み取る設問です。2025年度は、Global Gender Gap Report 2024年版の日本に関する評価が素材でした3。
図・データから特徴を読み取り、男女格差について論じる設問です。どちらも400字程度・45分です。
法学部は、2028年度入試からA方式とB方式を統合する予定も公表しています。受ける年度の要項で確かめてください。選考の全体は慶應義塾大学の総合型選抜の記事にあります。
武蔵大学は、総合型選抜の試験問題と出題の意図を公開しています。経済学部の課外活動重視型(2026年度・2025年10月11日実施)は、新聞記事を抜粋した問題文に図表が2つ付く形でした。
問3と問4で図表の読み取りと計算を行い、問5で「問題文や設問の図表の内容を踏まえて、あなたの意見を600字程度で」書きます5。出題の意図には、図表の読み取りを通じて基礎的な判断力や思考力を確認すると書かれています。
問5では、判断力・思考力・表現力と探究の成果を確認するとしています。
上の例は、法学部・経済学部・社会学部・地域経営学部の例です。志望学部で資料型が出るかどうかは、大学の入試情報ページにある過去問題・出題の概要・講評で確かめます。
見つからない時は、要項の「小論文」の説明に「資料」「図表」「データ」の言葉があるかを見ます。
対策の進め方
この節の答え志望校の出題例で資料の種類・字数・時間・設問の指示を書き出し、読み取りだけの400字から始めて、慣れたら読み取りと意見の800字に進みます。
最初に、志望校の出題例を読み、資料の種類・字数・時間・設問の指示を書き出します。次に、読み取りだけを400字で書く練習をします。
新聞や官公庁の白書・統計のグラフを1つ選び、全体の傾向と目立つ点を書きます。意見は書きません。
読み取りが安定したら、設問を自分で作り、読み取りと意見を800字で書きます。100・160・180・220・140の配分を守ります。
そのあと、試験時間を測って通します。資料を読む時間を先に決めておくと、書く時間が足りなくなりません。
最後に添削を受け、資料に無い推測や数字の羅列が残っていないかを見てもらい、書き直します。始める時期と練習の本数は小論文対策はいつからの記事にまとめています。
書き終えたら確かめること
よくある質問
- Q. 資料読み取り型と、データ型・グラフ型・図表型は同じものですか?
- A. 同じ形式を指す呼び方の違いです。グラフ・表・統計が中心の資料が示され、読み取れることや、資料を踏まえた意見を書く小論文を、この記事では資料読み取り型と呼んでいます。武蔵大学 経済学部の総合型選抜(2026年度)のように、新聞記事を抜粋した問題文に図表が付く形もあります。文章だけが示される場合は課題文型と呼ぶことが多いです。
- Q. 「読み取れることを述べなさい」に、自分の意見を書いてもいいですか?
- A. 設問が読み取りだけを求めているなら、意見は書かないのが基本です。福知山公立大学 地域経営学部の2026年度の講評は、「読み取れること」で問われるのは図表を見てわかる結果だとしています。説明を求める解答では、推測や考察の記述は適切ではないとも述べています。ただし、読み取りに「考えられる問題」まで含める出題(慶應義塾大学 法学部の総合考査Ⅰ)もあるので、設問の言葉で決めます。
- Q. 資料の数字は、どこまで書き写せばいいですか?
- A. 1つの資料につき2〜3個(始点・終点・折れ目)に絞ります。全部の年の値を順に書くと、読み取りではなく転記になります。数字の後に「10年で約2割減った」「12ポイント下がった」のように、変化の大きさを言葉で添えます。
- Q. 複数の資料がある時、全部に触れないといけませんか?
- A. 設問の指示によります。武蔵大学 社会学部の総合型選抜(2026年度)は、「すべての資料の図表にふれたうえで」と指示しています。こうした指示がある場合は、一つでも落とすと条件違反になります。指示が無くても、資料どうしの関係(同じ時期に起きている、食い違っている)を一文で結ぶと、読み取りの深さが伝わります。
- Q. 資料型の小論文は、どの学部で出ますか?
- A. 大学の公式サイトで出題例を確かめられたのは、慶應義塾大学 法学部のFIT入試B方式(総合考査Ⅰ)です。武蔵大学の経済学部・社会学部の総合型選抜も、試験問題が公開されています。福知山公立大学 地域経営学部の小論文試験も、講評で資料型の出題がわかります。法学部・経済学部・社会学部・地域経営学部の例ですが、学部だけで決めつけず、志望校の過去問題や出題の概要で確かめてください。
- Q. 練習に使う資料は、どこで手に入りますか?
- A. 官公庁の白書や統計、新聞のグラフが使えます。グラフを1つ選び、「資料から読み取れることを400字で述べなさい」と自分で設問を作って書きます。慣れたら「資料を踏まえて、あなたの考えを800字で述べなさい」に変えます。志望校が試験問題を公開していれば、その資料で同じ字数・時間で練習します。
まとめ
資料読み取り型の小論文は、資料から読み取れることを書き、そのうえで原因の推測や意見を述べる形式です。読み取りは5つの手順で進めます。
題・単位・年を見る、全体の傾向を一文にする、目立つ点を2つ拾う、設問の指示に戻る、読み取り・推測・意見を分けてメモする、です。「読み取れることを述べなさい」で書くのは結果だけで、推測や意見は問われた時に書きます。
800字なら序論100字・読み取り160字・分析180字・意見と根拠220字・結論140字が目安です。数字は1つの資料につき2〜3個(始点・終点・折れ目)に絞り、資料に無いことは「〜と考えられる」と書き分けます。
東京修学館では、志望校の出題例に合わせた資料読み取りの練習と、書いた答案の見直しのご相談をお受けしています。まずは無料相談(60分)でお話しください。
参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項
- 2026年度 FIT入試第2次選考概要(B方式)
- 2025年度 FIT入試第2次選考概要(B方式)
- 2026年度 試験問題に関する情報(過去問題等)
- 2026年度 経済学部 総合型選抜入学試験【課外活動重視型】 試験問題
- 2026年度 経済学部 総合型選抜入学試験【課外活動重視型】 出題の意図
- 2026年度 社会学部 総合型選抜入学試験 試験問題
- 2026年度 社会学部 総合型選抜入学試験 出題意図及び採点する際の観点
- 2026年度 地域経営学部 小論文試験についての全体講評
この記事の更新履歴
- 公開
学長への無料相談はこちら
慶應義塾大学博士・敬愛大学特任名誉教授の家近亮子学長が、あなたの志望校選びと総合型選抜対策を直接アドバイスします。


