小論文の構成|4つの型の選び方と段落の設計図・字数別の目安【学長監修】

小論文の構成 受験の知識

最終更新: 2026-10-08 / 監修: 家近亮子(東京修学館 学長) / 出典: 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、各大学の2027年度入試の募集要項

小論文の構成を、書く前に決める「段落の設計図」として説明します。4つの構成の型の選び方、設計図を書く手順、字数別の段落数と字数の目安を表にまとめました。同じテーマを三段と四段で組んだ設計図と、崩れた設計図を直す前と後の例も載せています。三段構成の基本、序論の例文、1,200字の模範例文は、「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方で説明しています。

小論文の構成とは:段落に役割を割り当てる設計図

小論文の構成 この記事の要点
構成の型
4つ
三段・四段・主張先行・比較
設計図の手順
5段階
問い→結論→理由→割り当て→執筆
序論の目安
1〜1.5割
「小論文の書き方」の記事の配分と同じ
本論の目安
6〜7割
理由は段落ごとに一つ

小論文の構成とは、どの段落で何を言うかを、書く前に決めたものです。段落ごとに「立場」「理由と具体例」「反対意見の検討」「立場の再確認」などの役割を一つ割り当て、字数も決めます。この記事では、これを段落の設計図と呼びます。

設計図があると、書いている途中で論の向きが変わりにくくなります。読み手も、各段落の役割を追いながら、主張と根拠のつながりを確かめられます。

構成が評価にかかわる理由

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、小論文や面接などを使う目的を示しています(第6の3)。評価する能力・適性等には、次の二つが含まれています。一つは「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」です。もう一つは「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」です。

同じ意見でも、理由がどの順で、どの根拠と結びついて示されるかで、考えた過程の伝わり方は変わります。構成は、その過程を読み手に見える形にする部分です。

実施要項は、総合型選抜について、調査書などの出願書類だけでなく、ほかの評価方法を少なくとも一つ使うよう定めています(第3の1(2)③)。その評価方法は、教科・科目のテスト、共通テスト、小論文・面接等、資格・検定試験の成績です。実施要項は、小論文のテーマを大学が積極的に公表することも望ましいとしています(第13の3)。志望大学の過去の出題を確かめ、その形に合う構成を練習します。

構成を決めずに書いた答案と、設計図を作ってから書いた答案
見られる点構成を決めずに書いた答案設計図を作ってから書いた答案
立場書きながら決まり、序論と結論でずれることがある書く前に一文で決まっていて、序論と結論で一致する
理由思いついた順に並び、同じ理由が繰り返される互いに違う理由が、段落ごとに一つずつ置かれる
字数前半に使いすぎ、結論が短くなる段落ごとの字数が先に決まっている
段落役割が重なったり、一つの段落に二つの話が入る一つの段落に一つの役割
説明のための整理。評価の観点は大学・学部ごとに要項や公表資料で確かめる

小論文の構成の型は4つ:出題形式と字数で選ぶ

小論文の構成には、よく使われる型が4つあります。「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方は、基本の三段構成(序論・本論・結論)を中心に説明しています。ここでは、4つの型をいつ使うかに絞って整理します。

小論文の構成の型 4つの比べ方
型段落の並び向く設問・出題形式向く字数
三段構成序論(立場)→本論(理由と具体例)→結論(立場の再確認)「あなたの考えを述べなさい」。テーマ型・課題文型の基本400〜1,200字のどれでも
四段構成問題提起→現状分析→解決策→結論「問題点を挙げ、解決策を述べなさい」。政策や制度の問題を問う設問に向く800字以上
主張先行の型(PREP法)主張→理由→具体例→主張字数の少ない設問、小問に分かれた設問の意見の部分300字以下(400字前後は短い三段構成でもよい)
比較型論点の提示→一方の考え→もう一方の考え→比べた結論「賛否を論じなさい」「AとBのどちらが望ましいか」800字以上
型の名前は本や学校によって違う。四段構成を「問題提起・意見提示・論拠提示・結論」と分ける説明もある

三段構成:どの設問にも使える基本の型

三段構成は、序論で立場を示し、本論で理由と具体例で支え、結論で立場を言い直す型です。字数が増えたら、本論を理由ごとの段落に分けます。迷った時は、この型を選びます。

