教育学部の志望理由書の書き方と例文|小学校・中学・幼児・特別支援【学長監修】

教育学部の志望理由書の書き方と例文 受験の知識

最終更新: 2026-10-09 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試(2027年4月入学)の募集要項

教育学部の志望理由書の書き方を、例文つきでまとめました。教育学部の入試には、教員を志望することを出願の条件にする方式と、そうでない方式があり、志望理由書の重心が少し変わります。この記事では、教員養成の方式の要項に書かれている文言から、大学が見ている点を整理します。そのうえで、組み立て方と、小学校・特別支援・中学理科・幼児教育の例文4本、NG例の直し方、面接の準備を説明します。例文はすべて説明のための創作です。志望理由書全体の構成は親記事の志望理由書の書き方で説明しています。

教育学部の志望理由書に書くこと(教員養成の方式かどうかで変わる点)

教育学部の志望理由書 この記事の要点
書く柱
3つ
志望理由・学びたいこと・将来
例文
4本
小学校・特別支援・中学理科・幼児
要項を読んだ方式
3大学
玉川・千葉・横浜国立
NG例の直し方
3組
職業名だけ・子どもが好きだけ・一般論だけ
例文はすべて説明のための創作。字数は句読点を含めて数え、改行と1字下げは含まない

志望理由書に書く中身の柱は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」に示されています。大学が志望理由書や学修計画書を使う時は、入学希望理由、入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を書かせるとされています(第6の5(2))。教育学部でも、この3つが土台です。

教育学部で迷いやすいのは、出願する方式が、教員を志望することを条件にしているかどうかで、書く中身の重心が変わる点です。

教育学部の志望理由書 教員志望が出願の条件かどうか
教員志望を出願の条件にする方式出願の条件にしない方式
例玉川大学の教員養成総合型入学審査、横浜国立大学 教育学部の総合型選抜、千葉大学 教育学部の方式Ⅲ京都大学 教育学部、東北大学 教育学部、筑波大学 教育学類、立教大学 教育学科 など
要項にある条件の例玉川大学は教員志望者が対象。横浜国立大学は小・中・特別支援学校等の教員就職の希望。千葉大学の方式Ⅲは千葉県内で公立学校の教員となる強い意欲評定などの基準(大学ごとに違う)
志望理由書の重心(目安)どんな教員になりたいか、そのために何を学ぶか、と考えると書き分けやすい教育について何を問い、どう研究したいか、と考えると書き分けやすい
分類はこの記事での整理。条件は各大学の2027年度入試の要項による

どちらの場合も、教員を目指す人は、教育学として何を学びたいかまで書きます。そのうえで、教員養成の課程では、学びたいことの先に、めざす教員像まで書きます。学部ごとの方式の一覧は教育学部の総合型選抜にまとめています。

コースごとに書くことを変える

教員養成の課程では、出願の時にコースや専門を選ぶ大学があります。千葉大学の教育学部は、出願時に選修・分野・コースを選び、その単位で選抜されます。コースは、小学校、中学校、小中専門教科、英語教育、特別支援教育、乳幼児教育、養護教諭に分かれています。

コース志望理由書で示したいことこの記事の例文
小学校子どもの学びのどんな場面に関心があるか。教科や教育方法の何を学ぶか400字(タブレットを使う授業)
中学校・高校の教科その教科の内容への関心と、教科の授業のつくり方への関心の両方800字(中学校の理科)
特別支援教育障害のある子どもと関わった経験と、学びたい支援の方法600字(見て分かる手順)
幼児教育遊びや生活の中での子どもの育ちへの関心1,200字(砂場での関わり)

書類の名前と字数は大学ごとに違う

教育系の書類は、志望理由書という名前とは限りません。筑波大学の教育学類は「志望の動機」を自筆で600字以内、横浜国立大学の教育学部は自己推薦書を1,000字以内で書きます。学習院大学の教育学科は志望理由書を1,200字程度、立教大学の教育学科は2,000字程度です。玉川大学の教員養成総合型入学審査は、1,200字のエッセイです。

