国公立大学にも推薦入試はあります。学校長の推薦を受けて出願する学校推薦型選抜と、自分の意志で出願する総合型選抜です。この記事は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」にもとづいています。大学の例は、このサイトで解説している国公立18校の2027年度入試(2027年4月入学)の要項によります。指定校推薦はあるのか、共通テストは要るのか、評定はどのくらいか、どの大学にどんな方式があるのかを、一覧表で比べます。
国公立大学の推薦入試とは(学校推薦型選抜と総合型選抜)
「国公立の推薦」は、制度の上では2つの入試を指します。学校長の推薦を受けて出願する学校推薦型選抜(旧推薦入試)と、自分で出願できる総合型選抜(旧AO入試)です。名前は推薦入試、特色入試など大学ごとに違います。
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、学校推薦型選抜を、出身高等学校長の推薦にもとづき、調査書を主な資料として評価する入試と定めています。大学は推薦要件をできるだけ具体的に決めて、募集要項で示します。制度の全体は学校推薦型選抜とはの記事で説明しています。
国公立大学でどのくらい行われているか
文部科学省の令和7年度の集計では、学校推薦型選抜を行った大学は国立76大学(93.8%)、公立97大学(99.0%)でした。総合型選抜は国立75大学、公立79大学2です。入学者に占める学校推薦型選抜の割合は、国立大学12.7%、公立大学26.9%です2。
国公立の推薦入試に共通する決まり
学校推薦型選抜の募集人員は、附属高校からの推薦も含めて、学部などの募集単位ごとに入学定員の5割を超えない範囲で大学が決めます1。どちらの入試も面接を原則として必ず行い、さらに教科の試験、共通テスト、小論文やプレゼンテーション、資格・検定試験の成績のうち少なくとも1つで学力を評価します。
東京大学・京都大学・九州大学などの要項には、国公立大学の学校推薦型選抜に出願できるのは1つの大学・学部だけ、と書かれています6。一方、推薦に出願していても、国公立大学の一般選抜には出願できる大学が多くあります。
国公立大学に指定校推薦はある?
指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒だけが出願できる方式です。国公立大学にもあるのかを、実施要項と、このサイトの大学別の記事で確かめました。
実施要項には「指定校」という言葉がない
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の本文に「指定校」という言葉はなく、近いのは「非公募型」の学校推薦型選抜です。非公募型で、合格したら入学することを確約して受けるものは、大学の実情に応じて面接の要否を判断できるとされています(仕組みは指定校推薦とはの記事)。
このサイトの国公立18校で調べた結果
18校の記事を「指定校」という言葉で調べると、出てきたのは大阪公立大学だけでした。2027年度入試では、工学部建築学科(7名)と生活科学部食栄養学科(10名)3に、大学が指定する高校等だけが出願できる学校推薦型選抜〈指定校〉があります。どちらも共通テストを課しません。
ほかの17校の記事で扱った方式には見当たりませんでした。ただし、記事で扱っていない選抜がある大学もあり、全国の国公立大学を調べた結果でもありません。指定校の要項は高校に直接届くことが多いので、自分の高校の枠は進路指導の先生に確かめます。
| 項目 | 公募の学校推薦型選抜 | 指定校の学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 出願できる人 | 推薦要件を満たし、学校長の推薦を受けた人。高校は問わない | 大学が指定した高校の生徒だけ |
| 国公立18校での例 | 18校のうち15校が行う | 大阪公立大学の工学部建築学科・生活科学部食栄養学科だけ |
| 面接 | 必ず行う | 確約して受ける非公募型は、面接の要否を大学が判断できる |
国公立18校の推薦入試一覧(方式・共通テスト・評定・推薦人数・倍率)
18校を、学校推薦型選抜があるかどうかで分けました。値は2027年度入試の要項と2026年度の入試結果です。倍率は志願者数÷合格者数、出願の時期は次の節の日程チャートにあります。
学校推薦型選抜がある国公立15校
| 大学 | 推薦入試の方式 | 共通テスト | 評定の基準 | 1校から推薦できる人数 | 2026年度の志願者→合格者(倍率) |