四段構成:問題と解決策を問う設問に

四段構成は、本論を「現状分析」と「解決策」に分けた型です。設問が問題点と解決策の両方を求めている時に使います。現状分析で挙げた問題の数と、解決策で答える問題の数をそろえると、論のつながりが見えます。

主張先行の型(PREP法):短い字数や小問に

主張→理由→具体例→主張の順に書く型です。三段構成を短く縮めた形です。200〜300字の設問では、序論や結論に段落を分ける余裕がないため、この型で1〜2段落にまとめます。

比較型:賛否や二つの案を比べる設問に

比較型は、対立する二つの考えを順に検討してから、自分の結論を出す型です。両方の考えに段落を使うので、800字以上の設問に向きます。結論では、どちらを選ぶかと、比べた基準を示します。

三段構成の本論に「反対意見の検討」を1段落入れる形も、比較の考え方を使っています。「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方では、これを1,200字の本論のパターンとして説明しています。

設問の言葉から型を選ぶ

型は、設問が何を求めているかで決まります。設問の最後の指示の言葉と、字数を確かめます。

設問の言い方と選ぶ型(設問は説明のための創作)
設問の言い方の例選ぶ型理由
〇〇について、あなたの考えを述べなさい(800字以内)三段構成立場と理由が問われている
〇〇の問題点を挙げ、その解決策を論じなさい(1,000字以内)四段構成問題点と解決策の両方が問われている
〇〇に賛成か反対か、立場を明らかにして論じなさい(1,200字以内)比較型、または反対意見の検討を入れた三段構成反対の立場への応答が求められている
〇〇について、あなたの意見を述べなさい(200字以内)主張先行の型(PREP法)段落を分ける余裕がない
筆者の主張を要約し、あなたの考えを述べなさい(800字以内)三段構成(序論に要約)要約と意見の二つが問われている
資料から読み取れることを示し、考えを述べなさい(800字以内)三段構成(本論の最初に読み取り)読み取りと意見の二つが問われている
小論文の構成の型を選ぶ手順
1
設問の指示の言葉を読む
「考えを述べよ」「解決策を論じよ」「賛否を論じよ」など、何を求めているかを確かめる
2
出題形式を確かめる
テーマ型・課題文型・資料型のどれか。課題文や資料を構成のどこに入れるかが変わる
3
字数を確かめる
400字前後なら主張先行の型(PREP法)か短い三段構成。300字以下は主張先行の型(PREP法)。800字以上なら四段構成や比較型も使える
4
型と段落の数を決める
字数別の目安の表から、段落の数と各段落の字数を決める

要項にある小論文の字数の例

小論文の字数と時間は、大学・学部・方式ごとに違います。2027年度入試(2027年4月入学)の要項から、このサイトの大学別・学部別の記事で確かめた例を並べます。

小論文の字数の例(2027年度入試の要項)
慶應義塾大学 法学部(FIT入試B方式)
400字
上智大学 法学部(推薦入学試験・公募制)
800字
武蔵大学 社会学部(ゼミ力重視方式)
800字
九州大学 医学部保健学科(総合型選抜Ⅱ)
900字
國學院大學 法学部 法律専攻(公募制自己推薦・AO型)
1,000字
関西大学 法学部(AO入試Ⅱ型)
1,000字
上智大学 フランス語学科(推薦入学試験・公募制)
1,400字
要項の記載による。「程度」の有無は次の表のとおり。出願する年度の要項で確かめる
小論文の字数と時間の例(2027年度入試の要項)
大学・学部(方式)試験字数時間・補足
慶應義塾大学 法学部(FIT入試B方式)総合考査Ⅱ(小論文)400字程度45分。総合考査Ⅰは資料を読み取り400字程度にまとめる(45分)
上智大学 法学部(推薦入学試験・公募制)小論文800字60分。法律・国際関係法・地球環境法学科
武蔵大学 社会学部(ゼミ力重視方式)小論文800字程度80分
九州大学 医学部保健学科(総合型選抜Ⅱ)小論文900字程度個人面接またはグループ面接もある
國學院大學 法学部 法律専攻(公募制自己推薦・AO型)小論文試験1,000字程度120分。法・政治に関連するテーマ
関西大学 法学部(AO入試Ⅱ型)指定図書の小論文1,000字程度90分。指定図書について書く
上智大学 フランス語学科(推薦入学試験・公募制)小論文1,400字60分