教育学部・教育系学科の志望理由書などの字数
筑波大学 教育学類(志望の動機)
600字
横浜国立大学 教育学部(自己推薦書)
1,000字
学習院大学 教育学科(志望理由書)
1,200字
玉川大学 教員養成(エッセイ)
1,200字
立教大学 教育学科(志望理由書)
2,000字
筑波大学と横浜国立大学は「以内」、学習院大学と立教大学は「程度」の指定、玉川大学は1,200字。各大学の2027年度入試の要項による

教育学部の志望理由書で大学が見ている点(教員養成の方式の要項から)

玉川大学と横浜国立大学の要項、千葉大学の方式Ⅲの要件には、教職への意欲や資質を見る文言があります。このサイトで要項を確かめた3つの大学の例です。

教員養成の方式の要項に書かれていること(2027年度入試)
大学・方式出願の条件など本人が書く書類選考
玉川大学 教員養成総合型入学審査(2027年度に新設)教員志望者が対象。評定3.0以上と、学科ごとに指定の資格・検定。専願エッセイ(教員を志すきっかけとなった経験と、入学後、玉川大学に期待すること・1,200字)書類と面接試験
千葉大学 教育学部 方式Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ方式Ⅲは、卒業後に千葉県内で公立学校の教員となる強い意欲と、教育に関する体験的な活動志望理由書・活動履歴書等。方式Ⅲは体験的な活動の概要と学んだことを記す書類書類、適性検査、面接(方式Ⅰの乳幼児教育コースは面接のみ)
横浜国立大学 教育学部(地域教員希望枠・専門領域枠)小・中・特別支援学校等の教員就職を希望すること。教職セミナー等への参加など(高大接続活動)自己推薦書(教職を目指す理由や資質・適性などを1,000字以内)と課題レポート。どちらも手書き書類、高大接続活動の評価、小論文、個人面接
各大学の2027年度入試の要項による。くわしい条件は大学別の記事と要項で確かめる

玉川大学の教員養成総合型入学審査は、エッセイが評価の35%を占めます。面接試験では、「コミュニケーション力、意欲、適性、主体性、多様性、協働性」などから、教員としての資質を確認するとされています。くわしくは玉川大学の総合型選抜で説明しています。

玉川大学 教員養成総合型入学審査の評価割合
エッセイ35%
資格・検定取得記入書と調査書(学力面)25%
調査書(生活面)と面接試験40%
玉川大学の2027年度の入学試験要項による

千葉大学の方式Ⅰ・Ⅱは、合格した場合に入学を確約できることが出願の要件です。方式Ⅲは、在学中に千葉県・千葉市公立学校教員採用候補者選考を受験することを確約できることが要件です。横浜国立大学の教育学部の要項は、自己推薦書と課題レポートに、指導者や生成AI等が作成した文章を使うことを禁じています。

教員養成の方式の日程

この3大学の教員養成の方式は、いずれも9月に出願します。玉川大学は9月2日〜9月10日に出願し、10月3日に面接試験、11月2日に合格発表です。千葉大学の方式Ⅰ・Ⅲは9月1日〜3日に書類を受け付け、9月26日・27日に選考、11月4日に合格内定です。共通テストの基準を満たした人が、2027年2月9日に最終合格となります。横浜国立大学は9月24日〜9月30日に出願し、10月24日に第1次選抜(小論文)、11月4日に第1次の発表、11月21日に第2次選抜、12月1日に最終合格の発表です。

教員養成の方式の日程チャート(2026年9月〜12月)
出願・書類の受付選考日・発表日
9月10月11月12月
玉川大学 教員養成
出願 9月2日〜9月10日/面接試験 10月3日/合格発表 11月2日
千葉大学 方式Ⅰ・Ⅲ
書類の受付 9月1日〜9月3日/選考(26日・27日) 9月26日/合格内定 11月4日
横浜国立大学 教育学部
出願 9月24日〜9月30日/第1次(小論文) 10月24日/第1次の発表 11月4日/第2次 11月21日/最終合格 12月1日
2027年度入試。千葉大学の方式Ⅰ・Ⅲの最終合格は2027年2月9日

要項の言葉から、書くことを決める

アドミッション・ポリシーや要項に書かれた言葉は、志望理由書の材料を選ぶ手がかりになります。方針の言葉を並べるのではなく、方針の要素ごとに、自分の経験と学びたいことを対応させます。読み方はアドミッション・ポリシーで説明しています。

