指定校推薦のデメリットとやめた方がいい人|向いている人・選ばれる人・合格率【学長監修】

指定校推薦のデメリットとやめた方がいい人 受験の知識

指定校推薦は、校内選考を通れば合格に近づける入試として知られる一方、「やめた方がいい」という声もあります。この記事は、指定校推薦のデメリットを、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と大学の2027年度入試(2027年4月入学)の要項をもとに整理します。それぞれのデメリットが、国の決まり・大学の要項・高校の規定のどれから生まれているかを示します。そのうえで、メリット、公的な統計で分かる合格率、やめた方がいい人と向いている人を並べます。校内選考で選ばれる人の評定以外の観点と、判断の順番まで説明します。

指定校推薦のデメリット6つ:何が決めているかで見る

この節の答え指定校推薦のデメリットは6つで、辞退と勉強の止まり方は本人の選び方で小さくでき、指定校の決め方や校内選考は大学と高校が決める部分が大きいものです。

指定校推薦のデメリット この記事の要点
合格後の辞退
原則できない
合格したら入学する前提で出願する
出願できる大学
高校の枠の中
枠は大学が高校ごとに示す
大学の合否が出る時期
12月1日以降
2027年度入試の学校推薦型選抜
国公立の入学者÷合格者
99.8〜99.9%
令和7年度の学校推薦型選抜
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」、各大学の2027年度入試の要項による

指定校推薦は学校推薦型選抜の一つの方式で、大学が推薦を依頼した高校の生徒だけが、校内選考を通って出願できます。制度の全体と出願書類は「指定校推薦とは」の記事にまとめています。ここではデメリットに絞って見ます。

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の第3の1(3)によると、学校推薦型選抜は本人の意志だけでは出願できない入試です。志望する大学・学部で学ぶ力と意欲、適性があるかを、高校の校長が見きわめて推薦するからです。

指定校推薦のデメリットの多くは、この仕組みから生まれます。

指定校推薦のデメリット6つと、それを決めているもの
デメリット説明している節決めているもの小さくする手立て(この記事の目安)
合格したら入学が前提で、辞退できないデメリット1大学の要項(専願)と実施要項の想定第一志望かどうかを家族と決めてから申し込む
入試と入学後の実績が、次の年からの指定校の決め方に使われるデメリット1の中大学の指定校の選び方第一志望の大学で受け、入学後も学び続ける
出願できる大学・学部を自分で選べないデメリット2大学が高校ごとに示す推薦枠高2のうちに学びたい分野を決め、枠の外の入試も調べる
校内選考の基準と結果が外から見えにくいデメリット2の中高校の決まり基準・日程・同点の扱いを先生に聞く
一般選抜の勉強が止まりやすいデメリット3合格発表が12月1日以降で、一般選抜より早い入学までの学習計画を立てて続ける
推薦が決まった後も成績・生活・卒業が条件デメリット4高校の規定と実施要項の出願資格高3の授業・定期テスト・出席を保つ
「決めているもの」は文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」と、西南学院大学・帝京大学などの2027年度入試の公表資料による。手立てはこの記事の目安

6つのうち、本人の選び方で影響を小さくできるのは、辞退(デメリット1)と勉強の止まり方(デメリット3)です。指定校の決め方と推薦枠は大学が決めること、校内選考と推薦後の条件は高校の規定による部分が大きいことです。

次の節から、表の順に根拠を見ていきます。

総合型選抜のデメリットと比べたい人は総合型選抜のメリット・デメリット、二つの入試区分の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違いの記事も参考になります。

デメリット1:合格したら入学が前提で、辞退できない(専願)

この節の答え指定校推薦は合格したら入学する前提で、在学契約の後に辞退すると授業料等が返らない場合があります。国公立と併願できる指定校制を設ける大学もあります。

指定校推薦のデメリットとして最初に挙がるのが、合格したら入学することが前提になる点です。文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」も、この形を想定しています。

