「総合型選抜で合格する人って、どんな人なんだろう?」
この疑問を持つ受験生は少なくありません。学力試験の点数だけで合否が決まらない総合型選抜では、一体どのような受験生が評価され、合格を勝ち取っているのでしょうか。
本記事では、数多くの合格者を分析して見えてきた「受かる人」の共通点を徹底解説します。あなたも今日から実践できる具体的なポイントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
総合型選抜で受かる人の7つの共通点
1. 明確な志望理由と将来ビジョンを持っている
総合型選抜で最も重視されるのが「なぜその大学・学部を志望するのか」という動機の明確さです。受かる人は、この問いに対して具体的で説得力のある答えを持っています。
受かる人の特徴
- 「何を学びたいか」が明確に言語化できる
- その大学でなければならない理由を説明できる
- 卒業後の具体的なキャリアイメージを持っている
- 自分の過去の経験と志望理由が一本の線でつながっている
具体例
❌ 落ちる人の志望理由 「国際関係に興味があり、貴学は留学制度が充実しているため志望しました」
⭕ 受かる人の志望理由 「高校2年の夏、フィリピンでのボランティア活動を通じて、途上国の教育格差という課題に直面しました。現地の子どもたちと触れ合う中で、教育が貧困の連鎖を断つ鍵だと実感。貴学の〇〇教授が研究されている『開発途上国における教育支援の持続可能性』に強く関心を持ち、ゼミでこのテーマを深く学びたいと考えています。将来は国際NGOで教育支援プロジェクトのマネジメントに携わりたいです」
前者は抽象的で他の大学でも通用する内容ですが、後者は具体的な体験、大学の特定の資源、将来像が明確に結びついています。
2. 自己分析が深く、自分の言葉で語れる
受かる人は、自分自身のことを深く理解しています。表面的な自己PRではなく、自分の価値観や考え方の根底にあるものまで掘り下げて考えています。
深い自己分析のポイント
- なぜその活動に取り組んだのか(動機)
- 困難をどう乗り越えたのか(プロセス)
- その経験から何を学んだのか(学び)
- その学びが自分をどう変えたのか(変化)
- 今後どう活かしていくのか(展望)
自己分析の深さを測る質問
「部活動を頑張りました」と言う受験生に対して、面接官が「なぜその部活を選んだの?」「一番つらかった時期は?」「そこから何を学んだ?」と掘り下げていったとき、受かる人はそれぞれの問いに具体的なエピソードと考えを持って答えられます。
一方、落ちる人は表面的な回答に終始し、「楽しかったから」「仲間と協力することの大切さを学びました」といった抽象的な答えしか出てきません。
3. 大学への理解が深く、熱意が伝わる
受かる人は、志望大学について驚くほど詳しく調べています。ウェブサイトに載っている情報だけでなく、その大学独自の魅力や強みを的確に把握しています。
大学研究の深さの違い
❌ 浅い大学研究
- ウェブサイトの情報を読んだだけ
- 「充実したカリキュラム」「優れた教員」など抽象的表現
- 他大学との比較ができていない
⭕ 深い大学研究
- オープンキャンパスに複数回参加
- 教授の著書や論文を実際に読んでいる
- 在学生や卒業生に話を聞いている
- 具体的な授業名やゼミ名、研究室名を挙げられる
- その大学の教育理念と自分の価値観の共通点を語れる
実例:面接での違い
面接官:「なぜ本学を志望したのですか?」
落ちる人:「貴学は〇〇学で有名で、充実した環境で学べると思ったからです」
受かる人:「貴学の△△教授の『〇〇理論』に強く惹かれました。先日のオープンキャンパスで教授の模擬講義を拝聴し、この分野をより深く学びたいと確信しました。また、貴学独自の××プログラムでは実践的なフィールドワークができると知り、私の『理論と実践の両面から学びたい』という希望と完全に一致すると感じました」
4. 主体性があり、行動力がある
総合型選抜で評価されるのは、受け身ではなく自ら考え行動できる人です。受かる人は、誰かに言われたからではなく、自分の興味や問題意識に基づいて行動しています。
主体性が表れる行動例
- 興味のあるテーマについて独自に調査・研究
- 自分で企画したイベントやプロジェクトの実施
- 問題を発見し、解決策を考え実行した経験
- 失敗から学び、改善を重ねた経験
- 周囲を巻き込んでチームで成果を出した経験
注意点:実績の大きさより「なぜ」が重要
全国大会出場やコンテスト優勝といった華々しい実績がなくても、受かる人はいます。重要なのは実績の大きさではなく、「なぜその活動に取り組んだのか」「そこから何を学んだのか」という部分です。
地域の小さなボランティア活動でも、自分なりの問題意識を持って継続的に取り組み、そこから深い学びを得ている人は高く評価されます。
5. 論理的思考力と表現力を持っている
面接や小論文で自分の考えを分かりやすく伝える力は、総合型選抜において非常に重要です。受かる人は、論理的に筋道を立てて話すことができます。
論理的な話し方の構造
PREP法(結論→理由→具体例→結論)を意識すると、分かりやすく伝わります。
例:「なぜ心理学を学びたいのですか?」
❌ 論理性に欠ける回答 「人の心に興味があって、心理学の本を読んだら面白くて、それで大学でも勉強したいと思いました。友達の悩みを聞くのも好きですし、将来は人の役に立つ仕事がしたいです」
⭕ 論理的な回答 「私が心理学を学びたい理由は、思春期の子どもたちの心のケアに携わりたいからです(結論)。中学時代、親友が不登校になった経験から、心の問題への早期対応の重要性を痛感しました(理由)。その後、スクールカウンセラーの方に話を伺い、認知行動療法などの科学的アプローチを学びました(具体例)。貴学で臨床心理学を深く学び、将来はスクールカウンセラーとして子どもたちを支えたいです(結論)」
6. 柔軟性と学ぶ姿勢を持っている
受かる人は、自分の考えに固執せず、他者の意見を聞き入れる柔軟性を持っています。また、「まだ知らないことがたくさんある」という謙虚な姿勢で学び続ける意欲を示します。
面接での柔軟性の見せ方
面接官が異なる視点や批判的な質問を投げかけてきたとき、受かる人は以下のような対応をします。
- 「そういう見方もあるのですね。勉強になります」と素直に受け止める
- 「確かにその点は考えていませんでした。大学で学びながら視野を広げたいです」と成長意欲を示す
- 自分の意見と異なる考えに対しても、まず理解しようとする姿勢を見せる
一方、落ちる人は自分の考えを押し通そうとしたり、質問に対して防御的になったりします。
7. 基礎学力があり、継続的な努力ができる
「総合型選抜は学力不要」というのは誤解です。近年、ほとんどの大学で大学入学共通テストや独自の学力検査が課されており、一定の基礎学力は必須条件となっています。
受かる人の学習習慣
- 総合型選抜の準備と並行して基礎学力を維持
- 志望分野に関連する科目は特に力を入れている
- 読書習慣があり、知的好奇心が高い
- 時事問題や社会課題にも関心を持っている
受かる人は、「総合型選抜だから勉強しなくていい」とは考えず、むしろ「学びたいことが明確だからこそ、その基礎となる学力をしっかり身につける」という姿勢を持っています。
受かる人と落ちる人の決定的な違い
準備期間の違い
落ちる人
- 高校3年の夏から慌てて準備開始
- 志望理由書を1週間で仕上げようとする
- 面接練習は直前に数回だけ
受かる人
- 高校2年から計画的に準備
- 志望理由書は何ヶ月もかけて何度も書き直す
- 面接練習を数十回繰り返し、想定問答を徹底的に準備
情報収集の違い
落ちる人
- ネットの情報だけで判断
- オープンキャンパスに行かない
- 募集要項を軽く読む程度
受かる人
- 複数の情報源から総合的に判断
- オープンキャンパスに複数回参加し、個別相談も活用
- 募集要項を何度も読み込み、求められる人物像を正確に把握
志望理由書の違い
落ちる人の志望理由書
- 抽象的で具体性に欠ける
- 他の大学でも通用する内容
- 「学びたい」「興味がある」など受動的な表現が多い
- エピソードが表面的
受かる人の志望理由書
- 具体的な体験と学びたい内容が明確
- その大学独自の特徴に言及
- 「研究したい」「追求したい」など能動的な表現
- エピソードに深みがあり、そこから得た学びが明確
面接での違い
落ちる人の面接
- 用意した答えを暗記して読み上げる
- 質問の意図を理解せず、ずれた回答をする
- 深掘り質問に対応できない
- 緊張して自分らしさが出ない
受かる人の面接
- 自分の言葉で自然に語る
- 質問の意図を理解し、的確に答える
- 予想外の質問にも柔軟に対応
- 緊張しながらも、熱意と誠実さが伝わる
実際の合格者インタビュー:受かった理由とは
事例1:教育学部合格 Cさん
「私が合格できた一番の理由は、『なぜ教師になりたいのか』という問いに、自分なりの明確な答えを持っていたことだと思います。高校1年の時に参加した学習支援ボランティアで、勉強が苦手な中学生と向き合う中で、『分かった!』と目を輝かせる瞬間に立ち会えたことが原点です。その後、2年間で延べ100人以上の子どもたちと関わり、一人ひとりに合った教え方があることを実感しました。面接では、この具体的な経験と、大学で学びたい教育心理学を結びつけて話せたことが評価されたようです」
事例2:経済学部合格 Dさん
「僕は華々しい実績がなかったので不安でしたが、『地域経済の活性化』というテーマについて、自分なりに深く考え続けたことが評価されました。地元商店街の衰退を目の当たりにし、何が問題なのかを商店主に直接インタビュー。行政の資料も読み込み、自分なりの分析レポートを作成しました。志望大学の教授が地域経済の専門家だと知り、その研究内容と自分の問題意識が一致していることを熱く語りました。面接官からは『君の問題意識の深さと行動力を評価した』と言われました」
事例3:理工学部合格 Eさん
「私の場合、科学部での研究活動が大きな武器になりました。ただ実験をするだけでなく、『なぜこの結果になったのか』を徹底的に考察し、失敗から学ぶ姿勢を大切にしました。志望理由書では、高校での研究で見つかった新たな疑問を、大学の設備と指導のもとでさらに追求したいという流れを明確に示しました。面接では、研究の楽しさと苦労を具体的に語り、『この子は大学でも主体的に学ぶだろう』と思ってもらえたようです」
今日から実践できる「受かる人」になるための5つのアクション
アクション1:「なぜ」を3回繰り返す
自分の興味や志望理由について、「なぜ?」を3回繰り返して掘り下げてみましょう。
例:「心理学を学びたい」 → なぜ?「人の心に興味があるから」 → なぜ人の心に興味があるの?「友達が悩んでいるのを助けたいから」 → なぜ助けたいと思うの?「中学時代、自分も悩んでいた時に先生に救われた経験があるから」
このように掘り下げることで、本当の動機が見えてきます。
アクション2:志望大学について「3つの独自性」を見つける
志望大学について、他の大学にはない独自の特徴を3つ挙げてみましょう。
- 特定の教授の研究内容
- ユニークなカリキュラムやプログラム
- 独自の教育理念や歴史
これが具体的に言えない場合は、大学研究が不足しているサインです。
アクション3:経験を「ストーリー」にまとめる
自分の経験を以下の構造でストーリー化しましょう。
- きっかけ(なぜ始めたか)
- 挑戦(何に取り組んだか)
- 困難(どんな壁があったか)
- 克服(どう乗り越えたか)
- 学び(何を得たか)
- 未来(どう活かすか)
この構造で語れるエピソードを3つ以上準備しておきましょう。
アクション4:週1回の「振り返りノート」
毎週末、以下の3つを振り返ってノートに書きましょう。
- 今週学んだこと
- 今週感じた疑問や興味
- 来週やりたいこと
この習慣が自己分析を深め、面接での具体的なエピソードにつながります。
アクション5:「教える」経験を積む
友達に勉強を教える、後輩にアドバイスするなど、「教える」経験は自分の理解を深めます。また、相手に分かりやすく伝える力は、面接や小論文で必ず役立ちます。
受かる人が避けている5つの落とし穴
落とし穴1:完璧主義
すべてを完璧にしようとして動けなくなる人がいますが、受かる人は「まず行動、そして改善」という姿勢です。志望理由書も、最初から完璧を目指さず、何度も書き直すことを前提に早めに着手しましょう。
落とし穴2:他人と比較しすぎる
「あの人は全国大会に出場している」「自分には何もない」と比較して落ち込む人がいますが、総合型選抜は相対評価ではありません。自分らしさと熱意を伝えることが最も重要です。
落とし穴3:背伸びしすぎる
難しい言葉を使ったり、本当は理解していないことを話したりすると、深掘り質問で必ずボロが出ます。自分が本当に理解していること、経験したことを自分の言葉で語りましょう。
落とし穴4:ネガティブな理由を隠す
「この大学しか受からないと思った」といったネガティブな本音を隠して綺麗事だけを言うより、正直に「最初は知名度で選んだが、調べるうちに〇〇に惹かれた」と成長の過程を示す方が好印象です。
落とし穴5:一人で抱え込む
受かる人は、先生、親、先輩など周囲の人に積極的にアドバイスを求めています。志望理由書の添削、面接練習など、第三者の視点を取り入れることで質が格段に上がります。
まとめ:「受かる人」は今日から作られる
総合型選抜で受かる人には、確かな共通点があります。しかし、それは特別な才能や華々しい実績ではありません。
本当に大切なのは
- 自分自身と真剣に向き合う姿勢
- 志望大学を深く理解する努力
- 明確な目標と学ぶ意欲
- 主体的に考え行動する力
- 継続的な努力と改善
これらはすべて、今日から、今この瞬間から始められることです。
「受かる人」は最初から完璧だったわけではありません。一歩ずつ、自分と向き合い、準備を重ねてきた結果、合格を手にしているのです。
あなたも今日から「受かる人」になるための第一歩を踏み出してみませんか?自分の可能性を信じて、計画的に、そして情熱を持って準備を進めてください。
合格への道は、あなたの中にすでにあります。それを見つけ出し、磨き上げることこそが、総合型選抜の準備なのです。
あなたの合格を心から応援しています!