教育学部の志望理由書 要項から確かめる点
書類の名前(志望理由書・自己推薦書・エッセイなど)と、設問の文言
字数の指定(以内か程度か)と、手書きか入力か
教員を志望することが出願の条件になっているか
出願の時に選ぶコース・専修・専門領域と、入学後に変えられるか
教育に関する体験的な活動や、教職セミナーなどへの参加が求められているか
アドミッション・ポリシーに書かれた、求める学生像の言葉

教育学部の志望理由書の組み立て方

組み立ての基本は、親記事と同じ4つの部分です。教育学部では、次の順で材料を整理すると、経験と学びたいことと将来が一本の筋になります。東北大学の志願理由書も、勉学したい学問分野、希望する進路、これまで熱中したことを関連させて書くよう求めています。

教育学部の志望理由書の組み立て
1
きっかけ
子どもや授業に関わって、教え方や学び方が気になった場面を一つに絞る
2
問い
「なぜ〜なのか」「どうすれば〜できるか」の形で1文にまとめる
3
学びたい分野
問いに答えるために要る科目・ゼミ・実習を選ぶ。教育学のどの分野かまで書く
4
将来
きっかけの場面に戻り、教員としてどんな授業や関わりをしたいかで結ぶ

配分は、親記事の目安と同じく、学びたいことに最も多くの字数を使います。800字なら、結論80字、きっかけと問い240字、学びたいこと320字、将来の目標160字が目安です。書き出しは志望理由書の書き出し、締め方は志望理由書の締め方で説明しています。

「恩師にあこがれて」だけでは弱い理由

恩師はきっかけとして書けますが、「あこがれた」だけでは何を学びたいのかが見えません。先生のどんな行動を見て、何を疑問に思ったのかまで書きます。

直す前(例)|恩師へのあこがれだけ(98字)

私は、中学3年の時の担任の先生にあこがれて、教員を目指すようになりました。先生はいつも生徒のことを考えてくれる素晴らしい先生でした。私も先生のような教員になりたいと考え、貴学教育学部を志望します。

直した後(例)(130字)

中学3年の担任の先生は、毎週の学級通信に、生徒一人ひとりの小さな頑張りを書いていました。名前が載った週は、提出物を出す人が増えていたことを覚えています。先生の言葉が、なぜ生徒の行動を変えたのか。その仕組みを教育心理学で学びたいと考え、貴学教育学部を志望します。

どちらも説明のための創作です。直した後の例では、先生の行動と生徒の変化を書き、その仕組みを学ぶという問いにしています。

教育の課題を、自分の経験と結ぶ

不登校、ICTの活用、多様な背景を持つ子どもなど、教育の課題を志望理由書に書く時は、一般論で終わらせず、自分が見た場面と結びつけます。横浜国立大学の教育学部の小論文は、学校教育をめぐる今日的課題が出題されます。課題への関心は、志望理由書と小論文の両方の材料になります。

教育の課題と、志望理由書での結び方の例
教育の課題結びつけやすい経験問いの例
学校でのICTの活用プログラミング教室の補助、授業でのタブレットの使い方道具を使うと、考える時間に差が出るのはなぜか
教室の外から学ぶ子どもへの支援入院中などに、オンラインで授業に参加した経験教室の外から参加する生徒が、授業に加われる仕組みは何か
外国にルーツを持つ子どもの学び地域の交流行事、学習の手伝い会話はできても、教科の言葉でつまずくのはなぜか
幼児教育の役割保育所の訪問、職場体験大人はどこまで手を出し、どこから任せるのか
地域と学校の連携地域の行事の運営、子ども会地域の大人が学校に関わると、子どもの何が変わるのか
課題は、教育学部の小論文の練習テーマの例(教育学部の総合型選抜の記事で挙げたもの。実際に出題された内容ではない)から選んだ。経験と問いは説明のための例

教育学部の志望理由書の例文(400字・600字・800字・1,200字)

コースと字数を変えた例文を4本並べました。どれもこの大学・学部で学びたいことの段落が最も長くなっています。例文は写さず、経験は自分のものに、「〇〇教授」「△△実習」などの伏せ字は公式サイトで確かめた名称に置き換えます。

教育学部の志望理由書の例文 指定の字数と例文の字数
指定の字数例文の字数
400字以内(小学校・ICT)
400字
375字
600字以内(特別支援教育)
600字
566字
800字以内(中学校の理科)
800字
731字
1,200字以内(幼児教育)
1,200字
1,022字
例文は指定の9割前後に収めた。改行と1字下げは含まない

