指定校推薦では、大学に出願する前に、高校の中で推薦する生徒を決める「校内選考」があります。校内選考には全国共通の決まりが無く、時期も基準も決め方も高校ごとに違います。この記事では、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項をもとに、校内選考の時期と評定平均、見られること、1人枠の考え方、選ばれなかった後の入試と準備を整理します。高校ごとに違う部分は一般的な例として示します。東京修学館の家近亮子学長の監修です。
指定校推薦の校内選考とは:決まりは高校ごとに違う
校内選考は、大学から届いた指定校推薦の枠に、どの生徒を推薦するかを高校が決める仕組みです。枠より希望者が多い時に比べて決めるのが基本です。
大学入試の全国共通の決まりは文部科学省の実施要項にありますが、高校の中の選考の進め方は書かれていません。時期、比べる項目、同点の時の扱いは高校ごとに決まり、基準を公表していない高校もあります。
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、学校推薦型選抜を、本人の意志だけでは出願できず1、学校長がその大学・学部にふさわしいかを判断する入試としています。そのため大学は、推薦要件を可能な限り具体的に設定し、募集要項などで示さなければならないとしています1(第3の1(3))。
大学が条件を示し、高校がその条件と校内の基準で生徒を選ぶ、という分担です。
| 決める人 | 決めること | 知る方法 |
|---|---|---|
| 大学 | 推薦枠(学部・学科ごとの人数)、推薦の条件(評定・欠席・資格など)、大学の選考の方法 | 高校に届く要項 |
| 高校 | 校内選考の日程、申し込みの方法、比べる項目と重み、同点の時の扱い、推薦する生徒 | 進路指導の先生、校内の案内 |
| 本人と家庭 | どの枠を希望するか、合格したら入学するか、提出物の準備 | 三者面談、家庭での話し合い |
指定校推薦そのものの仕組みは、指定校推薦とはの記事で説明しています。
校内選考はいつ?評定平均が固まる時期との関係
校内選考は、高3の1学期末から夏休み明けにかけて行う高校が多いとされます。ただし決まった時期は無く、高2の終わりに希望を聞く高校もあります。高3の4月には、自分の高校の日程を先生に確かめておきます。
時期を考える手がかりは、出願で使う成績がいつ固まるかです。調査書の記入の決まりでは、卒業見込みの人で最終学年の成績が決まっていない時は、直近の成績を総合して高校が判定した成績を書きます1。3学期制の高校では、高3の1学期の成績がこれにあたります。
2学期制の高校では、前期の成績が出る時期が遅く、校内選考や出願に間に合わないことがあります。たとえば東京女子大学のディスカッション型は、二期制の高校で3年前期までの調査書を出願時に出せない時は、2年後期までの成績で判断するとしています。
校内選考でどの時点の成績を使うかは、先生に確かめます。計算のしかたは評定平均と学習成績概評で説明しています。
どちらの場合も、校内選考の申し込みの時点で評定平均はほとんど動かせません。校内選考の準備は、実際には高1の最初の定期テストから始まっています。
結果を待つ間に気をつけること
総合型選抜の出願は2026年9月1日以降に始まり、校内選考の時期と重なります。下の図は、校内選考の一般的な時期の例に、学校推薦型選抜が指定校制だけの大学などの出願期間を重ねたものです。
東京女子大学のディスカッション型は9月4日、武蔵大学の総合型選抜入試は9月10日に出願が締め切られます3。西南学院大学の総合型入試は、9月11日から18日に出願します。11月以降に出願できる方式には、東京女子大学の数学的思考力型(11月2日〜6日)や上智大学の公募制推薦(11月1日〜5日)があります。