|---|---|---|---|---|---|
| 筑波大学 | AC入試(総合型選抜)と推薦入試(学校推薦型選抜) | AC入試は不要。推薦入試は心理学類だけ必要 | AC入試は記載なし。推薦入試は多くの学類で概評A段階(または同等の学力) | 多くの学類で2人(別枠で1人) | AC 343→36(9.5倍)/推薦 1,683→551(3.1倍) |
| 千葉大学 | 総合型選抜(7学部)と学校推薦型選抜(5学部) | 多くの方式で必要(文学部の推薦・理学部などは不要) | 総合型は記載なし。推薦は概評A段階など | 医学部2人・薬学部3人まで(ほかは要項を確認) | 総合型 516→142(3.6倍)/推薦 237→76(3.1倍) |
| お茶の水女子大学 | 総合型選抜(新フンボルト入試)と学校推薦型選抜 | 総合型は合否に使わない。推薦は課す旨の記載なし | 推薦は概評Aなど。総合型はAが「望ましい」 | 制限なし | 総合型 178→33(5.4倍)/推薦 171→57(3.0倍) |
| 東京科学大学 | 総合型(理工学系)と学校推薦型(生命理工学院・医学部・歯学部) | 理工学系は必要。医歯学系は医学科・歯学科だけ | 総合型は記載なし。推薦の医学科は4.7以上など | 生命理工学院2人、医学部医学科2人以内など | 総合型 890→218(4.1倍)/生命理工の推薦 137→30(4.6倍) |
| 横浜国立大学 | 総合型(4学部)と学校推薦型(経営・理工学部) | 学部による(教育学部・経営学部などは不要) | 教育学部3.5以上、経営学部4.3以上、理工学部の推薦4.0以上 | 経営学部2人、電子情報システムEP4人、化学・生命系学科は制限なし | 総合型 845→182(4.6倍)/推薦 229→101(2.3倍) |
| 一橋大学 | 学校推薦型選抜だけ | 必要(第1段階選抜に使う) | 要項に記載なし | 要項に上限の記載なし | 71→33(2.2倍) |
| 東京大学 | 学校推薦型選抜だけ | 必要(概ね8割以上が目安) | 評定平均の基準なし(法学部は学年で上位概ね5%以内など) | 合計4人まで(男女各3人まで) | 265→93(2.8倍) |
| 名古屋大学 | 学校推薦型(全学部)と総合型(理学部) | 推薦は文学部以外で必要。総合型は学科による | 推薦の文学部・医学科は概評A、農学部はB以上など | 学部ごと(医学部医学科1人、法学部・理学部は制限なしなど) | 推薦 960→369(2.6倍)/総合型 59→15(3.9倍) |
| 京都大学 | 特色入試(学部により総合型か学校推薦型) | 全学部で必要(多くは概ね80%以上など) | 総合人間・教育学部4.3以上、経済学部概ね4.3以上。ほかは記載なし | 学部・学科ごと(法学部2人、医学部医学科1人など) | 731→171(4.3倍) |
| 大阪大学 | 総合型(6学部)と学校推薦型(医・歯・薬・工・基礎工学部) | 全学部で必要(多くは概ね75%か80%以上) | 推薦の医学部医学科4.3以上、保健学科4.0以上 | 学部ごと(医学部医学科2人以内、工学部は1学科4人以内など) | 1,083→316(3.4倍) |
| 神戸大学 | 「志」特別選抜(2027年度入試が最後)、総合型、学校推薦型(経済・経営学部など) | 「志」は不要。ほかは多くが必要 | 「志」の文・法学部などは4.0以上 | 要項を確認 | 2026年度の合格者数は記事に未掲載(2027年度入試の「志」は募集61人に志願160人) |
| 岡山大学 | 総合型選抜と学校推薦型選抜Ⅰ・Ⅱ | 総合型と推薦Ⅱは必要、推薦Ⅰは不要 | 推薦は4.3以上(教育学部の推薦Ⅱを除く)など | 多くは制限なし(経済学部・歯学部は2〜4人以内) | 総合型 667→167(4.0倍)/推薦Ⅰ 568→242(2.3倍)/推薦Ⅱ 444→169(2.6倍) |
| 島根大学 | 総合型選抜Ⅰ「へるん入試」と学校推薦型選抜Ⅱ | へるん入試は不要、推薦Ⅱは必要 | へるん一般型は基準なし。推薦Ⅱは3.5〜4.3以上 | 推薦Ⅱは制限なし | へるん 735→398(1.8倍)/推薦Ⅱ 181→63(2.9倍) |
| 大阪公立大学 | 総合型選抜(4学科)、学校推薦型選抜、学校推薦型選抜〈指定校〉 | 学科による | 学科による(医学科4.3以上、経済・商学部の推薦3.5以上など) | 学科ごと(大阪府内2人・府外1人の学科が多い。経済・商学部は制限なし) | 総合型 84→18(4.7倍)/推薦(指定校を含む) 1,522→381(4.0倍) |