400字の例文(小学校・タブレットを使う授業)

400字前後では、経験を3文にとどめます。

例文|教育学部(小学校)・400字以内の指定(375字)

私は、タブレットを使う授業で、操作が速い子も遅い子も考える時間を持てる授業のつくり方を学びたいと考え、貴学教育学部を志望します。

地域の科学館で開かれる小学生向けのプログラミング教室で、補助をしています。タブレットの操作に慣れた子は早く課題を終えて待ち、戸惑う子は画面の操作に時間を使い、考える前に教室が終わっていました。同じ道具でも、考える時間に差が出るのはなぜかという問いを持ちました。

貴学部では、教育方法学と情報教育を学び、△△実習で小学校の授業を観察できます。私は、子どもが操作でつまずく場面と、考えることに集中できる場面の違いを記録し、授業の進め方と結びつけて学びたいと考えています。端末の操作を教える時間と、課題を考える時間の配分も確かめます。

卒業後は小学校の教員として、道具の得意不得意に関わらず、全員が考える授業をつくることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論64字コース(小学校)と学びたいことを1文で示す
第2段落きっかけと問い130字見た場面と問いを3文で書く
第3段落この大学・学部で学びたいこと133字問いを、学べる科目と実習で確かめる計画にする
第4段落将来の目標48字めざす教員像を1文で

考える時間の差という問いを中心に置き、実習の観察で確かめる計画にしています。

600字の例文(特別支援教育・見て分かる手順)

600字前後では、ほかの人の工夫を自分で試した過程まで書けます。

例文|教育学部(特別支援教育)・600字以内の指定(566字)

私は、言葉での説明が伝わりにくい子どもに、見て分かる形で手順を示す支援の方法を学びたいと考え、貴学教育学部の特別支援教育のコースを志望します。

高校2年の夏から、市の障害者スポーツの交流会で、ボッチャの運営を手伝っています。ルールの説明が伝わりにくかった中学生は、私が口で説明を重ねても、投げる順番が分からず立ち止まっていました。職員の方が順番を写真のカードにして並べると、その生徒は最後まで参加できました。次の回、私もカードを作り直して試しましたが、うまく参加できる子と、カードを見ない子がいました。同じ見せ方でも伝わり方に差が出るのはなぜかという問いを持ちました。

貴学部では、障害のある子どもの理解と、一人ひとりに合わせた指導の計画の立て方を学べます。〇〇教授の研究室では、絵や写真を使ったコミュニケーションの支援が研究されています。私は、子どもが情報を受け取る時の特性を学び、子どもによって手がかりになる見せ方が違う理由を確かめたいと考えています。△△実習では特別支援学校の授業を観察し、先生方が子どもごとに使い分けている手がかりを記録します。交流会でも、カードの使い方を職員の方と相談しながら試します。

卒業後は特別支援学校の教員として、一人ひとりに合う手がかりを用意し、子どもが見通しを持って動ける授業をつくることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論71字特別支援教育で学びたいことを具体的に示す
第2段落きっかけと問い212字職員の方の工夫を自分でも試し、残った差を問いにする
第3段落この大学・学部で学びたいこと221字学ぶこと、研究室、実習、在学中に試すことの順に書く
第4段落将来の目標62字きっかけの場面に戻って結ぶ

職員の方の工夫を自分でも試し、それでも残った差を問いにして、学びたいことを支援の方法という形で書いています。

800字の例文(中学校の理科・電流の考え方)

中学・高校の教科の教員を目指す場合は、教科の内容への関心と、教科の授業のつくり方への関心の両方を書きます。

例文|教育学部(中学校の理科)・800字以内の指定(731字)

私は、電流のような目に見えない現象を、中学生が実験とモデルで理解できる理科の授業を学びたいと考え、貴学教育学部の中学校理科のコースを志望します。

物理部で、地域の小中学生向けの実験教室を年に2回開いています。高校2年の秋の教室で、豆電球の回路を作った中学生に、電球の前と後で電流の大きさはどう違うかを尋ねてみました。すると、電球で使われるので後のほうが小さくなる、と答えた生徒が多くいました。授業で回路を学んだ中学3年生の中にも、そう答える人がいました。理科教育の入門書を読むと、授業の前から持っている考えは、学んだ後も残る場合があると書かれていました。