校内選考に申し込む時点で、同じ大学のほかの入試の締切を書き出しておくと、結果がどちらでも動けます。総合型選抜に出願した後に指定校推薦が決まった時の扱いは大学ごとに違い、例は総合型選抜の併願の記事にまとめています。
校内選考は何で決まる?見られることと高3の夏から変えられること
校内選考で見られるのは、主に調査書に書かれる内容です。評定平均を中心に、欠席や活動、志望の理由を合わせて見る高校もあります。下の表は一般的な例で、項目と重みは高校ごとに違います。
| 見られること | 高3の夏から変えられるか | いまからできること |
|---|---|---|
| 評定平均 | ほとんど変えられない | 出願で使う成績が何学期までかを確かめる。高1・高2なら定期テストと提出物 |
| 欠席・遅刻・早退 | これから先の分は変えられる | 休んだ理由と時期を担任の先生に伝えておく |
| 部活動・委員会・生徒会 | 記録は変えにくい | 何をして何を学んだかを説明できるようにする |
| 資格・検定 | 受験の日程による | 大学の条件にある検定で、結果が間に合う日程を調べる |
| 志望理由書・校内面接・作文 | 準備で大きく変えられる | 学部の授業を調べ、学びたいことと結びつける |
| 授業や生活の様子 | これから先の分は変えられる | 提出物と校内の決まりを守る |
調査書に何が書かれるかは調査書とは、欠席の数え方は総合型選抜の欠席日数で説明しています。
出欠を推薦の条件にする大学には、病気や事故など本人に責任のない身体・健康上の理由でやむを得ず休んだことを、本人の申し出や調査書の記載で把握した場合に、本人が不利益を受けないよう配慮することが求められています(第13の2)。これは大学の選考についての決まりで、校内選考での欠席の扱いは高校ごとに違います。
休んだ理由と時期は、早めに担任の先生に伝えておきます。
志望理由書や校内面接を求める高校
校内選考で、志望理由書や作文、校内面接を求める高校もあります。その大学・学部を選んだ理由、合格したら入学するか、高校で力を入れたことは、聞かれる前提で準備します。ここで考えた内容は大学への書類と面接にも使えます。書類は志望理由書の書き方、話し方は大学入試の面接対策で説明しています。
指定校推薦の評定平均:推薦の条件の読み方と高1からの積み上げ
指定校推薦の評定の基準は、大学が推薦の条件として高校に示します。指定校の要項を指定した高校に直接送る大学もあるため、「この大学の指定校は評定いくつ」という基準は、自分の高校に届いた要項で確かめます。
基準の書き方には、いくつかの型があります。実施要項は、大学が重要と判断する教科・科目を指定し、一定の水準以上の評定を出願の条件にできるとしています1(第5の2(2))。全体の評定平均だけでなく、教科ごとの値が条件になることもあります。
| 要項の書き方(例) | 読み方 |
|---|---|
| 全体の学習成績の状況が4.0以上 | すべての科目の評定の平均(評定平均)で判断する |
| 学習成績概評がA段階 | 評定平均が4.3以上であること |
| 外国語の学習成績の状況が4.0以上 | 教科ごとの平均。全体の評定平均とは別に満たす必要がある |
| 3年間の欠席日数が一定の日数以内 | 調査書の出欠の記録で判断する |
教科の評定が条件の時は、全体の評定平均が高くても、その教科の値が届かなければ申し込めません。全体の値と、条件にある教科の値の両方を確かめます。
評定平均は後から動かしにくい
学年が進むほど評定の数が増えるので、平均は動きにくくなります。1学年15科目、前の学年までの評定平均をmと仮定し、次の学年で全体を0.1上げるのに要る、その学年の平均を計算しました。
たとえば高1・高2の評定平均が3.8の人が、全体を3.9にするには、高3の科目の平均を4.1にする計算です。高1の評定平均が3.8の人なら、高2の平均を4.0にすれば、高1・高2の全体が3.9になります。
副教科も国語や数学と同じ1科目として数えます。評定を上げる方法は評定平均と学習成績概評の記事で説明しています。