400字前後の試験では、主張先行の型(PREP法)か、短い三段構成で書きます。800字前後では本論を2段落に、1,000字前後では2〜3段落に分けた三段構成か、四段構成が使えます。1,400字のように、次の節の字数別の表の上限を超える時は、1,200字の配分を同じ比率で広げます。大学ごとの選考の形は、法学部の総合型選抜などの学部別の記事でもまとめています。

段落の設計図を書く手順と、字数別の段落の目安

型を選んだら、段落の設計図を書きます。設計図は、段落ごとに役割、字数、書くことのメモを並べた箇条書きです。次の5段階で作ります。

小論文の段落の設計図を書く手順
1
問いを一文にする
設問の指示の言葉と条件を入れて、何に答えるのかを一文で書く
2
結論を決める
問いへの答えを一文で書く。賛成・反対・条件付きのどれかをはっきりさせる
3
理由を二つに絞る
候補を出し、具体例を用意できる二つを選ぶ。600字以下なら一つ
4
段落に役割と字数を割り当てる
型と字数の目安から、段落ごとに役割を一つと字数を決める
5
書く
各段落の最初の一文を、設計図の役割どおりに書き始める

手順ごとに書き出すもの

設計図の手順と書き出すものの例(制服の設問)
手順書き出すもの例(800字以内・三段構成)
1. 問いを一文にする何に答えるのか服装を学校が一律に決めるか、生徒が選ぶかについて、自分の考えを800字以内で述べる
2. 結論を決める問いへの答えの一文制服は残し、種類を選べるようにすべきだ
3. 理由を二つに絞る具体例を用意できる理由理由は一つ(家庭の負担の差を広げない)。二つ目が出ないので、反対意見(個性を表せる)への答えを二つ目の段落にする
4. 役割と字数を割り当てる段落ごとの役割と字数序論100字・本論1 300字・本論2 250字・結論150字
5. 書く各段落の最初の一文設計図の役割の言葉から書き始める
例は説明のための創作。設計図の全体は次の節に載せた

手順3で理由が一つしか出ない時は、予想される反対意見を一つ挙げ、それに答える段落を二つ目の本論にします。三段構成の本論は、理由の段落と反対意見の検討の段落を組み合わせて作れます。

字数別の段落数と各段落の字数の目安

段落の数と字数は、全体の字数で決まります。次の表は、「小論文の書き方」の記事「小論文の書き方」の配分(序論1〜1.5割、本論6〜7割、結論1.5〜2割)と同じ比率で、字数ごとに割り当てた目安です。

小論文の字数別 段落数と各段落の字数の目安
全体の字数段落の数各段落の字数本論の組み立て
400字3段落序論50・本論270・結論80理由を一つ。短い設問は主張先行の型(PREP法)で1〜2段落にしてもよい
600字3段落序論80・本論400・結論120理由を一つに絞り、具体例を一つ
800字4段落序論100・本論1 300・本論2 250・結論150理由二つ、または理由一つと反対意見の検討
1,000字5段落序論120・本論1 280・本論2 260・本論3 160・結論180理由二つと反対意見の検討、または四段構成
1,200字5段落序論150・本論1 320・本論2 320・本論3 200・結論210理由二つと反対意見の検討、または四段構成
800字は「小論文の書き方」の記事の骨組み、1,200字は「小論文の書き方」の記事の配分の目安と同じ字数。800字は3段落、1,000〜1,200字は4段落でもよい。比較型の例:1,000字は序論120・一方の考え350・もう一方の考え350・比べた結論180、1,200字は150・420・420・210
字数別 本論に使う字数の目安
400字
270字
600字
400字
800字
550字
1,000字
700字
1,200字
840字
どの字数でも、本論が全体の6〜7割になるように割り当てた

段落を設計する時の決まりごと

段落の設計で守ること
決まりごと理由
一つの段落に、役割を一つだけ割り当てる二つの理由が一段落に入ると、どちらも説明が足りなくなる
段落の最初の一文で、その段落の役割が分かるように書く最初の一文だけを拾い読みしても、論の筋が追える
本論の段落の字数は、立場を支える重さの順にする最も強い理由に最も多くの字数を使う
結論の段落に、新しい役割を割り当てない結論は本論で示したことを受けて立場を言い直す場所

設計図の実例:同じテーマを三段と四段で組む

同じ制服のテーマでも、設問が違えば型が変わります。立場を問う設問は三段構成、問題点と解決策を問う設問は四段構成で組みます。どちらも説明のための創作で、完成した本文ではなく設計図です。三段・四段は答案を分ける部分の数のことで、段落の数とは一致しません。