| 九州大学 | 総合型選抜Ⅰ・Ⅱ、学校推薦型選抜(5学部)、次世代研究者発掘入試 | 総合型Ⅰなどは不要。総合型Ⅱ・推薦は必要 | 推薦の未来構想デザインコースだけ、およそ4.0以上 | 共創学部・文学部1人、歯学部2人など | 総合型 802→232(3.5倍)/推薦 124→44(2.8倍) |
このうち東京大学と一橋大学は学校推薦型選抜だけで、総合型選抜はありません。
総合型選抜だけの3校(北海道、東北、弘前)
| 大学 | 方式 | 共通テスト | 評定の基準 | 2026年度の志願者→合格者(倍率) |
|---|---|---|---|---|
| 北海道大学 | フロンティア入試(総合型)だけ | TypeⅠは必要、TypeⅡは不要 | 記載なし(医学部医学科・歯学部は概評A) | 317→106(3.0倍) |
| 東北大学 | AO入試Ⅱ期・Ⅲ期(総合型)だけ | Ⅱ期は不要、Ⅲ期は必要 | Ⅱ期は概評A段階。Ⅲ期は記載なし | Ⅱ期 1,341→298(4.5倍)/Ⅲ期 1,209→397(3.0倍) |
| 弘前大学 | 総合型選抜Ⅰ・Ⅱだけ | Ⅰは不要、Ⅱは必要 | 基準なし | Ⅰ 450→271(1.7倍)/Ⅱ 341→172(2.0倍) |
倍率は、筑波大学のAC入試の9倍台から2倍未満まで幅があります。18校でも、東京大学や京都大学のように合格者が募集人員を下回る大学があります。倍率の読み方は総合型選抜の倍率、私立を含む一覧は総合型選抜の大学一覧の記事にあります。
共通テストは要る?課す方式と課さない方式
国公立18校を数えると、すべての方式で課すのは一橋大学、東京大学、京都大学、大阪大学の4校でした。13校は、課す方式と課さない方式の両方があります。
課す方式では、共通テストの得点に目安を置く大学があります。東京大学の学校推薦型選抜は概ね8割以上4、京都大学の特色入試は多くの学部で概ね80%以上5、大阪大学は多くの学部で概ね75%か80%以上です。
目安に届かないと、書類と面接の評価が高くても合格は難しくなります。東京大学は1校から合計4人まで推薦でき、12月1日に第1次選考の結果が発表されます。
課さない方式は、筑波大学の推薦入試(心理学類を除く)や島根大学のへるん入試のように、合否が2026年中に決まります。ただし弘前大学の総合型選抜Ⅰのように、合格後に共通テストの受験を求める大学もあります。
出願時期と合格発表の日程
全国共通の時期の決まりは、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の第4にあります。2027年度入試では、総合型選抜の出願は2026年9月1日以降1、学校推薦型選抜の出願は11月1日以降です。共通テストは2027年1月16日・17日です。
一橋大学や名古屋大学(文学部以外)の学校推薦型選抜は、共通テストの後に出願します。書類と推薦書はその前に用意します。共通テストを課す方式の発表は2027年2月9日・10日が多く、一般選抜(前期日程)の出願期間1月25日〜2月3日より後です。結果を待たずに一般選抜にも出願しておきます。
国公立の推薦で求められること(評定・課題・推薦書)
評定の基準
評定の基準は方式ごとに違います。医学部医学科などで4.3以上(学習成績概評A)を求める例がある一方、一橋大学の学校推薦型選抜のように数値の基準を置かない方式もあります。
東京大学は全学部共通の数値がなく、法学部が学年で原則として上位概ね5%以内など、学部ごとに書いています。概評A〜Eの区分は学習成績概評と評定平均の計算の記事で説明しています。
講義型・課題型など、選考の形の例
| 選考の形 | 大学・方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 講義を受けて書く | 九州大学 共創学部(総合型選抜Ⅰ) | 2つの講義(各約50分)を受けて小論文を書く |
| 講義を受けて書く | 名古屋大学 理学部生命理学科(総合型選抜) | 15分程度の講義を聞いて書く小論文と個人面接 |
| 図書館で調べて書く | お茶の水女子大学 新フンボルト入試(文系学科) | 図書館の図書を参照し、9時30分から15時30分まで課題レポートを書く |
| 学びの計画を書く | 京都大学 特色入試 | 「学びの設計書」を書き、学部ごとの論文試験や口頭試問などを受ける |