1人枠に複数の希望者がいる時・希望者が1人だけの時
推薦枠が1人の大学・学部に複数の希望者がいる時、どう決めるかも高校ごとに違います。どの決め方をとる高校が多いかについて、公的な統計は見当たりません。
| 決め方(例) | 中身 | 本人が確かめておくこと |
|---|---|---|
| 評定平均の順 | 評定平均の高い人から推薦する | 評定平均の値(小数第1位まで)と、同じ値の時の扱い |
| 項目を合わせて比べる | 評定に、欠席・活動・資格・校内面接などを合わせて比べる | 比べる項目と、それぞれの重み |
| 先生方の会議で判断 | 担任や進路指導などの先生が、書類や面接をもとに話し合う | 提出物の締切と、面談の有無 |
| 希望の調整 | 面談で、ほかの枠や第2希望を考えるよう話がある | 第2希望の書き方と、ほかの枠の一覧 |
評定平均が同じだった時
評定平均は小数第1位までの値なので、同じ値の希望者が出ることがあります。その時は、欠席の少なさ、部活動や委員会の記録、志望理由書や校内面接の内容、志望する学部に近い教科の評定などで比べることが考えられます。どれを使うかは高校が決めるので、申し込む前に先生に聞いておきます。
第2希望の扱い
第2希望まで書かせる高校や、選ばれなかった人に残った枠を案内する高校もあります。第2希望を書く時も、合格したら入学することが前提です。入学すると決められる大学だけを書きます。
希望者が1人だけの時
希望者が1人だけでも自動的に推薦されるとは限らないことは、指定校推薦とはの「校内選考」の節で説明しています。1人だけと分かった時は、次の3つを先生に確かめておきます。
校内選考に落ちた後に受けられる入試
校内選考で選ばれなかった時は、次の順に確かめると、迷う時間を短くできます。
実施要項では、公募推薦を含む学校推薦型選抜の出願は2026年11月1日以降、合格発表は12月1日以降です。一般選抜の教科の個別試験は、2027年2月1日から3月25日の間に行われます。
同じ大学で受けられる入試があるか
同じ大学をあきらめたくない時は、学校長の推薦なしで出願できる総合型選抜があるかを調べます。学校推薦型選抜が指定校制だけの大学では、同じ大学で受けられるのは総合型選抜と一般選抜です。
| 大学 | 学校推薦型選抜 | 9〜10月に締め切る方式(2026年) | 11月以降に出願できる方式(2026年) |
|---|---|---|---|
| 東京女子大学 | 指定校制のみ | ディスカッション型 9月1日〜4日(評定3.7以上・英語資格) | 数学的思考力型 11月2日〜6日(情報数理科学科・数学の履修条件) |
| 武蔵大学 | 指定校制推薦入学のみ | 総合型選抜入試 9月1日〜10日(出願情報の登録は8月3日から) | なし |
| 西南学院大学 | 指定校推薦入試と、西南学院高校・西南女学院高校からの推薦のみ | 総合型入試 9月11日〜18日(専願・第一志望・評定の基準) | なし |
| 麗澤大学 | 指定校推薦のみ | Ⅰ・Ⅱ期など(締切9月11日・25日・10月9日) | 面接方式Ⅲ期 11月1日〜11日、課題問題方式Ⅱ期 11月1日〜16日、一般R日程 12月1日〜21日 |
| 上智大学 | 公募制推薦もある | なし(カトリック推薦 9月1日〜3日は対象校の生徒のみ) | 公募制推薦 11月1日〜5日(入学確約・多くの学科で評定4.0以上と外国語検定) |
麗澤大学の一般R日程(12月1日〜21日)のように、校内選考の結果が出た後に出願できる方式もあります。条件は東京女子大学、武蔵大学、西南学院大学、麗澤大学、上智大学の記事にあります。
上智大学のように公募制推薦がある大学では、校内選考で選ばれなかった後でも、推薦要件を満たして学校長の推薦を受けられれば出願できます。公募推薦にも校内の手続きがあるので、早めに先生に伝えます。仕組みは公募推薦とはで説明しています。