三段構成の設計図(800字以内)

設問:「高校の制服を廃止し、服装を自由にすべきか。あなたの考えを述べなさい(800字以内)」

設計図|三段構成・800字以内(計800字)

第1段落 序論(立場・100字):問い=服装を学校が一律に決めるか、生徒が選ぶか。立場=制服は残し、種類を選べるようにすべきだ。論点の予告=家庭の負担と、自分で選ぶ経験の二つ

第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):理由1=制服をなくすと、毎日の服をそろえる費用と手間が家庭ごとに違ってくる。具体例=私服の高校に通う知人が、毎朝の服選びと買い足しの出費を負担に感じていた話。つなぎ=制服には、服の差を見えにくくする働きがある

第3段落 本論2(反対意見の検討・250字):反対意見=自由にすれば個性を表せる。検討=たしかに一理ある。しかし、スラックスとスカート、上着の種類を選べる制服でも、選ぶ経験は得られる。費用の差を広げずに済む

第4段落 結論(立場の再確認・150字):本論の要点=負担の差を広げず、選ぶ経験もできる。立場=制服は残し、種類を選べるようにすべきだ(序論と同じ言葉で)

本論1は理由と具体例、本論2は反対意見の検討です。字数は字数別の目安の800字と同じにしています。序論で予告した「家庭の負担」と「選ぶ経験」が、本論1と本論2に一つずつ対応しています。

四段構成の設計図(1,200字以内)

設問:「高校の制服をめぐる問題点を挙げ、その解決策を述べなさい(1,200字以内)」。「小論文の書き方」の記事の本論パターンB(問題点と解決策)を設計図にしたものです。

設計図|四段構成・1,200字以内(計1,200字)

第1段落 序論(問題提起・150字):問い=制服の何が問題か。方向=問題は制服があることではなく、季節や体の変化に合わせにくいことにある。この後、現状と解決策を示すと予告する

第2段落 本論1(現状分析・340字):問題点を二つに分ける。①季節に合わない(夏の上着の暑さ、冬のスカートの寒さ)。②成長で体に合わなくなると、買い直す負担が大きい。それぞれに、身近な例を一つ

第3段落 本論2(解決策・300字):①には、夏冬の上着とスラックス・スカートを組み合わせて選べる形にする。②には、サイズの交換と、卒業生からの譲り受けの仕組みを学校が用意する。現状分析の①②に一つずつ対応させる

第4段落 本論3(課題と対応・200字):課題=種類が増えると、購入費が上がる。対応=標準の組み合わせを一つ決め、追加の種類は希望者だけが買う形にする

第5段落 結論(立場の再確認・210字):現状分析の二つの問題と、それぞれに対応する解決策を一文ずつで振り返る。立場=選べる形と譲り受けの仕組みで、制服の利点を残したまま問題を解消できる

現状分析で挙げた二つの問題に、解決策が一つずつ答えています。1,200字なので、解決策の部分を「解決策」と「課題と対応」の2段落に分け、全体を5段落にしています。「課題と対応」では、解決策への反論に先に答えています。結論では、問題と解決策の組を振り返ります。

同じテーマで比べる 三段構成と四段構成の設計図
比べる点三段構成(800字)四段構成(1,200字)
設問が求めること制服を廃止すべきかへの立場問題点と解決策
序論の中身立場と論点の予告何が問題かと、解決の方向
本論の中身理由と具体例、反対意見の検討現状分析、解決策、課題と対応
結論の中身立場を序論と同じ言葉で言い直す問題と解決策の組を振り返る
段落の数4段落5段落

設計図ができたら、各段落の最初の一文を書き出してから本文に進みます。三段構成を1,200字の構成で文章にした例は、「小論文の書き方」の記事の小論文の書き方で読めます。

序論・本論・結論の構成上の役割と、崩れる典型の直し方

序論・本論・結論には、それぞれ構成の上での役割があります。役割が守られていないと、一文ずつは正しくても、答案全体の筋が通りません。

序論・本論・結論の構成上の役割と、崩れる典型
部分構成上の役割崩れる典型直し方
序論問いへの答え(立場)を先に置き、本論で何を論じるかの道筋を示す背景の説明だけで終わり、立場を書かない序論の中に「私は〜と考える」の一文を入れる
本論立場を支える理由を、段落ごとに一つずつ置く2段落が同じ理由の繰り返しになる設計図の段階で違う理由を二つ出す。出ない時は反対意見の検討の段落にする
結論本論の要点を受けて、立場を言い直す本論で論じていない理由や提案を出す新しい話は本論に移すか、削る