| 資格・実績が出願の条件 | 一橋大学 学校推薦型選抜 | 英検1級、数学オリンピック予選通過などのうち1つ以上が出願要件 |
推薦書と、高校が書く書類
学校推薦型選抜では、学校長の推薦書を出します。東京大学の工学部と理学部は、ほかに本人の能力をよく知る人の推薦書が1〜2通必要です。総合型選抜でも、北海道大学のコンピテンシー評価書のように高校の先生が書く書類があるので、早めに頼みます。
私立大学の推薦との違い
入学者に占める学校推薦型選抜の割合は、国立大学12.7%、公立大学26.9%、私立大学38.8%です(令和7年度)。18校の要項では、共通テストを課す方式は発表が共通テストの後になります。
学校推薦型選抜は1つの大学・学部にしか出願できないと定める大学が多く、入学の確約を求める方式がほとんどです。2つの入試の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違いの記事で比べています。
国公立大学の推薦入試の年間スケジュール
要項の公表時期は大学ごとに違います。東京大学の学校推薦型選抜の要項は7月10日に公表されたので、高3の夏休み前に読んでおきます。
出願前に確かめること
よくある質問
- Q. 国公立大学にも推薦入試はありますか?
- A. あります。学校長の推薦を受ける学校推薦型選抜と、自分で出願する総合型選抜です。文部科学省の令和7年度の集計では、学校推薦型選抜を行った大学は国立76大学、公立97大学でした。
- Q. 国公立18校で、指定校の方式があるのはどこですか?
- A. このサイトの大学別の記事で扱った方式の中では、指定校の方式は大阪公立大学だけでした。工学部建築学科と生活科学部食栄養学科の学校推薦型選抜〈指定校〉です。全国を調べた結果ではないので、自分の高校の枠は進路指導の先生に確かめてください。
- Q. 国公立の推薦入試に共通テストは必要ですか?
- A. 大学と方式によります。18校のうち、東京大学・京都大学・一橋大学・大阪大学はすべての方式で課します。筑波大学の推薦入試(心理学類を除く)や島根大学のへるん入試のように課さない方式もあります。課す方式は、合格発表が共通テストの後(多くは2027年2月)になります。
- Q. 国公立の推薦入試には、評定がいくつ必要ですか?
- A. 方式ごとに違います。東京科学大学の医学部医学科は4.7以上です(ほかの要件で代えられる道もある)。岡山大学の学校推薦型選抜の多くの学部は4.3以上、横浜国立大学の教育学部は3.5以上です。一橋大学の学校推薦型選抜や弘前大学の総合型選抜のように、数値の基準を置かない方式もあります。
- Q. 国公立の推薦入試は、何校まで出願できますか?
- A. 東京大学・京都大学・九州大学などの要項では、国公立大学の学校推薦型選抜に出願できるのは1つの大学・学部だけです。総合型選抜は大学ごとに違い、大阪大学のように他の国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜との併願を制限する大学もあります。
- Q. 国公立の推薦入試で落ちたら、一般選抜は受けられますか?
- A. 受けられます。このサイトで解説している国公立18校の多くの要項は、推薦や総合型選抜に出願していても一般選抜に出願できるとしています。国公立の一般選抜には共通テストの受験が必要なので、共通テストを課さない方式を受ける人も共通テストに出願しておきます。
まとめ
国公立大学にも推薦入試があり、学校推薦型選抜と総合型選抜の2つがあります。このサイトの大学別の記事で扱った方式の中では、指定校の方式は大阪公立大学だけでした。
共通テストは4校がすべての方式で課し、13校は課す方式と課さない方式があります。評定の基準は幅があり、学校推薦型選抜は1つの大学・学部にしか出願できないと要項に定める大学が多くあります。
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参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項
- 令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
- 2027年度 入学者選抜要項
- 令和9(2027)年度 東京大学学校推薦型選抜 学生募集要項
- 令和9年度京都大学特色入試学生募集要項
- 令和9(2027)年度 九州大学 学校推薦型選抜 学生募集要項
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