貴学部では、物理学などの理科の内容と、理科の授業の組み立て方を学ぶ教科教育の科目を、両方学べます。私が学びたいのは、生徒が持っている考えを授業の中で引き出し、実験とモデルで確かめながら考えを変えていく授業の方法です。次の教室では、電球の前と後に電流計をつないで測る実験を用意しました。自分で電流計を読んだ生徒は電流が減らないことを説明できるようになりましたが、結果を聞いただけの生徒の考えは変わりませんでした。この違いがなぜ生まれるのかを、教科教育の研究の方法で確かめたいと考えています。△△実習では中学校の理科の授業に参加し、生徒が自分で手を動かす場面の組み込み方を学びます。物理学の知識は、生徒がつまずきやすい点を前もって見つけるためにも使いたいと考えています。

卒業後は中学校の理科の教員として、生徒が自分の考えを確かめながら学ぶ授業をつくることが目標です。部屋の明かりをつけた時に、電気の流れを自分の言葉で説明できる生徒を増やしたいと考えています。在学中も実験教室を続け、授業で使う教材を試す場にします。

段落部分字数ポイント
第1段落結論72字教科と、その教科の授業で学びたいことを1文に入れる
第2段落きっかけと問い204字見た場面、本で知ったこと、残った疑問の順に並べる
第3段落この大学・学部で学びたいこと333字教科の内容と教科教育の両方を書き、自分で試したことから学びたいことにつなぐ
第4段落将来の目標122字教科の教員として、生徒に何ができるようになってほしいかで結ぶ
中学校の理科の例文(800字以内) 部分ごとの割合
結論9.8%
きっかけと問い27.9%
この大学・学部で学びたいこと45.6%
将来の目標16.7%
親記事の800字の配分の目安は、結論10%、きっかけと問い30%、学びたいこと40%、将来の目標20%

学びたいことの段落が全体の約46%を占めます。実験を試した結果と、説明できなかった違いを書き、教科教育の研究で確かめたいことにつなげています。

1,200字の例文(幼児教育・砂場での関わり)

玉川大学の教員養成のエッセイのように、「教員を志すきっかけとなった経験」と「入学後、大学に期待すること」を問う1,200字の設問を想定しました。大学の名称や実習は伏せ字・創作です。

例文|教育学部(幼児教育)・1,200字以内の指定(1,022字)

私は、幼児が遊びの中で、待つことや気持ちを切り替える力を身につけていく過程を学び、その育ちを支える保育者になりたいと考えています。

教員を志すきっかけは、高校の家庭科の授業で、近くの保育所を訪ねて4歳児と過ごした経験です。私の班は、園庭の砂場で子どもたちと山を作りました。シャベルが足りなくなると、一人の男の子がほかの子のシャベルを取ろうとし、取り合いになりました。私はシャベルを預かって順番を決めようとしましたが、男の子は泣き出し、砂場から離れてしまいました。保育士の方は男の子の隣にしゃがみ、使いたかったんだね、と声をかけ、空いたバケツでできる遊びを一緒に探していました。しばらくすると、男の子は自分から砂場に戻り、シャベルが空くのを待っていました。私は順番を決めることで解決しようとしましたが、保育士の方は、男の子が自分で気持ちを切り替えるのを待っていました。大人がどこまで手を出し、どこから子どもに任せるのか。この判断を、経験だけでなく学びに基づいて行えるようになりたいと考えたことが、教員を志すきっかけです。

入学後、貴学に期待することは三つあります。一つ目は、幼児の心の発達を学ぶ科目と、遊びを中心にした保育の方法を学ぶ科目を、1年次から並行して学べることです。砂場で見た男の子の変化を、発達の理論で説明できるようになりたいと考えています。二つ目は、附属の幼稚園で、1年を通して子どもの様子を観察できる△△実習があることです。一度の訪問では、男の子がその後どう変わったのかは分かりませんでした。同じ子どもたちを長く観察し、保育者の声かけと子どもの行動の変化を記録したいと考えています。三つ目は、〇〇教授のゼミで、保育者の関わり方を映像で振り返る研究が行われていることです。私がシャベルを預かった場面のように、善意の関わりが子どもの気持ちを置き去りにすることがあります。関わり方を映像で見直す方法を学び、自分の判断のくせを知りたいと考えています。ゼミでは遊びの場面での保育者の声かけを記録し、子どもに任せる場面と大人が関わる場面の見分け方を、卒業論文にまとめたいと考えています。