ほかの大学の総合型選抜には、評定の基準を設けない方式もあり、総合型選抜で評定がいらない大学一覧から探せます。全体の仕組みは総合型選抜とはにまとめています。
校内選考が怖い人へ:学年別の準備
校内選考を怖いと感じるのは、基準が見えにくいこと、同じ高校の友人と比べられること、結果を自分で動かせない部分が大きいことが理由として考えられます。見えない部分は先生に聞いて減らし、動かせる部分は早めに準備します。
| 時期 | すること | ねらい |
|---|---|---|
| 高1 | 定期テストと提出物を落とさない。副教科も同じ重さ | 評定平均の土台を作る |
| 高2 | 自分の評定平均を計算し、学びたい分野と大学を調べ始める | 推薦の条件と自分の位置をつかむ |
| 高2の終わり〜高3の春 | 進路希望調査・面談で、指定校推薦を考えていると伝える。校内選考の日程と基準を聞く | 見えない部分を減らす |
| 高3の1学期(2学期制は前期) | 定期テストに集中する。志望理由の下書きを始める | 評定平均を固める。校内面接に備える |
| 高3の夏 | 校内選考の申し込み。ほかの入試の書類も進める | 選ばれなかった時にすぐ動けるようにする |
先生には、前の年の結果より、申し込みの締切、比べる項目、同点の時の扱い、第2希望を書けるかを聞くほうが、準備につながります。
よくある質問
- Q. 校内選考の評定平均は、小数第何位まで比べますか?
- A. 調査書の「全体の学習成績の状況」は、すべての評定の合計を評定の数で割り、小数点以下第2位を四捨五入した値で、小数第1位までです。校内選考でどの値を使って比べるかは高校ごとに違うので、先生に確かめます。
- Q. 校内選考に申し込んだ後で、希望を取り下げることはできますか?
- A. 取り下げの扱いも高校の決まりによります。推薦が決まった後に取り下げると、その枠を希望していたほかの生徒にも影響するので、迷いがある時は申し込む前に先生と家族に相談して決めます。
- Q. 評定平均が大学の推薦の条件にわずかに届きません。校内選考に申し込めますか?
- A. 大学が示す推薦の条件は、推薦を受ける前提になります。届かない時は、条件を満たすほかの枠や、評定の基準が無い総合型選抜を検討します。正確な値は担任の先生に確かめてください。
- Q. 高1の成績が良くなかった場合、指定校推薦はあきらめたほうがいいですか?
- A. 高2・高3の成績で評定平均を上げられる余地はあります。ただし、学年が進むほど平均は動きにくくなるので、高2のうちに計算して、届きそうな枠を先生と確かめます。
- Q. 校内選考の面接では何を見られますか?
- A. 高校ごとに違いますが、その大学・学部を選んだ理由、合格したら入学する意思、高校で力を入れたことなどを聞かれることが考えられます。志望理由書と同じ筋で話せるように準備します。
- Q. 保護者は校内選考にどう関わればいいですか?
- A. 校内選考そのものは高校が決めるので、保護者ができるのは家庭の準備です。三者面談の前に、志望、入学の確約、学費や通学の条件を話し合っておきます。
まとめ
指定校推薦の校内選考は、高校が推薦する生徒を決める仕組みで、時期・基準・決め方に全国共通の決まりはありません。現役生の評定平均は、3学期制なら高3の1学期の成績でほぼ固まるので、校内選考の準備は高1の定期テストから始まっています。
1人枠に希望者が重なった時の決め方や、同点の時の扱いは高校ごとに違うので、高3の春までに先生に確かめます。同じ大学のほかの入試の締切も申し込む時点で書き出し、書類を並行して準備しておくと、結果がどちらでも動けます。
参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
リンク先の確認日:2026-10-16
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