日本を代表する私立大学の一つである慶應義塾大学。その伝統と実績から、多くの受験生が憧れを抱く大学です。一般選抜だけでなく、総合型選抜(旧AO入試)でも門戸を開いており、学力試験だけでは測れない多様な能力を持つ学生を積極的に受け入れています。
本記事では、慶應義塾大学の総合型選抜について、各学部の特徴から具体的な対策まで、合格への道筋を徹底解説します。慶應を目指すあなたに必要な情報をすべてお届けします。
慶應義塾大学の総合型選抜とは?
慶應義塾大学が求める人物像
慶應義塾大学は、創立者・福澤諭吉の精神である「独立自尊」を体現できる人材を求めています。単に学力が高いだけでなく、自ら考え、行動し、社会に貢献できる人物が評価されます。
慶應が求める学生の特徴
- 明確な目的意識と強い学習意欲
- 主体的に考え行動する力
- 多様な価値観を受け入れる柔軟性
- リーダーシップと協調性
- グローバルな視野と語学力
- 高い倫理観と社会貢献への意欲
慶應の総合型選抜の特徴
慶應義塾大学の総合型選抜は、他大学と比較していくつかの特徴があります。
1. 学部によって選考方法が大きく異なる 各学部が独自の方針で選考を行っており、求める人材像も選考内容も多様です。
2. 高い基礎学力が求められる 総合型選抜であっても、大学入学共通テストや独自の学力試験が課される学部が多く、基礎学力は必須です。
3. 専願制が基本 合格したら必ず入学することが前提となっている学部がほとんどです。
4. 倍率が高く難易度も高い 慶應ブランドへの人気から、総合型選抜でも倍率は高く、狭き門となっています。
学部別・慶應義塾大学総合型選抜の詳細
慶應義塾大学では、複数の学部で総合型選抜を実施しています。各学部の特徴と選考方法を詳しく見ていきましょう。
総合政策学部(SFC)
慶應の総合型選抜といえば、まず思い浮かぶのがSFC(湘南藤沢キャンパス)の総合政策学部です。
募集人員 約100名(AO入試A方式・B方式の合計)
選考方式
- A方式:一次選考(書類審査)、二次選考(面接)
- B方式:一次選考(書類審査)、二次選考(面接+大学入学共通テスト)
出願資格 高等学校卒業(見込み)者で、総合政策学部での学習を強く希望し、合格した場合は必ず入学する者
求める人物像
- 問題発見・解決能力に優れている
- 既成概念にとらわれない柔軟な発想力を持つ
- 実践的なプロジェクトに取り組んだ経験がある
- 国際的な視野を持っている
提出書類
- 志望理由書(2,000字程度)
- 自己推薦書(活動実績、取得資格など)
- 推薦状(高校の先生など)
- 調査書
- 任意提出資料(作品、論文、活動記録など)
選考の特徴 SFCの総合型選抜は、受験生の「やりたいこと」が明確であることを最重視します。高校時代に取り組んだプロジェクトや研究活動、社会活動などの実績が重要な評価ポイントとなります。
面接では、提出した書類について深く掘り下げられるため、自分が書いた内容を完全に理解し、さらに発展させて語れる準備が必要です。
合格のポイント
- 具体的なプロジェクト経験を持つ
- 問題意識が明確で、解決策を考え実行している
- SFCで何を学び、どう社会に貢献するかのビジョンが明確
- 多様な分野への関心と学際的な視点
環境情報学部(SFC)
総合政策学部と同じくSFCに位置する環境情報学部も、独自の総合型選抜を実施しています。
募集人員 約100名(AO入試A方式・B方式の合計)
選考方式 総合政策学部と同様、A方式とB方式があります。
求める人物像
- 環境、情報、デザイン、バイオ分野などへの強い関心
- テクノロジーを活用した問題解決能力
- 創造的な発想とものづくりへの情熱
- 学際的なアプローチができる柔軟性
提出書類 総合政策学部とほぼ同様ですが、任意提出資料として、プログラミング作品、デザイン作品、研究論文などが評価されます。
選考の特徴 環境情報学部は、「先端テクノロジーを使って社会課題を解決する」という視点が重要です。プログラミング、データサイエンス、デザイン思考、バイオテクノロジーなど、具体的なスキルを持っていることが強みになります。
合格のポイント
- プログラミングやデザインなどの具体的なスキル
- テクノロジーを活用したプロジェクト経験
- 環境や情報分野の課題への深い問題意識
- 学際的な視点とコラボレーション能力
法学部(FIT入試)
慶應法学部の総合型選抜は「FIT入試」(Fuzoku, International, Transfer)と呼ばれ、複数の区分があります。
募集人員 約100名(A方式・B方式の合計)
選考方式
- A方式:書類審査、論述試験、面接
- B方式:書類審査、論述試験、面接、大学入学共通テスト
出願資格 高等学校卒業(見込み)者で、法学部を第一志望とし、合格した場合は必ず入学する者
求める人物像
- 法律学、政治学への明確な志向
- 論理的思考力と文章表現力
- 社会問題への高い関心
- リーダーシップと責任感
- 国際的な視野
提出書類
- 志望理由書
- 自己推薦書
- 活動報告書
- 調査書
- 推薦状
選考の特徴 法学部のFIT入試では、論述試験が大きな比重を占めます。与えられた課題文を読み、論理的に分析し、自分の意見を説得力を持って述べる力が試されます。
面接では、法律や政治に関する基礎知識、時事問題への見解、高校時代の活動について深く質問されます。
合格のポイント
- 法律学・政治学への明確な関心と基礎知識
- 優れた論理的思考力と文章力
- 社会問題への深い洞察
- 生徒会活動やボランティアなどのリーダー経験
- 高い学力(特に国語、英語、地歴公民)
文学部(自己推薦入試)
慶應文学部では「自己推薦入試」という形で総合型選抜を実施しています。
募集人員 若干名
選考方式 一次選考(書類審査)、二次選考(小論文、面接)、大学入学共通テスト
出願資格 高等学校卒業(見込み)者で、文学部を第一志望とし、人文科学分野での学習・研究を強く希望する者
求める人物像
- 人文科学分野への深い関心と探究心
- 優れた語学力(特に英語)
- 読書量が豊富で思考力がある
- 独自の視点と表現力
- 文化や芸術への造詣
提出書類
- 志願理由書
- 自己推薦書
- 学習計画書
- 調査書
- 推薦状
選考の特徴 文学部の自己推薦入試は、人文科学への深い関心と優れた語学力が求められます。特に英語力は重要で、TOEFL・IELTSなどのスコアも評価対象となります。
小論文では、文学、歴史、哲学、芸術などの課題文を読み、深い思考力と豊かな表現力が試されます。
合格のポイント
- 人文科学分野での具体的な研究テーマ
- 優れた語学力(英検準1級以上、TOEFL iBT 80以上が目安)
- 豊富な読書経験と幅広い教養
- 文化活動や芸術活動の実績
- 論理的かつ独創的な思考力
薬学部(AO入試)
慶應薬学部では、薬学科と薬科学科でAO入試を実施しています。
募集人員 薬学科・薬科学科合わせて若干名
選考方式 一次選考(書類審査)、二次選考(小論文、面接、大学入学共通テスト)
出願資格 高等学校卒業(見込み)者で、薬学部を第一志望とし、化学・生物学を中心とした理科系科目の学習に意欲を持つ者
求める人物像
- 薬学・医療への強い志向と使命感
- 化学・生物学の優れた学力
- 研究への興味と探究心
- 高い倫理観
- コミュニケーション能力
提出書類
- 志願理由書
- 自己推薦書
- 調査書
- 推薦状
- 研究活動報告書(該当者のみ)
選考の特徴 薬学部のAO入試では、化学と生物の高い学力が必須です。大学入学共通テストで一定の得点が求められるほか、面接では専門的な質問もあります。
医療人としての適性、倫理観、コミュニケーション能力も重視されます。
合格のポイント
- 化学・生物の優れた学力
- 薬学研究や医療への明確な志向
- 研究活動の経験(科学オリンピック、課題研究など)
- 医療ボランティアなどの経験
- 高い倫理観と使命感
看護医療学部(AO入試)
慶應看護医療学部では、将来の医療を担う看護職を目指す学生を総合型選抜で募集しています。
募集人員 若干名
選考方式 一次選考(書類審査)、二次選考(小論文、面接、大学入学共通テスト)
求める人物像
- 看護職への強い志向と使命感
- 人への深い関心と共感力
- 科学的思考力と実践力
- 高いコミュニケーション能力
- チーム医療への理解
提出書類
- 志願理由書
- 自己推薦書
- 調査書
- 推薦状
- 活動報告書
選考の特徴 看護医療学部のAO入試では、医療人としての適性が重視されます。ボランティア活動、医療現場での体験、患者や高齢者との関わりなどの経験が評価されます。
面接では、看護観、倫理観、コミュニケーション能力が深く問われます。
合格のポイント
- 看護職への明確な志向と理解
- 医療・福祉分野でのボランティア経験
- 人と関わることへの興味と共感力
- チームで協力した経験
- 科学的な学力(特に生物、化学)
慶應義塾大学総合型選抜の出願から合格までの流れ
スケジュール(一般的な例)
6月〜7月
- 募集要項の発表・入手
- 出願資格の確認
- 書類準備の開始
8月〜9月
- 出願書類の作成(志望理由書、自己推薦書など)
- 推薦状の依頼
- 任意提出資料の準備
9月中旬〜下旬
- 出願(インターネット出願+書類郵送)
10月〜11月
- 一次選考結果発表
- 二次選考の準備(面接、論述試験、プレゼンテーションなど)
11月〜12月
- 二次選考(面接など)
- 大学入学共通テスト出願(B方式など)
1月
- 大学入学共通テスト受験(該当者)
2月
- 最終合格発表
- 入学手続き
※学部によってスケジュールは異なりますので、必ず各学部の募集要項を確認してください。
慶應総合型選抜・学部別合格難易度と倍率
総合政策学部・環境情報学部(SFC)
倍率:約3〜5倍 難易度:非常に高い
SFCの総合型選抜は、明確なプロジェクト経験と問題解決能力が求められます。単なる成績優秀者ではなく、実際に行動し、成果を出している受験生が評価されます。
合格者の特徴
- 全国レベルのコンテスト入賞経験
- 独自の研究プロジェクトの実施
- 社会課題解決のための活動実績
- 起業経験やNPO活動
- 国際的な活動経験
法学部(FIT入試)
倍率:約4〜6倍 難易度:非常に高い
法学部のFIT入試は、論述試験の難易度が高く、法律・政治への深い理解と論理的思考力が必須です。
合格者の特徴
- 生徒会長など顕著なリーダー経験
- 模擬国連や模擬裁判での活躍
- 法律・政治分野でのコンテスト入賞
- 社会問題への取り組み実績
- 高い学力(特に国語、英語、社会)
文学部(自己推薦入試)
倍率:約5〜8倍 難易度:極めて高い
募集人員が「若干名」と少なく、最難関の一つです。人文科学への深い造詣と優れた語学力が必須です。
合格者の特徴
- 文学・芸術分野でのコンテスト入賞
- 優れた語学力(英検1級、TOEFL iBT 90以上など)
- 豊富な読書量と幅広い教養
- 独自の研究テーマと論文執筆経験
- 文化活動での顕著な実績
薬学部・看護医療学部
倍率:約3〜5倍 難易度:非常に高い
理系科目の高い学力に加え、医療人としての適性と使命感が求められます。
合格者の特徴
- 化学・生物オリンピック出場など
- 課題研究での優れた成果
- 医療ボランティアの継続的な経験
- 高い倫理観と使命感
- 大学入学共通テストで高得点
慶應総合型選抜・志望理由書の書き方
慶應の総合型選抜において、志望理由書は極めて重要な書類です。数千字に及ぶ志望理由書で、あなたの熱意、能力、ビジョンを伝えなければなりません。
志望理由書の基本構成
1. 導入(200〜300字) その分野に興味を持ったきっかけを具体的なエピソードとともに述べます。
2. 問題意識と活動実績(800〜1,000字) 高校時代に取り組んだ活動について、以下の流れで詳しく説明します。
- なぜその活動に取り組んだのか(動機)
- どのような活動をしたのか(内容)
- どんな困難があり、どう乗り越えたか(プロセス)
- 何を学び、どう成長したか(学び)
3. 慶應で学びたいこと(600〜800字) 慶應義塾大学、そしてその学部でなければならない理由を具体的に述べます。
- 特定の教授の研究内容への関心
- ユニークなカリキュラムやプログラム
- 慶應の理念や伝統への共感
- 学際的な学びの環境
4. 将来のビジョン(200〜300字) 大学での学びを通じて何を実現したいのか、社会にどう貢献したいのかを明確に述べます。
慶應ならではの志望理由書のポイント
ポイント1:「独立自尊」の精神を体現する 慶應の理念である「独立自尊」、つまり自ら考え行動する姿勢を、自分の経験を通じて示しましょう。
ポイント2:具体性と説得力 抽象的な表現ではなく、固有名詞、数字、具体的なエピソードを盛り込むことで説得力が増します。
ポイント3:学部の特色への深い理解 「充実したカリキュラム」といった抽象的な表現ではなく、具体的な授業名、ゼミ名、教授名を挙げ、それらと自分の目標がどう結びつくかを説明します。
ポイント4:慶應でしかできないことを明確に 他の大学でも学べる内容ではなく、慶應義塾大学のその学部だからこそ実現できることを述べます。
志望理由書の例(SFC総合政策学部)
導入部分の例
「高校2年の夏、地元商店街の空き店舗率が50%を超えたというニュースを目にし、私は地域経済の衰退という問題に直面しました。『なぜ大型ショッピングモールができると商店街は衰退するのか』という疑問から、私の地域活性化プロジェクトは始まりました」
このように、具体的な数字とエピソードで問題意識が明確に伝わります。
活動実績部分の例
「私は商店主30名にインタビューを実施し、衰退の原因を分析しました。その結果、『後継者不足』『デジタル化の遅れ』『若者の流出』という3つの課題が浮かび上がりました。そこで私は、商店街のオンラインマップ作成プロジェクトを立ち上げ、高校生5名、商店主10名と協力して、SNSと連動した情報発信システムを構築しました。このプロジェクトにより、半年で商店街への来訪者数が20%増加しました」
具体的な数字と成果が示されており、問題解決能力が伝わります。
慶應SFCで学びたいこと部分の例
「この経験から、地域経済の活性化には『経済学』『社会学』『情報技術』の学際的アプローチが不可欠だと実感しました。貴学部の〇〇教授が研究されている『地域イノベーションと社会資本』は、まさに私が深めたいテーマです。また、貴学部独自の『プロジェクト科目』では、実際に地域に入り込んで課題解決に取り組めると伺いました。私は××ゼミに所属し、地域活性化の理論と実践の両面を学びたいと考えています」
特定の教授名、科目名を挙げ、自分の目標との関連性が明確です。
慶應総合型選抜・面接対策
慶應の総合型選抜において、面接は最終関門です。志望理由書の内容を深掘りされるため、徹底的な準備が必要です。
慶應の面接で特に重視されるポイント
1. 志望動機の深さと一貫性 「なぜ慶應なのか」「なぜその学部なのか」を、具体的に、説得力を持って答えられることが最重要です。
2. 主体性と行動力 高校時代の活動について、自ら考え、自ら行動したエピソードを具体的に語れることが重要です。
3. 論理的思考力 質問に対して、筋道を立てて分かりやすく答える力が試されます。
4. 知的好奇心と学習意欲 志望分野への深い関心と、大学で学びたいという強い意欲が伝わることが大切です。
5. 慶應への理解度 大学の理念、学部の特色、教授の研究内容などについて深く理解していることを示す必要があります。
慶應の面接でよく聞かれる質問
基本的な質問
- 慶應義塾大学を志望した理由を教えてください
- なぜこの学部を選んだのですか
- 「独立自尊」という言葉をどう理解していますか
- 福澤諭吉について知っていることを教えてください
- 慶應義塾大学について知っていることを教えてください
活動に関する質問
- 高校時代に最も力を入れたことは何ですか
- その活動から何を学びましたか
- 困難をどう乗り越えましたか
- リーダーシップを発揮した経験はありますか
- 失敗から学んだことは何ですか
学びに関する質問
- 大学で何を学びたいですか
- どのゼミに入りたいですか
- どの教授の研究に興味がありますか
- 卒業論文のテーマは考えていますか
- 大学院進学は考えていますか
将来に関する質問
- 卒業後の進路はどう考えていますか
- 10年後、どんな自分になっていたいですか
- 慶應で学んだことを社会でどう活かしますか
専門分野に関する質問(学部別)
SFC:社会課題について、あなたならどう解決しますか 法学部:最近の法律・政治に関するニュースで関心を持ったものは 文学部:最近読んだ本で最も印象に残っているものは 薬学部:薬学と医療の違いを説明してください 看護医療学部:看護師に必要な資質は何だと思いますか
面接で差がつく回答のコツ
コツ1:慶應への深い理解を示す
悪い例:「慶應は伝統ある大学で、優れた教育を受けられると思ったからです」
良い例:「福澤諭吉先生の『独立自尊』の精神、つまり自ら考え行動するという理念に強く共感しました。私は高校時代、〇〇プロジェクトで主体的に行動する重要性を学びました。貴学で学ぶことで、この姿勢をさらに深め、社会に貢献できる人材になりたいと考えています」
コツ2:具体的な教授名や科目名を挙げる
悪い例:「貴学部では幅広く学べるので志望しました」
良い例:「貴学部の〇〇教授の『△△理論』に強く関心を持っています。××ゼミで、この理論を実践的に学びたいと考えています。また、『□□』という科目で、学際的なアプローチを身につけたいです」
コツ3:数字と固有名詞で具体性を出す
悪い例:「ボランティア活動を頑張りました」
良い例:「2年間で延べ80回、地域の学習支援ボランティアに参加し、30名の中学生に勉強を教えました。特に〇〇君は、数学の成績が20点から70点に上がり、私自身も教えることの難しさと喜びを実感しました」
慶應総合型選抜・合格者の体験談
体験談1:総合政策学部合格 Fさん
合格の決め手 「私は高校2年から地域の空き家問題に取り組み、行政、不動産会社、住民と連携して空き家をシェアハウスに転用するプロジェクトを実施しました。志望理由書では、このプロジェクトの詳細と、そこから学んだ『多様なステークホルダーとの協働の重要性』を具体的に書きました。
面接では、『なぜ空き家問題に関心を持ったのか』から始まり、『プロジェクトでの具体的な困難』『解決のプロセス』『今後の展望』まで、1時間近く深く掘り下げられました。すべて実際に経験したことなので、自信を持って答えられました。
SFCで〇〇教授の『地域イノベーション論』を学び、将来は地方創生に携わりたいという明確なビジョンを持っていたことも評価されたと思います」
後輩へのアドバイス 「SFCは『やりたいことが明確な人』を求めています。高校時代に、自分の問題意識に基づいて実際に行動し、成果を出すことが重要です。ただし、華々しい実績よりも、『なぜそれに取り組んだのか』『何を学んだのか』という深い自己分析が大切だと感じました」
体験談2:法学部FIT入試合格 Gさん
合格の決め手 「私は生徒会長として、校則改正に取り組みました。一方的に要求するのではなく、生徒・教員・保護者の三者で対話を重ね、合理的な理由のある校則改正を実現しました。この経験から、法の役割と民主的な意思決定プロセスの重要性を学びました。
論述試験では、社会問題に関する課題文を読み、法的・政治的観点から自分の意見を論じる問題でした。日頃から新聞を読み、社会問題について考えていたことが役立ちました。
面接では、『法律学と政治学の違い』『憲法改正についてどう考えるか』といった専門的な質問もありました。完璧には答えられませんでしたが、自分なりの考えを誠実に述べたことが評価されたと思います」
後輩へのアドバイス 「法学部のFIT入試は、論述試験の難易度が高いです。日頃から新聞を読み、社会問題について自分の意見を持つこと、そしてそれを論理的に文章化する練習が不可欠です。また、法律や政治の基礎知識も必要なので、関連書籍を読んでおくことをお勧めします」
体験談3:環境情報学部合格 Hさん
合格の決め手 「私はプログラミングが得意で、高校1年からスマートフォンアプリを複数開発していました。その中の一つ、地域のゴミ出し情報を通知するアプリは、実際に自治体に採用され、3,000人以上のユーザーに使われています。
志望理由書には、このアプリ開発のプロセスと、『テクノロジーで地域の課題を解決する』というビジョンを書きました。任意提出資料として、アプリのソースコードと設計書も提出しました。
面接では、技術的な質問もありました。『なぜこのアルゴリズムを選んだのか』『今後どう改善したいか』など、かなり専門的でしたが、自分で作ったものなので楽しく答えられました」
後輩へのアドバイス 「環境情報学部は、『つくることが好きな人』が評価されます。プログラミング、デザイン、映像制作、何でもいいので、実際に作品を作り、それを社会に役立てる経験があると強いです。技術力だけでなく、『なぜ作ったのか』『誰の役に立つのか』という視点が重要です」
慶應総合型選抜に向けた準備スケジュール
高校2年生
春(4月〜6月)
- 自己分析:自分の興味・関心、強みを見つける
- 大学研究:慶應各学部の特色を調べる
- 活動開始:興味のある分野でのプロジェクト、研究活動を開始
夏(7月〜9月)
- オープンキャンパス参加:必ず参加し、学部の雰囲気を肌で感じる
- 活動の深化:取り組んでいるプロジェクトを本格化
- 読書・学習:志望分野の基礎知識を身につける
秋〜冬(10月〜3月)
- 活動の継続と記録:プロジェクトを継続し、詳細な記録を残す
- 資格取得:英検、TOEFL、各種検定にチャレンジ
- 基礎学力の維持:共通テスト対策も並行して進める
高校3年生
春(4月〜6月)
- 募集要項の確認:出願資格、選考内容を詳細に確認
- 志望理由書の下書き開始:何度も書き直すことを前提に早めに着手
- 活動の総まとめ:高校時代の活動を振り返り整理
夏(7月〜9月)
- 志望理由書の完成:先生や先輩に添削を依頼
- 推薦状の依頼:余裕を持って先生に依頼
- 任意提出資料の準備:作品、論文、活動記録などを整理
- 面接練習開始:想定問答を作成し、模擬面接を繰り返す
- 出願:期限厳守で提出
秋(10月〜11月)
- 一次選考結果待ち
- 二次選考の準備:面接、論述試験の対策を本格化
- 共通テスト対策:B方式など共通テストが必要な場合は継続学習
冬(12月〜2月)
- 二次選考:万全の準備で臨む
- 共通テスト受験:該当者は確実に受験
- 合格発表・入学手続き
慶應総合型選抜・よくある質問
Q1. 偏差値はどのくらい必要ですか?
A. 慶應の総合型選抜でも、高い基礎学力が求められます。目安として、偏差値60以上、できれば65以上が望ましいでしょう。特に共通テストが課される方式では、一般選抜と同等かそれ以上の学力が必要です。
Q2. 英検は何級以上必要ですか?
A. 学部により異なりますが、一般的には準1級以上が望ましいです。文学部など語学力を重視する学部では、1級やTOEFL iBT 90以上があると有利です。
Q3. 活動実績がないと合格できませんか?
A. 全国大会出場などの華々しい実績がなくても合格は可能です。重要なのは、「自分なりの問題意識を持ち、主体的に行動した経験」です。地域の小さな活動でも、深い学びがあれば評価されます。
Q4. 専願でなければ受験できませんか?
A. ほとんどの学部で専願制(合格したら必ず入学)が条件です。他大学との併願を考えている場合は、慎重に検討しましょう。
Q5. 浪人生でも受験できますか?
A. 学部によって異なります。募集要項で「高等学校卒業後1年以内」などの条件が明記されている場合もあるため、必ず確認してください。
Q6. 倍率はどのくらいですか?
A. 学部により異なりますが、3〜8倍程度です。募集人員が少ない文学部などは特に競争が激しくなります。
Q7. 一般選抜との併願は可能ですか?
A. 総合型選抜は秋〜冬に実施されるため、不合格の場合は一般選抜を受験することは可能です。ただし、合格した場合は必ず入学する必要があります。
まとめ:慶應総合型選抜合格への道
慶應義塾大学の総合型選抜は、確かに狭き門です。しかし、明確な目標と熱意、そして計画的な準備があれば、決して手の届かない目標ではありません。
合格への5つの鍵
- 明確な問題意識と主体的な行動 高校時代に、自分の興味・関心に基づいて実際に行動し、成果を出すことが最も重要です。
- 慶應への深い理解 大学の理念、学部の特色、教授の研究内容を徹底的に調べ、「なぜ慶應なのか」を明確にしましょう。
- 高い基礎学力 総合型選抜でも、基礎学力は必須です。日頃の学習を疎かにせず、特に英語力を高めましょう。
- 説得力のある志望理由書 具体的なエピソード、明確なビジョン、論理的な構成で、読む人を惹きつける志望理由書を作成しましょう。
- 徹底的な面接準備 想定問答を作成し、何度も模擬面接を行い、自信を持って臨めるまで準備しましょう。
慶應義塾大学は、「独立自尊」の精神のもと、自ら考え行動できる人材を求めています。あなたがこの精神を体現できる人物であることを、志望理由書と面接で存分に示してください。
準備は大変ですが、その過程で得られる自己理解と成長は、合格以上の価値があります。
慶應義塾大学での学びを夢見るあなたの挑戦を、心から応援しています!