卒業後は、幼稚園や保育所で幼児の育ちを支える保育者として、子どもが遊びの中で自分の気持ちと向き合い、友だちと折り合いをつける力を育てたいと考えています。砂場から自分で戻ってきた男の子のように、子どもが自分で立ち直るまでの時間を待てる保育者になることが目標です。

段落部分字数ポイント
第1段落結論65字「教員を志すきっかけ」を問う設問なので、めざす教員像から書き始める
第2段落きっかけと問い393字自分の関わりと保育士の方の関わりを比べ、問いにする
第3段落この大学・学部で学びたいこと434字設問の「大学に期待すること」に、三つの理由で答える。最も長い段落
第4段落将来の目標130字きっかけの場面に戻り、めざす教員像で結ぶ

自分と保育士の方の関わりを比べた場面から問いを立て、大学に期待することを三つに分けて、どれもその場面とつなげています。

ほかの学部の例文や、設問がある様式の例文は志望理由書の例文にまとめています。

教育学部の志望理由書のNG例と直し方

教育学部の志望理由書でよくあるのは、職業名だけ、子どもが好きだけ、教育問題の一般論だけで書いてしまう形です。直す前と直した後を並べます。いずれも説明のための創作です。

直す前(例)|教員という職業名だけ(74字)

私は小学校の教師になりたいと考え、貴学教育学部を志望します。教師になるために必要な知識と技能を身につけ、子どもたちから信頼される教師になりたいです。

直した後(例)(153字)

私は、小学生が文章を読んで考えたことを、自分の言葉で書けるようになる国語の授業を学びたいと考え、貴学教育学部を志望します。子ども会で読書感想文の相談に乗った時、本は好きでも、感じたことを文にできない子が多いと知りました。貴学部の国語教育の科目と△△実習で、書く前の話し合いの進め方を学びたいと考えています。

直す前(例)|子どもが好きだけ(80字)

私は小さい頃から子どもが好きで、近所の子どもとよく遊んできました。子どもの笑顔を見ると元気が出ます。この気持ちを生かして、幼稚園の先生になりたいと考えています。

直した後(例)(149字)

私は、年齢の違う子どもが一緒に遊ぶ中で育つ力を学びたいと考え、貴学教育学部を志望します。近所の公園で鬼ごっこに加わった時、年上の子が、年下の子も捕まえられるようにルールを変えていく様子を見ました。貴学部では幼児の発達と遊びの指導を学び、異年齢の遊びで子どもが身につける力を確かめたいと考えています。

直す前(例)|教育問題の一般論だけ(88字)

不登校やいじめなど、学校はさまざまな問題を抱えています。こうした問題を解決するためには、教員の役割が重要です。私は貴学で学び、教育問題を解決できる教員になりたいと考えています。

直した後(例)(149字)

私は、教室の外から参加する生徒が、授業の話し合いに加われる仕組みを学びたいと考え、貴学教育学部を志望します。高校1年の時、入院中に病室からオンラインで授業に参加しましたが、話し合いで発言する機会をつかめませんでした。貴学部では教育方法学と情報教育を学び、参加の仕方の工夫を確かめたいと考えています。

NGの形伝わらない理由直し方
教員という職業名だけ教員になりたい人は全員同じことが書ける。学部で何を学ぶかが見えない教える場面のどこに関心があるかを書き、学ぶ科目と結ぶ
子どもが好きだけ好きであることは教員を目指す理由の説明にならない子どもの何を見て、何を知りたいと思ったかを書く
教育問題の一般論だけ誰が書いても同じ文章になる自分が見た場面を一つ書き、課題を自分の問いにする

教育学部の面接で聞かれやすいこと

教育学部の面接では、志望理由書に書いた経験や問いについて、深く聞かれる前提で準備します。東北大学の面接は、志願理由書も参考に行われます。質問の傾向と答え方は面接対策で説明しています。