型ごとに変わる序論の中身

序論で示すものは、型によって少し変わります。どの型でも、序論の中で立場か問題の方向が分かるようにします。

構成の型ごとの序論の中身
型序論に入れるもの序論に入れないもの
三段構成問いの言い換え、立場、論点の予告理由の説明と具体例
四段構成何が問題か、解決の方向問題の原因の分析(現状分析の段落に回す)
主張先行の型(PREP法)主張の一文背景の説明
比較型対立する二つの考えと、自分の立場どちらか一方の考えの詳しい説明
序論の書き出しの例文は「小論文の書き方」の記事に5パターン載せている

崩れた設計図を直す前と後

構成の崩れは、本文を書く前の設計図の段階で直せます。よくある3つの形を、直す前と後の設計図で並べます。いずれも説明のための創作です。

例1|序論に立場がない

テーマ「町の商店街の空き店舗をどう生かすか」800字。背景と案の紹介で本論が終わり、立場が最後の段落まで出てきません。読み手は、何のための説明なのか分からないまま読むことになります。

直す前の設計図|序論に立場がない(計800字)

第1段落 序論(背景・100字):空き店舗が増えた背景(人口の減少、郊外の大型店)

第2段落 本論1(現状・300字):空き店舗の様子と、困っている人の例

第3段落 本論2(案の紹介・250字):若い人の起業に貸す案と、地域の集会所にする案を並べる

第4段落 結論(立場・150字):若い人の起業に貸すべきだと、ここで初めて書く

直した後の設計図(計800字)

第1段落 序論(立場・100字):立場=空き店舗は、若い人の起業の場として安く貸すべきだ。論点の予告=人が来る理由と、集会所にする案との比べ方

第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):新しい店は、それ自体が人の来る理由になる。例=空き店舗に開いた店に、近くの高校生が集まるようになった場面

第3段落 本論2(反対意見の検討・250字):集会所にすべきだという意見を検討する。集会所の役割は、店の一角を地域に開くことでも果たせる

第4段落 結論(立場の再確認・150字):起業の場として貸すことが、人の流れと地域の場を両立させると言い直す

例2|本論の2段落が同じ理由の繰り返し

テーマ「高校の夏休みの課題は、生徒が選べるようにすべきか」800字。本論が2段落あるのに、理由は一つです。2段落目は1段落目の言い換えになり、字数を使っても論は深まりません。

直す前の設計図|本論の2段落が同じ理由の繰り返し(計800字)

第1段落 序論(立場・100字):立場=課題は、生徒が選べる形にすべきだ

第2段落 本論1(理由と具体例・300字):理由=一律の課題は写して出す生徒がいる。例=友人Aの話

第3段落 本論2(同じ理由と別の例・250字):理由=写して出す生徒がいる(同じ理由)。例=友人Bの話

第4段落 結論(立場の再確認・150字):課題は選べる形にすべきだ

直した後の設計図(計800字)

第1段落 序論(立場・100字):立場=課題は、生徒が選べる形にすべきだ。論点の予告=課題の中身と、休み明けの学び

第2段落 本論1(理由1と具体例・300字):理由1=一律の課題は、得意な生徒にも苦手な生徒にも合いにくい。例=同じ問題集を、早く終える生徒と写して出す生徒がいる

第3段落 本論2(理由2と具体例・250字):理由2=自分で選んだ課題は、休み明けに人へ説明できる学びとして残る。例=自分で選んだ調べ学習を、授業で発表した経験

第4段落 結論(立場の再確認・150字):合う課題と、説明できる学びの二つを挙げ、選べる形にすべきだと言い直す

例3|結論で新しい話を出す

テーマ「公共図書館は夜間も開館すべきか」600字。カフェの提案は、本論で一度も論じていない新しい話です。結論で新しい話を出すと、本論で何を示したのかがぼやけます。

直す前の設計図|結論で新しい話を出す(計600字)

第1段落 序論(立場・80字):立場=夜間も開館すべきだ

第2段落 本論(理由と具体例・400字):理由=働く人や高校生が使える時間に開いていない。例=閉館時刻が部活動の終わる時刻より早い

第3段落 結論(立場と新しい提案・120字):夜間も開館すべきだ。さらに、館内にカフェを置けば若い人も来るだろう

直した後の設計図(計600字)

第1段落 序論(立場・80字):立場=夜間も開館すべきだ。論点の予告=使いたい人が使える時間

第2段落 本論(理由と具体例・400字):理由=働く人や高校生が使える時間に開いていない。例=閉館時刻が部活動の終わる時刻より早い。夜間に開けば、使える人が増える

第3段落 結論(立場の再確認・120字):本論の要点(使いたい人が使える時間に開く)を一言で受け、夜間も開館すべきだと言い直す

例3の600字は本論が1段落なので、理由は一つで足ります。困るのは、例2のように本論を2段落に分けたのに、同じ理由を繰り返す時です。

課題文型・資料型で構成が変わるところ

課題文型と資料型でも、序論・本論・結論の骨組みは変わりません。変わるのは、課題文の要約や資料の読み取りを、構成のどこに置くかです。

出題形式ごとに構成で変わるところ
出題形式序論に置くもの本論の最初に置くもの崩れやすい点
テーマ型問いの言い換えと立場理由1と具体例論点が広がり、理由が散らばる
課題文型課題文の主張の要約(1〜2文)と、それへの立場筆者の主張のどこに賛成・反対するかと、その理由要約が長くなり、本論が薄くなる
資料型資料から読み取れる傾向の一言と、立場や問い資料の読み取り(数値の変化や差)読み取りだけで終わり、意見がない
ミックス型資料の傾向が課題文の主張を支えるか、くずすかの見立てと、立場資料の数値を、課題文の主張に当てはめた検討課題文と資料を別々に論じてしまう
設問が「要約」「読み取り」と「意見」の小問に分かれている時は、小問ごとに答える

課題文型:要約は序論に短く

課題文型では、序論で筆者の主張を1〜2文で要約し、それに対する立場を示します。要約の分だけ序論は長くなりますが、全体の1.5割までに収めます。本論では、要約を繰り返さず、自分の理由に字数を使います。

設計図|課題文型・三段構成・800字以内(課題文は創作)(計800字)

第1段落 序論(要約と立場・120字):課題文の主張の要約(1〜2文)=筆者は、地域の祭りは観光客ではなく住民のためにあると述べる。立場=条件付きで反対。住民のための祭りという点は認めるが、観光客を遠ざけるべきではない

第2段落 本論1(認める点・300字):筆者の主張のうち、認める点を示す。理由=担い手が住民でなければ、祭りは続かない。例=自分の町の祭りの準備

第3段落 本論2(反対する点・250字):筆者が見落としている点=外から見に来る人がいることが、住民が祭りを続ける動機にもなる。例=見に来た人の言葉で、準備の意味を知った場面

第4段落 結論(立場の再確認・130字):住民のための祭りという点は認めつつ、観光客を遠ざけるべきではないと、条件付きの反対の立場を言い直す

本論1で筆者の主張の認める点を示し、本論2で筆者が見落としている点を挙げています。全面的な賛成か反対かではなく、どこまで認めるかを分けると、要約との違いがはっきりします。

資料型:読み取りは本論の最初の段落に

資料型では、資料の読み取りを本論の最初の段落に置きます。読み取りは、数値の変化や差を傾向として一言でまとめます。2段落目以降を、その傾向の理由の考察と自分の意見にあてます。

資料の読み取りだけを求める設問もあります。たとえば慶應義塾大学 法学部のFIT入試B方式の総合考査Ⅰは、資料を読み取り400字程度にまとめる試験です。資料を使う形式は他にもあり、学習院大学 法学部 政治学科の学校推薦型選抜(公募制)は、評論・グラフ・図表などの資料を分析する論述問題です。設問が意見を求めているかどうかを確かめてから、型を選びます。

英文や指定図書を読んで書く形

筑波大学の教育学類の推薦入試は、専門に関連する英語の文章を読む形式の小論文です。関西大学 法学部のAO入試Ⅱ型は、指定図書についての小論文(90分、1,000字程度)です。読む素材が英文や本でも、設問が要約と意見を一続きで求める場合は、課題文型と同じ組み立てにします。要約を序論に置き、本論で自分の理由を示します。

構成を決めたら確かめるチェックリスト

設計図を作ったら、書き始める前に次の点を確かめます。本文を書いた後に、設計図と答案を見比べる時にも使えます。

小論文の構成のチェックリスト
設問の指示の言葉(述べよ・論じよ・説明せよ)を、問いの一文に入れた
出題形式と字数から、型を一つ選んだ
結論を一文で書け、その一文が序論に入っている
理由は互いに違う内容で二つある。または、理由一つと反対意見の検討がある(600字以下なら理由一つ)
各段落に役割が一つずつ割り当てられ、字数が書いてある
本論の字数の合計が、全体の6〜7割になっている
結論の段落に、本論で論じていない理由や提案がない
課題文型は要約を序論に、資料型は読み取りを本論の最初に置いた
各段落の最初の一文だけを読んでも、全体の筋が分かる

設計図を練習と面接に使う

練習では、答案と一緒に設計図も残しておきます。添削で指摘を受けた時、構成の問題か、文の問題かを分けて直せるからです。

小論文の内容について面接で聞かれる方式もあります。筑波大学の推薦入試(社会学類)は、個別面接に小論文の内容に関する設問や口頭試問を含みます。設計図に書いた理由と反対意見への答えは、そのまま口頭での説明の準備になります。答え方は口頭試問の対策で説明しています。

出願時に提出する課題レポートも、序論・本論・結論で組み立てる点は同じです。調べた資料の扱い方は課題レポートの書き方を参考にしてください。

よくある質問

Q. 小論文の三段構成と四段構成は、どう使い分けますか?
A. 設問の言葉で決めます。「あなたの考えを述べなさい」のように立場を問う設問は、三段構成で組みます。「問題点を挙げ、解決策を述べなさい」のように問題と解決策を問う設問は、四段構成で組みます。四段構成は、三段構成の本論を現状分析と解決策に分けた形です。600字以下では段落が細かくなりすぎるため、三段構成が書きやすくなります。
Q. 起承転結で小論文を書いてもいいですか?
A. 小論文では、起承転結より三段構成か四段構成が向いています。起承転結は物語や随筆の組み立てで、「転」で話の向きが変わります。小論文で話の向きが変わると、立場と理由のつながりが切れて見えます。反対の視点を入れたい時は、「反対意見の検討」の段落として本論に置きます。
Q. PREP法は小論文の構成に使えますか?
A. 使えます。PREP法は、主張(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、主張(Point)の順に書く型です。三段構成を短く縮めた形といえます。300字以下の設問や、小問に分かれた設問の意見の部分に向きます。400字前後なら、短い三段構成でも書けます。800字以上では、理由ごとに段落を分けた三段構成に広げます。
Q. 小論文の段落はいくつに分ければいいですか?
A. 字数で決まります。400字と600字は3段落、800字は3〜4段落、1,000〜1,200字は4〜5段落が目安です。一つの段落に役割を一つ割り当てるので、段落の数は、序論、理由の数、反対意見の検討、結論を足した数になります。
Q. 理由が一つしか思いつかない時は、どう構成すればいいですか?
A. 600字以下なら、理由は一つで足ります。800字以上で本論を2段落にする時は、予想される反対意見を一つ挙げ、それに答える段落を二つ目の本論にします。理由の候補は、「誰にとってよいか」「すぐの効果と先の効果」のように視点を分けると見つけやすくなります。
Q. 課題文型の小論文では、要約をどこに書けばいいですか?
A. 設問が要約と意見を分けて求めている時は、小問ごとに書きます。分けていない時は、序論で筆者の主張を1〜2文で要約し、それに対する立場を続けます。要約には筆者の主張の中心だけを書き、例や細かい説明は入れません。800字なら、序論は120字前後までが目安です。

まとめ

小論文の構成は、段落ごとに役割と字数を割り当てた設計図です。設問の言葉、出題形式、字数から、三段・四段・主張先行・比較の4つの型を選びます。問いを一文にし、結論を決め、理由を二つに絞り、段落に役割と字数を割り当ててから書き始めます。序論に立場がない、本論の2段落が同じ理由の繰り返し、結論で新しい話を出す、の3つの崩れは、設計図の段階で直せます。

東京修学館では、小論文の材料の整理から構成づくりまでのご相談を、無料相談でお受けしています。序論の書き出しの例文や1,200字の模範例文は、「小論文の書き方」の記事もあわせてご覧ください。

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