高校との丁寧なマッチングを前提に、合格したら入学することを本人が確約して受ける非公募型の学校推薦型選抜です(第3の1(3)①)。

どこまで縛られるかは、大学の要項や入試案内の書き方で分かります。下の表は、指定校推薦と専願・併願の関係を示している例です。

指定校推薦の専願・併願の書き方(2027年度入試の例)
大学要項・入試案内の書き方読み取れること
武蔵野大学(指定校学校推薦型選抜)武蔵野大学への入学を専願する、と案内している合格したらその大学に入学する前提
帝京大学(学校推薦型選抜 指定校制)指定校制は専願と明記。ほかの方式の説明では、指定校制などを除いて他大学と併願できるとしている。公募制も専願指定校制は、他大学と併願できる方式とは分かれている
上智大学(推薦入学試験 公募制)推薦入学試験(指定校制)と併願できないと明記同じ大学の公募制推薦と両方は出せない
立命館大学(AO選抜入学試験)指定校推薦入学試験と併願できるが、両方合格したら指定校推薦の学部に入学するのが基本併願できても、入学先は指定校推薦が優先
神奈川工科大学指定校制のほかに「4年制国公立大学併願型指定校制」を設けている国公立大学との併願を前提にした指定校制もある
各大学の2027年度入試の要項・入試案内による(くわしくは大学別の記事)

武蔵野大学や帝京大学のように、指定校推薦は他大学を受けずにその大学に入る前提で組まれるのが基本の形です。一方で、神奈川工科大学のように、国公立大学との併願を名前に掲げた指定校制もあります。

同じ大学で、指定校制の入学手続(1次)の締切は12月8日、4年制国公立大学併願型指定校制は3月15日6です(いずれも消印有効)。

合格した後に辞退すると、学費はどうなるか

大学は、3月31日までに入学辞退の意思表示をした人1の授業料等を、原則として返します(第10の2(4)①)。ただし、専願の入試や学校推薦型選抜で合格し、大学と在学契約を結んだ人は、この扱いの対象外です。

指定校推薦で入学手続をした後に辞退すると、納めたお金が戻らない場合があるということです。

入学手続の締切は、合格発表から短い大学があります。神奈川工科大学の指定校制では、発表が12月1日、入学1次手続が12月8日、延納の2次手続が1月8日です。

学費を誰がいつ用意するかは、校内選考に申し込む前に家族で話し合っておきます。

指定校は過去の実績をもとに決まる(次の年の枠との関係)

大学は、どの高校に推薦を依頼するかを、過去の実績を見て決めています。西南学院大学は、過去の入試実績と入学者の大学成績、地域性などを考慮して指定校を決めると公表しています。

帝京大学も、過去の志願者・合格者実績などを考慮すると5要項に書いています。

辞退があった時に大学がどう扱うかを定めた公開の規定は、この記事で見た要項には見当たりません。それでも、指定校推薦が高校と大学の継続した関係の上に成り立つ方式であることは、こうした公表資料から読み取れます。

迷いが残るまま校内選考に申し込まないことが、本人にとっても後輩にとっても大切です。

国公立大学やほかの私立大学も受けたい時

国公立大学の一般選抜を受けたい人は、指定校推薦が専願かどうかを最初に見ます。専願なら、合格した時点で国公立大学の受験は考えない前提になります。

同じ大学の総合型選抜と組み合わせられるかは大学ごとに違うので、総合型選抜の併願の記事で要項の例を見てください。

高校に、ほかの入試との組み合わせの決まりがあるかを先生に聞いておきます。大学の決まりと高校の決まりの両方を見てから、校内選考に申し込みます。

デメリット2:出願できる大学・学部を自分で選べない(推薦枠の仕組み)

この節の答え推薦枠は大学が過去の実績などを見て高校ごとに示し、一覧が届くのは高3の夏ごろなので、学びたい分野を先に決めてから一覧を見ます。

指定校推薦は、自分の高校に推薦枠がある大学・学部にしか出願できません。枠は大学が高校ごとに示すもので、高校ごとの人数を公表していない大学もあります。

公開されている数字の例として、西南学院大学は、2026年度入試で288校に318名の推薦を依頼した4としています。1校あたりにならすと約1.1名です。

2027年度入試の指定校推薦入試の募集人員は合計209名で、これとは別に学部独自の指定校推薦入試(合計396名)もあります。

指定校推薦の枠が生徒に届くまで(大学の公表資料の例)
出願の年の夏まで
大学が指定校と人数を決める
西南学院大学は過去の入試実績・入学者の大学成績・地域性、帝京大学は過去の志願者・合格者実績などを考慮
高3の7月以降
指定校の一覧を高校の進路指導室で見られる
西南学院大学は2027年度の指定校を7月以降に進路指導室で確かめるよう案内
高3の8月ごろ
大学から高校に要項が届く
武蔵野大学は例年8月頃に推薦を依頼する高校へ要項を送る
高3の夏前後
校内選考
日程と基準は高校ごとに違う
2026年11月1日以降
大学への出願
実施要項 第4の5
西南学院大学・帝京大学・武蔵野大学の2027年度入試の公表資料と文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」による。時期は大学・高校ごとに違う

要項そのものを、一般に公開しない大学もあります。國學院大學は指定校制推薦の詳細を依頼する高校に個別に伝え、神奈川工科大学も指定校制の要項を該当する高校に直接送るとしています。

西南学院大学は、指定校推薦入試の要項にパスワードをかけ、そのパスワードを指定する高校に知らせています。

枠に合わせて志望を変えると、何が起きるか

指定校の一覧が手元に届くのは、早くても高3の夏前後です。その一覧を見てから志望を考えると、「枠がある中で入りやすい大学」に気持ちが寄りやすくなります。

学びたい分野と違う学部に入ると、入学後の4年間の学びが続きにくくなるおそれがあります。

この記事の目安としては、高2のうちに学びたい分野と、その分野を学べる大学を先に決めます。そのうえで、一覧の中に重なる大学・学部があれば指定校推薦を考える、という順番が向いています。

重ならなければ、本人の意志で出願できる総合型選抜や公募推薦が候補になります(公募制の仕組みは{KOUBO})。

校内選考の基準と結果が見えにくい

誰を推薦するかは高校が決めます。比べる項目・重み・日程は高校ごとに違い、全国共通の基準はありません。時期と評定平均の扱い、1人枠の決め方は指定校推薦の校内選考の記事にまとめています。

デメリット3:一般選抜の勉強が止まりやすく、入学後の学びに響く

この節の答え合格発表は2026年12月1日以降で一般選抜より早く、実施要項は大学が入学前の課題などに努めるよう定めているので、合格後も土台の教科を続けます。

学校推薦型選抜の合格発表は、2026年12月1日以降です(文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」 第4の5)。一般選抜の教科の試験は2027年2月1日から3月25日の間1です(第4の2)。

指定校推薦で合格した人は、一般選抜の試験(2月1日〜)より前に進路が決まります。

指定校推薦の合格発表と一般選抜の日程(2027年度入試)
共通テストの出願・一般選抜の試験期日選考日・発表日
9月10月11月12月1月2月3月
学校推薦型選抜(指定校推薦を含む)
出願の受付は11月1日以降 11月1日/発表は12月1日以降 12月1日
大学入学共通テスト
共通テストの出願 9月15日〜10月2日/本試験(1月16日・17日) 1月16日
一般選抜の教科の試験
一般選抜の試験期日 2月1日〜3月25日/合格発表の期限 3月31日
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第4、大学入試センターの共通テスト出願期間による。9〜12月は2026年、1〜3月は2027年。大学ごとの日程は要項で見る

早く決まることはメリットでもあります。一方で、合格した後に受験勉強をやめると、高3の冬から入学までの4か月ほど、教科の勉強から離れることになります。

共通テストは、出願期間(2026年9月15日〜10月2日)3が校内選考の結果より前に終わる場合があります。

大学が求める「入学までの準備」

実施要項は大学に対して、入学手続をとった人に、必要に応じて入学までに取り組む課題を課すなど、入学後の学びの準備を講じるよう努めると定めています。12月以前の手続者に対しては、この準備を積極的に行うよう求めています(第13の13(3))。

学校推薦型選抜については、合格した後も推薦した高校の指導のもとで、合格した人に大学入学までの学習計画を立てさせる取り組みを例に挙げています。その取り組みの様子を高校を通じて大学に報告させるような、高校と大学の連携が望ましいとされています。

合格はゴールではなく、入学までの学びが続く前提の入試だということです。

入学後の授業についていけるか

指定校推薦で入学した人の大学での成績を、入試区分ごとに比べた全国の公的な統計は見当たりません。ただ、西南学院大学が指定校を決める時に「入学者の大学成績」を考慮していることから、大学が入学後の学びを見ていることは分かります。

この記事の目安として、入学する学部の授業の土台になる教科は、合格後も続けます。たとえば経済学部なら数学、外国語学部なら英語、看護学部なら生物と化学、といった例です。大学から課題が出る場合は、その課題を軸に計画を立てます。

指定校推薦で合格した後、入学までにやること
大学から届く入学前の課題と、その提出期限を手帳に書いた
入学する学部の授業の土台になる教科を決め、週ごとの学習時間を決めた
高3の残りの授業・定期テスト・提出物を、卒業まで続ける
高校から学習計画や取り組みの報告を求められたら、期限までに出す
入学手続の締切と、学費を納める時期を家族と共有した
入学後に取りたい資格や、学びたい授業を大学の案内で調べた

デメリット4:推薦が決まった後も、成績・生活・卒業が条件になる

この節の答え推薦の取り下げは高校の規定により、出願資格は卒業見込みなので、推薦が決まった後も高3の成績・生活・卒業が入学の条件として続きます。

校内選考で推薦が決まっても、それで終わりではありません。実施要項の第9は、出願資格を「大学の入学資格を有する者」か、入学の前までにその資格を持つ見込みの者としています。

高3の生徒は卒業見込みとして出願するため、3月に高校を卒業することが入学の条件になります。

推薦が決まった後に成績が大きく下がったり、校内の決まりに反する行為があったりした時に、推薦を取り下げるかどうかは高校の規定によります。実施要項には定めがありません。

取り下げの考え方と、落ちる場面ごとの原因は指定校推薦で落ちることはある?の記事で説明しています。

推薦を受けて出願する入試では、高3の後半の学校生活も条件として続きます。推薦が決まった後の成績や生活について校内の決まりがあるかは、早めに先生に聞いておきます。

指定校推薦のメリット:デメリットの裏側にある利点

この節の答え辞退できないことは一つの大学に準備を絞れること、枠が限られることは競う相手が少ないことの裏返しで、メリットにはそれぞれ成り立つ条件があります。

指定校推薦のメリットは、デメリットと同じ仕組みから生まれます。辞退できないことは、その大学一本に準備を絞れることの裏返しです。枠が限られることは、校内選考を通れば出願の段階で競う相手が少ないことの裏返しです。

指定校推薦のメリットと、それが成り立つ条件
メリット根拠成り立つ条件
調査書を主な資料に、高校3年間の積み重ねが評価される実施要項 第3の1(3)高1からの評定・出席・活動を保ってきたこと
入学を確約する非公募型では、面接の要否を大学が判断できる実施要項 第3の1(3)①大学の要項で選考の中身を見ること
一般選抜より早く進路が決まる実施要項 第4の5(発表12月1日以降)・第4の2合格後も学び続けること
受ける大学が一つなので、検定料や移動の負担が少ない専願の方式であること(この記事の整理)合格したら入学すると決めていること
入学前の学びを、大学と高校の支えのもとで準備できる実施要項 第13の13(3)課題や学習計画に取り組むこと
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」による。面接の有無と選考の中身は大学・学部ごとに違う

面接の要否を大学が判断できるというだけで、面接を行う指定校推薦もあります。実施要項は、学校推薦型選抜でも調査書や推薦書だけで決めないよう定めています。

小論文・口頭試問・共通テストなど、少なくとも一つの方法で学力を評価します(第3の1(3)②)。西南学院大学の指定校推薦入試は、選考方法を小論文および面接試験としています。

第8の2によると、学校推薦型選抜で募集できる人数は、附属高校の推薦分を含めても、学部などの入学定員の半分までです。入試区分ごとの日程と選考の違いは学校推薦型選抜とはの記事で整理しています。

指定校推薦の合格率は?公的な統計で分かる数字

この節の答え指定校制だけの合格率の公的な統計は見当たらず、令和7年度の学校推薦型選抜では国公立の合格者の99.8%以上が入学し、私立は69.3%でした。

指定校推薦の合格率を、指定校制に限って集計した公的な統計は見当たりません。公表されているのは、文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」にある学校推薦型選抜の数字で、公募制なども含みます。

合格者数を入学志願者数で割った割合は、令和7年度で57.8%でした(志願者・合格者とも延数)。この割合の国公私立別の内訳と読み方は、指定校推薦で落ちることはある?の記事にあります。

ここでは、同じ統計の別の見方として、合格した人のうち実際に入学した人の割合(入学者数÷合格者数)を、総合型選抜と並べて見ます。合格したら入学する前提の入試が、数字の上でどう表れるかが分かります。

入学者数÷合格者数(令和7年度・国公私立別)学校推薦型選抜と総合型選抜
学校推薦型選抜総合型選抜
国立大学
99.9%
92.0%
公立大学
99.8%
93.5%
私立大学
69.3%
78.0%
合計
71.5%
79.0%
文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」添付資料の合格者数と入学者数から、この記事で計算。志願者・合格者は延数。学校推薦型選抜は公募制と指定校制などの合計

国立大学の学校推薦型選抜では、合格者12,714人のうち12,706人が入学し2、割合は99.9%でした。公立大学も99.8%で、合格した人のほぼ全員が入学しています。

私立大学は69.3%で、総合型選抜の私立(78.0%)より低い値です。

この数字から言えること、言えないこと

私立大学の学校推薦型選抜には、他大学と併願できる公募制の方式も含まれます(併願の例は公募推薦とはの記事)。そのため、私立の69.3%から、指定校推薦の合格者がどれだけ入学したかを読み取ることはできません。

言えるのは、学校推薦型選抜の全体で見ても、国公立では合格がそのまま入学につながっていることです。「指定校推薦の合格率は◯%」という数字を見かけた時は、何を数えた数字か、出典はどこかを見てから読みます。

指定校推薦をやめた方がいい人・向いている人(この記事の目安)

この節の答え第一志望が決まっていない人や一般選抜で上を目指す人はやめた方がよく、枠のある学部で学びたい分野がはっきりしている人には向いています。

ここまでのデメリットとメリットを、本人の状況に当てはめて並べます。下の表は、東京修学館がこの記事で示す目安で、統計にもとづく区分ではありません。

指定校推薦をやめた方がいい人・向いている人(観点別)
観点やめた方がいい人向いている人関わるデメリット・決まり
志望の固まり方第一志望が決まっていない。ほかの大学と比べてから決めたい枠のある大学・学部が第一志望で、合格したら入学すると決めている専願・辞退と学費(第10の2(4)①)
受けたい入試の幅国公立大学や、より上の私立大学の一般選抜に挑みたい年内に一つの大学に絞って準備したい専願の方式、併願の制限
学びたい分野と枠枠のある学部に、学びたい分野がない学びたい分野と、枠のある学部が重なっている推薦枠は大学が高校ごとに示す
高3後半の学校生活成績や出席を保つ見通しが立たない事情がある高1から評定と出席を保ってきた推薦後の高校の規定、卒業見込み(第9)
合格後の時間合格したら勉強をやめるつもりでいる12月以降を入学前の学びに使える入学前の課題(第13の13(3))
選ばれなかった時指定校推薦のほかに受ける入試を考えていない総合型選抜・公募推薦・一般選抜のどれを受けるか決めてある校内選考は高校の決まり
東京修学館の目安。大学の決まりは各大学の要項、条文は文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」による

東京修学館の目安では、表の左の列に多く当てはまる人は、指定校推薦にこだわらない方が、選んだ後の後悔が少なくなります。本人の意志で出願できる総合型選抜や公募推薦、一般選抜を中心に考えます。

右の列に多く当てはまる人には、指定校推薦は準備の積み重ねがそのまま生きる入試です。

「やめた方がいい」と言われる場面の多くは、選び方の問題

指定校推薦そのものが悪い入試というわけではありません。デメリットが大きく出るのは、志望が固まらないまま「早く決まるから」と申し込んだ場合です。

分野と大学を先に決め、指定校推薦を手段の一つとして選べば、デメリットの多くは事前に織り込めます。

保護者が先に話し合っておきたいこと

保護者が関わるのは、主にお金と約束の部分です。入学手続の締切と納める金額、辞退した時に返らない場合があることを、校内選考の申し込み前に本人と共有します。

推薦入試には、帝京大学の学校推薦型選抜(公募制)のように、合格したら入学を確約できることを出願の条件にする方式もあります。

指定校推薦で選ばれる人の特徴と、もらうためにすること(評定以外の観点)

この節の答え推薦書は学部の受入方針に対応する学習歴や活動歴の評価を求められるので、学部の学びとの合い方と入学後も学び続ける意欲を言葉で示せるようにします。

校内選考で何をどの重さで比べるかは、高校ごとに違います。評定平均の条件の読み方と校内選考の時期は指定校推薦の校内選考の記事にまとめています。ここでは、評定以外に何が見られうるかを、国の決まりと大学の案内から整理します。

手がかりは、学校長が書く推薦書です。実施要項は、推薦書に書く中身として、志望する学部の受入方針(アドミッション・ポリシー)に照らした学力の三要素の評価を挙げています。

評価は本人の学習歴や活動歴にもとづいて書かれます。生徒が努力を要する点など、指導のうえで配慮したいことがあれば、それも書くよう定めています(第3の1(3)③)。

大学の側の言葉では、武蔵野大学が、推薦を得るに至った努力・活動・実績をもとに、大学入学後も継続して学習する意欲が高い人7を選抜すると案内しています。推薦する高校から見れば、入学後も学び続ける人かどうかが問われていると読めます。

校内選考で評定のほかに見られうる観点(この記事の整理)
観点先生が手がかりにするもの本人が示せること
学部の学びとの合い方志望の理由と、学部のアドミッション・ポリシーの対応学部の授業や学べる分野の名前を挙げて、自分の関心と結びつけて話せる
入学後も学び続ける意欲高3の授業・提出物への向き合い方合格した後の学習計画を、教科の名前を挙げて言える
推薦書に書ける具体的な事実活動の記録、役割、続けた期間活動の時期・役割・学んだことをまとめたメモを先生に渡す
大学の選考への備え大学が課す面接・小論文校内選考の前から、面接で話す内容と小論文の練習を始めている
約束を守れるか合格したら入学する意思、締切を守る姿勢第一志望であることと、家族と話し合ったことを伝えられる
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第3の1(3)③と武蔵野大学の入試案内をもとにした整理。比べる項目と重みは高校ごとに違う

推薦書は先生が書くものですが、材料を渡すのは本人です。活動の記録をどうまとめて渡すかは推薦書の頼み方の記事で説明しています。

指定校推薦をもらうには:評定のほかに、今日から動けること

指定校推薦をもらうために、評定のほかに準備すること
志望する学部のアドミッション・ポリシーを読み、自分の経験と重なる言葉に線を引いた
学部の授業の名前を3つ以上調べ、その中で学びたいことを一文で書いた
高校でした活動の時期・役割・学んだことを1枚にまとめた
進路希望調査や面談で、指定校推薦を考えていることと、その理由を先生に伝えた
合格したら入学することと学費について、家族と話し合った
大学の選考に面接や小論文がある場合に備えて、練習を始める日を決めた

どれも、選ばれた後の大学の選考と、選ばれなかった時の総合型選抜にそのまま使える準備です。指定校推薦に向けた努力が、ほかの入試でも無駄にならない形で進めておくと安心です。

指定校推薦の流れと、デメリットを小さくする判断の順番

この節の答え学びたい分野を決め、枠と条件を聞き、第一志望かを家族と決め、選ばれなかった時の入試を並べてから校内選考に申し込むと、後悔が少なくなります。

指定校推薦の流れは、学びたい分野を決める段階から始まります。年間の日程の全体は指定校推薦とはの記事に一般的な例で並べています。ここでは、デメリットを避けるために、どの段階で何を決めるかを順番にまとめます。

指定校推薦を選ぶかどうかの判断の順番(2027年度入試)
1
学びたい分野を決める
高2までに。枠の一覧を見る前に決めておく
2
枠と推薦の条件を先生に聞く
一覧が示される時期、評定・欠席などの条件、校内選考の日程
3
第一志望かどうかを家族と決める
辞退できないこと、学費の扱い
4
選ばれなかった時の入試を並べる
総合型選抜の出願は2026年9月1日以降。公募推薦・一般選抜の日程も
5
校内選考に申し込む
志望理由書や校内面接を求める高校もある
6
出願と大学の選考
出願の受付は2026年11月1日以降、発表は12月1日以降
7
合格後、入学までの学習計画
大学の課題と高校の指導のもとで続ける
日付は文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第4。それ以外の時期は一般的な例で、高校・大学ごとに違う

3つ目の段階で迷いが残るなら、校内選考に申し込まないのも一つの判断です。その場合は、4つ目で並べた入試に準備を移します。

総合型選抜の出願は9月から始まるので、指定校推薦と並行して書類を進めておくと、どちらに進んでも動けます。

指定校推薦で落ちた場合や、ほかの推薦入試で不合格になった後の出願先は、推薦入試で不合格になったらの記事に日付つきでまとめています。

よくある質問

Q. 指定校推薦で合格した後に辞退すると、どうなりますか?
A. 合格したら入学することを前提に受ける方式なので、辞退は原則として考えない前提で出願します。文部科学省の実施要項は、3月31日までの辞退で授業料等を返す原則から、専願の入試や学校推薦型選抜で合格し在学契約を結んだ人を外しています。納めたお金が戻らない場合があるので、迷いがある時は校内選考に申し込む前に決めます。
Q. 指定校推薦と国公立大学の一般選抜は併願できますか?
A. 武蔵野大学や帝京大学が要項や入試案内で専願と明記しているように、指定校推薦は合格したらその大学に入学する前提が基本です。ただし、神奈川工科大学のように「4年制国公立大学併願型指定校制」を別に設け、入学手続の締切を3月15日にしている例もあります。高校に届く要項と、校内の決まりの両方を先生に聞きます。
Q. 指定校推薦の枠は、毎年同じ大学・学部に来ますか?
A. 同じとは限りません。西南学院大学は過去の入試実績と入学者の大学成績、地域性などを、帝京大学は過去の志願者・合格者実績などを考慮して指定校を決めると公表しています。前の年の一覧は参考にとどめ、高3の夏前後に示される一覧で判断します。
Q. 指定校推薦の合格率はどれくらいですか?
A. 指定校制だけの合格率を示す公的な統計は見当たりません。学校推薦型選抜の数字(令和7年度)で見ると、合格者数÷入学志願者数が57.8%、入学者数÷合格者数は国立99.9%、公立99.8%、私立69.3%でした。志願者・合格者は延数で、公募制も含みます。
Q. 指定校推薦で入ると、大学の授業についていけなくなりますか?
A. 入試区分ごとに入学後の成績を比べた全国の公的な統計は見当たりません。実施要項は、12月以前に入学手続をした人には、入学前の課題などの準備を積極的に講じるよう大学に定めています。合格後も、入学する学部の土台になる教科を続ければ、勉強が止まるデメリットは小さくできます。
Q. 指定校推薦と総合型選抜は、どちらを選べばいいですか?
A. 第一志望の大学・学部の枠が自分の高校にあり、合格したら入学すると決めているなら指定校推薦が候補になります。枠がない、またはほかの大学と比べたいなら、本人の意志で出願できる総合型選抜が候補です。総合型選抜の出願は9月1日以降に始まるので、両方の準備を並行させる人もいます。

まとめ

指定校推薦のデメリットは6つです。合格したら辞退できないこと、実績が次の年の指定校の決め方に使われること、出願できる大学が高校の枠に限られることが前半の3つです。

校内選考の基準が見えにくいこと、一般選抜の勉強が止まりやすいこと、推薦後も成績・生活・卒業が条件になることが後半の3つです。多くは仕組みから生まれるもので、学びたい分野と大学を先に決め、第一志望の枠がある時に選べば、事前に織り込めます。

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参考資料

この記事は次の公式資料をもとに書いています。数字や日程は必ず最新の要項で確かめてください。

  1. 令和9年度大学入学者選抜実施要項文部科学省・2026-05-27・PDF
  2. 令和7年度国公私立大学入学者選抜実施状況(令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要 添付資料)文部科学省・2025-11-26・PDF
  3. 令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項大学入試センター・2026-06-02・PDF
  4. 指定校推薦入試・学部独自の指定校推薦入試(学校推薦型選抜)西南学院大学
  5. 入学試験要項2027 総合型選抜・学校推薦型選抜・広域多摩地域密着型奨学選抜・奨学特待生選抜帝京大学・2026-07・PDF
  6. 2027年度 募集要項(総合型選抜・学校推薦型選抜)神奈川工科大学
  7. 入試制度(2027(令和9)年度入試)武蔵野大学
  8. 2027年度 入学試験要項 推薦入学試験(公募制)上智大学・PDF
  9. (総合型選抜)AO選抜入学試験 Q&A立命館大学
  10. 総合型選抜・学校推薦型選抜入学試験國學院大學
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