学校推薦型選抜は、出身高校の学校長の推薦を受けて出願する大学入試です。2021年4月入学の入試から、それまでの「推薦入試」がこの名前に変わりました。この記事では、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項をもとに、学校推薦型選抜の定義と種類、出願の条件、選考の中身、日程を整理します。募集人員と入学者の数、専願と入学辞退の扱いもまとめます。東京修学館の家近亮子学長の監修です。
学校推薦型選抜とは:定義と推薦入試からの変更点
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、学校推薦型選抜を次のように定めています。出身高校の学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ評価・判定する入試方法です(第3の1(3))。一般選抜とは違う観点や方法で評価することが前提です。
実施要項は、この入試を、本人の意志だけで出願できるものではないとしています。その大学・学部で学ぶのにふさわしい能力・意欲・適性があるかを、高校の学校長が判断する入試だからです。そのため大学は、推薦の条件(推薦要件)をできるだけ具体的に決め、募集要項などで示すことになっています。
推薦入試から何が変わったか
学校推薦型選抜は、以前「推薦入試」と呼ばれていた入試です。文部科学省は2017年7月の「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」で、入試区分の名前を改めると通知しました。令和3年度(2021年4月入学)の入試から、推薦入試は学校推薦型選抜に、AO入試は総合型選抜に、一般入試は一般選抜に変わっています。
名前と一緒に、中身も変わりました。予告は、一部の推薦入試が、知識・技能や思考力・判断力・表現力を問わないものと受け取られていたことを課題に挙げました。そこで、それまでの実施要項にあった「原則として学力検査を免除し」という記載を削除しています2。
| 項目 | 推薦入試(2020年4月入学まで) | 学校推薦型選抜(2021年4月入学から。※印は令和9年度の実施要項) |
|---|---|---|
| 定義 | 学校長の推薦に基づき、原則として学力検査を免除し、調査書を主な資料に評価 | 「原則として学力検査を免除し」を削除。調査書を主な資料としつつ評価 |
| 学力の評価 | 推薦書・調査書だけで判定が難しい時は、筆記・実技・口頭試問などの検査、センター試験、資格・検定試験のうち少なくとも一つを使うのが望ましいとされていた | 書類だけでなく、小論文、口頭試問、教科・科目のテスト、資格・検定試験、共通テストなどの少なくとも一つを使う |
| 推薦書 | 実施要項に中身の定めはなかった | 学習歴や活動歴を踏まえた、学力の三要素の評価を書く |
| 高校の成績 | 評定平均値を出願要件や合否判定に使い、募集要項に明記する | 評定平均値の使い方の定めは令和3年度の要項で無くなった。※推薦要件をできるだけ具体的に決めて、募集要項などで示す |
| 合格発表 | 一般入試の試験期日の10日前まで。予告によると、11月に発表する大学が全体の42% | 12月1日以降で、一般選抜の試験期日の10日前まで(共通テストを使う方式は前日までのなるべく早い日) |
| 面接 | 実施要項に定めはなかった | ※面接による評価を行う(移行期間あり) |
AO入試から総合型選抜への変更は、総合型選抜とはの記事で説明しています。
学校推薦型選抜の種類:公募制・指定校制・附属校推薦
学校推薦型選抜は、どの高校の生徒が出願できるかで、いくつかの方式に分かれます。名前は「推薦入学試験(公募制)」(上智大学)、「学校推薦型選抜〈指定校〉」(大阪公立大学)、「系列校特別推薦」(明治学院大学)など、大学ごとにさまざまです。
実施要項には「非公募型の学校推薦型選抜」という言葉があります。高校との緊密な連携で丁寧なマッチングが図られ、合格したら入学を確約して受けるものは、大学の判断で面接を省けるとしています(第3の1(3)①)。大学が高校を指定する指定校推薦は、公募ではない推薦です。
| 方式 | 出願できる人 | 大学の例 |
|---|---|---|
| 公募制(公募推薦) | 推薦要件を満たし、学校長の推薦を受ければ、どの高校からでも | 上智大学 推薦入学試験(公募制)、学習院大学 学校推薦型選抜(公募制) |
| 指定校制(指定校推薦) | 大学が指定した高校の生徒。高校ごとに推薦枠がある | 大阪公立大学 学校推薦型選抜〈指定校〉(建築学科・食栄養学科) |
| 附属校・系列校の推薦 | 附属高校や系列校の生徒 | 明治学院大学 系列校特別推薦、武蔵野大学 系列校学校推薦型選抜 |
公募制は、自分の高校に枠が来ているかどうかに関係なく出願できます。仕組みと、総合型選抜(旧AO入試)との違いは公募推薦とはの記事で説明しています。
指定校制は、高校ごとの推薦枠に対して、高校が校内選考で推薦する生徒を決めます。校内選考の進み方と、落ちる場面は指定校推薦とはの記事にまとめています。
明治学院大学のように、入試情報に公募制の推薦の掲載がなく、学校推薦型選抜を系列校と指定校の推薦だけで行う大学もあります。志望校にどの方式があるかを、入試情報のページで最初に確かめます。
出願の条件:学校長の推薦・評定の基準・1校あたりの人数
学校推薦型選抜に出願するには、大学が示す推薦要件を満たし、出身高校の学校長から推薦を受けます。推薦要件には、評定平均の基準、卒業の年度、資格・検定試験、合格したら入学するかどうかなどがあり、大学・学部ごとに違います。
推薦書と学力の三要素
推薦書は高校が作り、学校長の名前で出します。実施要項は、推薦書に、大学のアドミッション・ポリシーに対応する本人の学習歴や活動歴を踏まえた評価を書くよう求めています(第3の1(3)③)。評価するのは学力の三要素で、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度です。
学習院大学の理学部(公募制)のように、担任の先生が書いてもよいとする学部もあります。先生への頼み方は推薦書の依頼方法で説明しています。
評定の基準は大学・学科ごとに違う
評定平均(調査書の「全体の学習成績の状況」)の基準は、大学・学科ごとに決まります。基準を要項に書いていない方式もあります。
| 大学・方式 | 評定の基準 |
|---|---|
| 上智大学 推薦入学試験(公募制) | 多くの学科で全体4.0以上。学科によって教科の基準が加わる(例:ロシア語学科は外国語4.3以上、経済学科は数学4.5以上) |
| 学習院大学 学校推薦型選抜(公募制) | 学部・学科ごとに3.5以上〜4.2以上(国際文化交流学部3.5以上、国際社会科学部4.2以上など) |
| 横浜国立大学 経営学部(学校推薦型) | 学習成績概評がA段階(4.3以上) |
| 一橋大学 学校推薦型選抜 | 要項に評定の基準の記載はない。資格・実績のどれか1つが出願要件 |
評定の計算と、いつまでの成績が入るかは評定平均と学習成績概評、調査書に書かれることは調査書とはで説明しています。
1校から推薦できる人数
1つの高校から推薦できる人数に、上限を設ける大学があります。東京大学の学校推薦型選抜は、1校から合計4人まで6(男女それぞれ3人まで)で、同じ学部へは男女各1人までです。横浜国立大学の経営学部は1校2名まで8です。一方、学習院大学の公募制は、1校あたりの推薦人数を制限していません。
上限がある方式では、希望者が多いと高校の中で調整します。受けたい大学が決まったら、早めに先生に伝えます。
選考の中身:書類・面接・小論文・共通テスト
学校推薦型選抜は、調査書を主な資料にしながら、ほかの方法も組み合わせて評価します。実施要項が求めている組み合わせは次のとおりです。
| 評価に使うもの | 用意する人・行う人 | 実施要項の決まり |
|---|---|---|
| 調査書 | 高校 | 主な資料とする(中身は3年間の成績、活動、出欠などの記録) |
| 推薦書 | 高校(学校長) | 学力の三要素の評価を書く |
| 本人が書く書類 | 本人 | 志望理由書や自己推薦書など。大学が求める場合に出す。プレゼンテーションなどで積極的に活用する |
| 面接 | 大学 | 面接による評価を行う(討論・口頭試問・オンラインを含む)。確約する非公募型は大学が要否を判断。移行期間あり |
| 学力の評価 | 大学 | 教科・科目のテスト、共通テスト、小論文など、資格・検定試験のうち少なくとも一つ |
面接には移行期間があります。令和8年度にすでに行っていた選抜区分で、令和9年度入試から面接を入れることが難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに導入するとしています(第14)。
小論文や面接は、教科の知識だけを問うものにしないよう求められています(第6の3)。
共通テストを使う大学と使わない大学
実施要項は、学校推薦型選抜でも共通テストを使えると定めています(第6の2)。国公立大学では、同じ大学の中でも方式によって使うかどうかが分かれます。たとえば横浜国立大学は、経営学部の学校推薦型選抜は共通テストを課さず、理工学部の一般枠は6教科8科目を課します。
| 大学・方式 | 共通テスト | 大学で行う選考 |
|---|---|---|
| 東京大学 学校推薦型選抜 | 使う。指定科目をすべて受験し、概ね8割以上が目安 | 書類による第1次選考、面接等 |
| 一橋大学 学校推薦型選抜 | 使う。成績で第1段階選抜を行う | 小論文と個別面接 |
| 横浜国立大学 経営学部 | 使わない | 小論文と個人面接、書類 |
| 上智大学 推薦入学試験(公募制) | 使わない | 書類審査と学科試問・面接 |
共通テストを使う方式では、書類と面接だけでは合否が決まりません。東京大学は共通テストで概ね8割以上の得点を目安とし、一橋大学は共通テストの成績で第1段階選抜を行います。東京大学は、志望学部が指定した科目を1つでも受験していないと、合格者にならないとしています。
選考の詳しい中身は東大の推薦入試(学校推薦型選抜)、一橋大学の学校推薦型選抜、横浜国立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜の記事にあります。
日程:出願は11月1日以降、合格発表は12月1日以降
実施要項 第4の5は、学校推薦型選抜について、入学願書の受付を2026年11月1日以降とし1、判定結果を12月1日以降に発表すると定めています。発表は一般選抜の試験期日の10日前までです。共通テストを使う場合は、一般選抜の試験期日の前日までの、なるべく早い日に発表します。
共通テストの本試験は2027年1月16日・17日、一般選抜の個別試験は2月1日から3月25日の間です。総合型選抜は、出願が9月1日以降、発表が11月1日以降です。
上智大学の公募制は、出願は11月1日から5日、合格発表が12月10日9です。東京大学は11月に出願し、最終の発表は2027年2月10日です。一橋大学は共通テストのあとに出願し、出願期間は2027年1月18日から1月29日7です。
一般選抜との関係
一橋大学では、一般選抜前期日程の出願期間(2027年1月25日〜2月3日)が、学校推薦型選抜の最終発表(2月10日)より前に締め切られます。不合格に備えて、前期日程の出願先は結果を待たずに決めておきます。
年間の流れ
募集人員と入学者の数
実施要項は、学校推薦型選抜の募集人員を、附属高校の学校長からの推薦も含めて、学部などの入学定員の5割を超えない範囲で大学が定める1としています(第8の2)。総合型選抜には、こうした募集人員の上限の定めはありません。
たとえば一橋大学の学校推薦型選抜は、5学部の合計で55人です。入学定員955人のごく一部の枠です。
学校推薦型選抜で入学する人の割合
文部科学省の「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」に、全国の数字があります。令和7年度に学校推薦型選抜で大学に入学した人は221,415人で、入学者全体の34.1%でした5。総合型選抜で入学した人は126,766人(19.5%)です。
人数では国立12,706人、公立9,732人、私立198,977人で、私立大学の入学者が大部分を占めます。学校推薦型選抜を実施した大学は772大学で、国公私立の大学の99.2%にあたります。
専願・併願と入学辞退
学校推薦型選抜には、合格したら入学することを出願の条件にする方式があります。この記事で例に挙げた東京大学、横浜国立大学、上智大学の公募制、学習院大学の公募制は、どれも合格したら入学を確約することが条件です。
国公立大学は1つの大学・学部だけ
東京大学・一橋大学・横浜国立大学の要項には、国公立大学の学校推薦型選抜に出願できるのは1つの大学・1つの学部だけと書かれています。東京大学と一橋大学の要項は、共通テストを課すかどうかを問わないとしています。東京大学の要項は、他の国公立大学の総合型選抜に出願した人は、東京大学の学校推薦型選抜に出願できないとしています。
東京大学と一橋大学の要項では、学校推薦型選抜に出願していても、国公立大学の一般選抜の前期日程と後期日程に1つずつ出願できます。
入学辞退と授業料
学校推薦型選抜で合格して入学手続をすると、3月31日までに辞退しても授業料などが返らない場合があります(実施要項 第10)。専願・併願と辞退の扱いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違い、要項の言葉の読み方は総合型選抜の併願の記事で説明しています。
出願前に確かめること
総合型選抜との違い
総合型選抜(旧AO入試)は、本人の意志で出願できる公募制の入試で、志望理由書などの本人が書く書類と面接を中心に評価します。学校推薦型選抜は学校長の推薦が要り、調査書が主な資料です。出願の条件・選考・併願の違いを並べた表と、どちらが向いているかの考え方は、総合型選抜と学校推薦型選抜の違いの記事で説明しています。
よくある質問
- Q. 学校推薦型選抜と推薦入試は同じものですか?
- A. 同じ入試区分で、2021年4月入学の入試から名前が変わりました。ただし中身も変わっています。それまでの実施要項にあった「原則として学力検査を免除し」という記載が削除され、小論文や共通テストなどで学力を評価することが求められるようになりました。推薦書に学力の三要素の評価を書くことも求められています。
- Q. 学校推薦型選抜は何校まで出願できますか?
- A. 国公立大学の学校推薦型選抜は、1つの大学・1つの学部にしか出願できません。私立大学は大学・方式ごとに違い、上智大学の公募制のように、第一志望で入学を確約し、1学科だけに出願する方式もあります。併願できるかは要項で確かめます。
- Q. 学校推薦型選抜に共通テストは必要ですか?
- A. 大学・方式によります。東京大学や一橋大学の学校推薦型選抜は共通テストを使い、上智大学や学習院大学の公募制は使いません。横浜国立大学のように、同じ大学でも学部によって分かれる例もあります。
- Q. 学校推薦型選抜に落ちたら、一般選抜は受けられますか?
- A. 受けられます。実施要項は、学校推薦型選抜の合格発表を一般選抜の試験期日の10日前まで(共通テストを使う方式は前日までのなるべく早い日)に行うよう定めています。ただし、共通テストを使う方式では、一般選抜の出願の締切が先に来ることがあります。一橋大学では、前期日程の出願が2月3日に締め切られ、学校推薦型選抜の発表は2月10日です。
- Q. 附属校・系列校の推薦も学校推薦型選抜ですか?
- A. 学校推薦型選抜として行う大学があります。実施要項は、学校推薦型選抜の募集人員を、附属高校の学校長からの推薦も含めて入学定員の5割までとしています(第8の2)。武蔵野大学は系列校学校推薦型選抜、明治学院大学は系列校特別推薦を、学校推薦型選抜として行っています。出願できるのは、対象の附属校・系列校の生徒だけです。
- Q. 学校推薦型選抜はいつから準備すればいいですか?
- A. 評定平均は高1の成績から入るので、高1から定期テストと提出物を大切にします。推薦要件は高2のうちに前の年度の要項で調べておくと、資格・検定試験や科目の選択を間に合わせやすくなります。
まとめ
学校推薦型選抜は、出身高校の学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として評価する入試です。2021年4月入学の入試から推薦入試がこの名前になり、学力の評価と、推薦書での学力の三要素の評価が求められるようになりました。
2027年度入試では、出願は2026年11月1日以降、合格発表は12月1日以降です。共通テストを使う方式は、発表が2月になる大学もあります。
公募制・指定校制などの方式、評定の基準、1校から推薦できる人数、専願かどうかは、大学・学部ごとに違います。志望校の要項で推薦要件を確かめ、早めに先生に相談しておきます。
参考資料
この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項
- 平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告について(通知)
- 令和2年度大学入学者選抜実施要項の変更について(新旧対照)
- 令和3年度大学入学者選抜実施要項
- 令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
- 令和9(2027)年度 東京大学学校推薦型選抜 学生募集要項
- 令和9(2027)年度 一橋大学学校推薦型選抜募集要項
- 2027年度 学校推薦型選抜 学生募集要項(経営学部)
- 2027年度 入学試験要項 推薦入学試験(公募制)
- 総合型選抜で評定がいらない大学一覧(各大学の2027年度入試の募集要項・大学別の記事への入口)
リンク先の確認日:2026-10-16
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