聞かれやすいこと準備のしかた
教職を目指す理由志望理由書のきっかけの場面を、1分で話せるようにする
子どもと関わった経験場面、自分の行動、うまくいかなかったことを順に話す
教育の課題への考え関心のある課題を一つ決め、自分の経験と意見を話せるようにする
めざす教員像大学の教育方針と求める人物像を読み、自分の言葉で話す(玉川大学の教員養成)
専門領域に関する質疑横浜国立大学の専門領域枠は、社会が指定文献、数学が算数・数学に関する質疑

回答例|「どんな教員になりたいですか」(中学校の理科の例文を書いた人の場合)(134字)

生徒が自分の考えを確かめながら学べる授業をする教員になりたいと考えています。実験教室で、電流が電球で使われて減ると考える中学生が多いことに気づきました。電流計を自分で読んだ生徒は考えが変わったので、生徒が手を動かして確かめる時間を、授業の中につくりたいと考えています。

回答例は説明のための創作です。志望理由書の将来の目標と、面接での答えをそろえておきます。

よくある質問

Q. 教育学部の志望理由書は何字くらい書けばいいですか?
A. 大学の指定によります。筑波大学の教育学類は志望の動機を600字以内、横浜国立大学の教育学部は自己推薦書を1,000字以内、学習院大学の教育学科は1,200字程度、立教大学の教育学科は2,000字程度です。「以内」の指定では、指定の9割前後を目安にします。
Q. 「恩師にあこがれて」をきっかけに書いてもいいですか?
A. きっかけとしては書けます。ただし、あこがれただけで終わると、何を学びたいのかが伝わりません。先生のどんな行動を見て、何を疑問に思ったのかまで書き、その疑問を大学で学ぶことにつなげます。恩師のことは短くまとめ、学びたいことに字数を使います。
Q. 教員になるかどうか決めていなくても、教育学部の志望理由書は書けますか?
A. 教育を学問として研究する学部・学科なら、教育について何を問い、何を研究したいかを中心に書けます。一方、横浜国立大学の教育学部の総合型選抜は、小・中・特別支援学校等の教員就職を希望することが要件です。横浜国立大学の自己推薦書のように、教職を目指す理由を書く書類もあります。
Q. 志望理由書では「教師」と「教員」のどちらを使えばいいですか?
A. どちらでも意味は通じます。このサイトで確かめた要項(玉川大学・千葉大学・横浜国立大学)では、「教員」という言葉が使われています。迷ったら、志望する大学の要項やアドミッション・ポリシーと同じ言葉を使い、1つの文章の中ではそろえます。
Q. 小学校と中学校のどちらの教員を目指すか、決めていなくても大丈夫ですか?
A. 大学によります。千葉大学の教育学部は、出願時に選修・分野・コースを選び、その単位で選抜されます。横浜国立大学の地域教員希望枠は、入学後第1学年の10月頃までにコース・専門領域を決めます(専門領域枠は入学後に変更できません)。出願する方式で、いつ決めるのかを要項で確かめます。
Q. 教育学部の志望理由書は、面接でどう使われますか?
A. 書いた経験や問いについて、深く聞かれる前提で準備します。東北大学の面接は、志願理由書も参考に行われます。玉川大学の教員養成の面接では、めざす教員像を自分の言葉で話せるようにしておきます。志望理由書の将来の目標と、面接での答えをそろえます。

まとめ

教育学部の志望理由書は、教員を目指す理由だけでなく、教育学として何を学びたいかまで書きます。玉川大学と横浜国立大学の要項、千葉大学の方式Ⅲの要件には教職への意欲や資質の文言があり、玉川大学の教員養成の面接のように、めざす教員像を問われる方式もあります。組み立ては、きっかけ、問い、学びたい分野、将来の順です。「恩師にあこがれて」「子どもが好き」は、見た場面と問いまで書くと、自分の志望理由書になります。

東京修学館では、志望理由書の構成づくりから面接の練習までのご相談を、無料相談でお受けしています。志望理由書全体の構成は親記事の「志望理由書の書き方」、教育学部の入試の一覧は「教育学部の総合型選抜」もあわせてご覧ください。

学長への無料相談はこちら

慶應義塾大学博士・敬愛大学特任名誉教授の家近亮子学長が、あなたの志望校選びと総合型選抜対策を直接アドバイスします。

関連記事

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました